第4編 債権総論 第1章 序論
MN2160H24-09 物権と債権の対比 A
物権と債権の対比に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものはどれか。
1.債権は時効により消滅することがあるが,物権は時効により消滅することはない。
2.建物の引渡しを受けた建物賃借人は,その建物の使用を妨害された場合,占有権に基づいて妨害排除を求めることはできるが,賃借権に基づいて妨害排除を求めることはできない。
3.物権は一筆の土地の一部についても成立することがあるが,債権も一筆の土地の一部を目的として成立することがある。
4.債権は別の債権を目的とすることができるが,物権は債権を目的とすることはできない。
5.物権は時効により取得することができるが,債権は時効により取得することはできない。
解答 3
MN2170R01-19K 金銭債務 A
債務者Aが債権者Bに対して負う金銭債務(以下「本件債務」という。)に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Bは,Aの意思に反しては,本件債務を免除することができない。
イ.第三者は,Aの意思に反しても,本件債務を主たる債務とする保証をすることができる。
ウ.本件債務の物上保証人は,Aの意思に反しては,本件債務を弁済することができない。
エ.Bと第三者Cとは,Aの意思に反しては,Cに債務者を交替する更改をすることができる。(問改)
オ.Bは,Aの意思に反しては,Bが第三者に対して負う金銭債務について,本件債務に係る債権をもって代物弁済をすることができない。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ エ 4.ウ エ 5.ウ オ
解答 3
第4編 債権総論 第2章 債権の目的
MN2190H30-16 債権の目的 A
債権の目的に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.金銭に見積もることができないものは,債権の目的とすることができない。
イ.外国の通貨で債権額を指定した場合には,債務者は,日本の通貨で弁済をすることができない。
ウ.元本債権が消滅したとしても,弁済期が到来した利息債権は,当然には消滅しない。
エ.甲倉庫内の米のうち1トンの引渡しを受ける旨の制限種類債権は,甲倉庫内の米が全て滅失したときは,履行不能となる。
オ.選択債権においては,別段の意思表示がないときは,選択権は債権者に属する。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ オ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 4
MN2191R02-21 法定利率及び約定利率 B
法定利率及び約定利率に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.利息を生ずべき債権について約定利率の定めがないときは,その利率は,最初に利息が生じた時点における法定利率による。
イ.法定利率の割合は,3年を一期とするその期ごとに見直され,必ず変更される。
ウ.将来において負担すべき費用についての損害賠償の額を定める場合,その費用を負担すべき時までの利息相当額を法定利率により控除することはできない。
エ.債務者が貸金返還債務の履行を遅滞した場合,債権者は,法定利率又は約定利率により算定された額を超える損害が生じたことを証明しても,当該損害の賠償を請求することができない。
オ.金銭消費貸借契約の利息について法定利率を超える約定利率の定めがある場合,返済を遅滞した借主は,元本及び返済期日までの約定利率の割合による利息に加えて,当該金銭消費貸借契約を締結した時点における法定利率の割合による遅延損害金を返済期日の翌日から支払済みまで支払わなければならない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
解答 2
第4編 債権総論 第3章 債権の目的
MN2230H28-18 履行の強制 B
履行の強制に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.判例によれば,不作為を目的とする債務の強制執行として間接強制をするには,債権者において,債務者がその不作為義務に違反するおそれがあることを立証すれば足り,債務者が現にその不作為義務に違反していることを立証する必要はない。
イ.判例によれば,事態の真相を告白して陳謝の意を表明する内容の謝罪広告を新聞紙に掲載すべきことを命ずる判決の執行は,間接強制によらなければならず,代替執行をすることはできない。
ウ.不作為を目的とする債務については,債務者の費用で,債務者がした行為の結果を除去することを裁判所に請求することができる。
エ.工作物の撤去を命ずる判決が確定した場合,その判決の執行は,代替執行によることができるが,間接強制によることはできない。
オ.登記義務者に対し所有権移転登記手続を命ずる判決が確定した場合,その判決の執行は間接強制によらなければならない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
解答 1
MN2240H24-18K 履行の強制 B
履行の強制に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものはどれか。
1.売買契約の目的である建設機械の引渡しを受けた買主が代金を支払わないとき,売主は,買主に対し,遅延の期間に応じ,債務の履行を確保するために相当と認める一定の額の金銭を自己に支払うべき旨を裁判所に請求することができる。
2.合意により午後9時以降はピアノを弾かないという債務を隣人に対して負担している者が,午後9時以降にピアノを弾くことを繰り返しているとき,この隣人は,当該ピアノの使用禁止及びその競売を裁判所に申し立てることができる。
3.小麦100キログラムの売買契約で,代金の前払を受けた売主が物品を引き渡さないとき,買主は,売主の費用で同種,同量及び同等の小麦を第三者に調達させることを裁判所に請求することができる。
4.賃貸人が賃借人に対して賃貸建物を引き渡さないとき,賃借人は,賃貸人に対し,遅延の期間に応じ,債務の履行を確保するために相当と認める一定の額の金銭を自己に支払うべき旨を裁判所に請求することができる。
5.多額の債務を負う者が死亡し,共同相続が開始した場合において,相続人の一人が相続放棄をしないとき,他の共同相続人は, この相続人を被告として相続放棄の意思表示をすべき旨の訴えを提起することができ,これを命ずる判決が確定すれば,被告となった相続人は,判決確定の時に相続放棄をしたものとみなされる。
解答 4
MN2260H27-15K 損害賠償 B
債務不履行による損害賠償に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.消費貸借の約定利率が法定利率を超える場合,借主が返済を遅滞したときにおける損害賠償の額は,約定利率により計算される額であり,貸主は,約定利率により計算される額を超える損害が生じていることを立証しても,その賠償を借主に請求することはできない。
イ.家屋の賃借人が賃貸借契約の終了後もその家屋を賃貸人に返還しない場合,賃貸人は,その賃貸借契約で定められた賃料に相当する額の損害賠償を賃借人に請求することができるが,賃貸人がその賃貸借契約の終了後に別の者との間でその家屋の賃貸借契約を締結し,その賃貸借契約で定められた賃料が従前の賃料を上回るときであっても,その新たな賃料に基づく損害賠償を賃借人に請求することはできない。
ウ.営業用店舗の賃貸人が修繕義務の履行を怠ったために賃借人がその店舗で営業をすることができなかった場合,賃借人は,これにより生じた営業利益の喪失による損害の賠償を,債務不履行により通常生ずべき損害として請求することができるが,賃借人が営業をその店舗とは別の場所で再開するなどの損害を回避又は減少させる措置を何ら執らなかったときは,そのような措置を執ることができた時期以降に生じた損害の全ての賠償を請求することはできない。
エ.当事者が債務不履行について損害賠償の額を予定している場合,裁判所は,その損害賠償の予定額を増減することはできず,過失相殺により賠償額を減額することもできない。
オ.当事者が損害賠償の方法について金銭以外の物による旨の合意をしても,その効力は認められない。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ エ
解答 1
MN2291R02-20 安全配慮義務 A
安全配慮義務に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償を請求する訴訟においては,原告は,安全配慮義務の内容を特定し,義務違反に該当する事実を主張立証する責任を負う。
イ.雇用契約上の安全配慮義務違反により死亡した者の遺族が債務不履行に基づく損害賠償を請求する場合には,遺族固有の慰謝料を請求することはできない。
ウ.元請企業は,下請企業に雇用されている労働者に対しても,特別な社会的接触の関係に入ったものとして,信義則上,安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償債務を負うことがある。
エ.安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償債務は,損害発生の時から履行遅滞に陥る。
オ.国の公務員である運転者Aが公務遂行中に道路交通法上の通常の注意義務に違反して自動車事故を起こし,同乗していた国の公務員Bが負傷した場合,国は,Bに対し,安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償債務を負う。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ ウ 4.ウ オ 5.エ オ
解答 5
MN2310H25-22 債務不履行 A
債務不履行による損害賠償に関する次の1から4までの各記述のうち,正しいものはどれか。
1.債務不履行による損害賠償は,当事者間で別段の合意がされたかどうかにかかわらず,金銭をもってその額を定める。
2.金銭債務の不履行による損害賠償については,債務者は,その不履行が不可抗力による場合を除き,その責任を免れない。
3.当事者が債務不履行について損害賠償の額を予定した場合には,裁判所は,実際の損害額を考慮してこれを増額することができるのみであり,これを減額することはできない。
