第7編 契約その他 第2章事務管理
MN3930H24-12Y 事務管理 A
事務管理に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.事務管理の管理者が本人の名でした法律行為の効果は,事務管理の効力として直接本人に帰属する。
イ.事務管理が本人の意思に反してされた場合には,本人のために有益な費用を支出した管理者は,本人が現に利益を受けている限度においてのみ,費用の償還を受けることができる。
ウ.事務管理によって管理者が本人のために有益な債務を負担した場合には,管理者は,自己に代わってその弁済をすることを本人に対して請求することができる。
エ.事務管理の管理者は,その事務管理によって本人に対し相当の額の報酬を請求することができる場合に限り,善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務を負う。
オ 本人の身体 名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をした管理者は,これによって本人に損害を与えたときであっても,悪意又は重大な過失がなければ損害賠償の責任を負わない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ オ
解答 2
MN3940H26-27 事務管理 B
Aが首輪の付いている飼い主不明の犬を発見し,その不明の飼い主のために犬の世話をした場合に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Aが自分の家に犬を連れて帰り,世話をしている場合,犬の飼い主に対して報酬を請求することはできない。
イ.Aが自分の家に犬を連れて帰り,世話をしている場合,犬の世話について要求される注意義務の程度は自己の財産に対するのと同一の注意で足りる。
ウ.Aが自分の家に犬を連れて帰り,世話をしていたところ,犬が下駄箱の上に置かれていた花瓶を倒し,壊してしまった。この場合,Aに過失がなかったとすると,Aは犬の飼い主に対して損害賠償を請求することができる。
エ.Aが自分の家に犬を連れて帰り,世話をしていたところ,犬が家の塀を乗り越え,通行人Bに怪我をさせた。この場合のAは,所有の意思を持たないため,動物の占有者としての責任を負わず,BがAに対して損害賠償を請求するには,Aの過失を立証しなければならない。
オ.Aは,犬を発見した時,犬が怪我をしていたので,獣医に治療を受けさせ,治療費を支払った。その後,飼い主が犬の返還を求めてきた場合,Aは,支払った治療費の償還を受けるまで,犬の引渡しを拒むことができる。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ
解答 2
MN3950H30-28 事務管理 A
Aが長期出張で不在中に,Aの居宅の生け垣の一部が強風により倒壊した。その後,Aの居宅の隣地に居宅を有するBがAのために義務なく行った行為に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Bが自ら生け垣を修理した場合には,Bは,Aに対し,その修理に対する報酬の支払を請求することはできない。
イ.Bが造園業者に依頼して生け垣の修理をさせた場合には,Bは,Aに対し,造園業者へ未払の請負代金を支払うよう請求することはできない。
ウ.Bが自ら生け垣を修理した後,台風により生け垣全体が倒壊した場合において,生け垣の修理がAの意思に反していたときは,Bは,Aに対し,その修理に要した費用の支払を請求することはできない。
エ.Bが自ら生け垣の修理を始めたが,途中で放置したために生け垣全体が枯れてしまった場合には,Aは,Bに対し,生け垣が枯れた分の損害の賠償を請求することはできない。
オ.Bが,Aの居宅の防犯だけでなくBの居宅の防犯も目的として自ら生け垣を修理した場合には,Bは,Aに対し,その修理に要した費用の支払を請求することはできない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ オ
解答 1
MN3960H30-12Y 事務管理 A
事務管理に関する次の1から5までの各記述のうち,誤っているものはどれか。
1.事務管理の管理者は,本人が既に知っている場合を除き,事務管理を始めたことを遅滞なく本人に通知しなければならない。
2.事務管理によって管理者が本人のために有益な債務を負担した場合には,管理者は,自己に代わってその債務の弁済をすることを本人に対して請求することができる。
3.事務管理の管理者は,本人の請求があるときは,いつでも事務管理の状況を報告しなければならない。
4.事務管理の管理者は,本人が現に管理に着手するまで,事務管理を継続しなければならない。
5.本人の身体,名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をした管理者は,これによって本人に損害が生じたときであっても,悪意又は重大な過失があるのでなければ,これによって生じた損害賠償の責任を負わない。
解答 4
第7編 契約その他 第3章不当利得
MN3980H28-28 不当利得 A
不当利得に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.債務が存在しないにもかかわらず,その事実を過失により知らないで債務の弁済として給付をした者は,その給付したものの返還を請求することができない。
イ.抵当権者は,自己の抵当権が設定された不動産について競売がされた場合には,不動産競売事件の配当期日において配当異議の申出をしなかったとしても,債権又は優先権を有しないにもかかわらず配当を受けた債権者に対し,その者が配当を受けたことによって自己が配当を受けることができなかった金銭相当額の金員について不当利得返還請求をすることができる。
ウ.建物賃借人との間の請負契約に基づき,請負人が建物の修繕工事をしたが,建物賃借人が請負代金を支払わないまま無資力となった場合において,建物賃貸借契約に建物の修繕工事の費用は建物賃借人が負担するとの特約があるときは,建物賃貸人である建物所有者が対価関係なしにその工事に要した財産及び労務の提供に相当する利益を受けたかどうかにかかわらず,建物所有者は,法律上の原因なくしてその利益を受けたことになる。
エ.金銭の交付によって生じた不当利得の利益が存しないことについては,不当利得返還請求権の消滅を主張する者が主張・立証責任を負う。
オ.不当利得における悪意の受益者は,損失を被った者に対してその受けた利益に利息を付して返還しなければならないが,その者になお損害があるときは,不法行為の要件を充足していないとしても,その者に対してその損害を賠償しなければならない。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ
解答 4
MN4000H26-28 不当利得 A
不当利得に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Aが公正証書を債務名義としてBの財産に強制執行をしようとしている場合,Bは,その強制執行に係る債務を既に弁済したことを知りつつ,後日返還を請求する旨を留保して,強制執行を避けるためやむを得ずAに債務の弁済として金員を支払ったときは,Aに対し,その金員の返還を請求することはできない。
イ.A銀行は,Bに帰属している預金を誤ってCに払い戻したものの,その払戻しについて過失があった場合,その預金について,Bへの払戻しをしていないときでも,Cに対し,支払った金員の返還を請求することができる。
