第1編 総論 第1章 憲法と立憲主義

KE0020H26-01 法の支配 A

「法の支配」の原理に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.「法の支配」は,「人による支配」を排斥し,権力を「法」で拘束することによって国民の権利・自由を保障することを目的とする原理である。
イ.「法の支配」は,「法律による行政」の原理を意味するものであり,その法律自体の内容は問わない原理である。
ウ.日本国憲法も,憲法の最高法規性,基本的人権の保障,特別裁判所の設置の禁止,そして裁判所による違憲立法審査権等からして,「法の支配」の原理に立脚しているといえる。

解答 ア1,イ2,ウ1

KE0030H27-11 近代立憲主義 A

近代立憲主義に関する次のアからウの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.近代立憲主義とは,成文憲法に基づいて国家運営を行おうとする思想ないし実践を意味する。それは,イギリスにおける1215年のマグナカルタによって確立された。
イ.1789年のフランス人権宣言は近代立憲主義の内容を簡潔に示している。それによれば,「憲法」というためには,「権力の分立」が定められていれば足りる。
ウ.19世紀の「自由国家」と形容される時代には自由の保障が強調されていた。しかし,その自由の保障のために,違憲立法審査権を裁判所に認める国は例外的であった。

解答 ア2,イ2,ウ1

KE0031R03-07Y 立憲主義の展開 B

立憲主義の展開に関する次の1から5までの各記述のうち,誤っているものはどれか。 
1.1789年のフランス人権宣言は,「権利の保障が確保されず,権力の分立が定められていないすべての社会は,憲法をもたない」と規定し,近代立憲主義の立場を宣明するとともに,所有は神聖不可侵の権利とした。
2.アメリカ合衆国では,憲法に明示的な定めはなかったが,合衆国最高裁判所の判例によって,司法審査制度が確立した。同裁判所は,大恐慌後のニュー・ディール期には,経済的自由権を重視し,政治部門と対立したが,今日では表現の自由について厳しい審査を行う立場をとっている。
3.ドイツでは,第一次世界大戦後,社会国家の理念を体現する規定を有するワイマール憲法が成立したが,その後ナチスの台頭を招き,数々の人権侵害が行われた。現在のドイツでは,司法裁判所とは別に特別の憲法裁判所が設置され,抽象的違憲審査制度を伴う憲法保障が確立している。
4.イギリスは,近代立憲主義の母国であるが,裁判所が,憲法典に照らして,議会の制定した法律を違憲無効とするということは行われていない。それは,イギリスが,議会主権・軟性憲法の国であるとともに,不文憲法の国であって,例えば,王位継承についても人身保護についても,成文の法規範が存在しないためである。
5.国際的人権保障については,世界人権宣言の採択に続いて国際人権規約が発効し,その後も難民条約や女子差別撤廃条約等の個別の重要な人権条約について,我が国も締約国となった。地域的な人権条約の中でも欧州人権条約については,欧州人権裁判所が裁判的保障の役割を担っている。

解答 4

KE0060H29-07Y 憲法の意義 A

憲法の意義に関する次のアからエまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.日本国憲法の前文は,国民主権,基本的人権の尊重,平和主義の3つの基本原理を明らかにしており,憲法の一部をなすものであって,当該規定を根拠に裁判所に救済を求めることができるという意味で,最高裁判所の判例においても裁判規範性が認められている。
イ.「憲法」が成文の憲法を指す場合に,「形式的意味の憲法」と呼ばれるが,この意味の憲法は,その内容において人権保障に関する規定が含まれているかどうかを問わない。
ウ.国家であれば,権力の組織や構造が定まっていると考えられ,この意味では全ての国家は憲法を持つと言われるが,この場合の「憲法」は,「固有の意味の憲法」と呼ばれる。
エ.1789年フランス人権宣言第16条において,権利の保障が確保されず,権力の分立が定められていない社会は,全て憲法を持つものではない旨が示されているが,この場合の「憲法」は,「立憲的意味の憲法」あるいは「近代的意味の憲法」と呼ばれる。

解答 ア2,イ1,ウ1,エ1

KE0070R01-11K 憲法の概念 A

憲法の概念に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.「固有の意味の憲法」とは,国家の統治の在り方を定めた基本法としての近代前の憲法を指す。これに対して,「立憲的意味の憲法」とは,国家権力を制限して国民の権利を保障するという思想に基づく近代以降の憲法のことをいう。
イ.「形式的意味の憲法」とは,憲法という名称を与えられた成文の法典(憲法典)を指す。これに対して,「実質的意味の憲法」とは,その存在形式のいかんを問わず,内容的に憲法と観念されるもののことをいう。
ウ.「硬性憲法」とは,日本国憲法のように,憲法改正が困難な憲法を指す。これに対して,「軟性憲法」とは,ドイツ連邦共和国基本法のように,憲法改正が容易でこれまで繰り返し改正が成立してきた憲法のことをいう。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 6

KE0071R02-20 憲法の法源 B

憲法の法源に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.硬性憲法の原則を重視する立場をとっても,憲法の空白を埋める事実が反復・継続された場合に,国家機関を政治的に拘束する憲法慣習の成立を認めることができる。
イ.判例が,後の裁判を法的に拘束するという立場をとるならば,法律の合憲性に関する最高裁判所の判例を変更することは,後の最高裁判所であっても,許されない。
ウ.条約の国内法的効力は憲法に劣るという立場をとるならば,裁判所が,立法事実の存否を判断するための資料として,国際人権条約を参照することは,許されない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 4

KE0080H25-12 憲法前文 A

憲法前文に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.前文は,日本国憲法という法典名の後に置かれているばかりでなく,その内容が憲法制定の目的や憲法の基本原理を含んでいることから,その法的規範性が是認される。
イ.前文は,法律の場合と同じ手続で改正することができるが,前文に抵触する下位規範は,憲法第98条第1項からして,理論上排除されることになる。
ウ.前文第2段は,「平和のうちに生存する権利」を謳っており,最高裁判所はその裁判規範性を認めている。

解答 ア1,イ2,ウ2

第1編 総論 第2章 日本憲法史

KE0090H25-20K 最高法規性 A

憲法の最高法規性に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○を,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.憲法が最高法規であることからすれば,立法その他の国家行為が憲法に反するか否かを判断する権限が司法府に与えられていなければならない。
イ.憲法は授権するのみで授権されることはないため,実定法秩序における法の段階構造を前提にすれば,憲法の最高規範性が導き出される。
ウ.憲法の最高法規性は憲法規範の内容が他の法規範とは質的に異なることから導かれるが,このような意味における最高法規性が一般に実質的最高法規性と呼ばれている。
憲法の概念に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.「固有の意味の憲法」とは,国家の統治の在り方を定めた基本法としての近代前の憲法を指す。これに対して,「立憲的意味の憲法」とは,国家権力を制限して国民の権利を保障するという思想に基づく近代以降の憲法のことをいう。
イ.「形式的意味の憲法」とは,憲法という名称を与えられた成文の法典(憲法典)を指す。これに対して,「実質的意味の憲法」とは,その存在形式のいかんを問わず,内容的に憲法と観念されるもののことをいう。
ウ.「硬性憲法」とは,日本国憲法のように,憲法改正が困難な憲法を指す。これに対して,「軟性憲法」とは,ドイツ連邦共和国基本法のように,憲法改正が容易でこれまで繰り返し改正が成立してきた憲法のことをいう。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 5

KE0100H25-07Y 日本国憲法の成立の法理 A

日本国憲法成立の法理に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.憲法改正無限界論を前提にして,日本国憲法は大日本帝国憲法の憲法改正として有効に成立したものであると主張する説がある。この説に対しては,社会が変転する場合には,法もその社会の変転に伴って変わるということが法の本質である,との批判がなされている。
イ.日本のポツダム宣言受諾によって,天皇主権から国民主権への変更が生じ,日本国憲法はこの新たな主権者による新憲法制定であると主張する説がある。この説に対しては,ポツダム宣言は日本に直ちに国民主権の採用を要求したものではない,との批判がなされている。
ウ.国家の自主性が失われていた占領下において成立した日本国憲法は無効である,と主張する説がある。この説に対しては,ポツダム宣言・降伏文書に従った占領軍の要求は国際法上違法ではなく,また国内での国民による自律的判断は存在したといえる,との批判がなされている。

