第1編 序論 第3章 刑事訴訟法の構造
KS0020R01-14Y 刑事手続きにおける諸概念 A
刑事手続における諸概念の意義や沿革に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア.日本国憲法が被疑者・被告人の権利を保障する諸規定を置いたのを受けて,刑事訴訟法第1条は,同法の目的として,「適正手続の保障」と「人権の尊重」を掲げる一方,「事案の真相の解明」については明文に掲げなかった。
イ.刑事訴訟法は,裁判所が審判を行うことのできる対象について,検察官が「訴因」として明
示する犯罪事実に限定されることはなく,当該犯罪事実と「公訴事実の同一性」の関係が認められる事実にまで及ぶとすることにより,審判対象設定における「当事者主義」を採用した。
ウ.刑事訴訟法が「起訴状一本主義」を採用したことにより,公判における事実審理を裁判所が主導して行う「職権主義」は実際上困難となり,当事者による証拠調べ請求や交互尋問など,「当事者主義」による訴訟追行が原則として行われることとなった。
エ.犯罪事実については,その存在が証明されたとの心証を裁判所が抱いたのでない限り無罪が言い渡されるという意味で,検察官が「挙証責任」を負うとされるが,これは,刑事訴訟法が「当事者主義」による訴訟追行を原則としたことによるものであり,「職権主義」の下では,検察官が犯罪事実について「挙証責任」を負うことはない。
オ.確定した判決の言渡しを受けた者にとって不利益となる再審を認めることは,「二重の危険の禁止」に反する疑いがあるため,刑事訴訟法は,確定した有罪判決の言渡しを受けた者にとって利益な方向での再審のみを認めた。
1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.ウ オ
解答 5
第2編 捜査 第1章 総説
KS0060H29-14Y 強制処分と任意処分 A
次のアからオまでの各記述のうち,正しいものには1を,誤っているものには2を選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
ア.強制手段とは,有形力の行使を伴う手段を意味するものではなく,個人の意思を制圧し,身体,住居,財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など,特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段を意味するものであって,この程度に至らない有形力の行使は,任意捜査においても許容される場合がある。
イ.荷送人の依頼に基づき宅配便業者の運送過程下にある荷物について,捜査機関が,捜査目的を達成するため,荷送人や荷受人の承諾を得ることなく,その荷物に外部からエックス線を照射して内容物の射影を観察した行為は,任意処分として許される。
ウ.捜索に至らない程度の行為は,強制にわたらない限り,所持品検査においても許容される場合があると解すべきであるが,状況のいかんを問わず常に許容されるものと解すべきではなく,かかる行為は,所持品検査の必要性,緊急性,これによって害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し,具体的状況の下で相当と認められる限度でのみ許容される。
エ.警察官が,交通取締りの一環として交通違反の多発する地域等の適当な場所において,交通違反の予防,検挙のための自動車検問を実施し,同所を通過する自動車に対して走行の外観上の不審な点の有無にかかわりなく短時分の停止を求めて,運転者などに対し必要な事項についての質問などをすることは,それが相手方の任意の協力を求める形で行われ,自動車の利用者の自由を不当に制約することにならない方法,態様で行われる限り,適法である。
オ.酒気帯び運転の疑いが生じたため,酒気を検知する旨告げたところ,運転者が急に反抗的態度を示し,エンジンのかかっている自動車の運転席に乗り込んで発進させようとしたので,警察官が運転席の窓から手を差し入れエンジンキーを回転してスイッチを切った場合,この行為が適法とされることはない。
解答 ア1,イ2,ウ1,エ1,オ2
KS0120R01-15Y 令状 A
次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
ア.捜査機関は,逮捕状により被疑者を逮捕する場合において,被疑者を捜索するため人の住居に入る必要があるときは,住居を対象とする捜索許可状がなくても,その住居に入ることができる。
イ.捜査機関が捜索差押許可状により人の住居を捜索する場合において,差し押さえるべき物が短時間のうちに破棄隠匿されるおそれがあり,捜索差押えの実効性を確保するためにやむを得ないと認められるときは,令状を呈示することなくその住居に入った後,直ちに令状を呈示して捜索をすることができる。
ウ.捜査機関が捜索差押許可状により人の住居を捜索する場合において,急速を要するときは,令状に夜間でも捜索することができる旨の記載がなくても,日没後にその住居に入り捜索をすることができる。
エ.捜査機関の嘱託により鑑定を行う者が,鑑定のため人の住居に入る必要があるときは,自ら裁判官に令状を請求し,その発付を受けて,その住居に入ることができる。
オ.捜査機関が人の住居に入りその内部の状態を五官の作用により認識する処分は,住居主の承諾がある場合であっても,これを令状なく行うことは許されず,検証許可状の発付を受けて行わなければならない。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 1
第2編 捜査 第2章 捜査の端緒
KS0200H30-14Y 捜査の端緒 A
捜査の端緒に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものは幾つあるか。後記1から6までのうちから選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
ア.検視を行うに当たっては,死因の確認のために,令状なくして,対象となる死体から注射器を用いて血液を採取したり,腹部を切開したりすることができる。
イ.被害者の法定代理人たる親権者が2人いるときは,その各自が被害者の法定代理人として,告訴をすることができる。
ウ.司法警察員は,告発を受けたときは,速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。
エ.検察官又は司法警察員は,口頭による自首を受けたときは調書を作らなければならない。
オ.警察官は,異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯したと疑うに足りる相当な理由のある者を停止させて質問することはできるが,質問するため,付近の警察署に同行することを求めることはできない。
1.0個 2.1個 3.2個 4.3個 5.4個 6.5個
解答 4 ア×,イ〇,ウ〇,エ〇,オ×
KS0201R02-14Y 捜査の端緒 A
捜査の端緒に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