4.当事者が債務不履行について損害賠償の額を予定した場合であっても,解除権を行使することは妨げられない。
解答 4
MN2311R03-15 債務不履行による損害賠償 B
債務不履行による損害賠償に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.債務不履行に関して債権者に過失があった場合には,裁判所は,これを考慮して損害賠償の責任自体を否定することができる。
イ.金銭消費貸借契約による借入金返還債務の不履行に基づく損害賠償について,債務者は,不可抗力を理由として責任を免れることはできない。
ウ.特別の事情によって生じた損害については,当事者がその事情を現に予見していたときに限り,債権者は,その賠償を請求することができる。
エ.債務不履行による損害賠償は,金銭の支払以外の方法によってすることはできない。
オ.債権者が,損害賠償として,その債権の目的である物の価額の全部の支払を受けた場合,債務者は,債権者に対してその物に関する権利を取得する旨の意思表示をしなければ,その物に関する権利を取得することができない。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ オ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 1
MN2320H29-16 債務不履行 A
債務不履行に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.動産の売買契約が締結され,その代金の一部が支払われた後で,当該売買契約が債務不履行を理由に解除された場合,売主は,受領した売買代金の一部を返還するに当たり,その受領の時からの利息を付す必要はない。
イ.売買代金の履行遅滞に基づく損害賠償請求において,同時履行の抗弁権が存在する場合には履行遅滞に陥らないとの見解に立つ場合,損害賠償を求める原告は,請求原因事実として自己の債務の履行又は履行の提供を主張立証しなければならない。
ウ.AB間で売買契約が締結され,Aが債務不履行に陥っている場合において,AがBに対して相当の期間を定めて契約を解除するかどうかを確答すべき旨の催告をしたにもかかわらず,Bがその期間内に解除の通知をしないときは,Aは,以後債務不履行責任を負わない。
エ.AがBに建物を賃貸し,BがAの承諾を得てCに同建物を転貸した場合において,AB間の賃貸借契約がBの債務不履行を理由とする解除により終了したときは,AがCに建物の返還を請求しても,Aが転貸借を承諾していた以上,BC間の転貸借契約におけるBのCに対する債務は履行不能とはならない。
オ.期限の定めのない金銭消費貸借契約の借主は,貸主が相当の期間を定めずに催告をしても,相当の期間を経過した時から履行遅滞の責任を負う。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ オ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 3
MN2321R03-16 債務不履行による損害賠償 B
債務不履行による損害賠償についての契約条項に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.債務者は,一切損害賠償責任を負わない旨の免責条項がある場合でも,債務者が故意に債務を履行しなかったときには,当該免責条項による免責が認められない。
イ.損害賠償の額を予定する条項がある場合には,過失相殺による減額がされることはない。
ウ.定型約款中に損害賠償の額を予定する条項があって,定型約款準備者の相手方が,定型取引合意前に定型約款の内容を示すよう請求したにもかかわらず,定型約款準備者が正当な事由なくこれに応じないまま,定型取引合意がされたときは,当該条項は,合意されたものとはみなされない。
エ.債務不履行について履行に代わる損害賠償の額を予定した場合において,債務者からその予定額の支払の申出があったときでも,債権者は債務不履行を理由とする解除権の行使を妨げられない。
オ.違約金を定める条項は,実損害の賠償とは別に一定額の金銭を支払う旨の違約罰を定める条項であると推定される。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
解答 4
MN2350H24-19K 債権者代位権 A
債権者代位権に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものはどれか。
1.AがBに対して有している売買代金債権をAの債権者CがAに代わって行使し,売買代金の支払を求めて訴えを提起した場合において,この請求を認容する判決が確定すれば,このAのBに対する売買代金債権は,弁済により消滅したものとみなされる。
2.債権者が代位権の行使に着手した事実を債務者が知ったとしても,債務者は,債権者から代位の通知を受けない間は,代位権行使の対象となった権利を自ら行使することができる。(問改)
3.債務者の権利を代位行使する債権者は,債務者の代理人としてではなく,自己の名で当該権利を行使するものであり,自己の財産におけるのと同一の注意をもって権利を行使すれば足りる。
4.判例によれば,離婚に伴う財産分与請求権は,審判によりその具体的内容が確定したときは,財産分与を受ける者の債権者が債権者代位の目的とすることができる。
5.債務者に対して複数の債権者がいる場合において,このうちの一人が債務者の有する金銭債権を代位行使するときは,代位行使することができる金銭債権の額は,複数の債権者が有する債権の総額に占める代位債権者の債権の額の割合に応じて算出された額を限度とする。
解答 4
MN2360H28-09Y 債権者代位権 A
債権者代位権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.名誉侵害を理由とする慰謝料請求権は,具体的な金額が当事者間において客観的に確定したときは,債権者代位権の目的となる。
イ.夫婦間の契約取消権は,夫婦の一方の債権者による債権者代位権の目的となる。
ウ.認知請求権は,認知されていない子の債権者による債権者代位権の目的となる。
エ.詐欺による取消権は,債権者代位権の目的とはならない。
オ.遺留分侵害額請求権は,遺留分権利者が権利行使の確定的意思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合を除き,債権者代位権の目的とはならない。(問改)
1.ア イ 2.ア オ 3.イ エ 4.ウ エ 5.ウ オ
解答 2
MN2370H27-16 債権者代位権 A
債権者が債務者に対する債権を保全する必要がある場合に関する次の1から4までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか。
1.離婚に伴う財産分与請求権は,協議又は審判によって具体化されるまではその範囲及び内容が不確定・不明確であるため,これを被保全債権として債権者代位権を行使することはできない。
2.債務者が第三者に対してした意思表示が錯誤によるものであったことを認めているときは,債務者自らが錯誤取消しを主張する意思がなくても,債権者は,債務者が第三者に対してした意思表示の取消しを主張することができる。(問改)
3.債権者が,債務者に対する金銭債権に基づき,債務者の第三債務者に対する金銭債権を代位行使する場合,債権者は,自己の債務者に対する債権額の範囲においてのみ,債務者の第三債務者に対する金銭債権を行使することができる。
4.債権者は,債務者が第三者に対して負う債務について,債務者に代わってその消滅時効を援用することができない。
解答 4
MN2380H28-19 債権者代位権 A
債権者代位権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.債務者に代位して登記の移転を求める場合には,債権者は,第三債務者から直接自己へ登記を移転すべき旨の請求をすることはできない。
イ.債務者が既に自ら権利を行使している場合には,その行使の方法又は結果の良否にかかわらず,債権者は,その権利について債権者代位権を行使できない。
ウ.債権者Aが債務者Bに代位して,Bの有する債権を行使した場合において,第三債務者CがBに対して同時履行の抗弁を主張することができるときであっても,Cは,Aに対しては,同時履行の抗弁を主張することはできない。
エ.AのBに対する100万円の債権を被保全債権として,BのCに対する50万円の債権につきAがCに対して債権者代位訴訟を提起したときには,Aは,請求原因において,Bの無資力を主張・立証する必要はない。
オ.債権者代位権を行使するためには,被保全債権が代位行使される債権よりも先に成立している必要はない。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 4
MN2390H29-17 債権者代位権 A
債権者代位権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.債権者は,自己の債権の履行期が到来していなくても,保存行為については,債務者に代位して債務者の権利を行使することができる。
イ.AとBがCに対していずれも150万円の金銭債権を有している場合において,CがDに対し100万円の金銭債権を有しているときは,Aは,自己の債権を保全するため,50万円の限度でCのDに対する債権を代位行使することができる。
ウ.金銭債権の債権者Aが,債務者Bの第三債務者Cに対する甲動産の引渡請求権を代位行使する場合,Aは,Cに対し,Aの債権額にかかわらず,Aに甲動産を引き渡すことを求めることができる。
エ.債権者Aが債務者Bの第三債務者Cに対する債権を代位行使する場合において,CがBに対する債権を自働債権とする相殺の抗弁を提出したときは,Aは,BがCに対して主張することができる再抗弁事由のほか,Aの独自の事情に基づく再抗弁も提出することができる。
オ.土地の所有者Aからその土地を賃借したBは,その土地を不法に占有するCがいる場合,賃借権について対抗要件を具備しているか否かにかかわらず,賃借権を保全するために,AのCに対する所有権に基づく返還請求権を代位行使することができる。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ
解答 3
MN2391R03-17K 債権者代位権 A