解答 ア2,イ1,ウ1

第1編 総論 第3章 国民主権の原理

KE0110H27-07Y 人権の国際保障 B

人権の国際的保障に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.第二次世界大戦以前には人権を国際的に保障する制度は構築されておらず,第一次世界大戦後に国際連盟が結成されたが,人権問題は専ら国内問題とされていた。
イ.第二次世界大戦後,国際連合において採択された世界人権宣言は,国際社会における人権に関する規律の中で最も基本的な「宣言」であるので,法規範性を有している。
ウ.第二次世界大戦後,国際連合において採択された国際人権規約は,世界人権宣言の内容を基礎として,これを条約化したものであり,法規範性を有している。

解答 ア1,イ2,ウ1

KE0150H25-13 主権 A

主権に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8の中から選びなさい。
ア.憲法前文第3段で「自国の主権を維持し」という場合の主権は,対外的な独立性に重点を置いた意味で使われている。
イ.憲法第1条で「主権の存する日本国民の総意」という場合の主権は,国の政治のあり方を最終的に決定する権力又は権威を意味する。
ウ.憲法第96条第1項の規定する憲法改正手続における国民投票は,国民主権の権力的な契機の表れといえる。
憲法の概念に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.「固有の意味の憲法」とは,国家の統治の在り方を定めた基本法としての近代前の憲法を指す。これに対して,「立憲的意味の憲法」とは,国家権力を制限して国民の権利を保障するという思想に基づく近代以降の憲法のことをいう。
イ.「形式的意味の憲法」とは,憲法という名称を与えられた成文の法典(憲法典)を指す。これに対して,「実質的意味の憲法」とは,その存在形式のいかんを問わず,内容的に憲法と観念されるもののことをいう。
ウ.「硬性憲法」とは,日本国憲法のように,憲法改正が困難な憲法を指す。これに対して,「軟性憲法」とは,ドイツ連邦共和国基本法のように,憲法改正が容易でこれまで繰り返し改正が成立してきた憲法のことをいう。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 1

KE0160R01-08Y 主権の概念 A

主権に関する次のアからエまでの各記述について,正しいものの組合せを,後記1から6までの中から選びなさい。 
ア.絶対王政の時代には,国家の主権と国王の主権を区別することに意味がなく,現に両者は一体的に捉えられていた。
イ.ポツダム宣言第8項(「日本国ノ主権ハ本州,北海道,九州及四国並ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルベシ」)にいう主権は,対外的独立性の意味の主権であるとされている。
ウ.一般に連邦国家では,主権は各州に帰属し,連邦は州より委譲された範囲でしか権限を行使し得ないため,連邦国家を主権国家と呼ぶことはできないとされている。
エ.統治権という意味での主権は国家に属すると考える国家法人説は,君主主権と国民主権のどちらにも結び付き得る考え方である。
1.アとイ 2.アとウ  3.アとエ  4.イとウ  5.イとエ  6.ウとエ

解答 3

KE0161R02-11K 主権の概念 A

主権に関する次のアからエまでの各記述について,国政に関する最高の決定権という意味で主権の概念を用いたものの組合せを,後記1から6までの中から選びなさい。 
ア.「日本国ノ主権ハ本州,北海道,九州及四国並ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルベシ」(ポツダム宣言第8項)というときの「主権」
イ.「日本国民は,(中略)ここに主権が国民に存することを宣言し,この憲法を確定する。」(憲法前文第1項)というときの「主権」
ウ.「政治道徳の法則は,普遍的なものであり,この法則に従ふことは,自国の主権を維持し,他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。」(憲法前文第3項)というときの
「主権」
エ.「天皇は,日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて,この地位は,主権の存する日本国民の総意に基く。」(憲法第1条)というときの「主権」 
1.アとイ  2.アとウ  3.アとエ  4.イとウ  5.イとエ  6.ウとエ

解答 5

KE0162R03-11 主権 A

主権に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.国民主権の原理に基づき,国及び普通地方公共団体による統治の在り方については日本国の統治者としての国民が最終的な責任を負うべきものであることからすると,外国人が普通地方公共団体の公務員に就任することは,その者が公権力の行使に当たる行為を行うかどうかにかかわらず,本来我が国の法体系の想定するところではない。
イ.裁判員制度は国民主権の理念に沿って司法の国民的基盤の強化を図るものであり,裁判員の職務等が司法権の行使に対する国民の参加という点で参政権と同様の権限を国民に付与するものであることからすると,裁判員の職務等を憲法第18条後段が禁ずる「苦役」に当たるということは,必ずしも適切ではない。
ウ.天皇は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であるが,この地位は主権の存する日本国民の総意に基づくものであるとともに,民事裁判権が国民に由来する司法権の一作用であることからすれば,天皇に裁判所の民事裁判権が及ばないものと解することはできない。
憲法の概念に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.「固有の意味の憲法」とは,国家の統治の在り方を定めた基本法としての近代前の憲法を指す。これに対して,「立憲的意味の憲法」とは,国家権力を制限して国民の権利を保障するという思想に基づく近代以降の憲法のことをいう。
イ.「形式的意味の憲法」とは,憲法という名称を与えられた成文の法典(憲法典)を指す。これに対して,「実質的意味の憲法」とは,その存在形式のいかんを問わず,内容的に憲法と観念されるもののことをいう。
ウ.「硬性憲法」とは,日本国憲法のように,憲法改正が困難な憲法を指す。これに対して,「軟性憲法」とは,ドイツ連邦共和国基本法のように,憲法改正が容易でこれまで繰り返し改正が成立してきた憲法のことをいう。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 6

KE0200H24-12 天皇・皇室 B

天皇又は皇室に関する次のアからエまでの各記述について,正しいもの二つの組合せを,後記1から6までの中から選びなさい。 
ア.天皇は,精神若しくは身体の疾患又は事故があるときは,国事行為を委任することができる。この場合には,摂政が天皇の名で国事行為を行う。
イ.皇室に財産を譲り渡し,又は皇室が財産を譲り受け,若しくは賜与することは国会の議決に基づかなければならない,というのが憲法の定める原則である。
ウ.皇位の継承について,大日本帝国憲法は,「皇男子孫之ヲ継承ス」と定めていたが,日本国憲法は,男系男子主義までも求めるものではない。
エ.国務大臣の任免,法律の定めるその他の官吏の任免の認証は,天皇の国事行為とされている。認証は,これらの行為の効力要件である。
1.アとイ  2.アとウ  3.アとエ  4.イとウ  5.イとエ  6.ウとエ

解答 4

KE0210H25-14 天皇 B

天皇に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.内閣が総辞職した後に,国会により新たな内閣総理大臣が指名された場合,この新たな内閣総理大臣の任命は,総辞職した内閣の助言と承認により天皇が行うことになる。
イ.天皇も日本国民であることから基本的人権は保障されており,例えば表現の自由や選挙権は保障されるものの,その職務の特殊性から一定の例外があり,例えば被選挙権は認められない。
ウ.内閣の助言と承認は国事行為の実質的決定権を含まないとの立場からは,憲法第69条の規定する場合以外の衆議院解散の実質的決定権の根拠を,憲法第7条以外に求めざるを得ない。

解答 ア1,イ2,ウ1

KE0220H26-12 天皇の国事行為 A

天皇の国事行為及び内閣の助言と承認に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.国事行為のうち,その行為自体が名目的・儀礼的なものであっても,天皇は,自らの判断に基づき,内閣の助言と承認を拒むことは許されない。
イ.憲法は,天皇の無答責を明文で規定していないので,内閣の助言と承認のもとで行われた天皇の国事行為であっても,内閣の責任のほかに天皇が責任を負うことがあり得る。
ウ.国政に関する権能を天皇に付与しない限り,憲法で定められている国事行為以外の行為について,新たな国事行為として法律で定めることも許される。