ア.自首は,書面又は口頭で,司法警察員にしなければならず,検察官にすることはできない。
イ.親告罪について告訴の取消しをした者は,更に告訴をすることができない。
ウ.税関長等の告発を訴訟条件とする関税法違反事件について,その告発前に強制捜査をすることはできない。
エ.検視においては,死体のエックス線検査をすることはできない。
オ.警察官が,職務質問の際,承諾を得て所持品検査をし,覚醒剤を発見したが,任意提出を拒まれた場合,差押許可状を取得しない限り,同覚醒剤を差し押さえることはできない。
1.ア ウ 2.イ ウ 3.イ エ 4.ア オ 5.エ オ
解答 3
KS0215R03-14Y 職務質問 A
警察官職務執行法上の職務質問に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例に照らして正しいものは幾つあるか。後記1から6までのうちから選びなさい。
ア.警察官が,駐在所で職務質問中に突然逃げ出した相手方の後を,約130メートル追いかけ,背後からその腕に手をかけることは,職務質問を行うため相手方を停止させる行為として許される場合がある。
イ.警察官が,相手方の運転車両の窓から手を差し入れ,エンジンキーを回転してスイッチを切ることは,職務質問を行うため相手方を停止させる行為として許される場合がある。
ウ.警察官が,相手方の運転車両の窓から手を差し入れ,エンジンキーを引き抜いて取り上げることは,職務質問を行うため相手方を停止させる行為として許される場合がある。
エ.警察官が,ホテル客室(ホテル内の通路に面して外ドアがあり,これを開けると内玄関に入ることができ,そこにある内ドアを開けると客室に入る構造)の無施錠の外ドアを開けて内玄関に立ち入り,内ドア越しに客室内に向かって声をかけたところ,相手方が,内ドアを開けたが,警察官の姿を見て慌ててそれを閉めたのに対して,警察官が,内ドアを押し開け,内玄関と客室の境の敷居上辺りに足を踏み入れ,内ドアが閉められるのを防止することは,職務質問に付随する行為として許される場合がある。
オ.警察官が,相手方の承諾を得ることなく,携行中の所持品であるバッグの施錠されていないチャックを開披し内部を一べつすることは,職務質問に付随する行為として許される場合がある。
1.0個 2.1個 3.2個 4.3個 5.4個 6.5個
解答 6 ア〇,イ〇,ウ〇,エ〇,オ〇
KS0270H27-15Y 告訴 A
告訴に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
ア.Aが強制性交された場合,Aの夫は,「犯罪により害を被った者」として告訴権を有する。(問改)
イ.被害者の法定代理人がした告訴を被害者本人が取り消すことはできない。
ウ.告訴は,適法に受理された後はこれを取り消すことができない。
エ.器物損壊罪の被害者が犯人をXと指定して告訴したが,捜査の結果,犯人はYであることが判明した場合,その告訴はYに対して有効である。
オ.一通の文書でA及びBの名誉が毀損された場合,Aがした告訴の効力は,Bに対する名誉毀損の事実には及ばない。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ
解答 2
KS0280H28-14Y 告訴 A
次のアからオまでの各記述は,甲が,平成26年11月1日に乙に強制性交されたとの事実により乙を告訴する場合について述べたものである。これらの記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(問改)
ア.司法警察員は,甲からの告訴を受けたときは,乙を逮捕しなければならない。
イ.甲は,告訴を一旦取り消した後でも,再度適法に告訴をすることができる。
ウ.告訴は,必ず書面によってしなければならない。
エ.甲は,公訴の提起があるまでは,告訴を取り消すことができる。
オ.甲の告訴が犯人を知った日から1年を経過した後にされたときでも,検察官は適法に公訴を提起することができる。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 5
第2編 捜査 第3章 被害者の身柄保全
KS0321R02-17Y 逮捕・勾留の時間的限界 A
次のアからオまでの各記述のうち,正しいものには1を,誤っているものには2を選びなさい。
ア. 司法警察員は,司法巡査が逮捕した被疑者を受け取ったときは,直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上,弁解の機会を与え,留置の必要がないと思料するときは,直ちにこれを釈放しなければならない。
イ. 司法警察員は,司法巡査が逮捕した被疑者を受け取ったときは,直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上,弁解の機会を与え,留置の必要があると思料するときは,被疑者を受け取った時から48時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。
ウ. 検察官は,司法警察員が逮捕し送致した被疑者を受け取ったときは,弁解の機会を与え,留置の必要があると思料するときは,被疑者を受け取った時から48時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。
エ. 検察官は,逮捕状により被疑者を逮捕したときは,直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上,弁解の機会を与え,留置の必要があると思料するときは,被疑者が身体を拘束された時から24時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。
オ. 検察官は,被疑者が勾留された事件について,被疑者が身体を拘束された日から10日以内に公訴を提起しないときは,勾留の期間が延長された場合を除き,直ちに被疑者を釈放しなければならない。
解答 ア1,イ2,ウ2,エ2,オ2
KS0360H30-15Y 緊急逮捕 A
緊急逮捕に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものは幾つあるか。後記1から6までのうちから選びなさい。
ア.司法巡査が緊急逮捕することは許されない。
イ.司法警察員は,留置の必要がないと思料するときでも,緊急逮捕した被疑者を釈放することは許されず,検察官に送致する手続をしなければならない。
ウ.緊急逮捕における逮捕の理由の告知は,被疑者に逮捕状を示す際にすれば足りる。
エ.緊急逮捕状の請求は,警察官たる司法警察員については,国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限り,これを行うことができる。
オ.緊急逮捕した被疑者を検察官に送致する手続は,逮捕状の発付を受けた時から48時間以内にしなければならない。
1.0個 2.1個 3.2個 4.3個 5.4個 6.5個
解答 1 ア×,イ×,ウ×,エ×,オ×
KS0390H28-15Y 逮捕 A