債権者代位権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.債権者が債務者に属する権利を行使するためには,被保全債権がその権利の発生の前の原因に基づいて生じたものでなければならない。
イ.債権者は,債務者に属する権利であって差押えを禁じられたものについては,行使することができない。
ウ.債権者は,被代位権利の行使に係る訴えを提起したときは,遅滞なく,債務者に対し,訴訟告知をしなければならない。
エ.債権者は,債務者が第三者に対して負う債務に係る消滅時効の援用権を代位行使することができない。
オ.債権者が被代位権利の行使の事実を債務者に通知した場合であっても,債務者は被代位権利を行使することができる。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ オ 4.ウ エ 5.ウ オ
解答 2
MN2440H26-17K 詐害行為取消権 B
詐害行為取消権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.共同相続人間で成立した遺産分割協議は,詐害行為取消権の対象とならない。
イ.詐害行為取消権が成立するためには,債務者が債権者を害することを意図して法律行為をする必要がある。
ウ.債務超過の状態にある者が離婚に伴う財産分与として配偶者に金銭の給付をする旨の合意は,その額が財産分与として不相当に過大で,財産分与に仮託された財産処分と認められる事情がある場合,不相当に過大な部分について,その限度において詐害行為として取り消すことができる。
エ.抵当権が設定されている一個の建物を,その抵当権者に代物弁済として供した債務者の行為が詐害行為となる場合,他の一般債権者は,当該建物の価額から当該抵当権の被担保債権額を控除した残額の範囲で取り消すことができ,その限度において価額の賠償を請求することが許されるにとどまり,当該建物自体を債務者の一般財産として回復することはできない。
オ.詐害行為取消権は,訴訟において行使しなければならないが,訴えによる必要はなく,抗弁によって行使することもできる。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ エ 4.ウ エ 5.ウ オ
解答 4
MN2450H27-17K 詐害行為取消権 A
AがBに対して融資をしていたところ,Bがその所有する建物をBの妻Cに贈与し,その旨の所有権移転登記手続をしたことから,Aが詐害行為取消訴訟を提起した。この場合に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Aは,BからCへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することができるほか,CからAへの所有権移転登記手続を請求することもできる。
イ.Aは,BからCへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することなく,BC間の贈与契約の取消しを請求することができる。
ウ.Aは,詐害行為の取消しを請求するに際しては,B及びCの両方を被告として訴えを提起しなければならない。
エ.Aは,BC間の贈与契約が債権者であるAを害すること及びそのことをB及びCが知っていたことを主張・立証しなければならない。
オ.Aは,BC間の贈与契約の当時Bが無資力であったことを主張・立証すれば足り,詐害行為取消訴訟の口頭弁論終結時までにBの資力が回復したことは,Cが主張・立証しなければならない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ オ
解答 4
MN2460H30-17K 詐害行為取消権 A
詐害行為取消権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.相続の放棄は,相続の放棄をした債務者が債務の履行を長期間怠るなど背信性の程度が著しい場合に限り,詐害行為取消権の対象となる。
イ.不動産の買主は,その売主がその不動産を第三者に贈与した場合,それによって売主が無資力となったとしても,当該贈与を詐害行為取消権の対象とすることができない。
ウ.詐害行為取消権の対象となる贈与の目的物が不可分なものであるときは,その価額が債権額を超過する場合であっても,贈与の全部について取り消すことができる。
エ.贈与が虚偽表示に該当することを知らない転得者との関係において,当該贈与を詐害行為取消権の対象とすることはできない。
オ.債務者が自己の第三者に対する債権を譲渡した場合において,債務者がこれについてした確定日付のある債権譲渡の通知は,詐害行為取消権行使の対象とならない。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ ウ 4.ウ オ 5.エ オ
解答 4
MN2461R02-16K 詐害行為取消権 B
Aは,その債権者を害することを知りながら,所有する骨董品甲をBに贈与し,その際,Bも甲の贈与がAの債権者を害することを知っていた。この事例におけるAの債権者Cによる詐害行為取消権行使に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Cが詐害行為取消訴訟を提起する場合,Aを被告としなければならない。
イ.Bが,甲の贈与がAの債権者を害することを知っていたDに甲を売却し,引き渡した場合,Cは,Dに対し,BD間の甲の売買の取消しを請求することができる。
ウ.Bが,甲の贈与がAの債権者を害することを知っていたDに甲を売却し,引き渡した場合,Cは,Bに対し,AB間の甲の贈与の取消しを請求することができる。
エ.Cによる詐害行為取消請求を認容する確定判決の効力は,Aの全ての債権者に対してもその効力を有する。
オ.Bが,甲の贈与がAの債権者を害することを知っていたDに甲を売却し,引き渡した場合において,CのDに対する詐害行為取消請求を認容する判決が確定したときは,Dは,Bに対し,代金の返還を請求することができる。
1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ オ 5.ウ エ
解答 5
第4編 債権総論 第4章 多数当事者
MN2475R03-18 連帯債権 B
A,B及びCの三人がDに対して連帯して600万円の金銭債権を有する場合(A,B及びCの分与されるべき利益は等しいものとする。)に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Aは,Dに対して600万円全額の請求をするに当たり,B及びCの同意を得ることを要しない。
イ.AがDに対して債権の全部を免除した場合であっても,BはDに対して400万円の限度で支払を請求することができる。
ウ.AのDに対する権利が時効により消滅したが,BのDに対する権利については消滅時効が完成していない場合,Bは,Dに対して600万円の支払を請求することができる。
エ.DがAに対して300万円の金銭債権を有している場合において,DがAに対して相殺を援用したときは,その相殺は200万円の限度で効力を生ずる。
オ.CがDを単独で相続した場合には,Aは,Cに対して400万円の支払を請求することができる。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 5
MN2480H25-18 多数当事者 B
多数当事者の債権関係に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.相続開始から遺産分割までの間に相続財産である賃貸不動産から生ずる賃料債権は,各共同相続人が,その相続分に応じ,分割債権として確定的に取得する。
イ.債務引受がされた場合には,原債務者及び引受人は分割債務を負う。
ウ.共同不法行為者の一人に対してした債務免除の意思表示は,被害者が他の共同不法行為者に対する債務免除の意思を有していなくても,他の共同不法行為者の利益のためにその効力を生ずる。
エ.連帯債務を負うA及びBに対してそれぞれ100万円の債権を有するCは,A及びBがそれぞれ破産手続開始の決定を受け,各破産手続において配当が行われるときは,それぞれ50万円の限度で,A及びBの各破産財団の配当に加入することができる。
オ.被害者が共同不法行為者の一人に対して損害賠償債務の履行を請求しても,他の共同不法行為者の損害賠償債務の消滅時効は完成猶予及び更新しない。(問改)
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ
解答 2
MN2490H26-18 連帯債務 A
Aに対し,BCDが等しい負担部分で300万円の連帯債務を負っている場合に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものを2つ選べ。(問改)
1.AがBに対して履行の請求をしても,そのことを知らないC及びDについては,時効完成猶予及び更新の効力を生じない。(問改)
2.BがAに対して有する金銭債権を自働債権として相殺をしても,C及びDに相殺の効力は及ばない。
3.AがBに対して300万円の連帯債務の全額について免除をした場合には,C及びDは,Aに対し,200万円の連帯債務を負う。
4.Bのために消滅時効が完成しても,C及びDは,Aに対し,300万円の連帯債務を負う。
5.判例によれば,Bが60万円を弁済しても,Bの負担部分の範囲内であるから,C及びDに対して求償することはできない。
解答 1,4
MN2500H29-18 連帯債務 A
連帯債務に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.連帯債務者の一人について弁済期を他の連帯債務者と異にすることはできない。
イ.連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは,他の連帯債務者は従来の債務を免れ,更改によって新たに発生した債務について責任を負わない。
ウ.AとBがCに対して連帯債務を負っている場合において,AがBが連帯債務者であることを知りながら債務全額の弁済をしたが,Bに対する通知を怠ったため,Bは,Aの弁済を知らなかった。この場合において,その後BがAが連帯債務者であることを知りながら債務全額の弁済をしたときは,BがA対して事前に共同の免責を得ることを通知をしなかったとしても,Bは,Aに対し,自己の弁済が有効である旨主張することができる。(問改)
エ.連帯債務者の一人が債務を承認したことによる時効の完成猶予・更新の効力は,他の連帯債務者には及ばない。(問改)
オ.AとBがCに対して連帯債務を負う旨の契約をCとの間で締結した場合において,契約締