解答 ア1,イ2,ウ2

KE0230H28-12K 天皇のおことば A

天皇が国会開会式に出席した上で述べる「おことば」の憲法上の位置付けに関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。  
ア.「おことば」を象徴としての地位に基づく公的行為であると捉える見解については,象徴としての地位が天皇の一身専属のものであることを前提にすると,天皇の権能を代行する摂政は「おことば」を述べることができないのではないかという問題点がある。
イ.「おことば」を国事行為である国会の召集(憲法第7条第2号)と密接に関連する行為として準国事行為と位置付ける見解については,「おことば」について内閣による「助言と承認」を通じたコントロールを及ぼす余地がなくなるという問題点がある。
ウ.「おことば」は国事行為である「儀式を行ふ」(憲法第7条第10号)に含まれるという見解については,上記「儀式を行ふ」を「儀式を主宰する」という意味に解すると,文理上無理があるという問題点がある。
憲法の概念に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.「固有の意味の憲法」とは,国家の統治の在り方を定めた基本法としての近代前の憲法を指す。これに対して,「立憲的意味の憲法」とは,国家権力を制限して国民の権利を保障するという思想に基づく近代以降の憲法のことをいう。
イ.「形式的意味の憲法」とは,憲法という名称を与えられた成文の法典(憲法典)を指す。これに対して,「実質的意味の憲法」とは,その存在形式のいかんを問わず,内容的に憲法と観念されるもののことをいう。
ウ.「硬性憲法」とは,日本国憲法のように,憲法改正が困難な憲法を指す。これに対して,「軟性憲法」とは,ドイツ連邦共和国基本法のように,憲法改正が容易でこれまで繰り返し改正が成立してきた憲法のことをいう。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 3

KE0231R02-12K 天皇のおことば A

天皇が国会の開会式に出席して述べる「おことば」の憲法上の位置付けに関する次のアからウまでの各記述について,bの見解がaの見解の根拠となっている場合には1を,そうでない場合には2を選びなさい。 
ア.a.天皇は象徴であり,「おことば」を述べることは象徴としての行為である。
b.象徴という言葉は社会心理的な意味を有するものであり,天皇を象徴と定めた憲法の規定から法的効果を導くことはできない。
イ.a.天皇は公人であり,「おことば」を述べることは公人としての行為である。
b.天皇の行為は限定するべきであり,天皇の行為には,憲法が定める国事行為と私的行為の二つしかないと考えるべきである。
ウ.a.天皇は憲法が列挙する国事行為を行い,「おことば」を述べることは「儀式を行ふこと」(憲法第7条第10号)に含まれる。
b.天皇が自ら儀式を主宰する場合だけでなく,式に参列して儀式的・儀礼的行為を行うことも「儀式を行ふこと」と解釈することができる。

解答 ア2,イ2,ウ1

KE0240H29-12 天皇 B

天皇に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.天皇の人権には,天皇の象徴たる地位に基づく制約があり,特定の政党に加入することや国籍を離脱することは認められないが,学問の自由についてはかかる制約を受けることなく一般の国民と同等に保障されている。
イ.判例は,天皇が日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であることに鑑み,天皇には民事裁判権が及ばないとし,摂政についても,天皇の名でその国事に関する行為を行うことから同様であるとしている。
ウ.憲法第2条は,皇位が世襲のものである旨定めているところ,その具体的な在り方を定める皇室典範において,皇位の継承において皇長子の長子より皇次子を優先させることとしても憲法に反するものではない。

解答 ア2,イ2,ウ1

KE0250H30-12 天皇 B

天皇及び皇室に関する次のアからエまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.天皇が,法律の定めるところにより,国事行為を委任する場合,この委任行為自体は明らかに国事行為ではないから,内閣の助言と承認を要しない。
イ.国事行為は,形式的・儀礼的な行為であるため,国事行為としての天皇の行為がなくても,政令の公布や国会の召集の法的効力は発生する。
ウ.摂政は,天皇の名で国事行為を行う天皇の法定代理機関であり,天皇が未成年のときなど皇室典範に定める原因が生じることにより設置される。
エ.憲法第88条は,すべて皇室財産は国に属すると規定しており,皇室が私有財産を保有したり運用したりすることは禁じられている。

解答 ア2,イ2,ウ1,エ2

KE0260R01-12K 天皇 A

天皇に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには〇,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.憲法第6条第1項は,天皇が国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命する旨定めているが,国会の議決で内閣総理大臣を指名している以上,天皇が内閣総理大臣を任命するに当たって,内閣の助言と承認は不要である。
イ.憲法第4条第2項の定める国事行為の委任は,憲法第5条の定める摂政を置く場合とは異なり,国事行為の臨時代行に関する法律の定める事由が発生した場合に,天皇が内閣の助言と承認に基づいて国事行為を委任するものである。
ウ.憲法第7条は,天皇の国事行為について列挙しているが,天皇の即位に際して行われる大嘗祭は,即位の礼と同様に憲法第7条第10号の定める「儀式」に当たるから,国事行為として行うことができる。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 6

第1編 総論 第4章 平和主義の原理

KE0300H30-14 憲法9条 A

憲法第9条に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.憲法第9条第2項が保持を禁止した戦力とは,我が国がその主体となってこれに指揮権,管理権を行使し得る戦力に限られず,我が国との安全保障条約に基づき我が国に駐留する外国の軍隊も,我が国の要請に応じて武力を行使する可能性があるので,同項の戦力に該当し得る。
イ.憲法前文が定める平和的生存権は,憲法第9条及び第3章の規定によって具体化され,裁判規範として現実的・個別的内容を持つものであるから,森林法上の保安林指定の解除処分が自衛隊の基地の建設を目的とするものである場合,周辺の住民は,同処分の取消訴訟において,平和的生存権の侵害のおそれを根拠として原告適格を有する。
ウ.国が自衛隊の用地を取得するために私人と締結した土地売買契約は,当該契約が実質的にみて公権力の発動たる行為と何ら変わりがないといえるような特段の事情のない限り,憲法第9条の直接適用を受けず,私人間の利害関係の公平な調整を目的とする私法の適用を受けるに過ぎない。
憲法の概念に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.「固有の意味の憲法」とは,国家の統治の在り方を定めた基本法としての近代前の憲法を指す。これに対して,「立憲的意味の憲法」とは,国家権力を制限して国民の権利を保障するという思想に基づく近代以降の憲法のことをいう。
イ.「形式的意味の憲法」とは,憲法という名称を与えられた成文の法典(憲法典)を指す。これに対して,「実質的意味の憲法」とは,その存在形式のいかんを問わず,内容的に憲法と観念されるもののことをいう。
ウ.「硬性憲法」とは,日本国憲法のように,憲法改正が困難な憲法を指す。これに対して,「軟性憲法」とは,ドイツ連邦共和国基本法のように,憲法改正が容易でこれまで繰り返し改正が成立してきた憲法のことをいう。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 7

KE0310H24-14 憲法9条 A

次のaの①及び②は憲法第9条第1項についての見解であり,bの③及び④は同条第2項についての見解である。また,次のアからウまでの各記述は,それらの見解を組み合わせて考えた場合に,憲法第9条による戦争放棄の範囲等がどのように帰結されるかを述べたものである。アからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
a.①.第1項は,戦争と,武力による威嚇又は武力の行使を,国際紛争を解決するための手段として放棄したものであり,自衛目的によるものは放棄していない。
②.およそ戦争とは全て国際紛争解決の手段として行われるものであり,その目的のいかんを問わず,戦争と,武力による威嚇又は武力の行使は,第1項により一切放棄されている。
b.③.「前項の目的を達するため」とは,第1項による戦争放棄の目的を達するためという意味であり,第2項はそのための戦力の保持を禁止したものである。
④.「前項の目的を達するため」とは,戦争を放棄するに至った動機を一般的に示すものであり,第2項は一切の戦力の保持を禁止したものである。
ア.①及び③の見解を前提とすると,自衛のための戦争は認められるので,そのための戦力保持は許されることになる。
イ.①及び④の見解を前提とすると,一切の戦力の保持が禁止される結果として,自衛のための戦争も放棄されることになる。
ウ.②及び④の見解を前提とすると,侵略戦争はもとより,自衛のための戦争も認められず,そのための戦力の保持も一切許されないことになる。
憲法の概念に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.「固有の意味の憲法」とは,国家の統治の在り方を定めた基本法としての近代前の憲法を指す。これに対して,「立憲的意味の憲法」とは,国家権力を制限して国民の権利を保障するという思想に基づく近代以降の憲法のことをいう。
イ.「形式的意味の憲法」とは,憲法という名称を与えられた成文の法典(憲法典)を指す。これに対して,「実質的意味の憲法」とは,その存在形式のいかんを問わず,内容的に憲法と観念されるもののことをいう。
ウ.「硬性憲法」とは,日本国憲法のように,憲法改正が困難な憲法を指す。これに対して,「軟性憲法」とは,ドイツ連邦共和国基本法のように,憲法改正が容易でこれまで繰り返し改正が成立してきた憲法のことをいう。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 1