ウ.債権者Aが債務者Bに対する債権を被担保債権としてC所有の不動産の上に抵当権の設定を受けたが,当該抵当権は,Bが権限なくCを代理して設定したものであった場合,その抵当権の実行により不動産の所有権を喪失したCは,抵当権の実行手続において配当を受けたAに対し,不当利得の返還を請求することはできない。
エ.債務者Aが,第三者Bから横領した金銭を自己の金銭と識別することができない状態にした上,その金銭で自己の債権者Cに対する債務の弁済に充てた場合であっても,社会通念上,Bの金銭でCの利益を図ったと認めるに足りる連結があり,CがAの横領を知り,又は知らなかったことについて重大な過失があるときは,Bは,Cに対し,不当利得の返還を請求することができる。
オ.AがBに不法な原因のために土地を譲渡し,所有権移転登記をした場合,Aは,Bに対し,不当利得に基づきその返還を請求することができないときであっても,土地の所有権に基づき,所有権移転登記の抹消を請求することができる。
1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.ウ オ
解答 4
MN4001R02-28 不当利得 A
不当利得に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.所有者から寄託された動産を受寄者が売却し,買主に即時取得が成立した場合,買主は,寄託者に対し,不当利得返還義務を負わない。
イ.第三者からだまし取った金銭を用いて債務が弁済された場合において,第三者からだまし取った金銭を用いて債務者が弁済をしたことを知らなかったことについて債権者に過失があるときは,債権者は,当該第三者に対して不当利得返還義務を負う。
ウ.過失により弁済期が到来したものと誤信をして,弁済期が到来する前に債務の弁済としての給付を行った者は,弁済期が到来するまでは,その給付したものの返還を求めることができる。
エ.債務者が債権の受領権限がない者に対し弁済をした場合において,真の債権者がその受領者に対して不当利得返還請求をしたときは,その受領者は,弁済をした債務者に過失があったことを主張して,請求を拒絶することができる。
オ.自らを債務者であると誤信して他人の債務を弁済した者は,債権者が善意でその債権を消滅時効により消滅させてしまった場合,債権者に対し弁済金の返還請求をすることができない。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ
解答 2
MN4030R01-27 不法原因給付 A
不法原因給付に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.強行法規に違反してされた給付であっても,不法原因給付に該当しないことがある。
イ.登記された建物が不倫関係の維持を目的として贈与され,受贈者に引き渡されたが,所有権移転登記手続はされていない場合,贈与者は,受贈者に対し,建物の明渡請求をすることができない。
ウ.贈与に基づく動産の引渡しが不法原因給付に該当し,不当利得に基づく動産の返還請求をすることができない場合,贈与者は,受贈者に対し,所有権に基づく動産の返還請求をすることができない。
エ.不法原因給付の給付者と受領者との間において,その給付後に,その原因となった契約を合意の上解除してその給付を返還する特約をしたとしても,給付者は,その返還を請求することができない。
オ.消費貸借が,その成立の経緯において,貸主の側に少しでも不法があったときは,借主の側に多大の不法があったとしても,貸主は貸金の返還を請求することができない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ オ
解答 1
第7編 契約その他 第4章不法行為
MN4090H24-29 不法行為 A
不法行為に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものはどれか。
1.未成年者に対し不法行為に基づく損害賠償を請求する訴訟において,原告は,行為の当時その者に責任能力があったことを主張立証しなければならない。
2.未成年者が責任能力を有する場合であっても,監督義務者の義務違反と未成年者の不法行為によって生じた結果との間に相当因果関係が認められるときは,監督義務者に対して不法行為に基づく損害賠償を請求することができる。
3.不法行為により死亡した被害者の父又は母は,加害者に対し,自己が被った精神的苦痛に基づく損害の賠償を請求することはできない。
4.交通事故の被害者である幼児に過失がなかったときは,その父又は母に過失があったとしても,それを理由として賠償額が減額されることはない。
5.暴行を受けて傷害を負った被害者が損害賠償を請求する場合において,被害者の治療を行った医師に診療上の過失があり,そのために被害者の症状が悪化したときであっても,暴行を加えた者と医師は,被害者に対し連帯して損害を賠償する責任を負うことはない。
解答 2
MN4091R02-29 不法行為 A
不法行為に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.金銭債権を有する者が,その債務者を負傷させたことにより不法行為に基づく損害賠償債務を負った場合,当該金銭債権を自働債権,損害賠償債権を受働債権とする相殺をもって債務者に対抗することはできない。
イ.報道により他人の名誉を毀損した報道機関は,その報道が公共の利害に関する事実に係り,専ら公益を図ることに出たものであって,摘示した事実が真実であると信ずるにつき相当な理由があったとしても,その事実が真実であると証明できなかったときは,不法行為責任を負う。
ウ.子が他人の不法行為によって重傷を負った場合,その両親は,そのために子が生命を害されたときにも比肩すべき精神上の苦痛を受けたときは,自己の権利として加害者に慰謝料を請求することができる。
エ.未成年者が責任能力を有し被害者に対する不法行為責任を負う場合であっても,その監督義務者に未成年者に対する監督義務違反があり,その義務違反と当該未成年者の不法行為によって生じた結果との間に相当因果関係が認められるときには,監督義務者は被害者に対する不法行為責任を負う。
オ.使用者が被用者の加害行為につき使用者責任に基づいて第三者に損害賠償責任を負う場合,当該被用者は,加害行為につき故意又は重過失がない限り,当該第三者に対する損害賠償責任を負わない。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ オ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 3
MN4100H25-30 不法行為 A
使用者又は注文者の不法行為責任に関する次の1から4までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか。
1.法人Aの使用するBがその事業の執行について第三者Cに損害を与えた場合において,Aの代表者Dが現実にBの選任監督を担当していなかったときは,Dは,Cに対し,Aに代わって事業を監督する者としての責任を負わない。
2.Aの使用するBが,その外形からみてAの事業の範囲内に属すると認められる行為によって第三者Cに損害を与えた場合であっても,Bの加害行為がBの職務権限内で適法に行われたものでないことをCが知っていたとき,又は知らなかったことについて重大な過失があったときは,Aは,Cに対し,損害賠償の責任を負わない。
3.Aの使用するBがその事業の執行について第三者Cに損害を与えた場合において,その損害を賠償する債務をAがCに対して弁済したときには,AのBに対する求償権は,発生しない。
