第1編 行政法の基礎 第4章 基本原理
GY0040H27-13Y 行政活動にかかる立法・基準 B
行政活動に係る立法及び基準に関する次のアからエまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.法律に定められた租税を行政機関が減免する措置をとるためには,法律の根拠が必要である。
イ.国は,国の補助金を交付するための根拠として,補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律を定めているのであり,地方公共団体は,同法に相当する条例を制定しない限り,補助金を交付することができない。
ウ.行政庁が,申請に対しどのような処分をするかについて法令の規定に従って判断するための基準を定めるには,法律の委任が必要であり,行政手続法に委任規定が置かれている。
エ.下級行政機関は上級行政機関の発する通達に拘束されるから,行政機関が通達に反する処分をした場合,当該処分は権限を逸脱して行われたものとして無効となる。
解答 ア1,イ1,ウ2,エ2
GY0090H30-13Y 信義則の法理 B
以下のAからCは,行政上の法律関係における信義則の法理の適用に関する文章である。次のアからウまでの【 】内の各記述について,最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
A:納税者が,所得税について,青色申告の承認を受けることなく,青色申告書による確定申告をしたところ,税務署長が青色申告の承認があるかどうかの確認を怠り申告書を受理し,さらに,翌年分以降の所得税についても青色申告用紙を送付し,青色申告書による確定申告を受理するなどしてきた事案に関する最高裁判所昭和62年10月30日第三小法廷判決(裁判集民事152号93頁)は,(ア)【租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係において,信義則の法理の適用が認められるかどうかの判断に当たっては,納税者が税務官庁の表示した公的見解を信頼して行動した後に,その表示に反する課税処分が行われたため,経済的不利益を受けることになったかどうか,また,その表示を信頼し,その信頼に基づいて行動したことについて納税者に帰責事由がないかどうか,という点の考慮が不可欠であると判断したものである。】
B:地方公共団体が一定内容の継続的な施策を決定し,特定の者に対し同施策に適合する特定内容の活動を促す個別的具体的な勧告ないし勧誘をし,当該特定の者も,相当長期にわたる同施策の継続を前提にして初めて投入した資金や労力に相応する効果を生じ得るような性質の特定内容の活動を行ったが,その後の施策の変更により,当該特定の者に看過し得ない程度の積極的損害が発生した事案に関する最高裁判所昭和56年1月27日第三小法廷判決(民集35巻1号35頁)は,(イ)【上記事情の下において上記損害を補償するなどの代償的措置を講ずることなく施策を変更することは,それがやむを得ない客観的事情によるのでない限り,当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして違法性を帯びると判断したものである。】
C:原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律等に基づき被爆者に対して支給される健康管理手当の受給権につき,法令上の根拠がないのに,被爆者が国外に居住地を移した場合に失権の取扱いとなるものと定めた違法な通達に基づき,地方公共団体が支給を打ち切った事案に関する最高裁判所平成19年2月6日第三小法廷判決(民集61巻1号122頁)は,(ウ)【上記通達に基づき違法な事務処理をしていた地方公共団体が,未支給の健康管理手当の支給義務を免れるために消滅時効を主張することは,特段の事情のない限り,信義則に反し許されないと判断したものである。】
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×
解答 3
GY0100R01-13Y 行政上の法律関係 A
行政上の法律関係に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.国家公務員の災害補償について国家公務員法や国家公務員災害補償法等に詳細な定めが置かれていることからすると,国が国家公務員に対して,安全配慮義務違反に基づく損害賠償責任を負うとはいえない。
イ.公営住宅の使用関係については,事業主体と入居者との間の法律関係が,基本的には私人間の家屋賃貸借関係と異なるところはないとしても,民法及び借地借家法は適用されない。
ウ.国税滞納処分における国の地位は,民事上の強制執行における差押債権者の地位に類するものであるから,国税滞納処分による差押えの関係においても民法第177条の適用がある。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×
解答 7
GY0101R03-13Y 各省大臣による規範の定立 B
各省大臣による規範の定立に関する次のアからウまでの各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.各省大臣は,主任の行政事務について,法律又は政令の特別の委任に基づくことなく,法律又は政令を施行するための省令を発することができる。
イ.各省大臣の発する告示は,必要な事項を国民に公示するものにすぎず,文部科学大臣の発する告示である学習指導要領は,法規としての性質を有しない。
ウ.各省大臣の発する通達は,その機関の所掌事務についての所管の諸機関及び職員に対する拘束力を有する命令又は示達であり,法規としての性質を有する。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×
解答 4
第2編 行為類型 第1章 行政立法
GY0150H29-13Y 法律と法規命令 B
以下のAからCは,法律と法規命令との関係が問題とされた最高裁判所の判決に関する文章である。次のアからウまでの【 】内の各記述について,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
A:被勾留者の接見について,原則として幼年者との接見を許さないとした上で例外として限られた場合に監獄の長の裁量によりこれを許すこととしていた旧監獄法施行規則の規定と,旧監獄法との関係が問題とされた最高裁判所平成3年7月9日第三小法廷判決(民集45巻6号1049頁)は,(ア)【憲法及び旧監獄法による委任の趣旨を踏まえて限定的に解釈すれば,上記施行規則の規定は旧監獄法による委任の範囲を超えていないとしたものである。】
B:父から認知された婚姻外懐胎児童を児童扶養手当の支給対象となる児童の範囲から除外した児童扶養手当法施行令の規定の一部と,児童扶養手当法との関係が問題とされた最高裁判所平成14年1月31日第一小法廷判決(民集56巻1号246頁)は,(イ)【児童扶養手当法による委任の範囲を逸脱したものとして,上記施行令の規定の一部を違法無効と判断したものである。】
C:国家公務員に禁止される「政治的行為」の具体的内容を定めた人事院規則の規定と,国家公務員法との関係が問題とされた最高裁判所平成24年12月7日第二小法廷判決(刑集66巻12号1722頁)は,(ウ)【憲法の規定及び国家公務員法の委任の趣旨を踏まえて,上記規則の規定を限定的に解釈したものである。】
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×
解答 5
GY0190H30-14Y 行政処分 A