KE0320H28-13 憲法9条 A

憲法第9条の解釈に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.第1項で,侵略戦争は放棄されているが,自衛戦争は放棄されていないとし,第2項の「前項の目的を達するため」を,侵略戦争放棄の目的を達するためとする見解に対しては,日本国憲法には,第66条第2項の文民条項以外に戦争や軍隊を予定する規定が存在しないとの批判が当てはまる。
イ.第1項で,侵略戦争は放棄されているが,自衛戦争は放棄されていないとし,第2項の「前項の目的を達するため」を,戦争を放棄するに至った動機を一般的に指すとする見解に対しては,国際法上の用例によると,「国際紛争を解決する手段としての戦争」は「国家の政策の手段としての戦争」と同義であり,こうした用例を尊重すべきであるとの批判が当てはまる。
ウ.第1項で,侵略戦争は放棄されているが,自衛戦争は放棄されていないとし,第2項の「前項の目的を達するため」を,戦争を放棄するに至った動機を一般的に指すとする見解と,第1項で,自衛戦争を含む全ての戦争が放棄されているとする見解のいずれの見解を採っても,憲法第9条により,全ての戦争が放棄されているとの結論が導かれる。
憲法の概念に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.「固有の意味の憲法」とは,国家の統治の在り方を定めた基本法としての近代前の憲法を指す。これに対して,「立憲的意味の憲法」とは,国家権力を制限して国民の権利を保障するという思想に基づく近代以降の憲法のことをいう。
イ.「形式的意味の憲法」とは,憲法という名称を与えられた成文の法典(憲法典)を指す。これに対して,「実質的意味の憲法」とは,その存在形式のいかんを問わず,内容的に憲法と観念されるもののことをいう。
ウ.「硬性憲法」とは,日本国憲法のように,憲法改正が困難な憲法を指す。これに対して,「軟性憲法」とは,ドイツ連邦共和国基本法のように,憲法改正が容易でこれまで繰り返し改正が成立してきた憲法のことをいう。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 3

KE0330H26-08Y 憲法9条 B

憲法第9条について 第1項は侵略戦争を放棄したものであり自衛戦争は放棄されていないとし ,第2項は第1項全体の企図する目的,すなわち,日本国民が正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求して戦争等を放棄するという動機のもとに,その実効性を確保するために,一切の戦力の不保持を定めるとともに,国家として戦争を行う権利である交戦権を否認するものであるとする見解がある。次のアからウまでの各記述について,この見解と整合するものには○,整合しないものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.およそ国際紛争解決の手段でない戦争というものは現実にはあり得ず,侵略戦争と自衛戦争等を峻別することは困難である。
イ.非武装平和主義を掲げた憲法の特徴は第9条第2項にあり,同項は,単なる確認的規定ではなく,実質的な意義を有する規定と解するべきである。
ウ.国際法上,交戦権とは,敵国領土の占領,船舶の臨検・拿捕,あるいは敵国兵力の破壊を行う権利など,交戦国に認められている諸権利のことをいう。
憲法の概念に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.「固有の意味の憲法」とは,国家の統治の在り方を定めた基本法としての近代前の憲法を指す。これに対して,「立憲的意味の憲法」とは,国家権力を制限して国民の権利を保障するという思想に基づく近代以降の憲法のことをいう。
イ.「形式的意味の憲法」とは,憲法という名称を与えられた成文の法典(憲法典)を指す。これに対して,「実質的意味の憲法」とは,その存在形式のいかんを問わず,内容的に憲法と観念されるもののことをいう。
ウ.「硬性憲法」とは,日本国憲法のように,憲法改正が困難な憲法を指す。これに対して,「軟性憲法」とは,ドイツ連邦共和国基本法のように,憲法改正が容易でこれまで繰り返し改正が成立してきた憲法のことをいう。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 6

KE0340H29-09Y 憲法9条 A

憲法第9条の解釈に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.憲法第9条第1項について,侵略戦争を放棄したものであり,自衛戦争を放棄したものではないという考え方に立ったとしても,同条第2項前段によって第1項の目的を達成するために一切の戦力の保持が禁止されており,同条第2項後段によって交戦権も否認されているとの考え方に立てば,結果として自衛のための戦争も放棄されていることになる。
イ.戦争はおよそ国際紛争解決の手段として行われるものであり,その目的のいかんを問わず憲法第9条第1項により放棄されているという考え方に立ったとしても,同条第2項の「前項の目的を達するため」につき,戦力不保持を定めるに至った動機を示すものとの考え方に立てば,結果として自衛のための戦争は認められていることになる。
ウ.憲法第9条第1項について,侵略戦争を放棄したものであり,自衛戦争を放棄したものではないという考え方に立った場合,第9条第2項の「交戦権」につき,交戦国に国際法上認められる権利と考えるか,国として戦いを交える権利と考えるかに関わらず,自衛のための戦争は認められていることになる。
憲法の概念に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.「固有の意味の憲法」とは,国家の統治の在り方を定めた基本法としての近代前の憲法を指す。これに対して,「立憲的意味の憲法」とは,国家権力を制限して国民の権利を保障するという思想に基づく近代以降の憲法のことをいう。
イ.「形式的意味の憲法」とは,憲法という名称を与えられた成文の法典(憲法典)を指す。これに対して,「実質的意味の憲法」とは,その存在形式のいかんを問わず,内容的に憲法と観念されるもののことをいう。
ウ.「硬性憲法」とは,日本国憲法のように,憲法改正が困難な憲法を指す。これに対して,「軟性憲法」とは,ドイツ連邦共和国基本法のように,憲法改正が容易でこれまで繰り返し改正が成立してきた憲法のことをいう。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 4

KE0350R01-13K 憲法9条 A

憲法第9条に関する次のアからウまでの各記述について,bの見解がaの見解の根拠となっている場合には1を,そうでない場合には2を選びなさい。 
ア.a.戦争の放棄について規定した憲法第9条第1項は,自衛のためであると侵略のためであるとを問わず,全ての戦争を放棄することとしたものである。
b.「国際紛争を解決する手段として」の「戦争」という文言は,戦争抛棄ニ関スル条約(いわゆる不戦条約)に見られるような,通常の国際法上の用例に従って解釈されるべきである。
イ.a.日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(いわゆる日米安保条約)に基づき日本国内に駐留するアメリカ合衆国の軍隊は,憲法第9条第2項で保持しないこととされた「戦力」に該当する。
b.憲法第9条第2項が戦力の不保持を定めているのは,わが国が戦力を保持し,自らその主体となってこれに指揮権,管理権を行使することにより,同条第1項において放棄するとした侵略戦争を引き起こすことがないようにするためである。
ウ.a.憲法第9条に違反する具体的な立法又は行政処分により,個人に何らかの不利益が生じたとしても,同条で保障された個人の権利が侵害されたものということはできない。
b.憲法第9条は,前文における平和主義の原則を受けて規定されたものであり,平和達成のための禁止事項を前文よりも具体的に列挙しているが,これは国家機関に対して一定の行為を禁止するものであって,その保護法益は国民一般の公益である。

解答 ア2,イ2,ウ1

KE0351R03-13K 憲法9条 A

憲法第9条の解釈に関する次のアからウまでの各記述について,bの見解がaの見解の批判となっている場合には1を,そうでない場合には2を選びなさい。 
ア.a.憲法第9条第1項は,侵略戦争を放棄しているが,自衛戦争は放棄しておらず,同条第2項にいう「前項の目的」とは,第1項の「国際紛争を解決する手段として」の戦争の放棄のみを指すから,自衛のための戦力の保持は禁じられていない。
b.自衛のための戦力と侵略のための戦力とを区別することは困難であり,戦力の保持を禁じた第2項の規定が無意味なものとなる。
イ.a.憲法第9条第1項は,侵略戦争を放棄しているが,自衛戦争は放棄しておらず,同条第2項にいう「前項の目的」とは,第1項全体の精神,すなわち「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」を指し,第2項によって警察力を上回る実力の保持が禁じられている。
b.日本国憲法には,第66条第2項の文民条項を除き,戦争開始の決定手続や軍隊の編制に関する規定が存在しない。
ウ.a.憲法第9条は,我が国が主権国として有する固有の自衛権まで否定するものではなく,自衛のために必要な最小限度の実力,すなわち自衛力の保持を禁じていない。
b.個人の正当防衛の権利とは異なり,国家が固有の権利として自衛権を有するということはできない。