逮捕に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものは幾つあるか。後記1から6までのうちから選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
ア.司法警察員は,逮捕状により被疑者を逮捕し,弁解の機会を与えた後,留置の必要がないと判断したときは,被疑者を検察官に送致することなく,直ちに釈放しなければならない。
イ.検察官は,逮捕中の被疑者につき,公訴を提起することはできない。
ウ.現行犯人である「現に罪を行い終つた者」というためには,犯罪の実行行為の全部を完了していることが必要である。
エ.現行犯逮捕が許されるためには,逮捕者が,少なくとも犯行の一部を現認していることが必要である。
オ.司法警察員は,私人から現行犯人の引渡しを受けた場合,直ちに逮捕状を求める手続をしなければならず,逮捕状が発せられないときは,直ちに釈放しなければならない。
1.0個 2.1個 3.2個 4.3個 5.4個 6.5個
解答 2 ア〇,イ×,ウ×,エ×,オ×
KS0400H29-15Y 現行犯逮捕 A
現行犯逮捕に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア.30万円以下の罰金に当たる罪については,犯人の住居又は氏名が明らかでない場合に限り,現行犯逮捕することができる。
イ.罪を行い終わってから間がないと認められないときでも,罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由があり,急速を要する場合には,現行犯逮捕することができる。
ウ.未遂犯の処罰規定のある犯罪の実行に着手した者については,その犯罪が既遂に達していなくとも,現行犯逮捕することができる。
エ.私人でも,現行犯逮捕することができる。
オ.現行犯人の引致を受けた司法警察員は,直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任できることを告げなければならない。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 1
KS0410R01-16Y 現行犯逮捕 A
現行犯逮捕に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものは幾つあるか。後記1から6までのうちから選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
ア.現行犯人を逮捕することができる要件については,犯罪の法定刑の軽重による差異はない。
イ.現行犯人である「現に罪を行い終つた者」というためには,犯罪が既遂に達していることが必要である。
ウ.現行犯逮捕が許されるためには,逮捕者が,少なくとも犯行の一部を現認していることが必要である。
エ.私人が現行犯人を逮捕したときは,直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない。
オ.現行犯人を逮捕した私人は,逮捕の現場で令状によらずに,証拠物の捜索差押えをすることができる。
1.0個 2.1個 3.2個 4.3個 5.4個 6.5個
解答 2 ア×,イ×,ウ×,エ〇,オ×
KS0460H30-16Y 勾留理由開示 A
被疑者の勾留理由開示に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア.勾留の理由の開示は,被疑者及びその弁護人に限り請求することができる。
イ.勾留の理由の開示は,公開の法廷でしなければならない。
ウ.検察官が出頭しないときは,勾留理由開示の法廷を開くことはできない。
エ.勾留の理由を開示するには,勾留の基礎となっている犯罪事実と,勾留されている者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由を告げれば足りる。
オ.勾留理由開示の法廷に出頭した被疑者及び弁護人は,意見を述べることができる。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ オ 4.ウ エ 5.ウ オ
解答 3
KS0500H27-16Y 勾留 A
次の【事例】について述べた後記アからオまでの【記述】のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
【事 例】
M県N警察署の司法警察員Xは,Vから,甲に宝石をだまし取られた旨の詐欺事件の被害届を受理し,甲に対する内偵捜査を行っていたところ,平成25年3月3日午後2時頃,甲がN市内のコンビニエンスストアで万引きをしたとの通報を受けたことから,同店に急行し,同日午後2時10分,同店にいた甲を窃盗罪の現行犯人として逮捕した。甲は,逮捕後の取調べの際,Xに対し,「コンビニエンスストアで万引きはしていない。」旨供述するとともに,逮捕時に所持していた宝石について,「Vから買ったものであり,だまし取ったものではない。」旨申し立てた。Xは,前記詐欺事件及び前記窃盗事件について,それぞれ関係者の取調べを行うなどした上で,同月5日午後2時に窃盗罪で甲をM地方検察庁に送致する手続をとり,同日午後2時35分,M地方検察庁検察官Yが甲を受け取った。
【記 述】
ア.Yは,甲に弁解の機会を与え,留置の必要があると判断すれば,平成25年3月6日午後2時35分までに裁判官に勾留を請求すれば足りる。
イ.Yが,詐欺罪について甲を逮捕しないまま,窃盗罪の事実に詐欺罪の事実を併せて勾留請求した場合,勾留請求を受けた裁判官は,窃盗及び詐欺のいずれについても勾留の理由及び必要が認められるものと判断すれば,両罪について適法に勾留状を発することができる。
ウ.甲は,勾留請求を受けたM地方裁判所の裁判官が勾留状を発した場合,これに不服があるときは,同裁判所に対し,その裁判を取り消して勾留請求を却下するよう請求することができる。
エ.Yは,勾留請求を受けたM地方裁判所の裁判官が,犯罪の嫌疑が認められないものとして勾留請求を却下した場合,これに不服があるときでも,同裁判所に対し,その裁判を取り消して甲を勾留するよう請求することは許されない。
オ.窃盗罪で勾留状が発せられ,これが執行された後に,窃盗罪について勾留の理由又は必要がなくなった場合,Yは,詐欺罪について捜査の必要があることを理由として甲の勾留を継続することは許されない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
解答 2
KS0510H29-16Y 勾留期間 B
次の【事例】は,被疑者甲の身体拘束の経過である。甲の勾留期間の満了日は後記1から5までのうちどれか。
【事 例】
司法警察員Xは,平成28年10月1日,L地方裁判所裁判官から,被疑者を甲,罪名を傷害,有効期間を「平成28年10月8日まで」などとする逮捕状の発付を受け,同月6日午後6時,甲を逮捕した。その後,Xは,同日午後7時,甲をM警察署に引致し,司法警察員Yは,同月7日午後4時に甲を書類及び証拠物とともにL地方検察庁検察官に送致する手続をした。同日午後4時30分に送致を受けたL地方検察庁検察官は,同月8日午後3時,L地方裁判所裁判官に,逮捕事実と同じ被疑事実で甲の勾留を請求し,L地方裁判所裁判官は,同月9日午後1時,被疑者を甲,罪名を傷害,有効期間を「平成28年10月16日まで」などとする勾留状を発付した。これを受けて,司法警察員Zは,同月9日午後1時20分,同勾留状を執行し,同日午後2時,甲をM警察署に勾留した。その後,甲の勾留期間は延長されなかった。
