第6編 行政事件訴訟法 第2章 取消訴訟

GY1320H27-19Y 処分性 A

処分性に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.憲法上,外国人は,在留の権利ないし引き続き在留することを要求し得る権利を保障されていないため,出入国管理及び難民認定法に基づく在留期間の更新を法務大臣が拒否する行為には,処分性が認められない。
イ.都市計画法は開発行為による影響を受ける公共施設の管理者の同意を得ることを開発許可申請の要件としているが,公共施設の管理者が同意を拒否する行為自体は,開発行為を禁止又は制限する効果をもつものとはいえず,当該同意を拒否する行為には処分性は認められない。
ウ.食品衛生法に基づく飲食店の営業許可申請を行政庁が拒否する行為は,行為の前後における申請者の法的地位を変動させるものではないから,当該行為には処分性は認められない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 6

GY1330H29-19Y 取消訴訟 A

取消訴訟に関する次のアからエまでの各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.条例の制定は,普通地方公共団体の議会が行う立法作用に属するが,条例の内容によっては,その制定行為が行政庁の処分と実質的に同視し得るものとして取消訴訟の対象となる。
イ.森林法に基づく保安林の指定など,人ではなく物を対象とする行政庁の決定は,特定の者を名宛人とするものではないから,取消訴訟の対象となる処分に当たることはない。
ウ.国有の普通財産の売払いは,取消訴訟の対象となる処分に当たる。
エ.国に対して過誤納金の還付に係る請求権の存在を主張して給付の訴えを提起することができる場合であっても,当該請求権に係る手続上の地位を否定する内容の行政庁の拒否通知を対象とする取消訴訟を提起して,当該請求権の存否を争えることがある。

解答 ア1,イ2,ウ2,エ1

GY1340H30-20Y 処分性 A

処分性に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。ア.告示により一定の条件に合致する道を一括して道路に指定する方法でされた建築基準法第42条第2項所定のいわゆるみなし道路の指定は,特定の土地について個別具体的にこれを指定するものではなく,不特定多数の者に対して一般的抽象的な基準を定立するものにすぎないのであって,これによって直ちに建築制限等の私権制限が生じるものでないから,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。
(参照条文)建築基準法
(道路の定義)
第42条 (略)
2 この章の規定が適用されるに至つた際現に建築物が立ち並んでいる幅員4メートル未満の道で,特定行政庁の指定したものは,前項の規定にかかわらず,同項の道路とみなし,その中心線からの水平距離2メートル(中略)の線をその道路の境界線とみなす。(以下
略)
3~6 (略)
イ.労災就学援護費について,労働者災害補償保険法及び同法施行規則は,その支給の実体的及び手続的な要件や金額について何ら定めていないから,労災就学援護費を支給しない旨の決定は,行政庁が公権力の行使として一方的に決定し,取消訴訟によらなければその判断を覆すことができないとの効力が法律上与えられたものとはいえず,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。
ウ.病院開設中止の勧告は,医療法上は当該勧告を受けた者が任意にこれに従うことを期待してされる行政指導として定められているものの,当該勧告を受けた者に対し,これに従わない場合には,相当程度の確実さをもって,病院を開設しても保険医療機関の指定を受けることができなくなるという結果をもたらすものであり,その結果,実際上病院の開設自体を断念せざるを得ないことになるから,上記勧告は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 7

GY1341R02-18Y 処分性 A

処分性に関する教員と学生による以下の対話中の次のアからエまでの【 】内の各記述について,最高裁判所の判例に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
教員:まず,行政庁と相手方との基本的な関係が私法上の契約関係である場合に,行政庁が相手方に対してする行為に処分性が認められることがありますか。
学生:例えば,(ア)【弁済供託は,民法上の寄託契約の性質を有するものですが,供託官が弁済者から供託物の取戻しの請求を受けた場合において,これを理由がないと認めて却下する行為は,処分性が認められます。】
教員:行政庁が相手方に対して一定の事項を通知する行為につき,処分性が認められることがありますか。
学生:例えば,(イ)【道路交通法に基づく反則金の納付の通告は,これに従わない場合には刑事手続が開始され,実際上反則金の納付を余儀なくされることから,処分性が認められます。】
教員:行政計画の処分性についてはどのように考えますか。類型に分けて説明してください。
学生:まず,当該計画に基づき将来具体的な事業が施行されることが予定されている,いわゆる非完結型の計画につき,(ウ)【土地区画整理事業の事業計画の決定は,後続の仮換地指定や換地処分の取消訴訟によって権利救済の目的が十分達成でき,事件の成熟性が欠けることから,処分性は認められません。】次に,当該計画に基づき将来具体的な事業が施行されることが予定されていない,いわゆる完結型の計画につき,(エ)【都市計画法に基づく用途地域の指定は,当該地域内の土地所有者等に建築制限等の制約を課し,その法的地位に変動をもたらすものであることから,処分性が認められます。】

解答 ア1,イ2,ウ2,エ2

GY1420H30-21Y 原告適格 B

原告適格に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ①の事案を前提にした場合に,
②の記述が最高裁判所の判例の内容として正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組
合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.①鉄道の連続立体交差化を内容とする都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち,同事業に係る東京都環境影響評価条例所定の関係地域内に居住するXらが,都市計画法に基づいてされた同事業の認可の取消訴訟を提起した事案。②Xらの住所地と上記事業の事業地との距離関係などに加えて,上記条例の規定する関係地域が,対象事業を実施しようとする地域及びその周辺地域で当該対象事業の実施が環境に著しい影響を及ぼすおそれがある地域として知事が定めるものであることを考慮すれば,Xらは上記事業の認可の取消しを求める原告適格を有する。
イ.①建築基準法に基づくいわゆる総合設計許可に係る建築物の周辺地域に存する建築物に居住し又はこれを所有するXらが,同許可の取消訴訟を提起した事案。②Xらのうち,総合設計許可に係る建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住する者は,上記許可の取消しを求める原告適格を有するが,同地域に存する建築物を所有するにすぎない者は,その原告適格を有しない。
ウ.①市町村長から一定の区域につき既に一般廃棄物収集運搬業の許可を受けてこれを営んでいるXが,当該区域を対象としてAに対してされた一般廃棄物収集運搬業の許可処分の取消訴訟を提起した事案。②廃棄物の処理及び清掃に関する法律は,他の者からの一般廃棄物処理業(一般廃棄物収集運搬業を含む。)の許可の申請に対して市町村長が既存の許可業者の事業への影響を考慮してその許否を判断することを通じて,当該区域の衛生や環境を保持する上でその基礎となるものとして,その事業に係る営業上の利益を個々の既存の許可業者の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解されるから,XはAに対する上記許可の取消しを求める原告適格を有する。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 3