行政処分の効力に関する教員と学生の対話中の次のアからウまでの【 】内の各記述について,最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。なお,解答に当たっては,行政庁が以下の農地買収計画を定めることが,いずれも旧自作農創設特別措置法(昭和21年法律第43号。昭和27年廃止)に基づく行政処分であること,同法に基づく農地買収計画に対する争訟の手続は,買収対象となる農地の所有者が異議申立てや訴願(以下,これらを併せて「不服申立て」という。)を前置する制度であったこと,同法に基づく農地買収計画に係る最高裁判所の判例で示された行政処分の効力に係る行政法の理論が現行法においても通用することを前提としなさい。
教員:行政庁が,ある農地買収計画を定めた後に,その農地買収計画の内容が違法又は不当であると判断した場合の行政処分の効力について考えてみましょう。当該行政庁は,当該農地買収計画に係る法定の不服申立て期間が徒過した後において,法律上の定めがなくても,当該農地買収計画を自ら取り消すことはできるでしょうか。
学生:(ア)【農地買収計画を定めた行政庁は,当該農地買収計画に係る法定の不服申立て期間の徒過により争訟手続によってその効力を争い得なくなった後は,当然無効と認められる場合を除き,当該農地買収計画を自ら取り消すことができないものと解されます。】
教員:では,農地買収計画が違法であるが,権限ある機関により取り消されていない場合に,その行政処分の効力がない場合とはどのような場合ですか。
学生:(イ)【農地買収計画の違法が重大かつ明白で当然無効ならしめるものと認められる場合には,権限ある機関による取消しを待たずに,その効力を有しないものと解されます。】
教員:では,行政庁がある農地について農地買収計画を定めたが,裁決庁が当該農地の所有者からの不服申立てにより当該農地買収計画から当該農地を除外する旨の裁決を行い確定したという事例で,行政処分の効力について考えてみましょう。当該裁決庁は,その裁決が違法であると判断する場合に,特別の規定がなくてもその裁決を自ら職権で取り消すことができるでしょうか。当該裁決では,一定の争訟手続に従い,当事者を手続に関与させて,紛争の終局的解決を図ることを目的として,実質的には法律上の争訟を裁判していたものと認められることを前提として,考えてください。
学生:(ウ)【当該裁決は,実質的には法律上の争訟を裁判するものであることから,特別の規定がない限り,裁決庁が自ら取り消すことはできないものと解されます。】
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×
解答 5
GY0250R01-14Y 行政行為 A
行政行為に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.行政行為の効力が生ずるのは,特段の定めのない限り,相手方が現実に当該行政行為を了知したか,当該行政行為が相手方の了知し得べき状態に置かれたときである。
イ.行政行為がその成立時から違法であった場合,当該行政行為を行った行政庁は,その取消しにより相手方に生ずる不利益の大きさにかかわらず,当該行政行為を取り消すことができる。
ウ.行政行為がその成立時には違法でなかったものの,その後の事情の変化によりこれを存続させることが公益に適合しなくなった場合,当該行政行為を行った行政庁は,法令上,その撤回について直接明文の規定がある場合に限り,当該行政行為の効力を将来に向かって消滅させることができる。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×
解答 4
GY0251R03-14Y 行政行為 B
行政行為に関する次のアからウまでの各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.行政庁が適法に行った行政行為をその後の事情の変化に伴って将来に向かって撤回することは,法令上直接明文の規定がなくとも可能であるが,それによって不利益を被る者に生じる損失を補償しなければ当該撤回の効力は生じない。
イ.課税処分の違法性は,滞納処分に承継されないことから,滞納処分の取消訴訟において,課税処分の違法を滞納処分の違法事由として主張することは許されないが,課税処分に重大かつ明白な違法があって無効であるとの主張をすることは許される。
ウ.裁決庁が,一定の争訟手続に従って,当事者を手続に関与させて,紛争の終局的解決を図ることを目的とする裁決をした後に当該裁決の誤りに気が付いた場合,特別の規定がなくとも当該裁決を取り消すことは可能であるが,取消しによって生ずる不利益と,取消しをしないことによる不利益とを比較考量し,当該裁決を放置することが公共の福祉の要請に照らし著しく不当と認められることが必要となる。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×
解答 6
GY0350H27-16Y 行政裁量 A
行政裁量に関する次のアからウまでの各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.公立学校の校長が行った学生に対する退学処分の適否を裁判所が審査するに当たっては,裁判所が校長と同一の立場に立ってした判断と校長がした判断との間に食い違いがあれば,当該処分は違法とされる。
イ.国家公務員に対する懲戒処分について規定する国家公務員法第82条第1項は,懲戒権者に要件裁量を認める趣旨の規定であり,効果裁量を認める趣旨の規定ではない。
(参照条文)国家公務員法
第82条 職員が,次の各号のいずれかに該当する場合においては,これに対し懲戒処分と
して,免職,停職,減給又は戒告の処分をすることができる。
一 この法律若しくは国家公務員倫理法又はこれらの法律に基づく命令(中略)に違反した場合
二 職務上の義務に違反し,又は職務を怠つた場合
三 国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合
2 (略)
ウ.都市施設に係る都市計画決定に当たっては,当該都市施設に関する諸般の事情を総合的に考慮した上で,政策的,技術的な見地から判断することが不可欠であり,このような判断は,これを決定する行政庁の広範な裁量に委ねられている。したがって,裁判所は,行政庁が判断の過程において考慮すべき事項を考慮せずに都市計画決定を行ったことを理由に挙げて,当該決定を違法とすることはできない。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×
解答 8
GY0360H28-15Y 行政裁量 A
行政裁量に関する次のアからエまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.不利益処分を行う行政庁に裁量権が認められる場合でも,処分の必要性と処分による不利益の内容との権衡の観点から当該処分を選択することの相当性を基礎付ける具体的な事情が認められることを要するとされることがある。
イ.処分を行う行政庁に裁量権が認められる場合でも,処分の理由の提示に不備があったときは,当該処分の取消事由となることがある。
ウ.申請に対する裁量処分を行うかどうかを判断するための審査基準となる通達があるときは,行政庁は,当該通達に拘束されるから,事案の性質に応じて当該通達の定めと異なる内容の処分をすることは許されない。
エ.生活扶助の老齢加算の廃止を内容とする生活保護法による保護の基準の改定については,厚生労働大臣の専門技術的かつ政策的な裁量に委ねられている。したがって,裁判所は,厚生労働大臣による最低限度の生活の具体化に係る判断の過程及び手続における過誤,欠落の有無等の観点からみて裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があると認められることを理由に,当該保護の基準の改定を違法とすることはできない。
解答 ア1,イ1,ウ2,エ2
GY0370H29-16Y 行政裁量 A