解答 ア1,イ2,ウ1

第2編 基本的人権 第1章 基本的人権

KE0380H26-02K 人権の享有主体性 A

人権の享有主体に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.外国人の場合には,我が国との関係が日本国民とは異なるので,日本国民に比べて裁判を受ける権利の保障の程度に差を設けることも許される。
イ.法人は,現代社会におけるその役割の重要性からすると,全ての人権について,自然人と同程度の保障を受ける。
ウ.未成年者は,精神的・肉体的に未成熟なことから,成人とは異なった特別の保護を必要とする場合があり,このような趣旨から,憲法は児童の酷使を禁止している。
憲法の概念に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.「固有の意味の憲法」とは,国家の統治の在り方を定めた基本法としての近代前の憲法を指す。これに対して,「立憲的意味の憲法」とは,国家権力を制限して国民の権利を保障するという思想に基づく近代以降の憲法のことをいう。
イ.「形式的意味の憲法」とは,憲法という名称を与えられた成文の法典(憲法典)を指す。これに対して,「実質的意味の憲法」とは,その存在形式のいかんを問わず,内容的に憲法と観念されるもののことをいう。
ウ.「硬性憲法」とは,日本国憲法のように,憲法改正が困難な憲法を指す。これに対して,「軟性憲法」とは,ドイツ連邦共和国基本法のように,憲法改正が容易でこれまで繰り返し改正が成立してきた憲法のことをいう。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 7

KE0420H25-01 外国人の人権 A

外国人の人権に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.外国人の政治活動の自由は,我が国の政治的意思決定に影響を及ぼす活動であっても,憲法上保障される。
イ.我が国に在留する外国人には,居住する地方公共団体の長及びその議会の議員に対する選挙権が憲法上保障されていない。
ウ.社会保障の施策において外国人をどのように処遇するかについては,憲法上立法府の裁量に委ねられている。

解答 ア2,イ1,ウ1

第2編 基本的人権 第2章 人権の限界

KE0430H29-05Y 外国人の人権 A

外国人の人権に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.地方公務員のうち,住民の権利義務を直接形成し,その範囲を確定するなどの公権力の行使に当たる行為を行い,若しくは普通地方公共団体の重要な施策に関する決定を行い,又はこれらに参画することを職務とするものについては,原則として日本国籍を有する者が就任することが想定され,外国人が就任することは想定されていない。
イ.我が国に在留する外国人のうち,永住者等でその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められる者についてであっても,法律をもって,地方公共団体の長,その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは,憲法上禁止されている。
ウ.基本的人権の保障は,権利の性質上日本国民のみを対象としていると解されるものを除き,外国人に対しても等しく及ぶものと解すべきで,政治活動の自由についても,政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位に鑑み相当でないと解されるものを除き,その保障が及ぶ。
憲法の概念に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.「固有の意味の憲法」とは,国家の統治の在り方を定めた基本法としての近代前の憲法を指す。これに対して,「立憲的意味の憲法」とは,国家権力を制限して国民の権利を保障するという思想に基づく近代以降の憲法のことをいう。
イ.「形式的意味の憲法」とは,憲法という名称を与えられた成文の法典(憲法典)を指す。これに対して,「実質的意味の憲法」とは,その存在形式のいかんを問わず,内容的に憲法と観念されるもののことをいう。
ウ.「硬性憲法」とは,日本国憲法のように,憲法改正が困難な憲法を指す。これに対して,「軟性憲法」とは,ドイツ連邦共和国基本法のように,憲法改正が容易でこれまで繰り返し改正が成立してきた憲法のことをいう。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 3

KE0431R02-01 外国人の人権 A

外国人の人権に関する次のアからウまでの各記述について,bの見解がaの見解の根拠となっている場合には1を,そうでない場合には2を選びなさい。 
ア.a.国は,在留期間中の憲法の基本的人権の保障を受ける行為を在留期間の更新の際に消極的な事情としてしんしゃくすることができる。
b.外国人に対する憲法の基本的人権の保障は,外国人在留制度の枠内で与えられているにすぎない。
イ.a.憲法第93条第2項の「住民」と,憲法第15条第1項の「国民」とは統一的に理解されるべきであり,憲法第93条第2項の「住民」は,日本「国民」であることがその前提となっている。
b.地方公共団体の政治・行政は,国の政治・行政と互いに関連しており,地方公共団体が国の事務を処理することもある。
ウ.a.憲法第22条第2項は,「何人も」との文言を用いているため,国籍離脱の自由は,我が国に在留する外国人にもその保障が及ぶ。
b.憲法による基本的人権の保障は,権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き,我が国に在留する外国人に対しても等しく及ぶ。

解答 ア1,イ1,ウ2

KE0470H29-01 特別権力関係 A

公権力との間で特別な法律関係にある個人に対する人権の制約に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.公務員の労働基本権の制限に関し,全農林警職法事件判決(最高裁判所昭和48年4月25日大法廷判決,刑集27巻4号547頁)以降の最高裁判所の判例は,職務の内容にかかわらず公務員の争議行為を一律に禁止することについて,合憲とする判断を維持している。
イ.公権力が特別権力関係に属する個人に対して包括的な支配権を有し,その個人の人権を法律の根拠なくして制限することができるほか,特別権力関係内部における公権力の行為は司法審査に服さないとする特別権力関係論は,日本国憲法の下では妥当し難い。
ウ.かつて特別権力関係とされた在監関係につき,現在では,刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律において刑事施設被収容者の権利義務が明確化され,書籍等の閲覧,外部の者との面会及び信書の発受の各制限についてその要件が法定されたことにより,刑事施設の長らはそれらの制限の可否について裁量を失った。
憲法の概念に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.「固有の意味の憲法」とは,国家の統治の在り方を定めた基本法としての近代前の憲法を指す。これに対して,「立憲的意味の憲法」とは,国家権力を制限して国民の権利を保障するという思想に基づく近代以降の憲法のことをいう。
イ.「形式的意味の憲法」とは,憲法という名称を与えられた成文の法典(憲法典)を指す。これに対して,「実質的意味の憲法」とは,その存在形式のいかんを問わず,内容的に憲法と観念されるもののことをいう。
ウ.「硬性憲法」とは,日本国憲法のように,憲法改正が困難な憲法を指す。これに対して,「軟性憲法」とは,ドイツ連邦共和国基本法のように,憲法改正が容易でこれまで繰り返し改正が成立してきた憲法のことをいう。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 2

KE0480R01-01 特別権力関係 A

国又は地方公共団体との特殊な法律関係における人権に関する次のアからウまでの各記述について,bの見解がaの見解の根拠となっている場合には1を,そうでない場合には2を選びなさい。 
ア.a.当該法律関係の特殊性だけを理由とする基本的人権の制約は正当化できず,個々の法律関係ごとに,いかなる人権が,いかなる理由で,どの程度制限されるのかを具体的に検討すべきである。
b.特殊な法律関係といっても様々な関係があり,それらを特殊な法律関係として一律に捉え,同様の人権制約が妥当すると解するのは相当でない。
イ.a.特別な法律関係にある者に対して公権力が包括的な支配権を有し,法律の根拠なく人権を制限することができ,それについて裁判所の審査が及ばないとする伝統的な特別権力関係論は,日本国憲法下では妥当し得ない。
b.日本国憲法は,国会を唯一の立法機関とし,徹底した法治主義の原則をとり,基本的人権の尊重を基本原則としている。
ウ.a.刑事施設被収容者の収容関係について,人が国又は地方公共団体の通常の統治権に服することで成立する一般権力関係におけるのとは異なる人権制限を行う必要性は,現在もなお肯定できる。
b.刑事施設被収容者といえども人権の享有主体であることに変わりはなく,取り分け未決勾留中の者については,無罪推定原則が及んでいる。