GY1421R03-18Y 原告適格 B

原告適格に関する次のアからエまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.免許の申請が競願関係にある場合において,申請拒否処分を受けた申請者は,自己に対する拒否処分の取消訴訟を提起することができるほか,競願者に対する免許処分の取消訴訟を提起することもできる。
イ.公衆浴場法が設置場所の「配置の適正」を公衆浴場営業許可の要件とする趣旨は,国民保健及び環境衛生の確保のほか,濫立の防止により既存業者の利益を保護する目的をも有するから,既存の公衆浴場業者は,近隣において新規参入を求めてきた第三者に対する上記許可につき,その取消しを求める原告適格を有する。
ウ.航空法(平成11年法律第72号による改正前のもの)に基づく定期航空運送事業免許については,事業計画が「経営上及び航空保安上適切なもの」であることが免許基準とされており,これに飛行場周辺住民の個別的利益を保護する趣旨が含まれるものとは解し難いから,上記住民は,当該免許に係る路線を航行する航空機の騒音により障害を受けることを理由として,その取消しを求める原告適格を有しない。
エ.建築基準法に基づくいわゆる総合設計許可について,同許可に係る建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し,又はこれを所有する者は,その取消しを求める原告適格を有するが,同許可に係る建築物により日照を阻害される周辺の他の建築物に居住する者は,その原告適格を有しない。

解答 ア1,イ1,ウ2,エ2

GY1490H28-19Y 訴えの利益 A

訴えの利益に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.道路交通法に基づき,自動車運転免許の効力停止処分を受けた者は,無違反,無処分で法定の期間を経過し,以後,前歴のない者として取り扱われるに至ったとしても,当該処分の記載のある免許証を所持することにより,名誉,信用等を損なう可能性が継続して存在し,その程度は重大なものであって,それを排除することは法の保護に値する利益であるといえるから,当該処分の取消しにつき,訴えの利益を有する。
イ.道路交通法は,優良運転者の実績を賞揚し,優良な運転をするように自動車運転免許証の保有者を誘導して交通事故の防止を図る目的で,優良運転者であることを免許証に記載して公に明らかにするとともに,優良運転者に対し更新手続上の優遇措置を講じていることなどに照らせば,免許証の有効期間の更新に当たり,一般運転者として扱われ,優良運転者である旨の記載のない免許証を交付されて更新処分を受けた者は,上記記載のある免許証を交付して行う更新処分を受ける法律上の地位を否定されたことを理由として,これを回復するため,当該更新処分の取消しを求める訴えの利益を有する。
ウ.建築基準法に基づく建築確認は,それを受けなければ工事をすることができないという法的効果が付与されているものにすぎないが,建築確認が違法であるとして判決で取り消されれば,相当程度の確実さをもって,工事完了後,建築主事等において検査済証の交付を拒否することになるか,又は特定行政庁において違反是正命令を発すべきことになるのであるから,当該工事が完了した場合においても,その取消しを求める訴えの利益は失われない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 6

GY1500R01-19Y 訴えの利益 A

訴えの利益に関する教員と学生による以下の対話中の次のアからエまでの【 】内の各記述について,最高裁判所の判例に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
教員:本日は,訴えの利益に関する考え方につき整理しておきたいと思います。まず,ある行政処分に対して取消訴訟が提起された後,訴えの利益が消滅するのはどのような場合でしょうか,例を挙げてください。
学生:例えば,保安林指定解除処分に基づく立木竹の伐採により,保安林の存在による洪水や渇水の防止上の利益を侵害される者には,保安林指定解除処分取消訴訟の原告適格が認められますが,(ア)【代替施設の設置によって洪水や渇水の危険が解消され,その防止上からは保安林の存続の必要性がなくなったと認められるに至ったときは,保安林指定解除処分の取消しを求める訴えの利益は失われます。】
教員:では,行政手続法に基づいて公にされている処分基準が,先行する処分を受けたことを理由として後行の処分に係る量定を加重するとの不利益な取扱いを定めている場合,先行する営業停止命令の停止期間が経過すれば,当該営業停止命令の取消しを求める訴えの利益は失われるのでしょうか。
学生:(イ)【通常は,当該処分基準の定めと異なる取扱いをすることを相当と認めるべき特段の事情がない限り,当該処分基準に基づく不利益な取扱いがされると考えられますが,当該処分基準は法令には当たらず,事実上不利益な取扱いがされるにすぎませんので,当該営業停止命令の取消しを求める訴えの利益は失われます。】
教員:では,建築基準法に基づく建築確認は,それがなければ適法に建築工事をすることができないという法的効果が付与されていますが,建築工事が完了した後は,建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われるのでしょうか。
学生:(ウ)【建築工事が完了して建築物が完成してしまうと,建築確認が違法であるとして取り消されたとしても,社会的,経済的損失の観点からみて,社会通念上,当該建築物を除却することは不可能であると考えられますが,そのような事情は,事情判決に関する規定の適用に際して考慮されるべき事柄であって,建築確認の取消しを求める訴えの利益を消滅させるものではないと考えられます。】
教員:では,公務員が届出により公職の候補者となったときは,届出の日から公務員たることを辞したものとみなすとの公職選挙法の規定がありますが,免職処分取消訴訟を提起して争っている公務員が,公職の候補者となった場合には,当該免職処分の取消しを求める訴えの利益は失われるのでしょうか。
学生:(エ)【仮に免職処分が取り消されても,当該公務員は,公務員たる地位を回復することはできませんが,免職処分は,それが取り消されない限り効力を有し,違法な免職処分さえなければ公務員として有するはずであった給料請求権その他の権利,利益につき裁判所に救済を求めることができなくなるので,当該免職処分の効力を排除する判決を求めることは,これらの権利,利益を回復するための必要な手段と考えられ,当該免職処分の取消しを求める訴えの利益は失われません。】

解答 ア1,イ2,ウ2,エ1

GY1501R03-19Y 訴えの利益 A

訴えの利益に関する次のアからエまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.土地改良事業施行認可処分の取消訴訟の係属中にその事業計画に係る工事及び換地処分が完了したときは,事業施行地域を原状に回復することは社会通念上不可能であり,当該処分の取消しを求める法律上の利益は消滅する。
イ.自動車運転免許の効力停止処分を受けた者について,その効力停止期間が経過しても,当該処分を理由に道路交通法上不利益を受けるおそれがある期間が経過していないときは,当該処分の取消しを求める法律上の利益は消滅しない。
ウ.行政手続法により定められ公にされている処分基準において,先行処分を受けたことを理由として後行処分に係る量定を加重する定めがあっても,そのような量定の加重は先行処分の法的効果によるものとはいえないから,先行処分に当たる処分の効果が期間の経過によりなくなった後は,当該処分の取消しを求める法律上の利益は消滅する。
エ.本邦に在留する外国人が再入国許可申請に対する不許可処分を受けて,再入国許可を受けないまま出国した場合には,当該不許可処分が取り消されても当該外国人が従前の在留資格のままで再入国することを認める余地はないから,当該不許可処分の取消しを求める法律上の利益は消滅する。