4.Aとの間で請負契約を締結した請負人Bがその仕事について第三者Cに損害を与えた場合において,注文又は指図についてAに過失があったときは,Aは,Cに対し,注文者として損害賠償の責任を負う。
解答 3
MN4110H27-28 不法行為 A
不法行為に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.他人の生命を侵害した者は,被害者の相続人に対してのみ慰謝料を支払う義務を負う。
イ.被害者が死亡していない場合には,被害者の近親者は,慰謝料を請求することができない。
ウ.ある事業のために他人を使用する者は,被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負うが,この責任は,被用者に賠償の資力があったとしても免れることができない。
エ.被害者が加害者の使用者に対し使用者責任に基づく損害賠償を請求する場合,被害者は,加害者による不法行為があったことに加え,加害者の使用者が加害者である被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしていなかったことを主張・立証しなければならない。
オ.過失によって一時的に自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態を招いた者は,その間に他人に加えた損害について賠償の責任を負う。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ オ 4.ウ エ 5.ウ オ
解答 5
MN4120H26-29K 不法行為 A
不法行為に関する次の1から4までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか。
1.Aの前方不注意による自動車の運転によってBが重傷を負い,Bを治療したCの過失によってBが死亡した場合において,ACの各行為が共同不法行為となるときであっても,Bの死亡という結果の発生に対するA及びCの寄与の割合をそれぞれ確定することができるときは,Aは,Bの死亡による損害の全額を賠償する責任を負わない。
2.土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによってAに損害が生じた場合において,その工作物の占有者であるBが損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは,その工作物の所有者であるCが,Aに対し,その損害を賠償する責任を負う。
3.複数の加害者であるABの過失と被害者Cの過失が競合する1つの交通事故において,その交通事故の原因となった全ての過失の割合を認定することができ,A,B及びCの過失割合が順次5:3:2である場合には,ABは,Cに対し,連帯して,その損害の8割に相当する額を賠償する責任を負う。
4.Aの不法行為により未成年者Bが重傷を負った場合において,Bが事理弁識能力を有していなかったときであっても,その損害の発生についてBの親に監督上の過失が認められるときには,Aは,過失相殺による損害額の減額を主張することができる。
解答 1
MN4130H28-29 不法行為 B
不法行為に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか。
1.不法行為による損害賠償債務は,不法行為の時に,催告を要することなく遅滞に陥る。
2.被用者の重大な過失により火災が発生した場合において,使用者にその被用者の選任及び監督について過失があるときは,使用者は,その選任及び監督についての過失が重大なものではないことを理由として,その火災により生じた損害を賠償する責任を免れることはできない。
3.事業の執行について不法行為を行った被用者が損害を賠償する責任を負うときであっても,その被用者を雇用する法人の代表者は,被用者の選任又は監督を現実に担当していなければ,被用者の不法行為について,代理監督者として損害を賠償する責任を負わない。
4.交通事故の被害者が事故に起因する後遺障害のために労働能力の一部を喪失した後,別の原因により死亡した場合,労働能力の一部喪失による財産上の損害の額の算定に当たっては,交通事故と被害者の死亡との間に相当因果関係があって死亡による損害の賠償をも請求できる場合に限り,死亡後の生活費を控除することができる。
5.自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていない未成年者の行為により火災が発生した場合において,未成年者にその火災につき重大な過失がなかったときは,その未成年者を監督する法定の義務を負う者はその火災により生じた損害を賠償する責任を負わない。
解答 5
MN4140H30-29 不法行為 A
不法行為に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.精神上の障害により責任無能力者となった夫と同居する妻は,責任無能力者である夫を監督する法定の義務を負う者として,夫が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
イ.請負人がその仕事について第三者に損害を加えた場合には,その注文又は指図について注文者に過失があったときを除き,注文者は,その損害を賠償する責任を負わない。
ウ.土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害が生じた場合において,その工作物の所有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは,その工作物の占有者が,その損害を賠償する責任を負う。
エ.動物の占有者は,その動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは,その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負わない。
オ.交通事故により傷害を受けた者が搬送先の医師の診療上の過失により死亡した場合には,交通事故の加害者と医師が被害者の被った損害について連帯して賠償する責任を負うことはない。
1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.ウ オ
解答 4
MN4150R01-28 不法行為 A
不法行為に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わMN4151R03-29K 不法行為 Aせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害が生じ,Aがその工作物の占有者として損害賠償の責任を負う場合において,その損害を賠償したAは,その損害の原因について責任を負うBに対し,求償権を行使することができる。
イ.Aが所有する樹木の植栽又は支持に瑕疵があることによってBに損害が生じた場合であっても,Aが相当の注意をもってその管理をしていたときは,Aが損害賠償の責任を負うことはない。
ウ.Aが所有する甲建物の設置又は保存に瑕疵があることによってBに損害が生じた場合には,その瑕疵がAの前の所有者が甲建物を所有していた時期に生じたものであるときであっても,Aは,甲建物の所有者として損害賠償の責任を負う。
エ.Aがその所有する甲建物をBに賃貸し,Bが甲建物をCに転貸し,それぞれ引渡しがされた場合には,甲建物の設置又は保存に瑕疵があることによって第三者に生じた損害について,Bが占有者として損害賠償の責任を負うことはない。