1.平成28年10月15日
2.平成28年10月16日
3.平成28年10月17日
4.平成28年10月18日
5.平成28年10月19日
解答 3
KS0520H30-22Y 被告人勾留 B
被告人の勾留に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものは幾つあるか。後記1から6までのうちから選びなさい。
ア.裁判所は,検察官の請求がなければ,被告人を勾留することができない。
イ.勾留されている被疑者につき公訴の提起があった場合,その被告人の勾留の期間は,公訴の提起があった日から1か月である。
ウ.裁判所は,逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは,検察官の請求により又は職権で,勾留されている被告人と弁護人との接見を禁じることができる。
エ.勾留されている被告人につき,罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは,保釈は一切許されない。
オ.刑の全部の執行猶予の裁判の告知があったときは,勾留状はその効力を失う。
1.0個 2.1個 3.2個 4.3個 5.4個 6.5個
解答 2 ア×,イ×,ウ×,エ×,オ〇
KS0530R01-17Y 被疑者の勾留 B
被疑者の勾留に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものは幾つあるか。後記1から6までのうちから選びなさい。
ア.裁判官は,勾留の請求を受けた時から24時間以内に勾留の裁判をしなければならない。
イ.勾留の請求を受けた裁判官は,被疑者に被疑事件を告げる際,被疑者が既に弁護人を選任している場合には,弁護人選任権を告げる必要はない。
ウ.裁判官は,勾留の継続により被疑者が受ける健康上又は社会生活上の不利益がある場合,勾留中の被疑者を保釈することができる。
エ.30万円以下の罰金に当たる事件の被疑者については,被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由がある場合で,罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があり,かつ,逃亡すると疑うに足りる相当な理由があったとしても,住居不定でなければ勾留することはできない。オ.少年の被疑者については,勾留することができない。
1.0個 2.1個 3.2個 4.3個 5.4個 6.5個
解答 3 ア×,イ〇,ウ×,エ〇,オ×
KS0531R03-15Y 逮捕・勾留 A
逮捕・勾留に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア.逮捕状を所持しないため被疑者にこれを示すことができない場合において,急速を要するときは,被疑者に対し被疑事実の要旨及び令状が発せられている旨を告げて被疑者を逮捕することができ,以後も被疑者に逮捕状を示す必要はない。
イ.司法警察員は,逮捕状により被疑者を逮捕した場合には,留置の必要がないと思料するときでも,これを釈放することなく,被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致しなければならない。
ウ.窃盗の事実で逮捕した後に釈放した被疑者を同一の窃盗の事実で再び逮捕することが許される場合もある。
エ.検察官は,恐喝及び傷害の事実で逮捕した被疑者につき,その逮捕中に,同一の事実が強盗致傷罪に当たると疑うに足りる相当な理由が生じた場合には,強盗致傷罪で勾留を請求することができる。
オ.検察官は,逮捕した被疑者につき,逮捕中に公訴を提起することはできず,勾留を請求するか,又は釈放しなければならない。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 4
KS0555R02-19Y 逮捕・勾留の適法性 A
次のⅠないしⅢの【見解】は,逮捕・勾留の要件が備わらないA事実での逮捕・勾留に先立って,逮捕・勾留の要件が備わっているB事実で逮捕・勾留する場合の適法性に関するものである。【見解】に関する後記アからオまでの【記述】のうち,誤っているものは幾つあるか。後記1から6までのうちから選びなさい。
【見解】
Ⅰ.B事実について逮捕・勾留の要件が備わっているか否かを基準に適法性を判断すべきであり,捜査機関がB事実による逮捕・勾留中に主としてA事実の取調べを行う意図であるか否かは,B事実による逮捕・勾留の適法性に直接には影響せず,B事実について逮捕・勾留の理由と必要性が備わっている限り,裁判官はB事実での逮捕状請求や勾留請求を認容すべきである。
Ⅱ.逮捕・勾留の基礎となっているB事実の背後にあるA事実に着目して適法性を判断すべきであり,捜査機関がB事実に名を借りて実質的にはA事実の取調べを行う意図であることがうかがわれる場合には,B事実についての逮捕・勾留の理由と必要性が備わっていたとしても,裁判官はB事実での逮捕状請求や勾留請求を却下すべきである。
Ⅲ.B事実によって逮捕・勾留された後の身体拘束期間が,主としてA事実の捜査のために利用されるに至った場合には,それ以降の身体拘束は,B事実による逮捕・勾留としての実体を失い,A事実による身体拘束となっていると評価され,A事実による逮捕・勾留の要件が欠けるため違法である。
【記述】
ア.Ⅰの見解に対しては,捜査機関による身体拘束の濫用という脱法的本質を無視する考えであるとの批判がある。
イ.Ⅱの見解は,厳格な身体拘束期間の潜脱行為に対する事前防止を重視する立場である。
ウ.Ⅱの見解からは,仮にA事実について逮捕・勾留の理由と必要性が備わっている場合には,
エ.Ⅲの見解からは,B事実による身体拘束期間中に捜査機関がB事実の取調べと並行してA事実の取調べを行った場合,B事実による逮捕・勾留は常に違法となる。
オ.Ⅲの見解に対しては,裁判官が逮捕状請求や勾留請求の審査をするに当たってまず捜査機関の意図を調べなければならないことは実際的でないとの批判がある。
1.0個 2.1個 3.2個 4.3個 5.4個 6.5個
解答 4 ア〇,イ〇,ウ×,エ×,オ×
KS0570H27-25Y 保釈 A
保釈に関する次のアからオまでの各記述のうち,法律上許されないものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア.殺人の被疑事実により勾留中の被疑者について,保釈を許可すること
イ.殺人の公訴事実により勾留中の被告人について,保釈を許可すること
ウ.逃亡のおそれがある勾留中の被告人について,保釈を許可すること
エ.保釈の請求がないまま,勾留中の被告人について,保釈を許可すること
オ.意見を述べる機会を検察官に与えないまま,勾留中の被告人について,保釈を許可すること
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 2