行政裁量に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.公立高等専門学校の校長が学生に対し退学処分を行うかどうかの判断は,校長の合理的な教育的裁量に委ねられるべきものであるが,退学処分は,当該学生を学外に排除することが教育上やむを得ないと認められる場合に限って選択されるべきであり,その要件の認定につき他の処分の選択に比較して特に慎重な配慮が要請される。
イ.原子炉施設の安全性に関する判断の適否が争われる原子炉設置許可処分の取消訴訟における裁判所の審理,判断は,専門技術的な調査審議及び判断を基にしてされた行政庁の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであるから,その合理性の有無は当該設置許可処分時の科学技術水準に照らして審理,判断されるべきである。
ウ.公立学校施設の目的外使用を許可するか否かは,原則として,管理者の裁量に委ねられているものと解されるが,学校施設の設置目的に照らせば,学校教育上支障がない場合には原則として許可すべきものであり,学校教育上の支障がないにもかかわらず不許可とすることは管理者の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用となる。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×
解答 4
GY0380H30-16Y 行政裁量 B
行政裁量に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.裁判所は,出入国管理及び難民認定法に基づく,「在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由」があるかどうかに関する法務大臣の判断について,それが違法となるかどうかを審理,判断するに当たっては,上記法務大臣の判断が裁量権の行使としてされたものであることを前提として,その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により上記判断が全く事実の基礎を欠くかどうか,又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により上記判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるかどうかについて審理し,それが認められる場合に限り,上記判断が裁量権の範囲を超え又はその濫用があったものとして違法であるとすべきものである。
イ.高等学校用の教科用図書の検定における合否の判定等に係る文部科学大臣の判断について,教科用図書検定調査審議会の判断の過程に,原稿の記述内容又は欠陥の指摘の根拠となるべき検定当時の学説状況,教育状況についての認識や,検定の基準に違反するとの評価等に看過し難い過誤があって,文部科学大臣の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には,上記判断は,裁量権の範囲を逸脱したものとして,国家賠償法上違法となる。
ウ.公害健康被害の補償等に関する法律に基づく水俣病の認定の申請を棄却する処分の取消訴訟における裁判所の審理,判断は,処分行政庁の判断の基準とされた認定の基準に現在の最新の医学水準に照らして不合理な点があるか否か,公害健康被害認定審査会の調査審議及び判断の過程に看過し難い過誤,欠落があってこれに依拠してされた処分行政庁の判断に不合理な点があるか否かといった観点から行われるべきものである。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×
解答 2
GY0401R02-14Y 行政裁量 A
行政裁量に関する次のアからエまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.車両制限令における道路管理者の特殊な車両の特例の認定は,同令所定の車両についての制限に関する基準に適合しないことが,車両の構造又は車両に積載する貨物が特殊であるためやむを得ないものであるかどうかの認定にすぎず,基本的には裁量の余地のない確認的行為の性格を有するものであるから,具体的事案に応じ道路行政上比較衡量的判断を含む行政裁量を行使することは,許されない。
イ.地方公共団体が,公共工事の契約に関する指名競争入札に参加させようとする者を指名するに当たり,工事現場等への距離が近く現場に関する知識等を有していることから契約の確実な履行が期待できることや,地元の経済の活性化にも寄与することなどを考慮し,地元企業を優先する指名を行うことは,その合理性を肯定することができる。
ウ.廃棄物の処理及び清掃に関する法律において,一般廃棄物処理業は,専ら自由競争に委ねられるべき性格の事業とは位置付けられていないものであり,一般廃棄物処理業の許可をするか否かの判断に当たっては,その申請者の能力だけではなく,一定の区域における一般廃棄物の処理がその発生量に応じた需給状況の下において,当該区域の全体にわたって適正に行われることが確保されるか否かを審査することが求められていることから,行政庁には一定の裁量が与えられていると解される。
エ.毒物及び劇物取締法に基づく毒物及び劇物の輸入業や販売業の登録は,登録を受けようとする者の設備の面から規制を加えるものであるが,行政庁には,専門技術的な裁量が認められていることから,設備だけではなく,登録の対象となる製品の用途や目的を考慮し,当該製品による人の生命身体への危険が予測できる場合には,登録を拒否することができる。
解答 ア1,イ2,ウ2,エ1
GY0402R03-16Y 行政裁量 B
行政裁量の司法審査に関する次のアからウまでの各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.行政庁の裁量処分の取消しについて定める行政事件訴訟法第30条は,行政処分の当不当の問題については裁判所の審理権が及ばないという当然の原則を明示したものであり,取消訴訟以外の抗告訴訟にも同条が準用されるものがある。
イ.行政庁が行政手続法第12条第1項に従い処分基準を定めて公にしたが,後に,特段の事情がないにもかかわらず,当該処分基準の定めと異なる内容の処分をしたときは,当該処分は,同項に違反するものとして取り消されるのであり,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の問題は生じない。
ウ.行政庁の裁量処分の取消しについて,行政事件訴訟法第30条は,「取り消すことができる」と規定しており,これは,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があったときでも,公の利益に配慮して当該処分を取り消すか否かの裁量を裁判所に認める趣旨を含むものである。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×
解答 8
GY0440H30-18Y 行政契約 B
行政契約に関する次のアからエまでの各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.行政手続法は,行政契約の定義及び手続的規律に関する規定を設け,行政契約の締結及び履行に関する公正の確保と透明性の向上を図っている。
イ.公共事業に必要な用地を土地収用法に基づく収用裁決によって取得することができる場合に,これを随意契約の方法によって取得することは,原則として許されない。
ウ.国又は地方公共団体が,相手方に新たな義務を課することを内容とする契約を当該相手方と締結するに当たっては,法律による行政の原理ないし侵害留保原則の見地から,原則として,当該義務を課する法令上の根拠があることを要する。
エ.水道事業者は,事業計画に定める給水区域内の需要者から受けた給水契約の申込みを拒否するか否かを判断するに当たり,正常な企業努力を尽くしても水の供給に一定の限界があり得ることを考慮することが許される。
解答 ア2,イ2,ウ2,エ1
GY0550H28-16Y 行政指導 A