オ.土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによってAに損害が生じ,その工作物の占有者Bが損害賠償の責任を負う場合において,Bが無資力であるときは,その工作物の所有者も損害賠償の責任を負う。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ
解答 1
MN4151R03-29K 不法行為 A
不法行為に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.未成年者が他人に損害を加えた場合,その未成年者の親権者が損害賠償責任を負うことはあっても,未成年者が損害賠償責任を負うことはない。
イ.故意又は過失によって一時的に自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態を招いた者は,その状態にある間に他人に加えた損害について賠償責任を負う。
ウ.使用者が被用者の加害行為につき使用者責任に基づいて第三者に損害賠償をした場合であっても,使用者の被用者に対する求償権は生じない。
エ.請負人がその仕事について第三者に損害を加えた場合,注文又は指図について過失のない注文者は,その第三者に対する損害賠償責任を負わない。
オ.人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権は,時効によって消滅しない。
1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.ウ オ
解答 4
MN4170R01-29K 過失相殺 A
過失相殺及び損益相殺に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.被害者の過失を考慮するためには,被害者に自己の行為の責任を弁識するに足りる知能が備わっていることを要する。
イ.内縁の夫が運転する自動車に同乗していた者が,内縁の夫と第三者の双方の過失による交通事故で負傷し,第三者に対し損害賠償を請求する場合において,裁判所は,損害賠償の額を定めるに当たり,内縁の夫の過失を被害者側の過失として考慮することはできない。
ウ.複数の加害者の過失及び被害者の過失が競合する一つの交通事故において,その交通事故の原因となった全ての過失の割合(いわゆる絶対的過失割合)を認定することができるときには,絶対的過失割合に基づく被害者の過失による過失相殺をした損害賠償額について,加害者らは連帯して共同不法行為に基づく賠償責任を負う。
エ.被害者に対する加害行為と加害行為前から存在した被害者の疾患とが共に原因となって損害が発生した場合において,当該疾患の態様,程度などに照らし,加害者に損害の全部を賠償させるのが公平を失するときは,裁判所は,損害賠償の額を定めるに当たり,過失相殺の規定を類推適用して,被害者の疾患を考慮することができる。
オ.不法行為により死亡した被害者の相続人が加害者に対し不法行為に基づく損害賠償を請求した場合,裁判所は,生命保険契約に基づいて給付される死亡保険金の額を,損益相殺により損害賠償額から控除することができる。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ オ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 4
MN4190H29-30K 共同不法行為 A
Aが運転するタクシーとBが運転するタクシーが衝突する交通事故(以下「本件事故」という。)が発生し,Aが運転するタクシーの乗客Cが負傷し,Cに300万円の損害が生じた。本件事故についての過失割合は,Aが4割で,Bが6割であり,Cに過失はなかった。この事例に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.CがAに対して本件事故後3年以内に損害賠償を請求する訴訟を提起すれば,CのBに対する損害賠償請求権の消滅時効も完成しない。(問改)
(イ.BがCに対して損害賠償債務の弁済として100万円の支払をした場合には,Bは,Aに対し,40万円を求償することができる。)解答不能
ウ.Bが,Cとの間で,BがCに対して200万円を支払うとともに,CがAの損害賠償債務及びBのその余の損害賠償債務を免除する旨の和解契約を締結した場合であっても,Cは,Aに対し,100万円の支払を求めることができる。
エ.Aに使用者Dがおり,Dが本件事故について使用者責任を負う場合において,DがCに対して損害賠償債務の弁済として300万円を支払ったときは,Dは,Aに対し,信義則上相当と認められる限度において求償することができる。
オ.Bに使用者Eがおり,Eが本件事故について使用者責任を負う場合において,AがCに対して損害賠償債務の弁済として300万円を支払ったときは,Aは,Eに対し,180万円を求償することができる。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ
解答 5
第10編 総合問題
MN5030H24-08 善意・悪意 B
法律上の要件としての善意又は悪意に関する次の1から5までの各記述のうち,誤っているものはどれか。
1.相続開始の1年前の日より前にされた贈与は,それがされた当時に当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知っていたとき,その価額が遺留分算定の基礎となる財産の価額に算入される。
2.Aが所有する不動産をBが占有する場合において,Bが,10年間の占有を継続したことを理由として,この不動産の所有権を時効により取得するためには,Bは,占有を開始した時に善意無過失であればよく,その後にBが悪意になっても,Bの時効取得の成否に影響しない。
3.善意の占有者が本権の訴えにおいて敗訴したときは,その訴え提起の時から悪意の占有者とみなされる。
4.判例によれば,Aが所有する不動産を7年間継続して占有したBから,この不動産を買い受けて引渡しを受けたCが更に4年間継続して占有する場合において,Cが,10年間の占有を継続したことを理由として,この不動産の所有権を時効により取得するためには,Bが占有を開始した時に善意であれば,Cの占有開始時にCが善意である必要はない。
5.Aに対する債権者Bが,AからCへの不動産の贈与を詐害行為を理由に転得者Dを被告として取り消す場合,その請求が認められるためには,その贈与がBを害することを,AC間の贈与の当時,Dが知っていたことが必要である。
解答 5
MN5040R01-37 注意義務 A
物の保存又は財産の管理についての注意義務に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.特定物の引渡しを目的とする債権の債務者は,債権者に受領遅滞があった場合であっても,善良な管理者の注意をもって,目的物を保存する義務を負う。
イ.特定物の引渡しを目的とする債権の債務者が負う目的物の保存の義務は,特約により軽減することができる。
ウ.贈与契約の贈与者は,目的物の引渡しまでの間,自己の財産に対するのと同一の注意をもって,目的物を保存すれば足りる。
エ.相続人は,相続の承認又は放棄をするまでの間,その固有財産におけるのと同一の注意をもって,相続財産を管理すれば足りる。
オ.限定承認者は,善良な管理者の注意をもって,相続財産を管理する義務を負う。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ オ
解答 3
MN5060H27-04 表見法理 B
表見法理に関する次の1から4までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか。