解答 ア2,イ1,ウ2,エ1

GY1530H29-20Y 処分の取消し訴え B

処分の取消しの訴えに関する次のアからエまでの各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.処分の取消しの訴えは,当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても,直ちに提起することを妨げないが,当該処分につき審査請求がされているときは,その審査請求に対する裁決があるまで,提起することができない。
イ.処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の法律の定めがある場合において,不適法な審査請求がされたにもかかわらず,裁決庁が誤って審査請求を棄却する旨の裁決をしたときは,適法に処分の取消しの訴えを提起することができる。
ウ.処分があったことを知った日から6か月を経過したとき又は処分の日から1年を経過したときは,正当な理由がない限り,処分の取消しの訴えを提起して当該処分の効力を争うことができなくなるとともに,国家賠償請求訴訟を提起して当該処分の違法性を主張することもできなくなる。
エ.訴えの変更がされた場合における出訴期間の遵守の有無は,特別の規定のない限り,変更前後の請求の間に訴訟物の同一性が認められるとき,又は両者の間に存する関係から,変更後の新請求に係る訴えを当初の訴えの提起の時に提起されたものと同視し,出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事情があるときを除き,訴えの変更の時を基準として判断される。

解答 ア2,イ2,ウ2,エ1

GY1591R02-19Y 抗告訴訟の審理 A

抗告訴訟の審理に関する次のアからエまでの各記述について,行政事件訴訟法又は最高裁判所の判例に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.原処分の取消訴訟と原処分についての審査請求を棄却した裁決の取消訴訟とを提起することができる場合,裁決の取消訴訟においては,原処分の違法を理由として取消しを求めることができない。
イ.取消訴訟の違法判断の基準時は処分時であるから,原子炉施設の安全性に関する判断の適否が争われる原子炉設置許可処分の取消訴訟において,裁判所の審理,判断は,当該処分当時の科学技術水準に照らして行われるべきである。
ウ.取消訴訟においては職権証拠調べが認められているから,裁判所は,必要があると認めるときは,当事者の申立てを待たずに証人尋問を行うことができ,尋問の結果について当事者の意見をきく必要はない。
エ.処分が無効であることを主張する原告は,当該処分に重大かつ明白な瑕疵がある旨を抽象的に主張すれば足り,当該処分が有効であることを主張する被告が,当該処分が有効であることを基礎付ける具体的な事実を主張立証する必要がある。

解答 ア1,イ2,ウ2,エ2

GY1610H28-20Y 理由の追加・差替え B

行政処分の取消訴訟における主張の可否に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.青色申告による法人税の申告に対し,不動産の取得価額が申告額より低額であることを更正の理由として更正処分がされた場合に,その取消訴訟において,被告が,仮に当該不動産の取得価額が上記のとおりでないとしてもその販売価額が申告額より多額であると主張して争うことは許されない。
イ.労災保険給付の申請に対し,申請に係る疾病が労働者災害補償保険法の適用対象である疾病に当たらないとの理由で不支給決定がされた場合に,その取消訴訟において,被告が,同疾病が仮に同法の適用対象であるとしても当該疾病に業務起因性がないと主張して争うことは許されない。
ウ.情報公開条例に基づく公開請求に対し,同請求に係る情報が特定の非公開事由に該当することを理由に非公開決定がされた場合に,その取消訴訟において,被告が,仮に同情報が上記事由に該当しないとしても別の非公開事由にも該当すると主張して争うことは許されない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 6

GY1670H28-21Y 判決の効力 A

判決の効力に関する次のアからエまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.水俣病患者認定申請に対する応答処分をしない行政庁の不作為の違法確認を求める訴訟における違法と,当該認定申請に対する行政庁の応答処分の遅延による精神的損害につき賠償を求める国家賠償請求訴訟における違法は同じであるから,前者の訴訟に係る認容判決の既判力は,後者の訴訟の当事者及び裁判所に及ぶとされている。
イ.AとBが同一周波の無線局の開設に係る免許をめぐって競願関係にある場合は,免許付与と免許申請拒否処分は表裏の関係にあるので,Bに与えられた免許が,Aの提起した免許取消訴訟に係る判決で取り消されると,免許申請拒否処分を受けたAには,取消判決の拘束力による再審査の結果,免許を与えられる可能性がある。
ウ.都市計画法では,客観的にみて許可基準の要件に適合しない開発行為に関する工事がされたときは,都道府県知事は,当該工事を行った者に対して,違反是正命令を発することができるから,開発許可が判決で取り消されたときは,当該取消判決に違反是正命令を発すべき法的拘束力が生ずることになる。
エ.最高裁判所は,市の設置する特定の保育所を廃止する条例の制定行為が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると判断した根拠の一つとして,取消判決には第三者効が認められていることを挙げている。

解答 ア2,イ1,ウ2,エ1

GY1680R01-20Y 判決の効力・審理 B

処分の取消しの訴えにおける判決又は審理に関する次のアからエまでの各記述について,行政事件訴訟法に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.申請を却下し又は棄却した処分が判決により取り消された場合には,その処分をした行政庁は,改めて当該申請に対する処分をしなければならないが,必ずしも当該判決の趣旨に従った処分をする必要はない。
イ.処分を取り消す判決は第三者に対しても効力を有することから,訴訟の結果により権利を害される第三者は,自ら訴訟参加の申立てをすることができる。
ウ.処分をした行政庁以外の行政庁は,当事者の申立て又は職権による裁判所の決定があった場合に訴訟に参加することはできるが,自ら訴訟参加の申立てをすることはできない。
エ.処分を取り消す判決により権利を害された第三者は,自己の責めに帰することができない理由により訴訟に参加することができなかったため判決に影響を及ぼすべき攻撃又は防御の方法を提出することができなかったことを理由として,再審の訴えを提起することができる

解答 ア2,イ1,ウ2,エ1

第6編 行政事件訴訟法 第3章 取消訴訟外

GY1730H27-20Y 義務付け訴訟 A

行政事件訴訟法第3条第6項第1号のいわゆる非申請型義務付け訴訟と同項第2号のいわゆる申請型義務付け訴訟に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.いずれの訴訟も,それを提起するためには,少なくとも,処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがある必要がある。
イ.非申請型義務付け訴訟を提起しようとする者は,少なくとも,行政庁が処分をすべき旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者である必要がある。
ウ.申請型義務付け訴訟を提起しようとする者は,少なくとも,法令に基づく申請又は不服申立てをした者である必要がある。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 5

GY1760H28-22Y 義務付け・差止めの訴え A

行政事件訴訟法第3条第6項,第7項に定める「義務付けの訴え」及び「差止めの訴え」に関する次のアからウまでの各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.行政庁が一定の処分をすべき旨を命ずる判決は,常に第三者に対しても効力を有するから,行政庁が判決に従って当該処分をした場合,当該処分の名宛人は当該処分の効力を争うことはできない。
イ.「差止めの訴え」の訴訟要件については,一定の処分がされようとしていること,すなわち,行政庁によって一定の処分がされる蓋然性があることが,救済の必要性を基礎付ける前提として必要となる。
ウ.裁判所が,「差止めの訴え」に係る処分につき,行政庁がその処分をしてはならない旨を命ずる判決をすることができるのは,その処分につき行政庁に裁量が認められていない場合に限られる。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 6