行政指導に関する次のアからエまでの各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.法令に違反する行為の是正を求める行政指導を受けた者は,原則として,当該行政指導をした行政機関に対して,当該行政指導の中止等の措置を求めることができる。
イ.同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときは,行政機関はその基準として行政指導指針を定めるよう努めなければならない。
ウ.行政指導は法的拘束力を有しない事実行為に過ぎないことから,国家賠償法第1条第1項にいう公権力の行使には当たらず,違法な行政指導によって損害を受けた者は同法に基づき損害賠償請求をすることはできない。
エ.行政指導はあくまで相手方私人に対して任意の協力を求めるものであることから,行政指導である勧告に従わなかった者に対して,勧告に従わなかったことを理由にして不利益処分を行うことは,法律の明文の根拠があっても許されない。
解答 ア1,イ2,ウ2,エ1
GY0560H30-17Y 行政指導 A
建築の分野における行政指導に関する次のアからエまでの各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.建築基準法に基づくいわゆる総合設計許可をする権限を有する都道府県知事が,当該許可の申請の内容の変更を求める行政指導を行う場合,当該行政指導には,行政手続法の行政指導に関する規定が適用される。
イ.何人においても,建築基準法に基づく違反建築物の除却命令をする権限を有する市町村長に対し,行政手続法の規定により,違反建築物の除却を促す行政指導を求める申出をすることが認められているが,違反建築物の除却命令を求める申出をすることは認められていない。
ウ.国土交通大臣が,全国の一級建築士に対し,その業務の適正な実施を確保するための行政指導をしようとするときは,あらかじめ,事案に応じ,行政指導指針を定め,かつ,行政上特別の支障がない限り,これを公表しなければならない。
エ.建築主において自己の申請に対する建築確認を留保されたままでの行政指導には応じられないとの意思を真摯かつ明確に表明している場合であっても,行政指導の目的とする公益上の必要性が失われていないときは,行政指導が行われていることを理由に建築確認を留保しても,違法ではない。
解答 ア2,イ2,ウ1,エ2
GY0570R01-16Y 行政指導 A
行政指導に関する次のアからエまでの各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.行政手続法の行政指導に関する規定は,地方公共団体の機関がする行政指導にも適用される。
イ.行政指導は,行政機関の任務又は所掌事務の範囲内であれば,行政指導をすることができる旨を定めた明文の規定がない場合であっても,これをすることができる。
ウ.行政指導は,処分に該当しない行為であるから,必ずしも行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を相手方に対して明確に示すことは要しない。
エ.勧告の相手方がこれに従わなかったときに,その旨及びその勧告の内容を公表することは,行政指導に従わなかったことを理由とする不利益な取扱いに当たるから,法令上の規定がある場合でも許されない。
解答 ア2,イ1,ウ2,エ2
GY0571R02-15Y 行政指導 B
行政指導に関する次のアからウまでの各記述について,行政手続法に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.行政指導に携わる者は,当該行政指導をする際に,行政機関が許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を行使し得る旨を示すときは,その相手方に対して,当該権限を行使し得る根拠となる法令の条項及び当該条項に規定する要件を示さなければならないが,当該権限の行使が当該条項に規定する要件に適合する理由を示す必要はない。
イ.法令に違反する行為の是正を求める行政指導を受けた者が,当該行政指導をした行政機関に対し,当該行政指導がその根拠となる法律の規定する要件に適合しない旨を申し出て,当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めたときは,当該行政機関は,当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合することを確認するまでの間,当該行政指導を一時中止しなければならない。
ウ.行政指導の内容はあくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものでなければならないから,許認可等に基づく処分をする権限を有する行政機関が当該権限を行使する意思がない場合においてする行政指導にあっては,当該行政指導に携わる者は,当該権限を行使し得る旨を殊更に示すことにより相手方に当該行政指導に従うことを余儀なくさせるようなことをしてはならない。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×
解答 7
GY0590R01-17Y 行政計画 A
行政計画に関する次のアからウまでの各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.都市計画決定としての用途地域の指定は抗告訴訟の対象となる処分には当たらないため,用途地域指定を前提とする建築確認拒否処分に対して建築主が取消訴訟を提起した場合,建築主は当該取消訴訟において当該用途地域指定が違法であることを主張することはできない。
イ.都市計画法第13条第1項柱書きが,都市計画は公害防止計画に適合しなければならない旨を規定していることからすれば,都市計画の決定又は変更に当たっては,都市計画法の規定の趣旨及び目的に加えて,公害防止計画の根拠法令である環境基本法の公害防止計画に関する規定の趣旨及び目的を踏まえて行うことが求められる。
ウ.都市計画法第61条第1号は,同法第59条の規定による都市計画事業認可の基準の一つとして,事業の内容が都市計画に適合することを掲げているが,同号は,都市計画決定と事業内容との適合性のみを求める趣旨であり,都市計画決定自体が適法であることまでも必要とする趣旨ではない。
(参照条文)都市計画法
(都市計画基準)
第13条 都市計画区域について定められる都市計画(中略)は,(中略)国土計画又は地方計画に関する法律に基づく計画(当該都市について公害防止計画が定められているときは,当該公害防止計画を含む。(中略))(中略)に適合するとともに,当該都市の特質を考慮して,次に掲げるところに従つて,土地利用,都市施設の整備及び市街地開発事業に関する事項で当該都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため必要なものを,一体的かつ総合的に定めなければならない。(以下略)
一~十九(略)
2~6(略)
(施行者)
第59条 都市計画事業は,市町村が,都道府県知事(第一号法定受託事務として施行する場合にあつては,国土交通大臣)の認可を受けて施行する。
2~7(略)
(認可等の基準)
第61条 国土交通大臣又は都道府県知事は,申請手続が法令に違反せず,かつ,申請に係る事業が次の各号に該当するときは,第59条の認可又は承認をすることができる。
一 事業の内容が都市計画に適合し,かつ,事業施行期間が適切であること。
二 (略)
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×
解答 6
第3編 一般的制度 第1章 義務履行確保
GY0680H28-17Y 執行罰 B
次のアからエまでの各記述は,行政上の義務の実効性を確保するための条文の規定を示したものである。それぞれの【 】内の行為のうち,その性質がいわゆる執行罰に当たるものを一つ,後記1から4までの中から選びなさい。