1.AがBに対しA所有の甲土地を売却する代理権を与えていないのに,その代理権を与えた旨をCに表示し,BがAの代理人としてCとの間で甲土地の売買契約を締結した場合,Aは,CがBに代理権がないと知っていたこと,又は過失により知らなかったことを立証しなければ,甲土地の引渡債務を免れることができない。
2.AがBと通謀してA所有の甲土地につきAB間で売買予約がされた旨仮装し,Bへの所有権移転登記請求権保全の仮登記をした後,Bが偽造書類を用いて仮登記を本登記にした上で,善意無過失のCに甲土地を売却し,Cへの所有権移転登記をした場合,Cは,Aに対し,甲土地の所有権をCが有することを主張することができる。
3.AがBと通謀してA所有の甲土地につきAB間で売買契約がされた旨仮装し,Bへの所有権移転登記をした後,Bが甲土地をCに売却した場合,Aは,CがAB間の売買契約が虚偽表示であることを知っていたことを立証しなければ,Cに対し,甲土地の所有権をAが有することを主張することができない。
4.AがBに対しA所有の甲土地を売却する代理権を与えていないのに,Bが甲土地につきAからBへの所有権移転登記をした上で,その事情について善意無過失のCに甲土地を売却した場合,Aが甲土地の登記済証及びAの印鑑登録証明書をBに預けたままにし,Aの面前でBがAの実印を登記申請書に押捺するのを漫然と見ていたなど,Aの帰責性の程度が自ら外観の作出に積極的に関与した場合やこれを知りながらあえて放置した場合と同視し得るほど重いときは,Cは,Aに対し,甲土地の所有権をCが有することを主張することができる。
解答 3
MN5080H27-35 催告 A
催告に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.被保佐人との間で不動産の売買契約を締結した者が,保佐人に対し,1か月以上の期間を定めて,その期間内にその売買契約を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をし,保佐人がその期間内に確答を発しなかった場合には,その売買契約を追認したものとみなされる。
イ.無権代理人がした売買契約について,その売買契約の相手方が,本人に対し,相当の期間を定めて,その期間内にその売買契約を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をし,本人がその期間内に確答をしなかった場合には,その売買契約を追認したものとみなされる。
ウ.債権者があらかじめ弁済の受領を拒んでいるときは,債務者は,弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすれば,債務不履行責任を免れる。
エ.債務不履行に基づく解除権が発生した場合,その相手方が,解除権を有する者に対し,相当の期間を定めて,その期間内に解除をするかどうかを確答すべき旨の催告をし,その期間内に解除の通知を受けなかったときは,解除権は,消滅する。
オ.遺贈義務者が,受遺者に対し,相当の期間を定めて,その期間内にその遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告をし,受遺者がその期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しなかった場合には,その遺贈を放棄したものとみなされる。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ オ 4.ウ エ 5.ウ オ
解答 3
MN5110H26-11 物権変動の当事者の合意 A
物権又はその得喪若しくは変更について当事者がする合意に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.抵当権の順位の変更は,各抵当権者の合意のみによって効力を生ずるが,それを第三者に対抗するためには,その登記をしなければならない。
イ.土地を所有する者が売主となる売買において,当事者間で合意をすれば土地上の立木についての所有権を当該売主に留保することができるが,それを第三者に対抗するためには,当該売主が立木の所有者である旨を公示する対抗要件を具備しなければならない。
ウ.抵当権者は,利息その他の定期金の全額を被担保債権とする旨の定めを設定行為でしたときは,その定めに従い他の債権者に優先して抵当権を行使することができる。
エ.売買においては,目的物の所有権は,契約成立時に移転することが原則であるが,これと異なる時期に所有権が移転するものと定めることができる。
オ.不動産質権者は,設定者の承諾を得なければ,質権の目的である不動産の使用及び収益をすることができない。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ
解答 4
MN5120H28-07 登記請求権と物権的請求権 A
登記請求権及び物権的請求権に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.AがB所有の甲土地をBから買い受け,BからAへの所有権移転登記を経由した後に,AB間の売買契約が解除された場合,Bは,Aに対し,甲土地の所有権移転登記の抹消登記手続を請求することができる。
イ.AがBとの間の売買契約に基づき買い受けた甲土地がBの所有でなかった場合,Aは,Bに対し,甲土地の所有権移転登記手続を請求することができない。
ウ.動産質権者は,第三者に質物の占有を奪われたときは,質権に基づきその質物の返還を請求することができる。
エ.判例によれば,抵当不動産の所有者Aから占有権原の設定を受けてこれを占有するBに対し,抵当権者Cが抵当権に基づく妨害排除請求権を行使することができる場合,Aにおいて抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できないときには,Cは,Bに対し,直接自己への抵当不動産の明渡しを請求することができる。
オ.地役権者は,承役地を不法占拠している者に対し,地役権に基づき,自己への承役地の明渡しを請求することができる。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
解答 2
MN5130H29-08 物権の消滅 A
物権の消滅等に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.AとBが甲土地を共有している場合において,Aがその共有持分を放棄したときは,Aの共有持分はBに帰属する。
イ.A所有の甲土地には,第一順位の抵当権を有しているBと第二順位の抵当権を有しているCがおり,他には抵当権者がいない場合,CがAから甲土地を譲り受けたときでもCの抵当権は消滅しない。
ウ.A所有の甲土地についてBが建物所有目的で地上権の設定を受けてその旨の登記がされ,甲土地上にBが乙建物を建築して所有権保存登記がされた後に,甲土地にCのための抵当権が設定され,その旨の登記がされた場合には,その後にAが単独でBを相続したときでも,その地上権は消滅しない。
エ.AとBは,建物所有目的で,CからC所有の甲土地を賃借した。その後,Cが死亡してAが単独で甲土地を相続した場合,Aの賃借権は消滅しない。
オ.A所有の甲土地についてBが建物所有目的で地上権の設定を受けてその旨の登記がされ,甲土地上にBが乙建物を建築して所有権保存登記がされた後に,乙建物にCのための抵当権が設定され,その旨の登記がされた。その後,Bは,Aに対し,その地上権を放棄する旨の意思表示をした。この抵当権が実行され,Dが乙建物を取得した場合,Dは,Aに対し,地上権を主張することができない。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ オ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 3