解答 ア1,イ1,ウ2

KE0481R03-01 特別権力関係 A

公務員や未決拘禁者など,公権力との関係で特別な法律関係にある者の権利制約に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.多数の被拘禁者を外部から隔離して収容する施設では,施設内でこれらの者を集団として管理するに当たり,内部の規律及び秩序を維持し,その正常な状態を保持する必要があるから,この目的のため必要がある場合には,未決拘禁者についても,身体の自由やその他の行為の自由に一定の制限が加えられることはやむを得ない。
イ.刑事収容施設内において喫煙を許すことにより,罪証隠滅のおそれがあり,また火災発生により被拘禁者の逃走や人道上の重大事態の発生も予想される一方,たばこは生活必需品とまではいえず嗜好品にすぎないことからすれば,喫煙の自由が憲法の保障する人権に含まれるとしても,制限の必要性の程度と制限される基本的人権の内容,これに加えられる具体的制限の態様とを総合的に考慮すると,施設内における喫煙禁止は必要かつ合理的なものといえる。
ウ.職権行使の独立が保障され,単独で又は合議体の一員として司法権を行使する主体として,国に対する訴訟を含めて中立・公正な立場から裁判を行うことが強く期待される裁判官に対する政治運動禁止の要請は,議会制民主主義の政治過程を経て決定された政策を,政治的偏向を排し組織の一員として忠実に遂行すべき立場にある一般職の国家公務員に対する政治的行為の禁止の要請ほどには強くないというべきである。
憲法の概念に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.「固有の意味の憲法」とは,国家の統治の在り方を定めた基本法としての近代前の憲法を指す。これに対して,「立憲的意味の憲法」とは,国家権力を制限して国民の権利を保障するという思想に基づく近代以降の憲法のことをいう。
イ.「形式的意味の憲法」とは,憲法という名称を与えられた成文の法典(憲法典)を指す。これに対して,「実質的意味の憲法」とは,その存在形式のいかんを問わず,内容的に憲法と観念されるもののことをいう。
ウ.「硬性憲法」とは,日本国憲法のように,憲法改正が困難な憲法を指す。これに対して,「軟性憲法」とは,ドイツ連邦共和国基本法のように,憲法改正が容易でこれまで繰り返し改正が成立してきた憲法のことをいう。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 2

KE0500H27-01K 公務員の政治的行為 A

国家公務員法第102条第1項にいう「政治的行為」の意義について判断した最高裁判所の二つの判決(最高裁判所平成24年12月7日第二小法廷判決,刑集66巻12号1337頁及び同1722頁)に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.「政治的行為」とは,公務員の政治的な行為一般ではなく,公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが,観念的なものにとどまらず,現実的に起こり得るものとして実質的に認められるものを指す。
イ.管理職的地位にある公務員が政党機関紙の配布といった殊更に一定の政治的傾向を顕著に示す行動に出た場合には,その指揮命令や指導監督を通じてその部下等の職務の遂行や組織の運営にもその傾向に沿った影響を及ぼすことになりかねず,「政治的行為」に該当する。
ウ.公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが認められるか否かは,諸般の事情を総合して判断する必要があるが,公務員の政治的な行為が勤務外で行われた場合には,そのおそれは存在しないと考えられる。
憲法の概念に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.「固有の意味の憲法」とは,国家の統治の在り方を定めた基本法としての近代前の憲法を指す。これに対して,「立憲的意味の憲法」とは,国家権力を制限して国民の権利を保障するという思想に基づく近代以降の憲法のことをいう。
イ.「形式的意味の憲法」とは,憲法という名称を与えられた成文の法典(憲法典)を指す。これに対して,「実質的意味の憲法」とは,その存在形式のいかんを問わず,内容的に憲法と観念されるもののことをいう。
ウ.「硬性憲法」とは,日本国憲法のように,憲法改正が困難な憲法を指す。これに対して,「軟性憲法」とは,ドイツ連邦共和国基本法のように,憲法改正が容易でこれまで繰り返し改正が成立してきた憲法のことをいう。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 2

KE0510H30-01K 公務員の人権 A

次の対話は,公務員の人権に関する教授と学生の対話である。教授の各質問に対する次のアからウまでの学生の各回答について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
教授.公務員の地位のように権利主体と公権力との間に特殊な法律関係がある場合には,憲法の人権保障が原則として及ばないなどとする理論がありますね。このような理論によって公務員の人権に対する制約を正当化した最高裁判所の判決がありますか。
ア. はい。猿払事件判決(最高裁判所昭和49年11月6日大法廷判決,刑集28巻9号393頁)が,先生のおっしゃる趣旨の判示をして,公務員の政治的意見表明の自由に対する制約を正当化しています。
教授.あなたの言うその判決は,国家公務員法第102条第1項が一定の行動類型に属する政治的行為を禁止していることに伴い生じ得る意見表明の自由の制約については,どのような判示をしていますか。
イ. 公務員の政治的中立性を損なうおそれのある行動類型に属する政治的行為を禁止することに伴い意見表明の自由が制約されることになっても,そのような制約は行動の禁止に伴う限度での間接的・付随的制約にとどまると判示しています。
教授.堀越事件判決(最高裁判所平成24年12月7日第二小法廷判決,刑集66巻12号1337頁)は,公務員のしたある行為が国家公務員法第102条第1項にいう「政治的行為」に該当するか否かの判断についてどのような枠組みを示していますか。
ウ. 同項にいう「政治的行為」の意義を,公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められるものと解した上,その判断においては,当該公務員の地位,その職務の内容や権限等,当該公務員がした行為の性質,態様,目的,内容等の諸般の事情を総合して判断するのが相当であると判示しています。

解答 ア2,イ1,ウ1

KE0530H25-01Y 公務員の人権 B

公務員の人権に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.国家公務員は,憲法において「全体の奉仕者」とされていることや,実質的にはその使用者が国民全体であることなどから,その人権についても,一定の制約に服することがあると解されている。
イ.国家公務員の労働関係は,国民の代表者により構成される国会の制定した法律,予算によって定められることなどから,争議行為を企てる行為や,これをあおる行為に対して刑罰を科すことは違憲ではないと解されている。
ウ.国家公務員と異なり,地方公務員は,憲法の明文で「全体の奉仕者」とされていないことや,人事院制度に対応する代償措置も置かれていないことから,争議行為を企てる行為や,これをあおる行為に対して刑罰を科することは許されないと解されている。

解答 ア1,イ1,ウ2

KE0540H26-07Y 公務員の人権 B

公務員の争議権に関する次のアからウまでの各記述について,いわゆる全農林警職法事件判決(最高裁判所昭和48年4月25日大法廷判決,刑集27巻4号547頁)以降の最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.国家公務員は,その地位の特殊性や職務の公共性に加え,勤労条件が法律・予算により定められており,人事院をはじめとする代償措置が講じられていることなどからすれば,その争議行為を全面的に禁止することは,やむを得ない制約である。
イ.人事院勧告の実施が凍結され,労働基本権の制約の代償措置がその本来の機能を果たさず実際上画餅に等しいとみられる事態が生じた場合には,国家公務員がその正常な運用を要求して相当な手段態様で争議行為を行うことは,憲法上保障される。
ウ.非権力的な労務に従事する現業の国家公務員は憲法第28条の勤労者にほかならず,労働基本権の保障を受けるから,全体の奉仕者であることを理由として,非現業の国家公務員と同様に争議行為を全面的に禁止することは,合理的な理由を欠く。

解答 ア1,イ2,ウ2

KE0590H28-01 私人間における人権保障 A

私人間における人権保障に関する次のアからウまでの各記述について,判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.企業者は,雇用の自由を有するから,労働者の思想,信条を理由として雇入れを拒んでも当然に違法ということはできないが,労働者の採否決定に当たり,その思想,信条を調査し,労働者に関連事項の申告を求めることまでは許されない。
イ.大学は,その設置目的を達成するため,必要な事項を定めて学生を規律する権能を有するから,私立大学が,その伝統,校風や教育方針に鑑み,学内外における学生の政治的活動につき,かなり広範な規律を及ぼしても,直ちに不合理ということはできない。
ウ.長期間にわたり形成された地方の慣習に根ざした権利である入会権については,その慣習が存続しているときは最大限尊重すべきであるから,権利者の資格を原則として男子孫に限る旨の特定の地域団体における慣習も,直ちに公序良俗に反するとはいえない。