ア.私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)
第97条 排除措置命令(注:私的独占など私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の規定に違反する行為を行った事業者に対して公正取引委員会が当該違反行為を排除するために必要な措置を命じることを指す。)に違反したものは,50万円以下の【過料に処する】。ただし,その行為につき刑を科するべきときは,この限りでない。
イ.成田国際空港の安全確保に関する緊急措置法(昭和53年法律第42号)
第3条 国土交通大臣は,規制区域内に所在する建築物その他の工作物について,その工作物が次の各号に掲げる用に供され,又は供されるおそれがあると認めるときは,当該工作物の所有者,管理者又は占有者に対して,期限を付して,当該工作物をその用に供することを禁止することを命ずることができる。
一 多数の暴力主義的破壊活動者の集合の用
二 暴力主義的破壊活動等に使用され,又は使用されるおそれがあると認められる爆発物,火炎びん等の物の製造又は保管の場所の用
三 成田国際空港又はその周辺における航空機の航行に対する暴力主義的破壊活動者による妨害の用
2~5(略)
6 国土交通大臣は,第1項の禁止命令に係る工作物が当該命令に違反して同項各号に掲げる用に供されていると認めるときは,当該工作物について【封鎖その他その用に供させないために必要な措置を講ずること】ができる。
ウ.砂防法(明治30年法律第29号)
第36条 私人ニ於テ此ノ法律若ハ此ノ法律ニ基キテ発スル命令ニ依ル義務ヲ怠ルトキハ国土交通大臣若ハ都道府県知事ハ一定ノ期限ヲ示シ若シ期限内ニ履行セサルトキ若ハ之ヲ履行スルモ不充分ナルトキハ500円以内ニ於テ指定シタル【過料ニ処スルコト】ヲ予告シテ其ノ履行ヲ命スルコトヲ得
エ.行政代執行法(昭和23年法律第43号)
第2条 法律(法律の委任に基く命令,規則及び条例を含む。以下同じ。)により直接に命ぜられ,又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為(他人が代つてなすことのできる行為に限る。)について義務者がこれを履行しない場合,他の手段によつてその履行を確保することが困難であり,且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは,当該行政庁は,【自ら義務者のなすべき行為をなし,又は第三者をしてこれをなさしめ,その費用を義務者から徴収すること】ができる。
1.ア 2.イ 3.ウ 4.エ
解答 3
GY0700H29-17Y 行政上の義務履行確保 A
行政上の義務の履行確保と裁判手続に関する次のアからエまでの各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.行政上の強制徴収が認められている金銭債権については,その履行を求める民事訴訟を提起することはできず,民事執行法による強制執行をすることも許されない。
イ.国が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟は,法律上の争訟として当然に裁判所の審判の対象となるものではなく,法律に特別の規定がある場合に限り,提起することが許される。
ウ.地方公共団体が,産業廃棄物処分業者に対して,当該地方公共団体と当該産業廃棄物処分業者との間で締結した公害防止協定に基づく義務の履行を求める訴えは,法律上の争訟とはいえないから,不適法である。
エ.秩序罰としての過料は,法律に基づくものであっても,条例に基づくものであっても,裁判手続によらなければ科すことができない。
解答 ア1,イ1,ウ2,エ2
GY0701R02-17Y 行政上の義務履行確保 A
甲市では,市内の住宅において,物の堆積又は放置あるいは雑草の繁茂等により,不良な生活環境が生じている例が見られ,行政の対応が求められていた。そこで,甲市は新たな条例(以下「本件条例」という。)を定めることにより,住宅における不良な生活環境に対処することを検討している。本件条例を所掌する部門の部長と職員による以下の対話中の次のアからエまでの【 】内の各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
部長:本件条例では,住宅に不良な生活環境が生じている場合には,当該住宅の所有者に堆積した物の撤去等の適切な措置をとることを命令することができると定めます。しかし,命令の相手方が従うとは限りませんから,命令の実効性を確保する仕組みを条例に定める必要があります。どのような仕組みが考えられますか。
職員:(ア)【命令に従わない場合には,行政刑罰を科すことが考えられます。行政刑罰は刑事罰の一種で,原則として刑事訴訟法が適用されます。】
部長:他にどのような仕組みが考えられますか。
職員:(イ)【執行罰が考えられます。執行罰は命令による義務の不履行に対して一定額の過料を科すこととし,不履行があった場合には強制的にこれを徴収するというものです。ただし,1回の不履行に対して1回しか徴収することはできず,義務が履行されるまで何度も徴収することはできないとされています。】
部長:次に,行政代執行について考えてみましょう。行政代執行法が,独自に定められた条例に適用されるかについては,消極的な見解も見られますが,ここでは,本件条例に基づく命令について,行政代執行法が適用されるとの前提で考えてみましょう。例えば,住宅に生じている不良な生活環境がこれ以上悪化しないように,条例に基づく当該住宅の使用禁止命令を発することができる場合,その実効性を確保するために,行政代執行法に基づいて,当該住宅の封鎖を行うことは可能でしょうか。
職員:(ウ)【使用禁止命令は,行政代執行法における「他人が代つてなすことのできる行為」に関するものではないので,行政代執行を行うことはできません。】しかし,堆積した物の撤去を命じる命令であれば,行政代執行によって行うことができます。
部長:行政代執行法によると,代執行に要した費用は義務者から徴収することとされています。仮に,義務者が費用を支払わない場合,義務者から代執行に要した費用を強制的に徴収することはできますか。
職員:(エ)【行政代執行法には明文の定めはありませんが,このような権力的な行政活動に基づく債権については,国税滞納処分の例によって徴収することができると考えられています。】
解答 ア1,イ2,ウ1,エ2
GY0740H27-17Y 行政上の即時強制 B
行政上の即時強制に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.行政代執行法は,地方公共団体が条例に基づき即時強制を行うことを禁止する明文の規定を置いている。
イ.行政庁が行政処分により私人に義務を課すことができる旨が法律に定められていても,即時強制を行うことができる旨が法律に定められていなければ,行政庁が行政処分を経ずに当該義務の内容を実現する即時強制を行うことは認められない。
ウ.行政上の即時強制は,義務を命ずる暇のない緊急事態において行われるものであるから,いわゆる警察比例の原則の適用を受けない。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×
解答 6
GY0741R03-17Y 行政上の即時強制 B
行政上の即時強制に関する教員と学生による以下の対話中の次のアからエまでの【 】内の各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
教員:即時強制は,行政上の目的を達成するために国民の身体又は財産に対して加えられる行政主体による実力行使であるといわれることがありますが,このような即時強制としての実力行使の例としてはどのようなものがありますか。
学生:例えば,(ア)【消火活動のための土地の使用,感染症の病原体に汚染された場所の交通制限・遮断,警察官が現行犯逮捕をする際の武器の使用】等が挙げられます。