MN5140H28-17K 債権の目的 A
債権に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものはどれか。
1.金銭債権は,当事者の意思表示によって,不可分債権とすることはできる。(問改)
2.判例によれば,履行の場所につき別段の定めのない種類債権の目的物は,債務者が債権者の住所に目的物を発送した時に特定する。
3.不可分債権者の一人が債務者に対して債務を免除した場合であっても,他の不可分債権者は,債務者に対し,債務の全部の履行を請求することができる。
4.生命又は身体が侵害されたことによって生じた不法行為に基づく損害賠償請求権は,その性質上,第三者に譲渡することはできない。
5.債権の目的が数個の給付の中から選択によって定まるときは,その選択権は,債権者に属する。
解答 3
MN5150H26-36K 必要費 B
必要費に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.義務なく他人のために事務の管理を始めた者は,本人のために有益な債務を負担した場合において,その債務が弁済期にあるときは,本人に対し,自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。
イ.占有者は,占有物について通常の必要費を支出した場合であっても,果実を取得したときには,回復者にその償還をさせることはできない。
ウ.動産質権者は,継続して占有している質物について通常の必要費を支出した場合であっても,所有者にその償還をさせることはできない。
エ.留置権者は,留置物について通常の必要費を支出した場合には,所有者にその償還をさせることができる。
オ.抵当不動産の第三取得者は,抵当不動産について通常の必要費を支出した場合には,果実を取得したときであっても,抵当不動産の代価から,他の債権者より先にその償還を受けることができる。
1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.ウ オ
解答 5
MN5160H27-36 利息 A
利息に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.留置権者は,留置物から生ずる果実を収取し,他の債権者に先立って,これを自己の債権の弁済に充当することができるが,その果実は,被担保債権の利息に充当され,なお剰余があるときでも,元本に充当することはできない。
イ.債務者が利息の支払を1年分以上延滞し,債権者が催告をしても,債務者がその利息を支払わないときは,債権者は,これを元本に組み入れることができる。
ウ.主たる債務者の委託を受けないで保証をした保証人が弁済をしたときは,主たる債務者は,弁済がされた日以後の法定利息をその保証人に支払わなければならない。
エ.売主が,買主から売買代金の一部を受領した後,買主の債務不履行を理由として売買契約を解除した場合において,売主がその売買代金の一部として受領した金銭を買主に返還するときは,その受領の時から利息を付さなければならない。
オ.売買契約において,売主の目的物引渡義務が先履行とされ,かつ,代金の支払について期限がある場合,買主は,その目的物の引渡しを受けた後も,代金の支払についての期限が到来するまでは,利息を支払う必要がない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ オ
解答 5
MN5170H29-37K 契約の第三者に対する効力 A
契約の第三者に対する効力に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.建物建築工事請負契約において,注文者と請負人との間に,契約が中途で解除された際の出来形部分の所有権は注文者に帰属する旨の約定がある場合に,当該契約が中途で解除されたときは,その請負人が下請負人に当該工事を請け負わせ,下請負人が自ら材料を提供して出来形部分を築造したとしても,当該出来形部分の所有権は注文者に帰属する。
イ.債務者と引受人との間の契約でする併存的債務引受は,債権者が引受けによる利益を享受する意思を表示しなくても,その効力が生ずる。
ウ.委任による代理人が適法に復代理人を選任した場合において,その復代理人が委任事務を処理するに当たり金銭その他の物を受領したときは,復代理人は,本人に対して受領物を引き渡す義務を負う。
エ.受寄者が寄託された宝石を適法に第三者に保管させたときは,その第三者は寄託者に対して,保管費用の償還を請求することができる。
オ.賃借人が適法に賃借物を転貸したときは,転借人は賃貸人に対して,賃借物の修繕を請求することができる。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ オ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 3
MN5180H24-22 債務の消滅 B
債務の消滅に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものを2個選びなさい。
1.建物賃貸借契約の終了について争いがあり,賃貸人が賃料の受領を拒んでいるときは,賃借人は,賃借人の住所地の供託所又は賃貸人の住所地の供託所に賃料を供託することができる。
2.判例によれば,金銭消費貸借契約を締結して1000万円を借り受けた債務者が,貸主との間で,金銭を支払う代わりに債務者所有の1000万円相当の土地を譲り渡す合意をしたときは,この合意の性質を代物弁済又は更改のいずれと解しても,合意成立の時点で旧債務は消滅する。
3.AのBに対する債権を担保するため,B所有の土地に抵当権が設定された後,CのBに対する債権を担保するためにその土地に後順位抵当権が設定された場合において,AがBを単独で相続したときは,Aの抵当権は消滅する。
4.債務者が1個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべき場合において,弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは,順次に費用,利息及び元本に充当される。
5.債権者が債務者に対して債務の免除をする場合には,債務者の同意がなければ,免除の効果は発生しない
解答 3,4
MN5190H30-36 混同 A
混同に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.債権質に供されている債権を債務者が相続したときは,当該債権は消滅する。
イ.賃貸人たる地位と転借人たる地位とが同一人に帰属した場合,転貸借関係は消滅する。
ウ.連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは,当該連帯債務者は弁済をしたものとみなされ,他の連帯債務者に対して負担部分の割合に応じて求償することができる。
エ.甲土地の賃借権が対抗要件を具備した後に,甲土地に抵当権が設定された場合において,甲土地の所有権と賃借権が同一人に帰属するに至ったときは,賃借権は消滅する。
オ.保証人が債権者を相続したときは,保証債務は消滅する。
1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.ウ オ
解答 5
MN5200R01-21 更改と混同 A
更改及び混同に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.消費貸借契約の成立後,第三者が借主と連帯して債務弁済の責任を負担することを約することは,更改に当たる。