KS0580H29-20Y 保釈と勾留 A
第1回公判期日後の保釈,勾留の取消し,勾留執行停止に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
ア.裁判所は,保釈を許すときには,検察官の意見を聴かなければならないが,保釈の請求を却下するときには,検察官の意見を聴かなくてもよい。
イ.裁判所は,検察官の請求がなくとも,職権で保釈を取り消すことができる。
ウ.勾留されている被告人の配偶者は,被告人と独立して,裁判所に対し,被告人の保釈の請求をすることができる。
エ.勾留の必要がなくなったとき,検察官は,裁判所に対し,被告人の勾留の取消しを請求することができる。
オ.被告人から勾留執行停止の申立てがあった場合,裁判所は,勾留の執行を停止するか否かの裁判をしなければならない。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 2
第2編 捜査 第4章 物的証拠の収集
KS0620H27-17Y 捜査機関による捜索差押え A
捜査機関による捜索差押えに関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものには1を,誤っているものには2を選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
ア.捜索差押えを行うには,必ず捜索差押許可状が発付されていなければならない。
イ.パソコンを差し押さえる際は,その記録媒体に記録された電磁的記録の内容を必ず確認しなければならない。
ウ.身体を拘束されていない被疑者の体内から尿を採取するために最寄りの病院に連行する場合,捜索差押許可状に加え勾引状が発付されていなければならない。
エ.公訴を提起した後に捜索差押えを行う場合,必ず弁護人を立ち会わせなければならない。
オ.捜索差押許可状が発付されているものの,捜査官がこれを所持していないためこれを示すことができない場合,急速を要するときは,処分を受ける者に対し,被疑事実の要旨と捜索差押許可状が発付されている旨を告げて,捜索差押えを行うことができる。
解答 ア2,イ2,ウ2,エ2,オ2
KS0621R02-16Y 捜索・押収 A
捜索・押収に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
ア.司法警察職員は,捜索差押許可状に基づく被疑者方の捜索を実施中,被疑者の家族に対し,許可なく被疑者方に出入りすることを禁止することができる。
イ.裁判官は,被疑者が特定できていない段階でも,犯罪の捜査をするについて必要があるときは,捜索差押許可状を発付することができる。
ウ.司法警察職員は,日出前,日没後には,令状に夜間でも執行することができる旨の記載がなければ,捜索差押許可状の執行のため,人の住居に入ることはできないが,日没前に捜索差押許可状の執行に着手したときは,日没後でもその処分を継続することができる。
エ.司法警察職員が捜索差押許可状に基づいて差し押さえることができる物は,裁判官の令状審査の時点で捜索場所に存在していた物に限られる。
オ.司法警察職員が領置することができる物は,所有者,所持者又は保管者が任意に提出した物に限られる。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ
解答 5
KS0650H30-17Y 逮捕に伴う捜索差押え A
逮捕に伴う令状によらない捜索差押えに関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
ア.被疑者を逮捕状により逮捕する場合には,逮捕に伴う令状によらない捜索差押えをすることはできない。
イ.証拠物について,逮捕に伴う令状によらない捜索差押えを行い得るのは,逮捕の着手後に限られる。
ウ.警察官は,現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは,人の住居に入り被疑者の捜索をすることができる。
エ.逮捕現場付近で逮捕に伴う令状によらない捜索差押えをすると被疑者の抵抗による混乱等が生じるとの事情があるときは,被疑者を捜索の実施に適する最寄りの場所に連行した上,逮捕に伴う令状によらない捜索差押えをすることができる。
オ.被疑者を緊急逮捕し,逮捕に伴う令状によらない捜索差押えをしたが,逮捕状が発付されなかった場合には,差押物は直ちにこれを還付しなければならない。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ オ 4.ウ オ 5.ウ エ
解答 1
KS0651R03-16Y 逮捕現場の差押え A
次のⅠ及びⅡの【見解】は,刑事訴訟法第220条第1項第2号及び同条第3項において,逮捕の現場における令状によらない捜索差押えが認められている根拠に関する考え方を述べたものである。これらの【見解】に関する学生AないしEの【発言】のうち,誤った発言をしている学生の組合せは,後記1から5までのうちどれか。
【見解】
Ⅰ.逮捕の現場には証拠の存在する蓋然性が一般的に高いので,合理的な証拠収集手段として認められる。
Ⅱ.逮捕者の身体の安全を図る必要があり,また,被逮捕者による証拠の隠滅を防ぐ必要があるために認められる。
【発言】
学生A:見解Ⅰに立つと,被逮捕者が逮捕の現場から逃走した場合であっても,引き続きその現場の捜索が可能であると考えることができるね。
学生B:見解Ⅰに立っても,見解Ⅱに立っても,差押えの対象は,逮捕の理由とされた被疑事実に関する証拠物に限られないことになるので,別途捜査中の他の事件に関する証拠物を偶然発見した場合,これを差し押さえることができるね。
学生C:見解Ⅱに立つと,差押えの対象は,被逮捕者の身体及びその直接の支配下にある範囲の証拠物に限られると考えることができるね。
学生D:見解Ⅱに立つと,見解Ⅰと異なり,逮捕の現場には証拠の存在する蓋然性が一般的に高いという前提は否定せざるを得ないね。
学生E:見解Ⅱに立つと,同条第1項柱書の「逮捕する場合」の解釈については,現実に被疑者を逮捕することができる状況の存在が必要であると考えることができるし,見解Ⅰに立って同様に考えることもできるね。
1.A C 2.A E 3.B C 4.B D 5.D E
解答 4
KS0700H28-16Y 令状の種類 A
次の【事例】について述べた後記アからオまでの【記述】のうち,誤っているものは幾つあるか。後記1から6までのうちから選びなさい。
【事 例】
平成27年2月1日,H県I警察署所属の司法警察員Xは,私人から「H県営J公園で,女性が血を流して死んでいる。」との通報を受け,同公園に向かい,その女性の死体を確認した。Xから変死体を発見した旨の連絡を受けたH地方検察庁検察官Yは,自ら検視を実施した。検視の結果,所持品等から,前記死体がH県内に住むVであることが判明し,胸部にはナイフで刺されたような傷痕が認められた。そこで,Vを被害者とする殺人事件の捜査が開始された。
Xは,同日,J公園の草むらで,血痕が付着したナイフを発見し,その場でこれを領置した。
また,Yは,前記検視の結果を踏まえ,Vの死体については捜査の必要から解剖を実施することとし,同月2日,Z医師による同死体の解剖が行われた。その結果,Vの死因は,胸部刺創による失血死であることが判明した。