教員:即時強制については,実力行使を伴う強制執行の一手段である直接強制との類似性が指摘されていますが,両者はどのような点が異なるのでしょうか。
学生:(イ)【直接強制では,相手方に義務を賦課する行為が実力行使に先行しますが,即時強制では,緊急性に応じて,義務を賦課する行為が先行する場合と,これが先行することなく実力行使がされる場合の両者が含まれる点】が異なります。
教員:公務員である鉄道公安職員が,鉄道施設に立ち入り,座り込むなどした労働組合員を実力で退去させた事案に関する最高裁判所大法廷判決の多数意見は,当該退去に係る即時強制の適法性を肯定したものと理解されています。多数意見は即時強制の適法性をどのような理由で肯定したのでしょうか。
学生:多数意見は,鉄道公安職員による強制的な退去行為について,(ウ)【危険が切迫する等やむを得ない事情が認められる場合には,法律による明文の根拠がなくても,具体的事情に応じて必要最小限度の強制力を用いることができる】として適法性を肯定しました。
教員:即時強制の実力行使により国民の身体や財産は大きな影響を受けることがありますが,違法な即時強制がなされるおそれがある場合の事前の救済手段としては,どのようなものがありますか。
学生:抗告訴訟による事前の救済手段としては,(エ)【即時強制が行われる前に差止めの訴えを提起することができます。】
解答 ア1,イ2,ウ2,エ1
GY0791R02-16Y 行政調査 A
医師法第7条の3第1項に基づく立入検査に関する教員と学生による以下の対話中の次のアからウまでの【 】内の各記述について,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
教員:医師法第7条の3第1項に基づく立入検査の強制力について,どのようなことがいえますか。
学生:(ア)【医師法第33条の2第3号により,立入検査の拒否に罰則が定められていることからすると,同法は,間接的心理的に立入検査の受忍を強制しようとするものといえます。】
教員:それでは,ある医師について,医師法第7条第1項の規定による処分をすべきか否かを調査するため,同法第7条の3第1項に基づく当該医師の開設する病院の立入検査が行われようとしているにもかかわらず,当該医師が立入検査を拒否しているという事例を想定してください。立入検査に関しては,医師法上,第7条の3以外の規定はありませんが,立入検査をしようとする行政庁の職員はどのようなことができますか。
学生:(イ)【立入検査をしようとする職員は,必要最小限の実力を行使して当該医師を排除した上で,立入検査を行うことができます。】
教員:税務調査に関する最高裁判所の判例に照らすと,立入検査が医師法第7条の3第3項の規定に反するのは,どのような場合であるといえますか。
学生:(ウ)【立入検査の権限を犯罪捜査のための手段として行使したような場合には,その立入検査は医師法第7条の3第3項に違反します。】
(参照条文)医師法
第4条 次の各号のいずれかに該当する者には,免許を与えないことがある。
一 心身の障害により医師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
二 麻薬,大麻又はあへんの中毒者
三 罰金以上の刑に処せられた者
四 前号に該当する者を除くほか,医事に関し犯罪又は不正の行為のあつた者
第7条 医師が第4条各号のいずれかに該当し,又は医師としての品位を損するような行為のあつたときは,厚生労働大臣は,次に掲げる処分をすることができる。
一 戒告
二 3年以内の医業の停止
三 免許の取消し
2~17 (略)
第7条の3 厚生労働大臣は,医師について第7条第1項の規定による処分をすべきか否かを調査する必要があると認めるときは,当該事案に関係する者若しくは参考人から意見若しくは報告を徴し,診療録その他の物件の所有者に対し,当該物件の提出を命じ,又は当該職員をして当該事案に関係のある病院その他の場所に立ち入り,診療録その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をしようとする職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係人の請求があつたときは,これを提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入検査の権限は,犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第33条の2 次の各号のいずれかに該当する者は,50万円以下の罰金に処する。
一,二 (略)
三 第7条の3第1項の規定による陳述をせず,報告をせず,若しくは虚偽の陳述若しくは報告をし,物件を提出せず,又は検査を拒み,妨げ,若しくは忌避した者
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×
解答 3
GY0820H29-15Y 処分基準・審査基準 B
行政手続法上の処分基準及び審査基準に関する次のアからエまでの各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.行政手続法の規定により処分基準が定められ公にされている場合において,同法に基づく不利益処分の理由の提示は,処分基準の内容にかかわらず,処分の原因となる事実と処分の根拠法条が示されるのみでは足りず,処分基準の適用関係が示されていない限り,同法の要求する理由の提示として十分ではなく,当該不利益処分は違法となる。
イ.行政庁が裁量処分である職権による授益的処分における考慮要素の例示を公表している場合,これは,行政手続法の規定による処分基準に該当するものではない。
ウ.行政手続法の規定により定められ公にされている処分基準において,先行の処分を受けたことを理由として後行の処分に係る量定を加重する旨の不利益な取扱いの定めがある場合であっても,処分基準は行政機関の内部的な指針を定めた内規の性質を有するにとどまるものであるから,当該行政庁が処分基準に定めのない事項に係る事情を考慮して後行の処分につき当該処分基準の定めと異なる取扱いをすることは,当該処分基準の定めに拘束されるべき特段の事情のない限り,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用として違法となるものではない。
エ.建築物の建築に係る許認可処分の審査基準において,一定の距離の範囲内に居住する近隣住民の健康や生活環境上の利益の保護を目的とする内容の定めがあるときは,当該処分の取消訴訟における近隣住民の原告適格の判断において,当該審査基準は,それ自体が,原告適格の判断における考慮事項を定める行政事件訴訟法第9条第2項の「関係法令」として考慮の対象となる。
解答 ア2,イ1,ウ2,エ2
GY0821R02-13Y 処分基準と審査基準 A
処分基準と審査基準に関する次のアからエまでの各記述について,行政手続法に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.処分基準と審査基準は,いずれも,不利益処分に関する基準である。
イ.処分基準と審査基準のいずれについても,これらを公表することは行政庁の努力義務にとどまる。
ウ.行政庁が,処分基準を定める場合には,意見公募手続が必要であるが,審査基準を定める場合には,意見公募手続は必要ではない。
エ.行政庁は,処分基準と審査基準のいずれを定めるに当たっても,できる限り具体的なものとしなければならない。
解答 ア2,イ2,ウ2,エ1
GY0890H27-15Y 不利益処分の理由 A
不利益処分の理由の提示に関する次のアからエまでの各記述について,それぞれ最高裁判所の判例の趣旨と矛盾しない場合には1を,矛盾する場合には2を選びなさい。なお,以下では,行政手続法(以下「法」という。)第14条第1項本文により,処分庁が理由の提示を義務付けられている事案であることを前提とする。