GY1770H29-21Y 義務付け・差止めの訴え B

義務付けの訴え及び差止めの訴えに関する次のアからエまでの各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.法令に基づく許可の申請を却下した処分の取消しを求める訴えとその許可の義務付けを求める訴えが併合提起されている場合において,前者の処分の取消しの訴えにつき請求が棄却される場合には,後者の義務付けの訴えも請求が棄却される。
イ.差止めの訴えにつき,行政事件訴訟法の定める訴訟要件である「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められるためには,処分がされることにより生ずるおそれのある損害が,処分がされた後に取消訴訟等を提起して執行停止の決定を受けることなどにより救済を受けることが容易ではなく困難なものであるというだけでは足りず,処分がされる前に差止めを命ずる方法によるのでなければ救済を受けることが不可能なものである場合に限られる。
ウ.訴訟要件を充足して適法に提起された処分の義務付けの訴えに係る請求が認容されるためには,行政庁がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められるか,又はその処分をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となることが明らかであると認められることを要する。
エ.差止めの訴えにつき,他のより適切な訴訟類型の訴えが適法に併合提起されている場合には,当該事案においては後者の訴えに係る請求を棄却すべき場合であっても,行政事件訴訟法が訴訟要件を欠く場合として定める「その損害を避けるため他に適当な方法があるとき」に当たるため,当該差止めの訴えは不適法な訴えとして却下される。

解答 ア2,イ2,ウ2,エ1

GY1771R02-20Y 申請型義務付けの訴え A

申請拒否処分がなされた場合における義務付けの訴えに関する次のアからウまでの各記述について,行政事件訴訟法に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。  
ア.この場合の義務付けの訴えは,その申請をした者だけではなく,申請された処分をすべき旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者も提起することができる。
イ.この場合の義務付けの訴えは,原則として申請拒否処分に対する取消訴訟と併合して提起しなければならないが,申請拒否処分が無効である場合には,義務付けの訴えを単独で提起することができる。
ウ.この場合の義務付けの訴えは,申請された処分がなされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり,かつ,その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り,提起することができる。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 8

GY1772R03-20Y 取消訴訟以外の抗告訴訟 A

抗告訴訟に関する教員と学生による以下の対話中の次のアからエまでの【 】内の各記述について,行政事件訴訟法に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
教員:今日は,取消訴訟以外の抗告訴訟について勉強しましょう。まず,不作為の違法確認訴訟の原告適格について説明してください。
学生:(ア)【不作為の違法確認訴訟は,当該不作為の違法確認を求めるにつき法律上の利益を有する者に限り,提起することができ,法律上の利益の有無の判断については,取消訴訟の原告適格に関する行政事件訴訟法第9条第2項の規定が準用されます。】
教員:次に,いわゆる申請型義務付け訴訟について説明してください。
学生:(イ)【申請型義務付け訴訟は,申請拒否処分がされたことが前提となるので,申請に対する応答がない段階では提起することができず,その場合には不作為の違法確認訴訟によることとなります。】
教員:では,いわゆる非申請型義務付け訴訟について説明してください。
学生:(ウ)【非申請型義務付け訴訟は,行政庁が第三者に対する規制権限の行使をしない場合に,その行使を求めて提起することが想定されていますので,自己に対する処分の義務付けを求めて提起することはできません。】
教員:最後に,差止訴訟の訴訟要件について,非申請型義務付け訴訟との違いに留意して,説明してください。
学生:(エ)【差止訴訟においては,訴訟要件として,一定の処分又は裁決がされることにより「重大な損害を生ずるおそれ」があること,すなわち損害の重大性の要件が定められているほか,「その損害を避けるため他に適当な方法があるとき」ではないこと,すなわち補充性の要件が定められています。】

解答 ア2,イ2,ウ2,エ1

GY1860H27-23Y 仮の救済 B

処分の効力の全部又は一部の停止(以下「執行停止」という。)その他の仮の救済に関する次のアからエまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.審査請求に対する裁決を経た後でなければ取消しの訴えを提起することができない旨の法律の定めがある処分については,審査請求に対する裁決を経ない段階において,処分の取消しの訴えを提起し,併せて当該処分につき執行停止を求める申立てをしても,当該申立てが適法とされる余地はない。
イ.処分の取消しの訴えについて出訴期間が経過している場合,当該処分につき無効確認の訴えを提起した上で執行停止の申立てをすることが適法であるとしても,緊急の必要を欠くため,執行停止の決定を得ることはできない。
ウ.公権力の行使に関わらない公法上の法律関係に関する確認の訴えについて,執行停止に関する行政事件訴訟法の規定は準用されないから,同訴えと併せて執行停止の申立てをすることは不適法である。
エ.行政庁に対し一定の処分を求める申請を行い,当該行政庁がその処分をすべきであるのにこれがされない場合,当該処分につき仮の義務付けの申立てをするには,併せて不作為の違法確認の訴えを提起するだけでは足りず,更に義務付けの訴えを提起する必要がある。

解答 ア2,イ2,ウ1,エ1

GY1870H30-22Y 仮の救済 B

次のアからエまでの各事例におけるXが行政事件訴訟法上の仮の救済を求めるとした場合,各事例について最も適切と考えられる仮の救済の申立てを,それぞれ後記1から3までの中から選びなさい。 
ア.タクシー会社であるXが,道路運送法に基づき,運賃及び料金の認可申請をしたところ,処分行政庁から申請を拒否する処分を受けた事例
イ.県知事が公有水面埋立法に基づき公有水面埋立免許を与えた後に,当該免許に基づく工事により,周辺の景観が破壊されることを危惧する周辺住民Xの事例
ウ.地方公務員であるXが,非行があったとして,懲戒権者から地方公務員法に基づき停職処分をされようとしている事例
エ.市の公園で集会を開催しようと計画していたXが,当該市の条例に基づき,公園の使用許可を市長に申請し使用許可を受けたが,その後,集会の開催前に,集会内容が不適切であるとして,市長から当該使用許可を取り消す処分を受けた事例 
1.執行停止の申立て
2.仮の義務付けの申立て
3.仮の差止めの申立て

解答 ア2,イ1,ウ3,エ1

GY1890H28-23Y 執行停止申込手続 A

行政処分の執行停止申立手続に関する次のアからエまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.自己が受けた行政処分に不服がある者は,当該処分の執行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは,当該処分の取消訴訟を提起することなく,裁判所に対し,当該処分の執行停止決定をするよう申し立てることができる。
イ.執行停止決定がされるための要件の一つとして,当該処分,処分の執行又は手続の続行により重大な損害を生ずるおそれがあることが必要であるが,その有無を判断するに当たっては,損害の回復の困難の程度を考慮するものとし,損害の性質及び程度並びに当該処分の内容及び性質をも勘案するものとされている。
ウ.執行停止決定は,原則として口頭弁論を経てする必要があり,緊急の必要がある場合に限り,口頭弁論を経ないですることができる。
エ.執行停止決定が確定した後に,事情が変更したときは,裁判所は,相手方の申立てにより,当該決定を取り消すことができる。