結の当時Aが意思無能力であったときは,Bは,Aの負担部分について債務を免れる。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ
解答 4
MN2501R02-17K 連帯債務 B
ABCは,Dに対して,60万円の借入金債務(以下「甲債務」という。)を連帯して負担し,負担部分は均等とする合意をしていた。この事例に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.DがAに対して甲債務の支払請求訴訟を提起し,請求を認容する判決が確定した場合において,D及びBが別段の意思を表示していないときは,甲債務の消滅時効は,Bについても判決確定の時から新たにその進行を始める。
イ.DがCに対して甲債務を免除する意思表示をした場合において,D及びAが別段の意思を表示していないときは,DがAの債務を免除する意思を有していなかったとしても,Dは,Aに対して60万円の支払を請求することはできない。
ウ.甲債務と相殺適状にある30万円の乙債務をDがCに対して負担している場合において,Cが乙債務につき相殺を援用しない間に,DがAに60万円の支払を請求したときは,Aは,20万円についてその支払を拒むことができる。
エ.Bは,甲債務の履行期にDに対して18万円を支払った場合,A及びCに求償することはできない。
オ.甲債務と相殺適状にある20万円の乙債務をDがCに対して負担している場合において,Aが,Cが甲債務の連帯債務者であることを知りながら,Cに通知せずにDに60万円を支払ってCに求償し,Cが乙債務との相殺をもってAに対抗したときは,Aは,Dに対し,相殺によって消滅すべきであった乙債務20万円の支払を請求することができる。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ
解答 4
MN2520H24-23 求償権 B
求償権に関する次の1から5までの各記述のうち,誤っているものはどれか。
1.保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において,過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたときは,その保証人は,主たる債務者に対して求償権を有する。
2.判例によれば,債務者Aの委託を受けてAの債務を担保するため抵当権を設定したBは,当該抵当権の被担保債権の弁済期が到来したとしても,Aに対し,あらかじめ求償権を行使することができない。
3.連帯債務者であるAが債権者Bに対する自己の債権をもってする相殺が可能であった場合において,他の連帯債務者CがAに通知しないで債権者Bに弁済をしたとき,Aは,Cからの求償を拒むことができる。
4.連帯債務者A,B及びCのうち,Aが債権者から債務の全額につき免除を受けた場合,Aは,B及びCに対し,各自の負担部分について求償権を取得する。
5.判例によれば,Aが,使用者であるBの事業の執行について,Cとの共同の不法行為によって他人に損害を加えた場合において,CがAとの過失割合によって定められる自己の負担部分を超えて被害者に損害を賠償したときは,Cは,Bに過失がなくても,Aの負担部分について,Bに求償することができる。
解答 4
MN2550H27-18 保証 B
AがBに金銭を貸し付け,CがAに対しBの借入金債務を保証したが,BがAに対する借入金の返還を怠ったことから,Aが,Cに対して保証債務の履行を請求する訴えを提起した場合に関する次の1から4までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか。
1.Cは,保証債務の消滅時効を自ら援用しなくても,Bが主たる債務の消滅時効を援用したことを抗弁として主張することができる。
2.Cは,Bが主たる債務の消滅時効を援用していない場合でも,主たる債務の消滅時効を援用して抗弁を主張することができる。
3.Cが保証債務の消滅時効を援用して抗弁を主張するのに対し,主たる債務の消滅時効が完成する前にBがその債務の一部を弁済したことは,時効更新の再抗弁となる。(問改)
4.Cが主たる債務の消滅時効を援用して抗弁を主張するのに対し,主たる債務の消滅時効が完成する前にCが保証債務の一部を弁済したことは,時効更新の再抗弁となる。(問改)
解答 4
MN2580H24-09Y 保証 B
保証に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものはどれか 。
1.主たる債務者の意思に反して保証人となった者は,主たる債務者が債権者に対して有する債権と保証債権との相殺をもって債権者に対抗することができない。
2.主たる債務者の意思に反して連帯保証人となった者が,債権者から保証債務の履行を裁判上請求されたときは,主たる債務についての消滅時効が完成猶予及び更新されない。(問改)
3.主たる債務者から委託を受けて連帯保証人となった者が,債権者に対して保証債務を承認したときは,主たる債務についての消滅時効が完成猶予及び更新される。(問改)
4.連帯債務者の一人から委託を受け,その者のために保証人となった者が,債権者に対して保証債務の全額を弁済したときは,この保証人は,その連帯債務者に対し,その者の負担部分についてのみ求償権を有する。
5.共同保証人の一人が債権者に対し保証債務を弁済し,他の共同保証人に対して求償をした場合において,求償を受けた保証人が,主たる債務者に弁済をする資力があり,かつ,執行が容易であることを証明したときは,債権者に弁済をした保証人は,まず主たる債務者に求償権を行使しなければならない。
解答 2
MN2590H26-19K 保証 B
AのBに対する金銭債務について,CがBとの間で保証契約を締結した場合に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.AのBに対する債務に関して違約金の定めがなかった場合,BC間の保証契約において違約金の定めをすることはできない。
イ.Aが未成年者であって,その法定代理人の同意を得ないでBに対する債務を負担する行為をした場合において,Cが,保証契約締結の当時,そのことを知っており,その後,Aの行為が取り消されたときには,Cは,Aの負担していた債務と同一の目的を有する独立の債務を負担したものと推定される。
ウ.AのBに対する債務の額が500万円であり,CがAの依頼を受けてBとの間で保証契約を締結した場合において,Aが,その後取得したBに対する300万円の金銭債権を自働債権として,Bに対する債務と相殺をしようと考えていたところ,CがAに対して通知することなくBに500万円を弁済したときには,AはCから500万円の求償を受けても,相殺をすることができる地位にあったことを主張して,300万円の範囲でこれを拒むことができる。
エ.Cが,Aの意思に反してBとの間で保証契約を締結し,Bに保証債務の弁済をした場合には,Cは,Aが現に利益を受けている限度でのみ,Aに対して求償をすることができる。
オ.判例によれば,AのBに対する債務につき消滅時効が完成した場合において,Aが時効の利益を放棄したときには,Cは,もはや時効の援用をすることができない。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 2
MN2600H28-21K 保証 B
保証に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.賃借人の保証人は,賃貸借契約が更新された後の賃料債務についても保証債務を負うが,賃料不払によって賃貸借契約が解除された場合,賃借人が目的物を返還しないことにより賃貸人に与えた損害の賠償については保証債務を負わない。
イ.建物賃貸借契約の存続期間中に賃借人の保証人が死亡した場合において,その相続人は,相続開始後に生じた賃借人の債務についても保証債務を負う。
ウ.身元保証契約において,使用者が,被用者に業務上不適任又は不誠実な事跡があって,そのために身元保証人の責任を惹起するおそれがあることを知ったときは,使用者は,遅滞なく身元保証人にその旨を通知しなければならない。
エ.個人貸金等根保証契約において元本確定期日がその個人貸金等根保証契約の締結の日から6年を経過する日と定められている場合,その元本確定期日は,その個人貸金等根保証契約の締結の日から5年を経過する日となる。(問改)
オ.根保証契約の元本確定期日前に根保証契約の主たる債務の範囲に含まれる債権が譲渡されたときは,その譲受人は,保証人に対し,当該保証債務の履行を求めることができない。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ ウ 4.ウ オ 5.エ オ
解答 3
MN2610H30-18K 保証 A
保証に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.保証が付された債権が譲渡された場合においては,譲渡人から主たる債務者に対して債権譲渡の通知をすれば,保証人に対して通知をしなくても,譲受人は保証人に対して保証債務の履行を請求することができる。
イ.未成年者が法定代理人の同意を得ずに債務を負担する行為をした場合において,その債務の保証人は,保証契約締結の当時,未成年者が法定代理人の同意を得ずに債務を負担する行為をしたことを知っており,かつ,その後に,当該未成年者の行為が,未成年者の行為であることを理由に取り消されたときは,当該未成年者が負担していた債務と同一の目的を有する独立の債務を負担したものと推定される。
ウ.主たる債務者が債権者に対し反対債権を有している場合であっても,保証人は,債権者から保証債務の履行を請求されたときは,保証債務を履行しなければならない。
エ.主たる債務について違約金の定めがない場合,保証人は,債権者との間で,保証債務についてのみ違約金を約定することができない。
オ.特定物の売買契約が売主の債務不履行により解除され,売主が代金返還義務を負担したときは,売主のための保証人は,反対の特約のない限り,当該代金返還義務について保証の責任を負う。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ エ 4.ウ エ 5.ウ オ
解答 4
MN2620R01-17K 保証 A
保証に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.保証契約は,書面又はその内容を記録した電磁的記録によってされなければ,その効力を生じない。