ア.処分基準(法第12条)が定められ,公にされていても,不利益処分の理由の提示として,処分基準の適用関係まで摘示する必要がない場合がある。
イ.処分基準が定められていない場合,不利益処分の理由の提示は,抽象的な記載で足り,処分の名宛人において,いかなる事実関係に基づいて,いかなる法規を適用して当該処分が行われたかを知ることができるものである必要はない。
ウ.法第13条第1項第1号に基づく聴聞手続が行われ,不利益処分の名宛人が,聴聞の期日におけるやり取りの状況から処分理由を事前に予測し得る場合であっても,不利益処分の理由の提示における記載自体から,いかなる事実関係に基づいて,いかなる法規を適用して当該処分が行われたかを知ることができないときは,当該処分理由の提示に瑕疵があることになる。
エ.不利益処分の理由の提示の不備による瑕疵は,後日の不服申立てに対する裁決又は決定において当該処分の具体的根拠が明らかにされれば,そのことにより治癒される。
解答 ア1,イ2,ウ1,エ2
GY0900H30-15Y 不利益処分 A
行政手続法上の不利益処分に関する次のアからエまでの各記述について,法令に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.行政手続法の不利益処分に関する規定は,職務の遂行上必要な情報の収集を直接の目的としてされる処分にも適用される。
イ.行政手続法は,行政庁が不利益処分に関する基準(処分基準)を定めた場合には,これを公にすることを求めているが,この義務は努力義務にとどまる。
ウ.行政手続法の定めによれば,行政庁が聴聞手続を執ることができるのは,許認可等を取り消すといった重大な不利益処分に限られる。
エ.行政手続法の定めによれば,不利益処分をする際に,理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合には,処分と同時にその理由を提示する必要はない。
解答 ア2,イ1,ウ2,エ1
GY0940H28-14Y 聴聞手続 B
A県知事は,介護保険法に基づく指定居宅サービス事業者Bについて,介護報酬の不正請求が行われているとの内部通報を受けたため,調査の上,不利益処分をすることにした。次のアからウまでの各記述について,行政手続法に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.A県知事がBに対し,指定の効力の一部停止処分をしようとする場合には,原則として聴聞手続を執らなければならない。
イ.Bに対する不利益処分の発動に強い関心を持っているライバル事業者Cは,聴聞手続において,A県知事に対し,当該処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる。
ウ.Bからサービスを受けている高齢者Dは,サービスを受けられなくなると日常生活に困難を来すことから,Bに対する不利益処分の発動に反対するため,主宰者の許可を得て聴聞手続に参加し,口頭で意見を述べることができる。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×
解答 7
GY0941R03-15Y 行政手続 B
行政手続に関する次のアからウまでの各記述について,行政手続法に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.何人も,法令に違反する事実がある場合において,その是正のためにされるべき処分がされていないと思料するときは,当該処分をする権限を有する行政庁に対し,その旨を申し出て,当該処分をすることを求めることができる。
イ.聴聞の期日における審理については,聴聞の主宰者は,非公開で行うことができ,行政庁が公開することを相当と認めるときを除き,公開する必要はない。
ウ.弁明の機会の付与については,聴聞における代理人に関する規定は準用されているが,参加人に関する規定は準用されていない。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×
解答 1
GY0950R01-15Y 処分の手続 B
行政手続法上の処分の手続に関する次のアからエまでの各記述について,法令に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.行政庁は,申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めたときは,当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により,当該期間を公にするよう努めなければならない。
イ.行政庁は,申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならないが,形式上の要件に適合しない申請については,速やかに,申請をした者に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求めなければならず,補正を求めることなく,申請を拒否する処分をすることは許されない。
ウ.不利益処分に関する弁明の機会の付与の手続においては,聴聞と異なり,不利益処分の名あて人となるべき者は,行政庁に対して,不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることはできない。
エ.不利益処分に関する聴聞の終了後,聴聞の主宰者は,聴聞調書及び報告書を作成し,行政庁に提出するが,同時に,その写しを当事者及び参加人に送付しなければならない。
解答 ア2,イ2,ウ1,エ2
GY1050H27-18Y 情報公開法 A
行政機関の保有する情報の公開に関する法律及びその適用に関する次のアからエまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.行政機関の長が行政文書の部分開示決定をする場合,開示請求者に対し決定の理由を示す必要はない。
イ.行政文書の開示請求が専ら営利目的のために行われた場合であっても,行政機関の長がそのことを理由として開示を拒否することはできない。
ウ.開示請求から請求に対する決定までの期間については,法律上,期限の定めはなく,行政機関の長が標準的な期間を定めるよう努めるものとされている。
エ.行政機関の長は,開示請求に係る行政文書を保有していない場合であっても,不開示決定をしなければならず,当該決定は,取消訴訟の対象となる処分に当たる。
解答 ア2,イ1,ウ2,エ1
GY1060H28-18Y 情報公開法 A
行政機関の保有する情報の公開に関する法律及びその適用に関する次のアからウまでの各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.開示請求の対象とされた行政文書を行政機関が保有していないことを理由とする不開示決定の取消訴訟においては,その取消しを求める者が,当該不開示決定時に当該行政機関が当該行政文書を保有していたことについて主張立証責任を負う。
イ.行政機関の長が,開示請求があった日から30日以内に開示請求に係る行政文書の全部若しくは一部を開示する旨の決定又は開示をしない旨の決定をしないときは,開示をしない旨の決定があったものとみなされる。
ウ.行政文書を開示しない旨の決定について行政不服審査法に基づく審査請求があったときは,当該審査請求に対する裁決をすべき行政機関の長は,必ず情報公開・個人情報保護審査会に諮問しなければならない。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×
解答 4
GY1070H30-19Y 情報公開法 A