解答 ア2,イ1,ウ2,エ1

GY1900R01-22Y 仮の救済 B

行政事件訴訟法上の仮の救済に関する次のアからエまでの各記述について,法令に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.処分の差止めの訴えの提起があった場合において,その差止めの訴えに係る処分がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり,かつ,本案について理由があるとみえるときは,公共の福祉に重大な影響を及ぼす場合であっても,裁判所は,申立てにより,仮の差止めをすることができる。
イ.裁判所は,本案である処分の取消訴訟の係属が,執行停止の決定の確定後,訴えの取下げにより消滅したときは,相手方の申立て又は職権により,決定をもって,執行停止の決定を取り消すことができる。
ウ.執行停止の申立ては,処分,処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは,本案の係属する裁判所以外の裁判所にすることが許される。
エ.執行停止の申立ての相手方は,申立てを認容する決定に対して即時抗告をすることができるが,当該即時抗告は,その決定の執行を停止する効力を有しないから,相手方が,即時抗告後,その決定が取り消される前に,処分の執行を継続することは許されない。

解答 ア2,イ2,ウ2,エ1

GY1901R02-21Y 執行停止と仮の救済 A

処分の執行停止及び仮の差止めに関する次のアからウまでの各記述について,行政事件訴訟法に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。  
ア.執行停止は,処分の執行等により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があることが要件となっているが,仮の差止めは,処分がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があることが要件となっている。
イ.執行停止及び仮の差止めのいずれについても,本案について理由があるとみえるときでなければ,裁判所はその決定をすることができない。
ウ.執行停止は,あらかじめ当事者の意見をきかなければ,裁判所はその決定をすることができないが,仮の差止めは,あらかじめ当事者の意見をきかなくても,裁判所はその決定をすることができる。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 4

GY1902R03-21Y 仮の救済 A

行政事件訴訟法上の仮の救済に関する次のアからエまでの各記述について,同法に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.仮の差止めの申立ては,処分又は裁決がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要がある場合にされるものであり,本案訴訟を提起せずに申し立てることができる。
イ.仮の差止めの申立てがあった場合には,内閣総理大臣は,裁判所に対し,異議を述べることができるが,仮の差止めを認める決定があった後には,もはやこれを述べることができない。
ウ.執行停止を認める決定は,第三者に対しても効力を有するが,仮の差止め及び仮の義務付けを認める決定は,いずれも第三者に対しては効力を有しない。
エ.裁判所がした仮の義務付けを認める決定が確定し,当該決定に基づいて行政庁が処分をした場合でも,裁判所は,当該決定確定後に事情が変更したときは,当該決定における相手方の申立てにより,当該決定を取り消すことができる。

解答 ア2,イ2,ウ1,エ1

第6編 行政事件訴訟法 第4章 抗告訴訟外

GY1950H27-21Y 行政訴訟類型 A

次の【甲群】に掲げるアからエまでの訴訟は,それぞれ【乙群】に掲げる1から5までの訴訟形態のいずれに当たるか,その番号を選びなさい(なお,甲群と乙群の各肢が一対一に対応するものではないことがあるので留意すること。)。
【甲 群】
ア.衆議院小選挙区選出議員の選挙につき,ある選挙区の選挙人が,公職選挙法の議員定数に関する定めが憲法第14条に違反することを主張して,公職選挙法第204条に基づき,当該選挙区に関し選挙を無効とすることを求める訴訟
(参照条文)公職選挙法
第204条 衆議院議員又は参議院議員の選挙において,その選挙の効力に関し異議がある選挙人又は公職の候補者(中略)は,衆議院(小選挙区選出)議員又は参議院(選挙区選出)議員の選挙にあつては当該都道府県の選挙管理委員会を,衆議院(比例代表選出)議員又は参議院(比例代表選出)議員の選挙にあつては中央選挙管理会を被告とし,当該選挙の日から30日以内に,高等裁判所に訴訟を提起することができる。
イ.国外に居住していて国内の市町村の区域に住所を有していない日本国民が,次回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙において,在外選挙人名簿に登録されていることに基づいて投票をすることができる地位にあることの確認を求める訴訟
ウ.起業者が,収用委員会のした裁決のうち土地所有者に対する損失の補償の金額が高すぎると主張して,土地収用法第133条第2項に基づき,自己の主張する金額との差額につき債務不存在確認を求める訴訟
(参照条文)土地収用法
第133条 (略)
2 収用委員会の裁決のうち損失の補償に関する訴えは,裁決書の正本の送達を受けた日から6月以内に提起しなければならない。
3 (略)
エ.公立高等学校の教職員が,所属校の校長の職務命令は違憲,違法であるが,当該職務命令に従わないと処遇上の不利益を受ける危険があると主張して,行政処分以外の処遇上の不利益を予防する目的で,当該職務命令に基づく義務の不存在確認を求める訴訟
【乙 群】
1.行政事件訴訟法(以下「法」という。)第3条第1項の抗告訴訟
2.法第4条の当事者訴訟のうち,同条前段の「当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの」
3.法第4条の当事者訴訟のうち,同条後段の「公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟」
4.法第5条の民衆訴訟
5.法第6条の機関訴訟

解答 ア4,イ3,ウ2

GY2030H27-22Y 住民訴訟 B

地方自治法第242条の2第1項の規定に基づいて提起する住民訴訟に関する次のアからウまでの各記述について,法律及び最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。なお,言及のない訴訟要件は満たされているものとする。
ア.市の住民であるXは,市の所有地上に産業廃棄物の処理施設を設置,操業して違法に有害な物質を排出している産業廃棄物処理業者を被告として,当該施設の操業の差止めを求める住民訴訟を適法に提起することができる。
イ.市の住民であるXは,市が特定の市有地を権原なく占用する者に対し占用料相当額の請求を怠ることの違法確認を求める住民訴訟を,市長を被告として適法に提起することができる。
ウ.市の住民であるXは,市が廃棄物運搬業者との間で締結した委託契約に基づく委託料の支出が違法であることを理由に,支出行為をした当時の市長個人を被告として,市への損害賠償の支払を求める住民訴訟を適法に提起することができる。
(参照条文)地方自治法
第242条の2 普通地方公共団体の住民は,前条第1項の規定による請求(注:住民監査請求)をした場合において,同条第4項の規定による監査委員の監査の結果(中略)に不服があるとき(中略)は,裁判所に対し,同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき,訴えをもつて次に掲げる請求をすることができる。
一 当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求
二 行政処分たる当該行為の取消し又は無効確認の請求
三 当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求
四 当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求。(以下略)
2~12 (略)
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 6