イ.債権者の交替による更改は,確定日付のある証書によってしなければ,第三者に対抗することができない。
ウ.保証人が主たる債務者を単独で相続した場合,保証債務を担保するために抵当権が設定されているときは,保証債務は消滅しない。
エ.更改の当事者は,更改前の債務の目的の限度であれば,その債務の担保として第三者が設定した抵当権を,その第三者の承諾を得ずに更改後の債務に移すことができる。
オ.Aが所有する甲建物の賃借人BがAから甲建物を譲り受けて占有を継続していたが,CがAから甲建物を譲り受け,その旨の所有権移転登記を経由したため,Bにおいて甲建物の所有権の取得をCに対抗することができなくなったときは,賃借権は,Cに対する関係で消滅しなかったものとなる。
1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ オ 5.ウ エ
解答 1
MN5210R01-23 契約 A
契約に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものはどれか。
1.死因贈与は,負担付ですることができない。
2.準消費貸借は,目的物の引渡しがなければ成立しない。
3.使用貸借は,書面でしなければ成立しない。
4.寄託は,報酬を定めなければ成立しない。
5.民法上の組合契約の出資は,金銭を目的とするものに限られない。
解答 4
MN5220H24-28 契約の終了 B
契約の終了に関する次の1から5までの各記述のうち,誤っているものを2個選びなさい。
1.無利息の金銭消費貸借において,当事者が返還の時期を定めなかったときは,借主は,いつでも貸金を返還して契約を終了させることができる。
2.使用貸借は,借主の死亡によって終了する。
3.賃貸借が解除されたときは,その賃貸借は,契約の時にさかのぼって効力を失う。
4.組合の存続期間を定めた場合であっても,組合員が死亡したときは,その相続人は,組合を脱退することができる。
5.無償の寄託において,当事者が寄託物の返還の時期を定めなかったときは,受寄者は,いつでも寄託物を返還して契約を終了させることができる。
解答 3,4
MN5230R01-36 人の死亡 A
人の死亡に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.代理権を授与した本人が死亡しても,代理権は消滅しない。
イ.寄託者が死亡した場合,返還時期の定めがあり,その期限が到来していなくても,受寄者は寄託物を返還することができる。
ウ.使用貸借は,貸主の死亡によっても,その効力を失わない。
エ.組合員は死亡によって脱退する。
オ.受遺者が遺言者よりも先に死亡したときは,受遺者の地位は,相続により受遺者の相続人に承継される。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 4
MN5240H24-30 要件事実 B
AのBに対する訴訟に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものはどれか。
1.AB間に成立した保証が連帯保証ではない場合に,債権者Aが保証人Bに対し保証債務の履行を請求する訴訟において,Aは,主たる債務者に催告をしたことを請求原因として主張立証しなければならない。
2.AB間に成立した請負が仕事の目的物の引渡しを要するものである場合に,請負人Aが注文者Bに対し報酬を請求する訴訟において,Aは,仕事の目的物を引き渡したことを請求原因として主張立証しなければならない。
3.AがBに対し動産の売買代金を請求する訴訟において,Aは,目的動産の引渡しを提供したことを請求原因として主張立証しなければならない。
4.判例によれば,AがBに対し貸金の返還を請求する訴訟において,Aとの動産の売買に基づく代金債権をもってする相殺を主張するBは,目的動産の引渡しを提供したことを主張立証しなければならない。
(5.判例によれば,Aが,Bに対し遺留分減殺請求権を行使した上で,被相続人からBが受けた贈与の目的物の返還を請求する訴訟において,Bが贈与の目的物の価額を弁償する旨の意思表示をしたときは,Aの請求は棄却される。)問題不適切
解答 4
MN5250H27-13K 要件事実 B
Aが,A所有の甲動産を占有するBに対し,所有権に基づく甲動産の引渡請求訴訟を提起したところ,Bは,Aの夫Cから質権の設定を受けその質権を即時取得した旨の反論をした。この場合に関する次の1から4までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものはどれか。
1.占有者が占有物について行使する権利は,適法に有するものと推定されるから,Bは,質権の即時取得の成立を基礎付ける事実を主張・立証する必要はない。
2.Bは,Cとの間で質権設定の合意をし,その合意に基づいてCから甲動産の引渡しを受けたことを主張・立証する必要がある。
3.Bは,質権の被担保債権の発生原因事実を主張・立証する必要はなく,Aが,質権の被担保債権の消滅原因事実を主張・立証する必要がある。
4.Bは,Cに甲動産の所有権がないことについてBが善意であることを主張・立証する必要はないが,Bに過失がないことを主張・立証する必要がある。
解答 2
MN5260H30-07 要件事実 B
Aは,Bとの間でAが所有する甲土地を売却する旨の売買契約(以下「本件第1売買契約」という。)を締結し,Bからその代金の支払を受けたが,AからBへの所有権移転登記手続をせず,Cとの間で甲土地を売却する旨の売買契約(以下「本件第2売買契約」という。)を締結し,AからCへの所有権移転登記手続をした。その後,Aは行方不明になり,Bは,Cに対し,所有権に基づいてCからBへの移転登記手続請求訴訟を提起した。この場合に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Bは,請求原因として,Aが甲土地を所有していたこと,本件第1売買契約の成立及びCの登記の存在を主張立証しなければならない。
イ.Cは,対抗要件の抗弁を主張する場合には,本件第2売買契約の成立及びCが本件第2売買契約締結当時,本件第1売買契約について善意無過失であったことを主張立証しなければならない。
ウ.Cは,BがBのCに対する登記請求権を行使することができる時から20年以上行使していなかったとしても,その登記請求権の時効による消滅をもって,抗弁とすることはできない。
エ.Cが抗弁として本件第2売買契約の成立及びCの登記がこれに基づくことを主張立証した場合,Bは,Cが本件第2売買契約締結当時,本件第1売買契約について悪意であったことをもって,再抗弁とすることができる。
オ.本件第2売買契約がAの錯誤による場合,Cが抗弁として本件第2売買契約の成立及びCの登記がこれに基づくことを主張立証したときは,Bは,本件第2売買契約についてAに重要な錯誤があることをもって,再抗弁とすることができる。(問改)
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
解答 1
MN5270H25-03 単独行為 A
単独行為に関する次の1から5までの各記述のうち,誤っているものはどれか。
1.行為能力の制限を理由に取り消すことができる行為について,制限行為能力者の相手方は,その制限行為能力者が行為能力者となった後,その者に対し,1か月以上の期間を定めて,その期間内に追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができ,その場合に,その者がその期間内に確答を発しないときは,その行為を追認したものとみなされる。