行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく開示請求に関する次のアからウまでの各記述について,法令に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.開示請求の対象となる行政文書とは,行政機関の職員が職務上作成し,又は取得した文書,図画及び電磁的記録であって,当該行政機関の職員が組織的又は個人的に用いるものとして保有されているものをいう。
イ.開示請求は,行政文書の名称その他の開示請求に係る行政文書を特定するに足りる事項を明らかにしても,口頭により行うことは認められない。
ウ.開示請求に対し,当該開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで,不開示情報を開示することとなるときは,行政機関の長は,当該行政文書の存否を明らかにしないで,当該開示請求を拒否することができる。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×
解答 5
GY1110H29-18Y 個人情報の保護 B
行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に関する次のアからウまでの各記述について,法令に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.開示請求の対象となる個人情報は,生存する個人に関する情報に限られるが,死者に関する情報が死者の遺族の個人情報となる場合には,当該遺族が自己の個人情報として開示請求を行うことができる。
イ.行政機関の長は,開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が含まれている場合であっても,個人の権利利益を保護するため特に必要があると認めるときは,当該保有個人情報を開示することができる。
ウ.開示決定に基づき保有個人情報の開示を受けた者は,当該保有個人情報の内容が事実でないと思料するときは,当該保有個人情報の訂正を請求することができる。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×
解答 1
GY1120R01-18Y 個人情報の保護 B
行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(以下「法」という。)に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.法に基づく開示請求に係る保有個人情報に,開示請求者以外の第三者に関する情報が含まれているときは,行政機関の長は,当該第三者に意見書を提出する機会を与えなければならない。
イ.何人も,法に基づく開示決定により開示を受けた保有個人情報の内容が事実でないと思料するときは行政機関の長に対して訂正を請求することができるが,この訂正の請求は,開示を受けた日から法定の期間内にしなければならない。
ウ.法に基づく不開示決定については,いわゆる不服申立前置の制度はとられておらず,不服を有する者は,行政不服審査法に基づく不服申立てをせずに直接裁判所に対して取消訴訟を提起することもできる。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×
解答 5
第5編 行政過程における行政争訟
GY1190H30-24Y 行政不服審査法 A
行政不服審査法に関する次のアからエまでの各記述について,法令に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.行政不服審査法にいう「処分」とは,行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいうところ,弁護士会は,国又は地方公共団体の機関ではなく,「行政庁」には当たらないから,弁護士会が弁護士法の規定に基づいて行う所属弁護士に対する懲戒は,行政不服審査法にいう「処分」には当たらない。
イ.行政不服審査法は,国民が簡易迅速な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めるものであるから,審査請求は,他の法律(条例に基づく処分については,条例)に書面でしなければならない旨の定めがある場合を除き,口頭ですることができる。
ウ.審査請求をするか否かは関係者の自由な判断に委ねられているから,審査請求人は,審理手続が開始され,処分庁等が書面を提出し又は口頭で意見を述べた後であっても,裁決があるまでは,いつでも審査請求を取り下げることができる。
エ.行政不服審査法は,国民の権利利益の救済を図るのみならず,行政の適正な運営を確保することを目的とするものであるから,審査庁は,審査請求に係る処分が違法又は不当であると認めるときは,裁決で,審査請求人の不利益に当該処分を変更することも許される。
解答 ア2,イ2,ウ1,エ2
GY1191R02-23Y 行政不服審査法 B
不服申立てに関する次のアからエまでの各記述について,行政不服審査法に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.申請に対する不作為についての審査請求に理由があるときは,審査庁は裁決で当該不作為が違法又は不当であることを宣言するほか,審査庁が不作為庁の上級行政庁である場合には,審査庁は当該不作為庁に対して申請された処分をすべき旨を命じなければならず,審査庁が不作為庁である場合には,審査庁は当該処分をしなければならない。
イ.処分の取消しを求める審査請求が適法にされた場合において,処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は,必要があると認める場合には,当該処分の効力,処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置をとることができる。ただし,処分の効力の停止は,それ以外の措置によって目的を達することができるときは,することができない。
ウ.処分庁の上級行政庁である審査庁が,申請を却下し,又は棄却する処分を取り消す裁決をする場合に,当該審査庁は,当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは,処分庁に対し,当該処分をすべきことを命じなければならないが,この命令が発せられない場合に当該申請に対してどのような処分をするかについては,裁決の内容にかかわらず処分庁の判断に委ねられる。
エ.再調査の請求をすることができる処分について,処分庁が誤って再調査の請求をすることができる旨を教示しなかった場合に,当該処分についての審査請求がされたときは,審査庁は,審査請求人からの申立てがなくとも,速やかに審査請求書又は審査請求録取書を処分庁に送付しなければならず,これらの送付がされたときは,初めから処分庁に再調査の請求がされたものとみなされる。
解答 ア2,イ1,ウ2,エ2
GY1192R03-24Y 行政不服審査法 B
行政不服審査法における審理員に関する次のアからエまでの各記述について,同法に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.行政不服審査法は,審理手続の公正中立性とともに簡易迅速性を確保するという観点から,審査庁に対し,審査請求に係る処分に関与した者以外の者を審理員に指名するよう努めるべき義務を課すにとどめている。
イ.行政不服審査法は,口頭意見陳述の対審的構造を確保するという観点から,審査請求人の申立てに基づき口頭意見陳述を行う場合,審理員に対し,審査請求人のみならず,処分庁を含む全ての審理関係人を招集して行うことを義務付けている。
ウ.審理員は,審理手続を終結したときは,審理員意見書を作成した上で,審査庁が主任の大臣である場合にあっては,当該審理員意見書を行政不服審査会に提出し,諮問しなければならない。
エ.審査庁は,審理員意見書に拘束されるわけではないが,裁決の主文が審理員意見書と異なる内容である場合には,異なることとなった理由を裁決書に記載しなければならない。