GY2040R01-21Y 行政事件訴訟法 B

行政事件訴訟に関する次のアからウまでの各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.職務命令の違反を理由とする懲戒処分等の不利益処分の予防を目的として,当該職務命令に基づく公的義務が存在しないことの確認を求める訴えは,公法上の法律関係に関する確認の訴えとして適法である。
イ.行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないときは,原告が当該処分についての申請をしたか否かにかかわらず,適法に不作為の違法確認の訴えを提起することができる。
ウ.執行機関と議決機関との関係は,地方公共団体の内部の機関相互間の関係であり,法律が内部的解決に委ねることを不適当として特に訴えの提起を許している場合を除き,機関相互間の権限の紛争は,訴訟の対象とはならないから,市議会議員が,市議会議員としての資格において,市又は市長を被告として市議会の議決の無効又は議決の不存在の確認を求める訴えは,これを許容する法律の規定がない以上,市長が市議会の議決に拘束されるとしても,不適法なものとして却下を免れない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 7

第7編 国家補償法 第1章 国家賠償

GY2110H27-24Y 国家賠償法 B

国家賠償に関する次のA及びアからウまでのかぎ括弧内の各記述は,最高裁判所の判例の中の一節を抜き出したものである。国家賠償請求の成否に係る判断について,Aの考え方と最も近い考え方を採る判例を,後記1から3までの中から選びなさい。
A 「刑事事件において無罪の判決が確定したというだけで直ちに起訴前の逮捕・勾留,公訴の提起・追行,起訴後の勾留が違法となるということはない。けだし,逮捕・勾留はその時点において犯罪の嫌疑について相当な理由があり,かつ,必要性が認められるかぎりは適法であり,公訴の提起は,検察官が裁判所に対して犯罪の成否,刑罰権の存否につき審判を求める意思表示にほかならないのであるから,起訴時あるいは公訴追行時における検察官の心証は,その性質上,判決時における裁判官の心証と異なり,起訴時あるいは公訴追行時における各種の証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により有罪と認められる嫌疑があれば足りるものと解するのが相当であるからである。」
ア.「逮捕状は発付されたが,被疑者が逃亡中のため,逮捕状の執行ができず,逮捕状の更新が繰り返されているにすぎない時点で,被疑者の近親者が,被疑者のアリバイの存在を理由に,逮捕状の請求,発付における捜査機関又は令状発付裁判官の被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があったとする判断の違法性を主張して,国家賠償を請求することは許されないものと解するのが相当である。けだし,右の時点において前記の各判断の違法性の有無の審理を裁判所に求めることができるものとすれば,その目的及び性質に照らし密行性が要求される捜査の遂行に重大な支障を来す結果となるのであつて,これは現行法制度の予定するところではないといわなければならないからである。」
イ.「税務署長のする所得税の更正は,所得金額を過大に認定していたとしても,そのことから直ちに国家賠償法一条一項にいう違法があったとの評価を受けるものではなく,税務署長が資料を収集し,これに基づき課税要件事実を認定,判断する上において,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正をしたと認め得るような事情がある場合に限り,右の評価を受けるものと解するのが相当である。」
ウ.「不動産の強制競売事件における執行裁判所の処分は,債権者の主張,登記簿の記載その他記録にあらわれた権利関係の外形に依拠して行われるものであり,その結果関係人間の実体的権利関係との不適合が生じることがありうるが,これについては執行手続の性質上,強制執行法に定める救済の手続により是正されることが予定されているものである。したがつて,執行裁判所みずからその処分を是正すべき場合等特別の事情がある場合は格別,そうでない場合には権利者が右の手続による救済を求めることを怠つたため損害が発生しても,その賠償を国に対して請求することはできないものと解するのが相当である。」
1.ア  2.イ  3.ウ

解答 2

GY2120H29-22Y 国家賠償法 A

国家賠償法に関する次のアからエまでの各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.国又は公共団体の公務員による規制権限の不行使は,その権限を定めた法令の趣旨,目的や,その権限の性質等に照らし,具体的事情の下において,その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは,その不行使により被害を受けた者との関係において,国家賠償法第1条第1項の適用上違法となる。
イ.国家賠償法第1条は,加害行為が公務員の故意又は重過失による場合には,被害者が当該公務員個人に対して賠償請求することを妨げない趣旨である。
ウ.道路の設置又は管理の瑕疵に基づく国又は公共団体の賠償責任については,過失の存在を必要としないから,道路の安全性が欠如していたために事故が発生した場合,道路管理者が道路を安全な状態に保つことが可能であったか否かにかかわらず,賠償責任を免れない。
エ.河川の管理についての瑕疵の有無は,河川管理における財政的,技術的及び社会的諸制約の下での同種・同規模の河川の管理の一般的水準及び社会通念に照らして是認し得る安全性を備えていると認められるか否かを基準として判断される。

解答 ア1,イ2,ウ2,エ1

GY2160H30-23Y 国家賠償法 A

国家賠償に関する次のアからエまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.行政処分が違法であることを理由として国家賠償請求をするについては,あらかじめ当該行政処分について取消し又は無効確認の判決を得なければならないものではなく,このことは,当該行政処分が金銭を納付させることを直接の目的としており,その違法を理由とする国家賠償請求を認容したとすれば,結果的に当該行政処分を取り消した場合と同様の経済的効果が得られるという場合であっても異ならない。
イ.建築基準法によると,建築物の所有者が有する財産上の利益は法律上保護された利益ではないから,建築確認を行う際に建築主事が職務上尽くすべき義務を尽くさず,建築物の所有者に損害が生じたとしても,建築物の所有者に対する,建築主事が所属する公共団体の国家賠償責任は認められない。
ウ.国家賠償法第1条第1項の「その職務を行うについて」とは,少なくとも公務員が主観的に権限行使の意思を有して,当該権限行使を行う場合に限られるから,客観的に職務執行の外形を備える行為によって,他人に損害を加えた場合であっても,当該公務員に権限行使の意思が認められない場合には,当該公務員個人の損害賠償責任は別として,国家賠償責任は認められない。
エ.監獄の長が行った未成年者との面会を拒否する処分が,旧監獄法による委任の範囲を超えた命令に基づいていることを理由として違法とされたとしても,当該命令の適法性につき,長期間にわたって,実務上特に疑いを差し挟む解釈をされたことも裁判上とりたてて問題とされたこともないといった事情があり,監獄の長にとって当該命令が委任の範囲を超えることが容易に理解できなかった場合には,上記の違法を理由とする国家賠償責任は認められない。