イ.保証人は,債権者が保証人を指名した場合でも,行為能力者であることを要する。
ウ.個人貸金等根保証契約は,主たる債務の元本の確定すべき期日の定めがない場合,その効力を生じない。(問改)
エ.主たる債務につき期限が延長されても,その効力は保証債務には及ばない。
オ.保証人が催告の抗弁権を行使したにもかかわらず,債権者が催告を怠ったために主たる債務者から全部の弁済を得られなかったときは,保証人は,債権者が直ちに催告をすれば弁済を得ることができた限度において,その義務を免れる。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ エ
解答 2
MN2621R03-19 保証 B
個人であるAがBのCに対する債務を保証する場合に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Aが,Bの委託を受けて,Bの事業に係る債務を保証しようとする場合,Bは,保証契約の締結に当たり,Aに対し,Bの財産及び収支の状況について情報を提供しなければならない。
イ.Bの債務がBの事業のために負担した貸金債務である場合,AC間の保証契約は,Aが保証債務を履行する意思を保証契約の締結後速やかに公正証書で表示することにより,その効力を生ずる。
ウ.Aが,Bの委託を受けて保証した場合,Cは,定期的に,Aに対し,主たる債務の元本及び利息について,不履行の有無,残額及び弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない。
エ.Bがその有していた期限の利益を喪失した場合,Cは,Aに対し,その旨を通知しなければならない。
オ.Aの保証が根保証である場合,極度額が定められなければ,その効力は生じない。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ
解答 3
MN2622R03-08Y 保証 A
AのBに対する1000万円の貸金債権(以下「甲債権」という。)につき,Cが保証した。この事例に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.CのAに対する債務が連帯保証債務になるのは,AC間で連帯保証契約が締結されるのに加えて,BC間で連帯の特約がされた場合である。
イ.Cが甲債権につき消滅時効を援用した場合でも,Bが消滅時効を援用しない限り,AはBに対して1000万円の支払を請求することができる。
ウ.Cの保証債務が連帯保証債務であり,AがCに対してその履行を求めて訴えを提起した場合には,Bとの関係でも,時効の完成が猶予される。
エ.CがAを単独相続した場合には,Cの保証債務は消滅する。
オ.Cの保証債務が連帯保証債務であり,Dも甲債権について連帯保証をしていた場合には,CとDが負う連帯保証債務の額は各500万円となる。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ
解答 3
MN2630H24-20 個人貸金等根保証契約 B
個人貸金等根保証契約(一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とし,その債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることにより負担する債務が含まれ,保証人が自然人である保証契約)に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(全問改)
ア.個人貸金等根保証契約は,書面でしなければ,その効力を生じない。
イ.個人貸金等根保証契約の締結の日から3年を経過したときは,保証人は,主たる債務の元本の確定を請求することができる。
ウ.個人貸金等根保証契約は,極度額を定めなければ,その効力を生じない。
エ.個人貸金等根保証契約における主たる債務の元本は,保証人に対し債権者が金銭債権についての強制執行を申し立てた場合には,これに基づき強制執行が開始されたときに限り,確定する。
オ.個人貸金等根保証契約における主たる債務の元本は,主たる債務者が死亡した場合でも当然には確定しない。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ オ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 3
第4編 債権総論 第5章 債権譲渡他
MN2670H24-21 債権譲渡 B
債権譲渡に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを2つ選べ。(問改)
1.譲渡制限特約のある債権について,譲受人が特約の存在を知り,又は重大な過失により特約の存在を知らないでこれを譲り受けた場合でも,その後,債務者が債権の譲渡について承諾を与えたときは,債権譲渡は譲渡の時にさかのぼって有効となるが,第三者の権利を害することはできない。(問改)
2.債権の譲受人が,債権者代位権により,譲渡人に代位して債務者に債権譲渡の通知をしたとしても,その債権譲渡を債務者に対抗することはできない。(問改)
3.同一の債権に対する債権譲渡と債権差押えとの間の優劣は,債権譲渡についての第三者対抗要件が具備された時と債権差押命令が当該債権の債務者に送達された時の先後で決する。
4.A法人がBに対する金銭債権をCに譲渡し,その債権の譲渡につき債権譲渡登記ファイルに譲渡の登記がされた場合であっても,Aからの債権譲渡通知がBに到達しておらず,かつ,Bがその債権譲渡を承諾していないときは,Cは,Bに対して自己が債権者であることを主張することができない。
5.譲渡制限特約が付された債権であっても差押えをすることはできるが,その差押債権者が譲渡禁止特約につき悪意であるときは,当該債権の債務者は差押債権者に対して譲渡制限特約をもって対抗することができる。(問改)
解答 1,5
MN2690H25-19K 債権譲渡 A
債権者Aが債務者Bに対して有する甲債権をCとDに二重譲渡した場合に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。なお,本問では,Cに対する債権譲渡を「第一譲渡」といい,Dに対する債権譲渡を「第二譲渡」という。
ア.Aが第一譲渡については確定日付のある証書によらずに通知をしてこれがBに到達し,第二譲渡については通知をしていない場合に,BがCに対して弁済をすれば,甲債権はこれによって消滅する。
イ.第一譲渡及び第二譲渡のいずれについても,Aが確定日付のある証書によらずに通知をしてこれらがBに到達した場合には,これらの通知の到達後に,BがCに対して弁済をしても甲債権は消滅しない。
ウ.Aが第一譲渡については確定日付のある証書によって通知をしてこれがBに到達し,第二譲渡については確定日付のある証書によらずに通知をしてこれがBに到達した場合には,これらの通知の到達後に,BがDに対して弁済をすれば,甲債権はこれによって消滅する。
エ.第一譲渡及び第二譲渡のいずれについても,Aが確定日付のある証書によって通知をし,これらの通知が同時にBに到達した場合には,Bは,Dからの請求に応じなくても債務不履行責任を負うことはない。
オ.第一譲渡及び第二譲渡のいずれについても,Aが確定日付のある証書によって通知をし,これらの通知が同時にBに到達した後に,BがCに対して弁済をすれば,甲債権はこれによって消滅する。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ
解答 2
MN2700H29-19K 債権譲渡 A
債権の譲渡に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(問改)
ア.債権譲渡制限の特約に反して債権を譲渡した債権者は,債務者が譲渡を承諾した場合を除き,同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張することができる。(問改)
イ.債権の譲受人は,譲渡人に代位して債務者に対して債権譲渡の通知をすることにより,その債権譲渡を債務者に対抗することはできない。
ウ.抵当不動産の第三取得者が被担保債権の弁済をしたことによって抵当権が消滅した場合,その後,被担保債権の債権者がその債権を第三者に譲渡し,債務者が異議をとどめないで債権譲渡を承諾しても,当該第三取得者に対する関係においては,抵当権の効力は復活しない。(問題不適切)
エ.債権が二重に譲渡され,第一の債権譲渡について譲渡人が債務者に対して確定日付のある証書によらずに通知をした後に,第二の債権譲渡について譲渡人が債務者に対して確定日付のある証書による通知をした場合,第一の譲受人は債権の取得を債務者にも対抗することができない。
オ.債権が二重に譲渡され,確定日付のある証書による通知が同時に債務者に到達したときは,譲受人の一人から弁済の請求を受けた債務者は,同順位の譲受人が他に存在することを理由として弁済の責任を免れることができる。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ エ 4.ウ エ 5.ウ オ
解答 2
MN2710R01-18 債権譲渡 A
指名債権の譲渡に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.債権譲渡の予約について確定日付のある証書による債務者の承諾がされても,予約の完結による債権譲渡の効力は,その承諾をもって第三者に対抗することができない。
イ.将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約は,その締結時において目的債権の発生が確実に期待されるものでなければ,効力を生じない。
(ウ.未完成仕事部分に関する請負報酬金債権の譲渡について,債務者の異議をとどめない承諾がされても,譲受人がその債権が未完成仕事部分に関する請負報酬金債権であることを知っていた場合には,債務者は,その債権譲渡の承諾後に生じた仕事完成義務不履行を理由とする当該請負契約の解除をもって譲受人に対抗することができる。)問題不適切
エ.同一の債権を目的とする債権譲渡と債権差押えとの間の優劣は,債権譲渡についての債務者以外の第三者に対する対抗要件が具備された時と債権差押命令が発令された時の先後で決する。
オ.債権が二重に譲渡され,第一の債権譲渡について確定日付のある証書による通知が債務者に到達した後,第二の債権譲渡について確定日付のある証書による通知が債務者に到達した場合,第一の債権譲渡の確定日付が第二の債権譲渡の確定日付に後れるときは,第一の債権譲渡の譲受人は,債権の取得を第二の債権譲渡の譲受人に対抗することができない。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イウ 4.イ エ 5.エ オ