2.遺贈に停止条件を付した場合において,その条件が遺言者の死亡後に成就したときは,遺贈は,条件が成就した時からその効力を生ずる。
3.時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には,その債権者は,消滅時効が完成した後であっても,相殺をすることができる。
4.表意者の法定代理人が,詐欺を理由に取り消すことができる法律行為を追認した場合であっても,その追認があったことを表意者本人が知らなかったときは,表意者本人は,その法律行為を取り消すことができる。
5.代理権を有しない者がした契約の本人による追認は,その契約を相手方が取り消した後は,することができない。
解答 4
MN5280H25-29 役務提供を目的とする契約 B
役務の提供を目的とする契約に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.雇用契約において期間によって定めた報酬は,その期間を経過した後に,請求することができる。
イ.請負契約において,請負人は,具体的な報酬額の定めがなければ,報酬を請求することができない。
ウ.委任事務を処理するについて費用を要するときは,委任者は,受任者の請求により,その前払をしなければならない。
エ.準委任契約の受任者は,委託事務を履行する前に報酬を請求することができる旨の特約がある場合であっても,委任事務を履行しない限り,委任者に報酬を請求することができない。
オ.商人がその営業の範囲内において寄託を受けた場合には,報酬を受けないときであっても,受寄者は,善良な管理者の注意をもって寄託物を保管する義務を負う。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ
解答 4
MN5290H28-13Y 年齢と身分行為 A
年齢に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.15歳に達した者は,遺言をすることができる。
イ.妻が26歳,夫が19歳の夫婦は,特別養子縁組における養親となることができる。
ウ.普通養子縁組において養子となる者が18歳であるときは,その法定代理人が,これに代わって,縁組の承諾をすることができる。
エ.養親となる者が家庭裁判所に対して特別養子縁組の成立の申立てをした時点で,養子となる者が15歳であるときは,家庭裁判所は,特別養子縁組を成立させることはできない。(問改)
オ.16歳の子を持つ母がその子の父との婚姻により氏を改めたため,その子が父母と氏を異にする場合には,その子は,父母の婚姻中に限り,家庭裁判所の許可を得ないで,戸籍法の定めるところにより届け出ることによって,その父母の氏を称することができる。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 3
MN5300H26-37 民法と特別法の関係 B
民法と特別法の関係に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.一般社団法人は,法令の規定に従い,定款で定められた目的の範囲内において,権利を有し,義務を負う。
イ.法人が金銭債権を譲渡した場合において,当該債権の譲渡につき債権譲渡登記ファイルに譲渡の登記がされたときであっても,その債権の譲渡は,確定日付のある証書によって,譲渡人が債務者に通知をし,又は債務者が承諾をしなければ,債務者以外の第三者に対抗することができない。(問改)
ウ.消費者契約(消費者と事業者との間で締結される契約)において,事業者の詐欺により消費者がした意思表示は,取り消すことができる。
エ.建物の賃貸借は,これを登記した場合には,その建物の引渡しがされていないときであっても,その後その建物について物権を取得した者に対し,対抗することができる。(問改)
オ.製造物(製造又は加工された動産)を業として製造した者は,その引き渡した製造物の欠陥により他人の財産を侵害した場合,故意又は過失がなかったことを証明すれば,それによって生じた損害を賠償する責任を負わない。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ オ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 3
MN5310H29-36 団体等 B
団体等に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものはどれか。
1.組合の債権者は,各組合員に対して,その権利を行使することができない。
2.組合員の債権者は,組合財産に対して,その権利を行使することができる。
3.一般社団法人の債権者は,各社員に対して,その権利を行使することができる。
4.一般社団法人の社員の債権者は,法人の財産に対して,その権利を行使することができない。
5.権利能力なき社団の債権者は,各構成員に対して,その権利を行使することができる。
解答 4
MN5320R02-36 承継人 A
承継人に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.錯誤によって取り消すことができる行為は,錯誤による意思表示をした者の契約上の地位の承継人も,取り消すことができる。
イ.時効の完成猶予の効力は,その事由が生じた当事者の承継人に対しては生じない。
ウ.占有者の包括承継人は,取得時効に関して,自己の占有のみを主張することもできる。
エ.共有者の一人であるAが共有物について他の共有者であるBに対して有する債権は,Bの
特定承継人に対しては,行使することができない。
オ.遺留分権利者の承継人は,遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ エ
解答 3
MN5330R02-37 撤回 B
撤回に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.選択債権について債務者が選択権行使の意思表示をした場合,その意思表示は,債権の弁済期前であっても,債権者の承諾を得なければ,撤回することができない。
イ.解除の意思表示は,撤回することができない。
ウ.相続の放棄は,相続の承認又は放棄をすべき期間内は,撤回することができる。
エ.遺贈の承認は,遺贈義務者が履行に着手するまでは,撤回することができる。
オ.遺言者は,その遺言を撤回する権利を放棄することができない。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 4
MN5340R03-36 費用の負担 B
費用の負担に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.相続財産に関する費用は,相続人の過失によるものを除き,相続財産の中から支弁する。
イ.債務者が債務の履行を提供したが,債権者が債務の履行を受けることができなかった場合,それによって増加した履行の費用は,債務者が負担する。
ウ.賃貸借契約の締結に関する費用は,当事者双方が等しい割合で負担する。
エ.Aの所有する甲土地を悪意で占有していたBは,甲土地をAに返還する場合には,甲土地に関して支出した通常の必要費の償還をAに請求することはできない。
オ.Aの所有する甲建物の配偶者居住権を有するBは,甲建物をAに返還する場合において,それ以前に支出した有益費につき,その価格の増加が返還時に現存するときは,Aの選択に従い,その支出した金額又は増価額について償還を受けることができる。
1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.ウ オ