解答 ア1,イ2,ウ2,エ1

GY2170R01-23Y 国家賠償法 A

国家賠償法に関する次のアからウまでの各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.国又は公共団体以外の者の被用者が第三者に損害を加えた場合であっても,当該被用者の行為が国又は公共団体の公権力の行使に当たるとして国又は公共団体が被害者に対して国家賠償法第1条第1項に基づく損害賠償責任を負うときには,被用者個人は民法第709条に基づく損害賠償責任を負わないが,使用者は同法第715条に基づく損害賠償責任を負う。
イ.国又は公共団体の公務員による一連の職務上の行為の過程において他人に被害を生ぜしめた場合において,それが具体的にどの公務員のどのような違法行為によるものであるかを特定することができなくても,それらの一連の行為を組成する各行為のいずれもが国又は同一の公共団体の公務員の職務上の行為に当たるときには,国又は公共団体は,加害行為が不特定であることを理由に国家賠償法上の損害賠償責任を免れることはできない。
ウ.公権力の行使に当たる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任については,「失火ノ責任ニ関スル法律」は適用されず,当該公務員に重大な過失があると認められない場合であっても,国又は公共団体は,国家賠償法第1条第1項に基づく損害賠償責任を負う。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 6

GY2201R02-22Y 国家賠償法 A

国家賠償に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.警察官が,交通法規等に違反して車両で逃走する者をパトカーで追跡する職務の執行中に,逃走車両の走行により第三者が損害を被った場合,当該警察官の職務執行は,当該追跡が職務目的を遂行する上で必要なものであり,かつ,追跡の開始・継続及び追跡の方法が相当であったとしても,当該第三者に対する関係では違法なものとなる。
イ.国の公権力の行使に当たる公務員が,その職務を行うについて,故意により違法に他人に損害を与えた場合であっても,国は被害者に対し賠償責任を負うが,当該公務員個人は被害者に対し直接に賠償責任を負わない。
ウ.裁判官による争訟の裁判に事実認定や法律解釈の誤りがあった場合には,上訴等の訴訟法上の救済方法によって是正することが予定されているから,当該裁判官が違法又は不当な目的をもって上記のような誤った裁判をした場合であっても,国の賠償責任を生ずることはない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 6

GY2202R03-22Y 国家賠償法 A

国家賠償法に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.憲法第17条は,国又は公共団体が公務員のどのような行為によりいかなる要件で損害賠償責任を負うかを立法府の政策判断に委ねたものであるから,公務員の不法行為による国又は公共団体の損害賠償責任を免除し,又は制限する内容の法律の規定が同条に違反するとして,無効とされることはない。
イ.国家賠償法第2条第1項の営造物責任に関し,同法第3条第1項の「費用を負担する者」には,当該営造物の設置費用につき法律上負担義務を負う者だけでなく,この者と同等又はこれに近い設置費用を負担し,実質的にこの者と当該営造物による事業を共同して執行していると認められる者であって,当該営造物の瑕疵による危険を効果的に防止し得る者も含まれる。
ウ.税務署長のする所得税の更正は,所得金額を過大に認定していた場合であっても,当該税務署長において職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正をしたと認め得るような事情がない限り,国家賠償法第1条第1項にいう違法があったとの評価を受けない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 5

第7編 国家補償法 第2章 損失補償

GY2271R03-23Y 損失補償 B

損失補償に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.憲法第29条第3項は「正当な補償」と規定しているだけで補償の時期については規定していないから,損失補償が私有財産の供与と交換的に同時履行されなくても,憲法に違反するものではない。
イ.日本国が平和条約により連合国に対する賠償義務を承認し,日本国民の在外資産を賠償に充当することに対して国として異議を唱えず承認した結果,在外資産を喪失することになった国民は,憲法第29条第3項に基づき国に補償を求めることができる。
ウ.土地収用法における損失の補償は,特定の公益上必要な事業のために土地が収用される場合,その収用によって当該土地の所有者等が被る特別な犠牲の回復を図ることを目的とするものであるから,被収用者は,収用の前後を通じて被収用者の保持する財産価値を等しくさせるような補償を求めることができる。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 3

GY2280H29-23Y 国家賠償と損失補償 A

国家賠償と損失補償に関する教員と学生の対話中の次のアからウまでの【 】内の各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
教員:今日は損失補償と国家賠償の違いについて考えてみましょう。国家賠償と比べた損失補償の特徴は何でしょうか。
学生:一つ目の特徴としては,損失補償について定めた一般法は存在しないということです。
(ア)【個別法に損失補償を認める規定が存在しない場合には,裁判を提起して損失補償を求めることはできないと解されています。】
教員:なるほど。では,その他の特徴は何でしょうか。
学生:損失補償は,適法な公権力の行使により特別の犠牲が生じた場合に,公平負担の見地から認められるものですので,公権力の行使が適法であることが前提とされています。
教員:そこでいう特別の犠牲とは,財産上の損害に限られるのでしょうか。
学生:難しい問題ですが,(イ)【予防接種による副作用被害が問題となった事案では,生命や身体に対する損害であっても損失補償の対象になり得ると主張されました。しかし,このような損失補償による救済を明示的に認めた最高裁判所の判例はありません。】
教員:それでは,最後の質問ですが,損失補償が認められる場合に,その補償はどの程度の額でなければならないのでしょうか。
学生:はい,損失補償に際しては「正当な補償」が必要であると解されています。ただ,(ウ)【第二次世界大戦後の農地改革をめぐる最高裁判所の判例では,この「正当な補償」の額は,その当時の経済状態において成立すると考えられる価格と完全に一致することを要しないとされました。】
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 5

第8編 行政手段論 第1章 行政組織法

GY2340H28-24Y 内閣の組織・権限等 B

内閣の組織,権限等に関する次のアからエまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.内閣総理大臣は,主任の大臣として行政事務を分担管理する国務大臣を任命することとされており,行政事務を分担管理しない大臣を置くことはできない。
イ.最高裁判所の判例によれば,内閣総理大臣は,閣議にかけて決定した方針が存在しない場合においても,内閣の明示の意思に反しない限り,行政各部に対し,随時,その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導,助言等の指示を与える権限を有すると解されている。
ウ.内閣を補助する組織として内閣に置かれる内閣補助部局は,内閣官房及び内閣府に限られている。
エ.内閣総理大臣は,自ら各省大臣の職に就くこともできる。

解答 ア2,イ1,ウ2,エ1

GY2360R01-24Y 地方公共団体の事務 B

地方公共団体の事務と国との関係に関する次のアからエまでの各記述について,法令に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.地方公共団体の第一号法定受託事務は,国が本来果たすべき役割に係るものであって,国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして,地方公共団体の長に委任された事務であるから,地方公共団体の長は,国の機関としてその事務の処理を行う。
イ.各大臣は,その担任する事務に関し,都道府県の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるときは,当該都道府県に対し,その違反の是正のため必要な措置を講ずることを求めることができ,これにより,当該都道府県は,当該措置を講ずる義務を負う。
ウ.各大臣は,その所管する法律に係る都道府県知事の事務の管理又は執行が法令の規定に違反するものがある場合において,その事務が第一号法定受託事務であるときは,一定の要件の下で代執行をすることができる。
エ.地方公共団体の事務の処理について,当該地方公共団体と国との間で紛争が生じた場合,国の行政庁は,国地方係争処理委員会に対し,当該地方公共団体の執行機関を相手方として,審査の申出をすることができる。