解答 ア2,イ1,ウ2

KE0591H30-09Y 政党に対する寄付 A

政党に対する寄付に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.労働組合は,組合員の経済的地位の向上を本来の目的とする団体であり,その目的のために,組織として支持政党又はいわゆる統一候補を決定し,その選挙運動を推進すること自体は自由であるが,その政党に寄付する資金の費用負担を組合員に強制することは許されない。
イ. 会社は,法令の規定に従い定款で定められた目的の範囲内において権利を有し,義務を負うところ,会社が特定の政党に政治資金を寄付することも,客観的,抽象的に観察して,会社の社会的役割を果たすためにされたものと認められる限りにおいては,定款所定の目的の範囲内の行為とみることができる。
ウ. 税理士会は,税理士の使命及び職責に鑑み,税理士法に基づき設立された強制加入団体であり,その会員には,実質的には脱退の自由が保障されていないが,税理士に係る法令の制定改廃に関する要求を実現するために税理士会として政党に金員を寄付することは,税理士会の目的の範囲内の行為であり,そのために会員から特別会費を徴収する決議も有効である。
憲法の概念に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.「固有の意味の憲法」とは,国家の統治の在り方を定めた基本法としての近代前の憲法を指す。これに対して,「立憲的意味の憲法」とは,国家権力を制限して国民の権利を保障するという思想に基づく近代以降の憲法のことをいう。
イ.「形式的意味の憲法」とは,憲法という名称を与えられた成文の法典(憲法典)を指す。これに対して,「実質的意味の憲法」とは,その存在形式のいかんを問わず,内容的に憲法と観念されるもののことをいう。
ウ.「硬性憲法」とは,日本国憲法のように,憲法改正が困難な憲法を指す。これに対して,「軟性憲法」とは,ドイツ連邦共和国基本法のように,憲法改正が容易でこれまで繰り返し改正が成立してきた憲法のことをいう。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 2

KE0600H25-02 私人間効力 A

人権保障規定の私人間効力に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.間接効力説は,私人による人権侵害の危険性が増大していることに対応しようとするものであるが,国家権力がなお人権にとっての最大の脅威であることを無視している。
イ.間接効力説は,私法の一般条項に人権価値を充塡しようとするものであるから,充塡の程度により結論が大きく異なり得る。
ウ.直接効力説は,私人間に憲法規範を直接適用するものであるが,国家が私人の自由な活動領域に過度に介入する糸口を与えかねない。
憲法の概念に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.「固有の意味の憲法」とは,国家の統治の在り方を定めた基本法としての近代前の憲法を指す。これに対して,「立憲的意味の憲法」とは,国家権力を制限して国民の権利を保障するという思想に基づく近代以降の憲法のことをいう。
イ.「形式的意味の憲法」とは,憲法という名称を与えられた成文の法典(憲法典)を指す。これに対して,「実質的意味の憲法」とは,その存在形式のいかんを問わず,内容的に憲法と観念されるもののことをいう。
ウ.「硬性憲法」とは,日本国憲法のように,憲法改正が困難な憲法を指す。これに対して,「軟性憲法」とは,ドイツ連邦共和国基本法のように,憲法改正が容易でこれまで繰り返し改正が成立してきた憲法のことをいう。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 5

KE0610R01-02K 私人間における人権保障 A

私人間における人権保障に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.「憲法の人権規定は,私人間においても直接適用される」とする説のうち,私的自治の原則により,人権の効力は私人相互間の場合にはその本質的な核心が侵されない限度で相対化されることを認める見解は,こうした相対化を認める限度において,直接適用説といっても間接適用説に類似したものになる。
イ.「憲法の人権規定は,公権力の統治行動に対して個人の基本的な自由と平等を保障する目的に出たもので,私人相互の関係を直接規律することを予定するものではない」とする説を前提にすると,私人間における権利・自由の対立については,その侵害の態様,程度が社会的に許容し得る一定の限界を超える場合に,私法規定の解釈を通じてその間の適切な調整を図ることができるとの見解は採り得ない。
ウ.「私人間の関係においても,相互の社会的力関係の相違から,一方が他方に優越し,事実上後者が前者の意思に服従せざるを得ない場合,憲法の人権規定は私人間に直接適用される」とする説について,判例は,こうした支配関係はその支配力の態様,程度,規模等において様々であり,どのような場合にこれを国又は公共団体の支配と同視すべきかの判定が困難であるとしている。

解答 ア1,イ2,ウ1

KE0611R03-01Y 私人間における人権保障 A

私人間における人権保障に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.企業者は,憲法第22条,第29条等において経済活動の自由の一環として契約締結の自由を保障されているので,特定の思想,信条を有する者をそのゆえをもって雇い入れることを拒んでも違法ではない。それゆえ,企業者が,労働者の採否決定に際し,労働者の思想,信条を調査したり,その者から思想,信条自体の申告を求めることも,公序良俗に反しない。
イ.大学は,学生の教育と学術の研究を目的とする公共的な施設であり,その設置目的を達成するために必要な事項を学則等により一方的に制定し,これによって在学する学生を規律する包括的権能を有する。それゆえ,比較的保守的な校風を有する私立大学が,学内外を問わず学生の政治的活動につきかなり広範な規律を及ぼしても,これをもって直ちに社会通念上学生の自由に対する不合理な制限であるということはできない。
ウ.労働組合の活動に対する組合員の協力義務の範囲は,問題とされている具体的な組合活動の内容・性質,組合員に求められる協力の内容・程度・態様等を比較考量し,多数決原理に基づく組合活動の実効性と組合員個人の基本的利益の調和という観点から,合理的な限定を加えられるべきである。それゆえ,組合員は,組合が支援する公職選挙候補者が所属する政党への寄付のために徴収する臨時組合費について納入義務を負わない。

解答 ア2,イ1,ウ1

第2編 基本的人権 第3章 法の下の平等

KE0630H24-01 幸福追求権 B

幸福追求権の内容については,「公共の福祉に反しない限り一般的に自由を拘束されないという一般的自由権をその内容とする。」という一般的行為自由説に対し,「個人の人格的生存に不可欠な
利益を内容とする権利の総体である。」という人格的利益説がある。これら二つの見解に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.裁判所が「新しい人権」を明確な基準なしに憲法上の権利として承認することになると,裁判所の主観的な判断によって権利が創設されるおそれがある。その点,人格的利益説は,「新しい人権」の承認について種々の要素を考慮して慎重に決定することを求める見解といえる。
イ.一般的行為自由説は,公権力による制約に対して人権保障の範囲を広げる見解であるのに対し,人格的利益説は,不可欠性という厳しい要件の下で人権保障の範囲を決するので,人権保障の範囲が狭くなりすぎるおそれがある。
ウ.一般的行為自由説は,公共の福祉に反しない範囲で人権を認め,更にこれに対する公共の福祉による制約を認めるので,かえって人権保障を弱めるおそれがあるが,人格的利益説は,人権の範囲を絞った上で公共の福祉による制約を否定するので,結局人権保障に資する。
憲法の概念に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.「固有の意味の憲法」とは,国家の統治の在り方を定めた基本法としての近代前の憲法を指す。これに対して,「立憲的意味の憲法」とは,国家権力を制限して国民の権利を保障するという思想に基づく近代以降の憲法のことをいう。
イ.「形式的意味の憲法」とは,憲法という名称を与えられた成文の法典(憲法典)を指す。これに対して,「実質的意味の憲法」とは,その存在形式のいかんを問わず,内容的に憲法と観念されるもののことをいう。
ウ.「硬性憲法」とは,日本国憲法のように,憲法改正が困難な憲法を指す。これに対して,「軟性憲法」とは,ドイツ連邦共和国基本法のように,憲法改正が容易でこれまで繰り返し改正が成立してきた憲法のことをいう。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 2

KE0640H29-02 民法750条の合憲性 A

夫婦が婚姻の際に定めるところに従い夫又は妻の氏を称すると定める民法第750条の規定が,憲法第13条の規定に違反するか否かについて判示した最高裁判所の判決(最高裁判所平成27年12月16日大法廷判決,民集69巻8号2586頁)に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.前記判決は,氏名について,その個人からみれば,人が個人として尊重される基礎であり,その個人の人格の象徴であって,人格権の一内容を構成するが,具体的な法制度を離れて,氏が変更されること自体を捉えて直ちに人格権を侵害し,違憲であるか否かを論ずるのは相当ではないとした。
イ.前記判決は,氏には,名とは切り離された存在として社会の構成要素である家族の呼称としての意義があるとの点を強調して,婚姻を含めた身分関係の変動に伴って自らの意思に関わりなく氏が改められるとしてもやむを得ないという結論を導いている。
ウ.前記判決は,現行の法制度の下における氏の性質等に鑑み,婚姻の際に「氏の変更を強制されない自由」が憲法上の権利として保障される人格権の一内容であるといえるとしつつも,結論として,民法第750条の規定が憲法第13条に違反するとまではいえないとした。