その後,J公園に設置された防犯カメラに,甲がVの胸付近を刃物で刺す場面が撮影されていることが明らかとなり,Xは,同月4日,甲を被疑者とする逮捕状の発付を受けた。Xは,同日,甲方に向かったところ,ちょうど甲がボストンバッグ1個を持って甲方から出てきた。そこで,Xは,甲方前路上において,甲に前記逮捕状を示した上で,これを逮捕し,その際,甲が持っていたボストンバッグのチャックを開け,その中の物を取り出したところ,血の付いたシャツを認めたことから,同シャツをその場で差し押さえた。その後,Xは,I警察署において,逮捕された甲の指紋を採取し,甲の正面及び左右の顔写真を撮影した。
【記 述】
ア.Yが検視を実施するには,検証許可状の発付を受ける必要がある。
イ.Xがナイフを領置するには,差押許可状の発付を受ける必要がない。
ウ.ZがVの死体を解剖するには,鑑定処分許可状の発付を受ける必要がある。
エ.Xがボストンバッグのチャックを開けて中の物を取り出し,シャツを差し押さえるには,捜索差押許可状の発付を受ける必要がない。
オ.Xが甲の指紋を採取し,甲の顔写真を撮影するには,身体検査令状の発付を受ける必要がある。
1.0個 2.1個 3.2個 4.3個 5.4個 6.5個
解答 3 ア×,イ〇,ウ〇,エ×,オ〇
KS0751R02-18Y 強制採血 A
次の学生AないしDの【会話】は,医師が捜査機関の依頼に基づき,人の身体から注射器を用いて直接強制により血液を採取するために必要と考えられる令状に関する議論である。学生AないしDが必要と考えている令状として正しい組合せは,後記1から5までのうちどれか。
【会話】
学生A:私は,一般に身体内にある体液を採取するために必要な令状については,強制採尿に関する判例が採用した考え方と同じでよいと思う。
学生B:しかし,同じ体液といっても,尿と血液とでは性質が全然違うからなあ。
学生C:そういうBさんの見解も,対象者が採血を拒否した場合には直接強制するための明文がないのが問題だ。
学生B:その点は,刑事訴訟法第172条の類推適用で対応できると思う。
学生D:Cさんの見解だって,もともとその令状が想定している範囲は,身体の外表か,せいぜい肛門等の体腔を外部から確認する程度であって,身体の損傷を伴う血液の採取をその令状で行い得るとするのは行き過ぎだ。
学生C:そういうDさんの見解も,それぞれの令状が単独ではできないことを,令状を併用すればできるとするのは,便宜に過ぎるのではないかと批判されているよね。
学生D:でも,Bさんの見解のように,直接の明文規定を欠いているにもかかわらず,条文の類推適用によって直接強制し得るとするよりは良いと思う。
1.A:捜索差押許可状及び鑑定処分許可状,B:鑑定処分許可状,C:身体検査令状,D:捜索差押許可状及び身体検査令状
2.A:捜索差押許可状,B:身体検査令状,C:鑑定処分許可状,D:鑑定処分許可状及び身体検査令状
3.A:捜索差押許可状,B:身体検査令状,C:鑑定処分許可状,D:捜索差押許可状及び身体検査令状
4.A:捜索差押許可状,B:鑑定処分許可状,C:身体検査令状,D:鑑定処分許可状及び身体検査令状
5.A:捜索差押許可状及び鑑定処分許可状,B:身体検査令状,C:鑑定処分許可状,D:鑑定処分許可状及び身体検査令状
解答 4
KS0760H29-17Y 身体検査 A
身体検査に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
ア.捜査機関から鑑定の嘱託を受けた者は,鑑定処分許可状に基づき,身体検査を拒否する者に対して,直接強制として身体検査を行うことができる。
イ.捜査機関が身体の拘束を受けている被疑者の顔写真を撮影するには,身体検査令状による必要はない。
ウ.捜査機関が女子の身体を検査する場合,身体検査令状に医師又は成年の女子を立ち会わせる旨の条件が付されていない限り,これらの者を立ち会わせる必要はない。
エ.捜査機関が人の着用している下着の中を捜索して物を差し押さえるためには,捜索差押許可状によれば足り,併せて身体検査令状の発付を受ける必要はない。
オ.捜査機関が人の身体から直接強制として尿を採取するには身体検査令状による必要がある。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ エ
解答 3
KS0785R02-15Y GPS捜査 A
GPS捜査(車両に使用者らの承諾なく秘かにGPS端末を取り付け,情報機器でその位置情報を検索し,画面表示を読み取って当該車両の所在と移動状況を把握する刑事手続上の捜査)に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものは幾つあるか。後記1から6までのうちから選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
ア.GPS捜査は,個人のプライバシーの侵害を可能とする機器をその所持品に秘かに装着することによって行われるため,合理的に推認される個人の意思に反してその私的領域に侵入する捜査手法といえ,刑事訴訟法上,特別の根拠規定がなければ許容されない強制処分に当たる。
イ.GPS捜査は,その実施に当たり,処分を受ける者の反対意思が現実に表明されているわけではないため,個人の意思を制圧することはなく,任意処分として行うことができる。
ウ.GPS捜査によって生じる個人のプライバシーの侵害とは,GPS端末を秘かに装着した車両の位置情報を,継続的,網羅的に取得し,これを蓄積,分析することにより,その車両を使用する者の交友関係をはじめとする私生活上の情報全般を把握することをいい,一定期間にわたり車両の位置情報が取得された後初めてそのGPS捜査は強制処分と評価される。
エ.GPS捜査は,その実施に当たり,被疑事実と関係のない使用者の行動の過剰な把握を抑制する必要があるが,刑事訴訟法上,検証は10日を超えて実施できないとの規定があるため,検証許可状を取得すればこれを行うことができる。
オ.GPS捜査は,被疑者らに知られずに秘かに行うのでなければ意味がなく,処分を受ける者に対して事前の令状呈示を行うことは想定できないが,刑事訴訟法は,令状により行われる各強制処分について,令状を示すことができない場合に備え,処分の終了後遅滞なく,処分を受けた者に処分実施の事実を通知する手続を規定しているため,適正手続の保障という観点から問題が生じることはない。
1.0個 2.1個 3.2個 4.3個 5.4個 6.5個
解答 2 ア〇,イ×,ウ×,エ×,オ×
第2編 捜査 第5章 物的証拠の収集
KS0810H30-19Y 供述に関する規律 A
次のアからオまでの各記述のうち,正しいものには1を,誤っているものには2を選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
ア.刑事訴訟法上,捜査機関による取調べにおいて,被疑者が供述を拒むことができる事項に限定はない。
イ.刑事訴訟法上,捜査機関は,被害者,目撃者など被疑者以外の者に対して取調べを行うに際しても,自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。