解答 ア2,イ1,ウ1,エ2

GY2430H29-24Y 行政庁の権限の委任・専決 A

行政庁の権限の委任及び専決に関する次のアからウまでの各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.行政庁が他の行政機関に法律に基づく処分の権限を委任することは,法律の根拠がなければ行うことができないが,行政庁がその権限に属する行為を他の行政機関に専決させることは,法律の根拠がなくても行うことができる。
イ.行政庁Aの有する処分の権限が行政機関Bに委任された場合,当該処分はBの名で行われ,Bが当該処分をした行政庁となる。
ウ.行政庁Aの権限とされている処分を行政機関Bが専決により行う場合,当該処分はAの名で行われ,Aが当該処分をした行政庁となる。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 1

GY2431R02-24Y 行政組織法 B

行政組織法に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.対等な行政機関間で権限について疑義が生じたときは,上級行政機関がこれを決することになるところ,主任の大臣の間における権限についての疑義は,内閣総理大臣が,閣議にかけて,これを裁定する。
イ.上級行政機関は,下級行政機関に対する指揮監督権を有するが,法律の特別の授権がない場合には,下級行政機関の権限を当該下級行政機関に代わって自ら行使することはできない。
ウ.上級行政機関から下級行政機関に対して,法律の規定に基づいて権限の委任が行われた場合には,当該権限の行使に関する限り,当該上級行政機関の当該下級行政機関に対する指揮監督関係は失われるが,専決が行われた場合にも,当該上級行政機関の当該下級行政機関に対する指揮監督関係は同様に失われる。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 2

第9編 総合問題 

GY2450H29-14Y 行政上の法律関係と民事法 A

行政上の法律関係に対する民事法の適用に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体を代表して行う契約の締結行為であっても,私人間における双方代理と同様の利害状況となることがあり得るから,双方代理を禁じた民法第108条の規定が類推適用されるが,その代表権は執行機関に専属する権限であるから,双方代理行為がされた後に議会の追認の議決があっても,民法第116条の規定を類推適用して本人による追認の効果が生ずるものではない。
イ.建物を築造する場合に境界線から50センチメートル以上の距離を保つべきことを定める民法第234条第1項の規定は,建築基準法第65条の定める防火地域又は準防火地域内にある耐火構造の外壁を有する建築物についても,直ちに適用が排除されるものではなく,民法の規定により保護される隣地の採光・通風,相隣者間の生活利益を犠牲にしてもなお制限を超える建築を許すだけの合理的な理由がある場合に限って,建築基準法の規定が優先適用される。
(参照条文)建築基準法
(隣地境界線に接する外壁)
第65条 防火地域又は準防火地域内にある建築物で,外壁が耐火構造のものについては,その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。
ウ.生活保護法に基づき被保護者が受ける保護受給権は,当該個人に与えられた一身専属の権利であって,原則として相続の対象となるものではないが,被保護者の生存中の金銭給付を内容とする扶助で既に遅滞にあるものについては,相続の対象となる。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 8

GY2470H28-13Y インターネット医薬品販売 B

最高裁判所平成25年1月11日第二小法廷判決(民集67巻1号1頁。以下「本判決」という。)は,一般用医薬品のうち第一類医薬品及び第二類医薬品について,インターネット販売を含む郵便等販売を規制する薬事法施行規則(平成26年厚生労働省令第8号による改正前のもの。以下「本件施行規則」という。)の薬事法(平成25年法律第103号による改正前のもの。以下同じ。)への適合性について判断した判決である。問題となった本件施行規則は,第一類医薬品及び第二類医薬品につき,店舗販売業者による店舗以外の場所にいる者に対する郵便等販売を一律に禁止するものであった。本判決に関する次のアからエまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.本判決は,当事者訴訟(行政事件訴訟法第4条後段)として,原告が第一類医薬品及び第二類医薬品につき郵便等販売をすることができる権利(地位)を有することの確認を求める訴えを適法に提起することができることを前提としたものである。
イ.本判決は,一般用医薬品の郵便等販売の規制を本件施行規則に委任することについて,授権する薬事法の規定がある程度不明確であったとしても,行政庁には専門技術的な観点からの一定の裁量権が認められているから,一般用医薬品の郵便等販売を規制する本件施行規則を制定することが許されるとしたものである。
ウ.本判決は,薬事法の規定の趣旨を考慮する際には,薬事法の立法過程で一般用医薬品を店舗において対面で販売する必要性が強調されていたなどの立法過程における議論を考慮してはならないとしたものである。
エ.本判決は,従前違法とされていなかった第一類医薬品及び第二類医薬品の郵便等販売を一律に禁止する本件施行規則は,職業活動の自由を相当程度制約するものであるから,憲法第22条第1項に違反すると判示したものである。
(参照条文)薬事法(平成25年法律第103号による改正前のもの)
(一般用医薬品の区分)
第36条の3 一般用医薬品(専ら動物のために使用されることが目的とされているものを除く。)は,次のように区分する。
一 第一類医薬品 その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品のうちその使用に関し特に注意が必要なものとして厚生労働大臣が指定するもの及びその製造販売の承認の申請に際して第14条第8項第1号に該当するとされた医薬品(注:既に製造販売の承認を与えられている医薬品と,有効成分,分量,用法,用量,効能,効果等が明らかに異なるとされた医薬品)であつて当該申請に係る承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないもの
二 第二類医薬品 その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品(第一類医薬品を除く。)であつて厚生労働大臣が指定するもの
三 第三類医薬品 第一類医薬品及び第二類医薬品以外の一般用医薬品
2,3 (略)

解答 ア1,イ2,ウ2,エ2

GY2490H27-14Y 土地収用 A

土地収用法による土地収用は,国土交通大臣又は都道府県知事が起業者(土地収用を必要とする事業を行う者)からの申請に対して行う事業認定と,それに続く都道府県の収用委員会による収用裁決とを経て行われる。以上の土地収用に関する次のアからエまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。なお,以下でいう「事業認定の違法性」は,事業認定の無効事由には当たらない違法事由を指すものとする。 
ア.起業者は,事業認定を申請し収用することが可能な土地についても,土地所有者と売買契約を締結して取得することができる。
イ.事業認定が都道府県知事により行われた場合に,収用裁決の取消訴訟において原告は事業認定の違法性を主張できるという考え方を採るとしても,事業認定が国土交通大臣により行われた場合には,そのような違法性の主張を認めることはできない。
ウ.収用裁決の取消訴訟において原告は都道府県知事による事業認定の違法性を主張できるという考え方を採る場合には,都道府県知事による事業認定の処分性を認めることはできない。
エ.最高裁判所の判例によれば,収用委員会が収用裁決において行う損失補償の範囲及び額の決定について,収用委員会に裁量権は認められない。

解答 ア1,イ2,ウ2,エ2