解答 1
MN2711R02-09Y 譲渡制限の意思表示 B
預貯金債権以外の金銭債権についての譲渡制限の意思表示に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.譲渡制限の意思表示がされた債権が譲渡された場合において,その後に債務者が当該譲渡を承諾したときは,当該債権の譲渡は譲渡の時に遡って有効になる。
イ.譲渡制限の意思表示がされた債権の差押えがされた場合,当該債権の債務者は,差押債権者に対し,譲渡制限の意思表示がされたことを理由としてその債務の履行を拒むことはできない。
ウ.譲渡制限の意思表示がされていることを知りながら債権を譲り受けた譲受人は,債務者が譲受人に対して任意に弁済をしようとしても,これを直接受けることができない。
エ.譲渡制限の意思表示がされた債権が譲渡された場合,譲受人が譲渡制限の意思表示がされたことを過失なく知らなかったときであっても,債務者は,弁済の責任を免れるために,その債権の全額に相当する金銭を供託することができる。
オ.譲渡制限の意思表示がされた債権の全額が譲渡された場合において,譲渡人について破産手続開始の決定があったときは,債権譲渡について第三者対抗要件を備えた譲受人は,債務者にその債権の全額に相当する金銭の供託をするよう請求することができる。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ
解答 2
MN2730H29-20 債務引受 A
債務の引受けに関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.債権者Aが,債務者Bの意思に反して,引受人Cとの間で併存的債務引受の契約をした場合,その効力は生じない。
イ.債権者Aに対する債務者Bの債務について,Cを引受人とする併存的債務引受の効力が生じた場合において,Bの債務が時効により消滅したときは,AはCに対して債務の全額を請求することができない。(問改)
ウ.債権者Aは,債務者Bの意思に反しない場合,引受人Cとの二者間の契約により,免責的債務引受の効力を生じさせることができない。(問改)
エ.債権者Aに対する債務者Bの債務について,Cを引受人とする免責的債務引受の効力が生じた場合には,Bの債務を担保するために第三者Dが設定していた抵当権は,Cの債務を担保することについてDの承諾を得なければならない。(問改)
オ.中古自動車の売買契約における売主Aに対する買主Bの代金債務について,Cを引受人とする免責的債務引受の効力が生じた場合において,その自動車に契約不適合があり契約の目的を達成することができないときは,Cはその売買契約を解除することができる。(問改)
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ オ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 4
MN2731R03-20 債務引受 A
債務引受に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.債務者が負担する債務の発生原因行為を債務者が詐欺を理由に取り消すことができる場合でも,引受人は,債権者に対して債務の履行を拒むことはできない。
イ.併存的債務引受は,債務者の意思に反する場合であっても,債権者と引受人となる者との契約により有効に成立する。
ウ.債務者と引受人となる者との間で免責的債務引受契約がされたときは,債権者への通知又は債権者の承諾により,その効力を債権者に対抗することができる。
エ.併存的債務引受において,引受人は,引き受けた債務を弁済した場合,債務者に対し,弁済額のうち債務者の負担部分に応じた額を求償することができる。
オ.免責的債務引受において,債権者は,債務者が免れる債務の担保として設定された担保権を,引受人が負担する債務に移すことはできない。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ
解答 4
MN2780H27-19 債務の履行と弁済 A
債務の履行と弁済に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.安全配慮義務の違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償債務は,その義務の違反により損害が発生した時から遅滞に陥る。
イ.弁済をすべき場所について別段の意思表示がない場合には,特定物の引渡しは,債権発生の時にその物が存在した場所においてしなければならないが,その他の弁済は債権者の現在の住所においてしなければならない。
ウ.弁済の費用について別段の意思表示がない場合には,債権者と債務者の双方が等しい割合でその費用を負担するが,債権者が住所の移転その他の行為によって弁済の費用を増加させたときは,その増加額は債権者が負担する。
エ.Aの所有する甲土地を,Bが建物の所有を目的として賃借し,Bが甲土地上に乙建物を建築して乙建物をCに賃貸した場合,BがAに対し甲土地の賃料の支払を拒絶しているときは,Cは,Aに対し甲土地の賃料の支払をすることができる。
オ.金銭消費貸借の借主が,元本,利息及び費用の総額に足りない金銭を貸主に弁済する場合には,それをまず元本に充当することを指定することができ,貸主が直ちに異議を述べない限り,その充当の指定は効力を有する。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ
解答 4
第4編 債権総論 第6章 債権の消滅
MN2790H29-21 弁済 A
弁済に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.AのBに対する債権を目的としてAがCのために質権を設定し,AがBに対してその質権の設定を通知した後であっても,BがAに弁済をした場合には,Bは,Cに対してもその弁済の効果を対抗することができる。
イ.Aがその所有する土地をBに賃貸し,Bがその土地上にあるB所有の建物をCに賃貸していた場合,Cは,Bの意思に反するときでも,AB間の賃貸借契約における賃料について,Aに弁済をすることができる。
ウ.AのBに対する債権についてCがAの代理人であると偽って,Bから弁済を受けた場合には,表見代理の要件を満たさない限り,Bは,Aに対し,その弁済が有効であると主張することはできない。
エ.AのBに対する債権についてBが弁済を受領する権限がないCに対して弁済をした場合において,Aがこれによって利益を受けたときは,Cに弁済を受領する権限がないことをBが知っていたとしても,Aが利益を受けた限度で,その弁済は効力を有する。
オ.動産の引渡債務を負うAが,債権者Bに対し,他人の所有する動産を弁済として引き渡し,その動産が他人の物であることを知らずにBがその動産を消費した場合,その弁済は有効となる。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
解答 1
MN2800H30-19K 弁済 A
弁済に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.委託を受けない保証人は,主たる債務者の意思に反して弁済することができない。
イ.弁済を受領する権限を有しない者に対する弁済は,債権者がこれによって利益を受けたとしても,債権者に対し効力を有しない。
ウ.第三者は,当事者が合意により禁止したときは,弁済をすることができない。
エ.弁済の時期について不確定期限があるときは,債務者は,その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う。
オ.預金通帳を盗んだ者が預金通帳を使用して現金自動入出機から預金の払戻しを受ける行為については,弁済の効力が生じることはない。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ エ
解答 5
MN2801R02-18 預金口座 B
AはB銀行に預金口座を開設し,金銭を預け入れた。この事例に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Cが,B銀行のDの預金口座に振込みをするつもりで,誤ってAの預金口座への100万円の振込みをCの取引銀行に依頼し,その振込みが実行された場合,Cは,B銀行に対し,100万円の支払を請求することができる。
イ.Aが死亡してEとFがAを相続した場合,Eは単独で,B銀行に対し,A名義の預金口座の取引経過の開示を求めることができる。
ウ.AがB銀行に対して有する預金債権について,譲渡はできない旨の特約がされていた場合,AがGとの間で,その預金債権をGに譲渡する契約をしても,Gが特約について悪意又は重過失であったときは,その譲渡は効力を生じない。
エ.Aの預金口座に係る預金が定期預金の場合,B銀行は,やむを得ない事由がなければ,Aの同意なしに満期前に預金を払い戻すことはできない。
オ.HがAに対する代金債務の全額をAH間の合意によりB銀行のAの預金口座への振込みによって支払った場合,その債務は,Hの振込みによってAがB銀行に対して同額の預金の払戻しを請求する権利を取得した時に,弁済により消滅する。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
解答 2
MN2810R01-20 弁済の提供 A
弁済の提供に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.売買代金債権が譲渡され,債務者対抗要件が具備された場合であっても,債務者によるその代金の弁済の提供は,売買代金債権の譲渡人の現在の住所においてすれば足りる。
イ.特定物の売主は,その特定物を売買契約の締結当時から自己の住所に保管している場合,その引渡債務について弁済の提供をするに当たり,買主に対し,引渡しの準備をしたことを通知してその受領の催告をすれば足りる。
ウ.賃借人には債務不履行がないのに,賃貸人が債務不履行による賃貸借契約の解除を主張して賃料の受領を拒絶し,口頭の提供をしても賃料の弁済を受領しない意思が明確である場合,賃借人は,賃料債務について,口頭の提供をしなくても,履行遅滞の責任を負わない。