ウ.呼気検査は,酒気を帯びて車両等を運転することの防止を目的として運転者らから呼気を採取してアルコール保有の程度を調査するものであり,その供述を得ようとするものではないから,検査を拒んだ者を処罰する道路交通法の規定は,憲法第38条第1項に違反しない。
エ.身体の拘束を受けている被疑者に取調べのために出頭し,滞留する義務があると解することは,直ちに被疑者からその意思に反して供述することを拒否する自由を奪うことを意味するものではないから,憲法第38条第1項に違反しない。
オ.公判前整理手続において被告人又は弁護人に主張明示義務を課す刑事訴訟法第316条の17の規定は,被告人に対し,自己が刑事責任を問われるおそれのある事項について認めるように義務付けるものではなく,また,主張すること自体を強要するものでもないから,憲法第38条第1項に違反しない。
解答 ア1,イ2,ウ1,エ1,オ1
KS0811R03-17Y 逮捕・勾留中の取調べ A
次のⅠ及びⅡの【見解】は,逮捕・勾留中の被疑者に,被疑事実に係る取調べのために出頭し,滞留する義務が認められるか否かという解釈問題に関するものである。後記【発言】は,学生AないしEが,Ⅰ又はⅡのいずれかの【見解】を採って意見を述べたものである。【見解】と【発言】を対応させた場合,その組合せとして最も適切なものは,後記1から6までのうちどれか。
【見解】
Ⅰ.前記義務が認められる。
Ⅱ.前記義務は認められない。
【発言】
学生A:私と異なる見解のように考えると,供述の義務はないといっても,実質的には供述を強いるのと異ならないので,黙秘権を侵すことになってしまうのではないでしょうか。
学生B:私のように考えたとしても,直ちに被疑者からその意思に反して供述することを拒否する自由を奪うことを意味するものでないことは明らかだと考えます。
学生C:私が採る見解は,現行法が第一次的に当事者主義を採っており,被疑者も捜査機関と相対立する一方当事者であると考えられることと,より整合的だと考えます。
学生D:逮捕・勾留は,将来の公判への出頭を確保するためのものであると考えると,私が採る見解とより整合性があると思います。
学生E:私は,刑事訴訟法第198条第1項但書の「但し,被疑者は,逮捕又は勾留されている場合を除いては,出頭を拒み,又は出頭後,何時でも退去することができる。」という規定を反対解釈するのが相当だと思います。
1.Ⅰ.学生A 学生C 学生D Ⅱ.学生B 学生E
2.Ⅰ.学生A 学生C 学生E Ⅱ.学生B 学生D
3.Ⅰ.学生A 学生D Ⅱ.学生B 学生C 学生E
4.Ⅰ.学生B 学生D 学生E Ⅱ.学生A 学生C
5.Ⅰ.学生B 学生C Ⅱ.学生A 学生D 学生E
6.Ⅰ.学生B 学生E Ⅱ.学生A 学生C 学生D
解答 6
第2編 捜査 第6章 被疑者の防御権
KS0880H28-17Y 弁護人の選任 B
次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
ア.被告人又は被疑者の兄弟姉妹は,被告人又は被疑者の意思にかかわらず,弁護人を選任することができる。
イ.被告人の国選弁護人の選任は,審級ごとにしなければならない。
ウ.被疑者の国選弁護人の選任は,勾留の執行停止により被疑者が釈放された場合にはその効力を失う。
エ.国選弁護人は,辞任を申し出ても,裁判所又は裁判官が解任しない限り,弁護人の地位を失わない。
オ.被告人の私選弁護人の選任は,弁護士が裁判所にその旨直接申し出る限り,書面による必要はない。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ ウ 4.ウ オ 5.エ オ
解答 4
KS0890H30-18Y 弁護人等の機能 A
次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア.被疑者については,保釈の請求をすることはできない。
イ.弁護人は,起訴後,裁判所が行う捜索差押えに立ち会うことができる。
ウ.弁護人は,被告人の明示の同意がなければ,証拠調べを請求することができない。
エ.弁護人は,あらかじめ証拠を保全しておかなければその証拠を使用することが困難な事情が
あるときは,第1回の公判期日前に限り,裁判官に証人の尋問を請求することができる。
オ.第一審で有罪判決を受けた被告人の弁護人は,改めて弁護人に選任されなければ控訴をすることができない。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ
解答 4
KS0900R01-18Y 弁護人の活動 A
弁護人の活動に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア.警察官が捜索許可状に基づき被疑者方を捜索する場合,弁護人は,当該捜索許可状の執行に立ち会う権利がある。
イ.裁判官は,逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは,検察官の請求により又は職権で,勾留されている被疑者と弁護人との接見を禁じることができる。
ウ.弁護人は,勾留されている被疑者の勾留の期間を延長する裁判に対して,準抗告をすることができる。
エ.勾留されている被疑者の弁護人は,裁判官に勾留の理由の開示を請求することができる。
オ.弁護人は,起訴前に,被疑者の勾留状の謄本の交付を請求することはできない。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ オ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 4
KS0931R03-18Y 接見 A
接見に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
ア. 鑑定留置されている被疑者は,弁護人又は弁護人となろうとする者と立会人なくして接見することができる。
イ.弁護人又は弁護人となろうとする者と被疑者との逮捕直後の初回の接見については,被疑者の防御の準備のため特に重要であるから,捜査機関による接見の日時,場所及び時間の指定が許されることはない。
ウ.勾留されている被告人が同時に余罪の被疑者として勾留されている場合,検察官は,その余罪である被疑事件の捜査のため必要があるときは,被告事件について防御権の不当な制限にわたらない限り,被告事件の弁護人と被告人との接見に関し,その日時,場所及び時間を指定することができる。
エ.弁護人は,検察官のした接見指定について,裁判所にその処分の取消し又は変更を請求することはできない。
オ.裁判所は,勾留されている被告人と弁護人又は弁護人となろうとする者以外の者との接見を禁じ,又は糧食を除く書類その他の物の授受を禁じ,若しくはこれを差し押えることができる。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ オ
解答 3
第3編 公訴 第2章 検察官の事件処理
KS0960H29-18Y 一罪の一部起訴 B
検察官が一罪の一部だけを起訴することができるかに関する次のアからオまでの各記述のうち,肯定説の立場からの論拠となり得るものには1を,肯定説の立場からの論拠となり得ないものには2を選びなさい。