エ.不法行為の加害者Aが被害者Bに対して第一審判決で支払を命じられた損害賠償金1億円の全額について弁済の提供をしたが,その後,控訴審判決において損害賠償金が2億円に増額され,それが確定した場合,Aがした弁済の提供は,無効となる。
オ.甲土地の賃貸人がその賃料の支払を催告したのに対し,賃借人が,賃貸借の目的物ではない乙土地も共に賃貸借の目的物であると主張して,甲土地の賃料額を超える額の金員を,その全額が受領されるのでなければ支払わない意思で提供した場合,債務の本旨に従った弁済の提供があったものとはいえない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
解答 2
MN2840H25-10K 弁済による代位 B
弁済による代位に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか。
1.弁済者が弁済による代位により取得した原債権を行使して訴訟においてその給付を請求するためには,原債権の発生原因事実のほか,求償権の発生原因事実も主張立証しなければならない。
2.弁済による代位が生じた場合,弁済者が代位により取得する担保権の被担保債権は,求償権ではなく原債権である。
3.連帯債務者の一人がその連帯債務に係る債権を相続により取得し,当該債権が混同によって消滅した場合,その者は,他の連帯債務者に対して有する求償権の範囲内で,代位により連帯債務に係る債権を取得する。
4.物上保証人が抵当権の実行を受けた場合,債権者の承諾がなければ債権者に代位することはできない。
5.弁済者が弁済による代位により取得した原債権と求償権とは別個に消滅時効にかかる。
解答 4
MN2850H28-20 弁済による代位 B
弁済による代位に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.債務者の意思に反することなく有効に弁済した第三者は,弁済によって当然に債権者に代位しない。(問改)
イ.判例によれば,不動産を目的とする一つの抵当権が数個の債権を担保し,そのうちの一つの債権のみについての保証人が当該債権に係る残債務全額につき代位弁済した場合において,抵当権の実行による売却代金が被担保債権の全てを消滅させるに足りないときには,債権者と保証人は,両者間にその売却代金からの弁済の受領について特段の合意がない限り,その売却代金につき,債権者が有する残債権額と保証人が代位によって取得した債権額に応じて案分して弁済を受けない。(問改・要注意)
ウ.代位弁済によって,全部の弁済を受けた債権者は,債権に関する証書を代位者に交付すれば足り,自己の占有する担保物を代位者に交付する必要はない。
エ.AのBに対する1200万円の債権について,保証人C,物上保証人D(担保物の価額900万円),物上保証人E(担保物の価額300万円)が存在する場合,C,D及びEの間における弁済による代位の割合は,2対3対1となる。
オ.判例によれば,保証人が債権者に代位弁済した後,債務者から当該保証人に対し一部弁済があったときは,その弁済は,保証人が代位弁済によって取得した求償権だけでなく,債権者に代位して取得した原債権に対しても弁済があったものとして,それぞれに充当される。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
解答 1
MN2851R02-19 弁済による代位 B
弁済による代位に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.物上保証人は,被担保債権を弁済した場合,代位により取得した被担保債権につき,対抗要件を備えなくても,これを行使することができる。
イ.保証人は,被担保債権の一部を弁済したが残債務がある場合,その弁済をした価額の限度において,代位により取得した被担保債権及びその担保権を単独で行使することができる。
ウ.保証人Aと物上保証人Bとの間で,Aが自己の弁済した全額につき債権者に代位することができる旨の特約をした場合において,弁済をしたAが債権者に代位してB所有の不動産上の第一順位の抵当権を行使するときは,Aはその特約の効力を当該不動産の後順位抵当権者に主張することはできない。
エ.債権者が故意に担保を減少させたとしても,そのことについて取引上の社会通念に照らして合理的な理由がある場合,保証人は,その担保の減少に基づく免責を主張することはできない。
オ.債権者が過失により担保を減少させた後に物上保証人から抵当目的不動産を譲り受けた者は,物上保証人と債権者との間に債権者の担保保存義務を免除する旨の特約がされていたために担保の減少に基づく免責が生じていなかった場合,債権者に対して担保の減少に基づく自己の免責を主張することはできない。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ
解答 3
MN2870R01-08Y 弁済の充当 B
弁済の充当に関する次の1から4までの各記述のうち,誤っているものはどれか。
1.法定充当において,債務者のした給付が数個の債務の全てを消滅させるのに足りず,かつ,全ての債務が弁済期にあるときは,その給付は,債務者のために弁済の利益が多い債務に先に充当される。
2.債務者のした給付が数個の債務の全てを消滅させるのに足りない場合に,債務者は給付の時に充当の指定をせず,債権者が給付の受領の時に特定の債務に充当する旨を指定したところ,債務者が直ちに異議を述べたときは,債権者のした指定は効力を有しない。
3.債務者が1個の債務について費用,利息及び元本を支払うべき場合において,債務者のした給付がそれらの全部を消滅させるのに足りないときは,債務者が給付の時にその給付を元本に充当する旨を指定すれば,その給付は元本に充当される。
4.債務者が1個の債務について費用,利息及び元本を支払うべき場合において,債務者のした給付がそれらの全部を消滅させるのに足りないときは,債権者と債務者がその給付を利息に充当する旨を合意すれば,その給付は利息に充当される。
解答 3
MN2890H29-22 代物弁済 B
AのBに対する1000万円の債務(以下「本件債務」という。)について,AB間でA所有の甲土地で代物弁済をする合意をした場合に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Bが,甲土地の所有権を取得するには,代物弁済の合意に加えて,給付の完了として対抗要件を具備する必要がある。
イ.代物弁済の合意をしても,その所有権移転登記手続の完了前であれば,AはBに1000万円を支払って,本件債務を弁済により消滅させることができる。
ウ.AがCから売買契約により甲土地の所有権を取得した後に代物弁済の合意がされ,その合意に基づいてAからBへの所有権移転登記がされた後,CがAの強迫を理由としてその売買契約を取り消したときは,Aは,Bに対し,本件債務の消滅を主張することができない。
エ.代物弁済がされて一旦甲土地の所有権がBに移転した後,本件債務の発生原因となった契約が解除された場合でも,甲土地の所有権はBに帰属する。
オ.甲土地の所有権移転登記手続に必要な書類をBがAから受領した時点で本件債務の消滅の効果が生じるという特約がある場合,BがAからその書類を受領した時に,本件債務の消滅の効果が生じる。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ ウ 4.ウ オ 5.エ オ
解答 2
MN2910H26-20 供託 B
弁済の目的物の供託に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものを2個選びなさい。
1.債務の弁済について正当な利益を有する第三者が弁済の提供をしたのに,債権者がその受領を拒む場合には,当該第三者は,債務者の意思に反するときであっても,供託をすることができる。(問改)
2.債務者が債権者を確知することができない場合には,確知することができないことについての過失の有無を問わず,供託をすることができる。
3.債務者が供託をした場合であっても,債権者が供託物を受け取らない限り,債務は消滅しない。
4.債務者が供託をした場合,債権者が同意しない限り,債務者は供託物を取り戻すことができない。
5.供託をした債務者が債権者に対して同時履行の抗弁を主張することができる場合,債権者が供託物を受け取るためには,債務者に対して反対給付をしなければならない。
解答 1,5
MN2920H30-20 供託 A
弁済の目的物の供託に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.債務の弁済について正当な利益を有する第三者が債権者に弁済の提供をしたのに債権者がその受領を拒んだ場合,当該第三者は,債務者の意思に反するときは,供託することができない。(問改)
イ.口頭の提供をしても債権者が弁済の受領を拒むことが明確な場合,債務者は,口頭の提供をしなくても,供託することができる。
ウ.債権が二重に譲渡され,確定日付のある2つの譲渡通知が債務者に到達したが,その先後関係が不明である場合,債務者は供託することができる。(問改)
エ.金銭債務について弁済供託がされた場合,債権者が供託金を受け取った時に債務は消滅する。
オ.自己が相当と考える額を債務者が供託した場合には,債務の全額に満たなくても,その額については供託は有効である。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 3
MN2930H25-21 代位 B
代位に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.抵当権の被担保債権の一部を弁済した第三者は,その弁済をした価額に応じて抵当権者とともにその抵当権を行使することができ,その抵当権が実行されたときは,当該抵当権者と当該第三者は,当該抵当権者が有する残債権の額と当該第三者が代位によって取得した債権の額に応じ,按分して配当を受ける。
イ.同一の物上保証人が所有する甲土地及び乙土地に第一順位の共同抵当権が設定されている場合において,甲土地の代価のみが先に配当されたときは,甲土地について第二順位の抵当権を有していた者は,当該配当によりその被担保債権の全額について弁済を受けた場合を除き,共同抵当に関する民法の規定に定める限度で,乙土地に設定された第一順位の抵当権を行使することができる。
ウ.物上保証人所有の甲土地と債務者所有の乙土地に第一順位の共同抵当権が設定されている場合,甲土地の代価のみが先に配当され,その被担保債権に係る債務が消滅したときは,物上保証人は,当該債務者に対して有する求償権の範囲内で,乙土地に設定された第一順位の抵当権を行使することができる。
エ.同一の債務につき,保証人がいるとともに,物上保証人所有の甲土地に抵当権が設定されている場合,保証人が保証債務を履行し,債務を消滅させたときは,保証人は,当該債務者に対する求償権の全額について,甲土地に設定された抵当権を行使することができる。
オ.同一の債務につき,保証人がいるとともに,債務者所有の甲土地に抵当権が設定されている場合,債権者が甲土地に設定された抵当権を放棄した後に保証人が保証債務を履行し,債務を消滅させたときは,保証人は,甲土地に設定された抵当権が放棄されていないものとして,その抵当権を行使することができる。
1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.ウ オ
解答 3
MN2970H27-20K 相殺 A
相殺に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.AのBに対する甲債権が差し押さえられた後,BがAに対する乙債権を取得した場合,Bは,乙債権を自働債権として甲債権と相殺することができる。
イ.賃貸人が賃料の不払を理由として賃貸借契約を解除した後,賃借人が解除後に存在を知った賃貸人に対する債権と賃料債務を相殺により消滅させたとしても,賃貸借契約の解除の効力には影響がない。
ウ.継続的契約の当事者が,その契約が終了したときに債権債務が残っていた場合は相殺することをあらかじめ合意していたとしても,その合意は無効である。
エ.債権が不法行為によって生じたときは,その債権者は,その債権を自働債権として相殺することができる。
オ.注文者は,請負人に対する目的物の修補に代わる損害賠償債権を自働債権として,請負人の注文者に対する報酬債権と相殺することはできない。(問改)
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ
解答 3
MN2980H29-09Y 相殺 A
相殺に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.相殺の意思表示に条件を付することはできないが,期限を付することはできる。
イ.債権者Aの債務者Bに対する甲債権がAの債権者Cに差し押さえられても,差押え前からBがAに対する乙債権を有していた場合,Bは,甲債権と乙債権の弁済期の先後を問わず,相殺適状にあれば,相殺をすることができる。
ウ.時効によって消滅した債権を自働債権とする相殺をするためには,消滅時効が援用された自働債権は,その消滅時効期間が経過する以前に受働債権と相殺適状にあったことを要する。
エ.請負契約の注文者は,修補に代わる損害賠償債権と請負代金債権が同時履行の関係にある場合には,前者を自働債権,後者を受働債権として相殺することはできない。(問改)
オ.悪意の不法行為に基づく損害賠償債務を負う債務者であっても,自働債権と受働債権のいずれもが悪意の不法行為に基づく損害賠償債権である場合には,相殺をすることができる。(問改)
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
解答 3
MN2990H30-21 相殺 A
相殺に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.抵当不動産の所有権を取得したAが,抵当権者Bに対する売買代金債権を有している場合には,当該売買代金債権と抵当権の被担保債務であるCに対する貸金債務とを対当額において相殺することができる。
イ.弁済期の定めのない貸金債権を有する者は,当該貸金債権の債務者に対して,弁済期が未到来の売買代金債務を負担している場合には,当該売買代金債務の期限の利益を放棄した上で,これらの債権債務を対当額において相殺することができる。
ウ.請負代金債務を負担する注文者が,請負人に対する貸金債権を譲り受けたが,譲受けの時点で当該貸金債権の消滅時効が完成していた。その後,請負人により消滅時効が援用された場合,注文者は,これらの債権債務を対当額において相殺することができない。
エ.車両同士の交通事故が双方の運転者の過失に基因して発生し,双方に物的損害のみが生じた場合,一方の運転者は,双方の損害賠償債権を対当額において相殺することができない。(問改)
オ.AがB銀行に対する定期預金債権を有していたところ,Cが,Aと称して,B銀行に対し,その定期預金債権を担保とした貸付けの申込みをし,B銀行は,CをAと誤信したため貸付けに応じた。この場合,B銀行は,貸付けの際に,Cを預金者本人と認定するにつき金融機関として負担すべき相当の注意義務を尽くしていたとしても,その貸付債権と定期預金債権とを対当額において相殺することができない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
解答 3
MN2991R03-21K 相殺 B
AのBに対する金銭債権(以下「甲債権」という。)とBのAに対する金銭債権(以下「乙債権」という。)との相殺に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.甲債権と乙債権の両方の弁済期が到来した後,甲債権がAからCに譲渡され,その対抗要件が具備された。この場合において,Bは,CがBのCに対する金銭債権(丙債権)と甲債権とを相殺した後であっても,乙債権と甲債権との相殺をもってCに対抗することができる。
イ.乙債権は,Aの債権者であるDが甲債権を差し押さえた後に,Bが他人から譲り受けたものであった。この場合,乙債権が差押え前の原因に基づいて生じたものであるとしても,Bは,乙債権と甲債権との相殺をもってDに対抗することができない。
ウ.甲債権は,Bの悪意による不法行為に基づいて生じたEのBに対する損害賠償債権を,AがEから譲り受けたものであった。この場合,Bは,乙債権と甲債権との相殺をもってAに対抗することができる。
エ.甲債権の弁済期が到来した後に,Aの債権者であるFが甲債権を差し押さえた場合には,Bは,差押え前に取得していた乙債権の弁済期到来前であっても,乙債権と甲債権との相殺をもってFに対抗することができる。
オ.Aが甲債権をGに譲渡し,その対抗要件が具備された後,Bが乙債権を取得した。この場合において,Bは,乙債権が対抗要件具備時より前の原因に基づいてAB間で生じた債権であっても,乙債権と甲債権との相殺をもってGに対抗することができない。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 3
MN3010H26-21K 弁済及び相殺 A
弁済及び相殺に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.A名義のB銀行に対する預金に係る通帳と印鑑を窃取したCが,Aの代理人と称して,B銀行から預金の払戻しを受けた場合,Cは,自己のためにする意思でしたものではなく,債権の受領権者としての外観を有るものには当たらないので,B銀行の過失の有無にかかわらず,弁済の効力は生じない。(問改)
イ.AがB銀行に対する定期預金債権を有していたところ,Cが,Aと称して,B銀行に対し,その定期預金債権を担保とした貸付けの申込みをし,B銀行は,CをAと誤信したため貸付けに応じた。その後,貸付金債権の履行期に弁済がなかったため,B銀行がその貸付金債権を自働債権としてその定期預金債権と相殺をした場合において,貸付けの際に,金融機関として負担すべき相当の注意義務を尽くしていたときは,B銀行は,その相殺をもってAに対抗することができる。
ウ.債務者の弁済が,受領権者としての外観を有るものに対する弁済として有効となる場合においては,真の債権者は,弁済を受けた者に対し,不当利得返還請求をすることができない。(問改)
エ.AがBに対して取立債務を負っている場合において,その履行期にBが取立てをしなかったとしても,Aが口頭の提供をしていないときは,Aは債務不履行責任を免れない。
オ.Aは,Bに対する債権をC及びDに二重に譲渡し,それぞれの譲渡につきBに対して確定日付のある証書で通知をしたが,その到達はCへの譲渡についてのものが先であった場合において,BがDに対してした弁済が効力を生ずるためには,Dを真の債権者であると信ずるにつき相当な理由があることを要する。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ オ 4.ウ エ 5.ウ オ
解答 3
MN3020H30-22 免除 A
免除に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.債権者が債務者に免除の意思を表示した場合,免除の効果は,債務者が債権者に対して免除の利益を享受する意思を表示した時に発生する。
イ.債務の免除があった場合において,債務者が債務の免除を受けたことを忘れて弁済したときは,債務者はその返還を求めることはできない。
ウ.Aに対し,BCDが等しい負担部分で300万円の連帯債務を負っている場合において,AがCについて連帯の免除をしたときでも,B及びDは,Aに対し,300万円の連帯債務を負う。
エ.Aに対し,BCDが等しい負担部分で300万円の連帯債務を負っている場合において,AがCに対して300万円の連帯債務全額について免除をしたときは,B及びDは,Aに対し,300万円の連帯債務を負はない。(問改)
オ.主たる債務者について債務の免除があった場合には,連帯保証人の債務は消滅する。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ ウ 4.ウ オ 5.エ オ
解答 4
MN3030H25-23K 債権の消滅原因 A
債権の消滅原因に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.判例によれば,土地の賃借人がその土地上の建物を賃貸している場合において,建物の賃借人は,その土地の賃料について,土地の賃借人の意思に反しても弁済をすることができる。
イ.弁済の目的物が供託されたことによって抵当権が消滅した場合には,その供託をした者は,債権者が供託を受諾する前であっても,供託物を取り戻すことができない。
ウ.相殺の意思表示には,条件を付することができる。
エ.判例によれば,債権者が保証人に対して有する保証契約上の債権を自働債権とする相殺は,保証人が検索の抗弁権を有するときであっても,双方の債務が弁済期にあれば,することができる。
オ.債権者は,債務者の承諾がなければ,その債務を免除することができない。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