ア.実体的真実の発見という刑事訴訟法の趣旨に反する。
イ.検察官には,起訴,不起訴の裁量権が認められている。
ウ.裁判所の訴因変更命令には形成力はないとされている。
エ.刑事訴訟法は当事者主義に立ち,訴因制度を採用している。
オ.被告人に利益になる場合も多い。
解答 ア2,イ1,ウ1,エ1,オ1
KS0990H27-18Y 公訴の提起 B
公訴の提起に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
ア.公訴の提起があった事件について,更に同一裁判所に公訴が提起されたとき,裁判所は公訴を棄却しなければならない。
イ.検察官が公訴を提起したときは,検察官が遅滞なく起訴状の謄本を被告人に送達しなければならない。
ウ.起訴状の謄本が公訴の提起があった日から2か月以内に被告人に送達されなかったため,公訴が棄却された場合,公訴の提起により進行を停止していた公訴時効は,公訴棄却の裁判が確定したときから再びその進行を始める。
エ.起訴状の謄本が公訴の提起があった日から2か月以内に被告人に送達されなかったため,公訴が棄却され,その裁判が確定したとき,検察官は,同一事件について更に公訴を提起することができる。
オ.公訴は,検察官の指定した被告人以外の者にその効力を及ぼさないから,共犯の一人に対してした公訴の提起による時効の停止は,他の共犯に対してその効力を及ぼさない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
解答 4
KS0991R02-20Y 検査官の権限 A
検察官の権限に関する次の学生AないしEの【発言】のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
【発言】
教 授:刑事訴訟法上,検察官の権限やその行使の在り方について様々な規定がありますね。
学生A:はい。検察官は,公訴権を有していますが,証拠に基づき有罪判決を得られる高度の見込みがある場合には,公訴を提起しなければならないと定められています。
学生B:公訴権は,原則として検察官が独占していますが,裁判所の付審判決定があったときは公訴の提起があったものとみなされます。これは,起訴独占主義の例外の一つです。
学生C:第一審の判決があるまで,検察官は,公訴を取り消すことができますが,検察官が公訴を取り消すには,裁判所の許可が必要です。
学生D:検察官は,公訴を提起した後も,必要と認めるときは,自らその犯罪を捜査することができます。
学生E:検察官は,再審請求権を有していますが,有罪の言渡しを受けた者の利益のために,再審を請求することはできません。
1.A C 2.B C 3.B D 4.A E 5.D E
解答 3
第3編 公訴 第3章 公訴権と訴訟条件
KS1020H28-19Y 公訴時効 A
公訴時効に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
ア.公訴時効期間の満了日が,日曜日,土曜日,国民の祝日に関する法律に規定する休日に当たるときは,これを期間に算入しない。
イ.結果犯について,実行行為が終了した日と結果が発生した日が異なるとき,公訴時効は,実行行為の終了時から進行する。
ウ.共犯者の一人に対してした公訴の提起による時効の停止は,他の共犯者に対してその効力を有するが,この場合において,停止した時効は,当該事件についてした第一審判決の言渡し時からその進行を始める。
エ.一個の行為が数個の罪名に触れる観念的競合の場合における公訴時効期間の算定については,数個の罪名を各別に論じることなく,これを一体として観察し,その最も重い罪の刑につき定められた時効期間による。
オ.検察官が,A事実を起訴した後,これと一罪の関係にあると判断してB事実を訴因に追加する旨訴因変更請求をし,裁判所もこれを許可したが,審理の結果,両事実は併合罪の関係にあることが判明し,裁判所は,同許可決定を取り消した。この場合でも,B事実について,訴因変更請求によって公訴時効の進行は停止する。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ
解答 5
KS1030H29-19Y 公訴時効 B
次のアからオまでの罪名のうち,一定の期間を経過することによって公訴時効が完成するものの個数は,後記1から6までのうちどれか。
ア.殺人
イ.殺人未遂
ウ.強盗致死
エ.保護責任者遺棄致死
オ.傷害致死
1.0個 2.1個 3.2個 4.3個 5.4個 6.5個
解答 4 ア×,イ〇,ウ×,エ〇,オ〇
第3編 公訴 第5章 公訴の提起
KS1070H30-20Y 起訴状一本主義 B
次のアからオまでの各記述のうち,正しいものには1を,誤っているものには2を選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
ア.恐喝の手段として被害者に郵送された脅迫文書の趣旨が,その内容を相当詳細に摘示しなければ判明し難いような場合には,公訴事実に脅迫文書の全文とほとんど同様の記載をしたとしても,刑事訴訟法第256条第6項に違反しない。
イ.詐欺罪の公訴事実中に被告人の詐欺の前科を記載することは原則として刑事訴訟法第256条第6項に違反して許されないが,被告人が同前科による刑の執行猶予中である場合には,その前科を公訴事実中に記載する必要がある。
ウ.起訴状には,裁判官に事件につき予断を生じさせるおそれのある書類その他の物を添付することが禁止されているので,検察官が勾留されている被疑者について公訴を提起する際に,起訴状の提出と同時に,被告人の逮捕状や勾留状をその裁判所の裁判官に差し出すことは許されない。
エ.公訴事実中に裁判官に予断を生じさせるおそれのある事項を記載したときは,これによって既に生じた違法性は,その性質上もはや治癒することができず,裁判所は,判決で公訴を棄却しなければならない。
オ.即決裁判手続においては,刑事訴訟法第256条第6項の適用はない。
解答 ア1,イ2,ウ1,エ1,オ2
KS1110R01-19Y 公訴の提起 A
公訴の提起に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものは幾つあるか。後記1から6までのうちから選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
ア.公訴事実として,数個の訴因を予備的に記載することは許されない。
イ.起訴状の謄本が公訴の提起があった日から2か月以内に被告人に送達されなかったため,公訴が棄却された場合,公訴の提起により進行を停止していた公訴時効は,公訴棄却の裁判が確定した時から再びその進行を始める。
ウ.共犯の1人に対してした公訴の提起による時効の停止は,他の共犯に対してその効力を有しない。
エ.検察官は,公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑が十分にあると思料するときは,必ず公訴を提起しなければならない。
オ.公訴の提起は,緊急やむを得ない場合には,起訴状の提出によらず,口頭によることもできる。
1.0個 2.1個 3.2個 4.3個 5.4個 6.5個