解答 ア1,イ2,ウ2

KE0650H30-10 憲法24条 A

憲法第24条に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.憲法第24条第1項は,婚姻については当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきであるとの趣旨を明らかにしたものであるから,婚姻に関する法制度の内容が意に沿わないことを理由として婚姻しない者が生じるのであれば,その法制度を定めた法律は,憲法第24条第1項の趣旨に沿わない制約を課しているものとの評価を免れないことになる。
イ.憲法第24条第2項は,婚姻及び家族に関する事項について,具体的な制度の構築を第一次的には国会の合理的な立法裁量に委ねるとともに,その立法に当たっては,個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚すべきであるとする要請,指針を示すことによって,その裁量の限界を画したものである。
ウ.憲法第24条は,婚姻及び家族に関する立法において,憲法上の権利として保障される人格権を不当に侵害せず,かつ,両性の形式的な平等が保たれた内容の法律の制定を求めるにとどまらず,憲法上直接保障された権利とまではいえない人格的利益をも尊重すべきこと,両性の実質的な平等が保たれるように図ること等についても十分に配慮した法律の制定を求めるものである。
憲法の概念に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.「固有の意味の憲法」とは,国家の統治の在り方を定めた基本法としての近代前の憲法を指す。これに対して,「立憲的意味の憲法」とは,国家権力を制限して国民の権利を保障するという思想に基づく近代以降の憲法のことをいう。
イ.「形式的意味の憲法」とは,憲法という名称を与えられた成文の法典(憲法典)を指す。これに対して,「実質的意味の憲法」とは,その存在形式のいかんを問わず,内容的に憲法と観念されるもののことをいう。
ウ.「硬性憲法」とは,日本国憲法のように,憲法改正が困難な憲法を指す。これに対して,「軟性憲法」とは,ドイツ連邦共和国基本法のように,憲法改正が容易でこれまで繰り返し改正が成立してきた憲法のことをいう。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 5

KE0660R01-09K 婚姻の自由 C

次の対話は,婚姻の自由に関する教授と学生の対話である。教授の各質問に対する次のアからウまでの学生の各回答について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
教授.婚姻の自由の憲法上の位置付けについての判例としては,再婚禁止期間一部違憲判決(最高裁判所平成27年12月16日大法廷判決,民集69巻8号2427頁)が重要ですが,この判決はどのように述べているでしょうか。
ア.この判決は,婚姻をするかどうか,いつ誰と婚姻をするかは当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきこと(婚姻をするについての自由)は,「憲法第24条第1項によって保障される」としています。
教授.再婚禁止期間を定めた当時の民法第733条の規定は,婚姻をするについての自由の直接的な制約だとされましたが,夫婦同氏制を定める民法第750条について,夫婦同氏制合憲判決(最高裁判所平成27年12月16日大法廷判決,民集69巻8号2586頁)はどのように述べていますか。
イ.同条は,婚姻の効力の1つとして夫婦が夫又は妻の氏を称することを定めたものであり,婚姻をすることについての直接の制約を定めたものではないとした上で,このような事実上の制約については立法裁量の審査の際に考慮すべきであるとしています。
教授.ところで,近年,海外主要国では同性婚の権利が憲法上保障されているとする判決が出されたり,法改正あるいは憲法改正によって同性婚の権利が保障される例が増えてきています。憲法第24条第1項は,婚姻が「両性の合意のみ」に基づいて成立するとしていますが,同条項の解釈論として,同性婚の権利はどのように考えられるでしょうか。
ウ.今,先生のおっしゃった文言を重視すれば,同性婚の権利を同条項が保障しているとするのは難しいと思います。他方,同条項は,家制度の下での婚姻に関する戸主権を否定することを主たる趣旨とするので,この文言を過度に重視すべきではないという見解もあります。
憲法の概念に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.「固有の意味の憲法」とは,国家の統治の在り方を定めた基本法としての近代前の憲法を指す。これに対して,「立憲的意味の憲法」とは,国家権力を制限して国民の権利を保障するという思想に基づく近代以降の憲法のことをいう。
イ.「形式的意味の憲法」とは,憲法という名称を与えられた成文の法典(憲法典)を指す。これに対して,「実質的意味の憲法」とは,その存在形式のいかんを問わず,内容的に憲法と観念されるもののことをいう。
ウ.「硬性憲法」とは,日本国憲法のように,憲法改正が困難な憲法を指す。これに対して,「軟性憲法」とは,ドイツ連邦共和国基本法のように,憲法改正が容易でこれまで繰り返し改正が成立してきた憲法のことをいう。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 5

KE0680H25-03K 新しい人権 A

憲法の明文で規定されていない権利・自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.国民の私生活上の自由は国家権力の行使に対して保護されるべきであるが,指紋は個人の私生活や内心に関する情報ではないので,何人もみだりに指紋の押なつを強制されない自由を有するとまではいえない。
イ.何人も,その承諾なしに,みだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由を有するから,犯罪捜査の必要上,本人の同意や令状がなくとも,警察官が犯人の容ぼう等を撮影することは一定の要件の下で許されるものの,その際に第三者が写らないようにしなければならない。
ウ.住民基本台帳ネットワークシステムにより行政機関が住民の本人確認情報を収集,管理又は利用する行為は,当該住民がこれに同意していなくとも,個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を侵害するものではない。
憲法の概念に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.「固有の意味の憲法」とは,国家の統治の在り方を定めた基本法としての近代前の憲法を指す。これに対して,「立憲的意味の憲法」とは,国家権力を制限して国民の権利を保障するという思想に基づく近代以降の憲法のことをいう。
イ.「形式的意味の憲法」とは,憲法という名称を与えられた成文の法典(憲法典)を指す。これに対して,「実質的意味の憲法」とは,その存在形式のいかんを問わず,内容的に憲法と観念されるもののことをいう。
ウ.「硬性憲法」とは,日本国憲法のように,憲法改正が困難な憲法を指す。これに対して,「軟性憲法」とは,ドイツ連邦共和国基本法のように,憲法改正が容易でこれまで繰り返し改正が成立してきた憲法のことをいう。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 7

KE0690H28-02 新しい人権 A

憲法の明文で規定されていない権利・自由に関する次のアからウまでの各記述について,判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.前科は人の名誉,信用に直接関わる事項であり,前科のある者もこれをみだりに公開されないという法的保護に値する利益を有するが,「裁判所に提出するため」との申出理由の記載があれば,市区町村長が弁護士法に基づく照会に応じて前科を報告することは許される。
イ.大学が講演会を主催する際に集めた参加学生の学籍番号,氏名,住所及び電話番号は,個人の内心に関する情報ではなく,大学が個人識別を行うための単純な情報であって,秘匿の必要性が高くはないから,プライバシーに係る情報として法的保護の対象にならない。
ウ.個人の私生活上の自由の一つとして,何人もその承諾なしにみだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由を有するが,速度違反車両の自動撮影を行う自動速度監視装置による写真撮影は,犯罪捜査の必要性・相当性があるから,本人の同意や裁判官の令状がなくても許される。
憲法の概念に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.「固有の意味の憲法」とは,国家の統治の在り方を定めた基本法としての近代前の憲法を指す。これに対して,「立憲的意味の憲法」とは,国家権力を制限して国民の権利を保障するという思想に基づく近代以降の憲法のことをいう。
イ.「形式的意味の憲法」とは,憲法という名称を与えられた成文の法典(憲法典)を指す。これに対して,「実質的意味の憲法」とは,その存在形式のいかんを問わず,内容的に憲法と観念されるもののことをいう。
ウ.「硬性憲法」とは,日本国憲法のように,憲法改正が困難な憲法を指す。これに対して,「軟性憲法」とは,ドイツ連邦共和国基本法のように,憲法改正が容易でこれまで繰り返し改正が成立してきた憲法のことをいう。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 7

KE0700R01-03 新しい人権 A

憲法の明文で規定されていない権利・自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.何人も,個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を有するところ,行政機関が住民基本台帳ネットワークシステムにより個人情報を収集,管理又は利用することは,外部からの不当なアクセス等による情報漏えいの具体的な危険があるものの,正当な行政目的の範囲内において行われるものである以上,かかる自由を侵害するものではない。
イ.何人も,前科及び犯罪経歴をみだりに公開されない自由を有するところ,前科等の有無が訴訟の重要な争点となっていて,市区町村長に照会して回答を得なければ他に立証方法がない場合であっても,裁判所から市区町村長に照会することが可能であるから,市区町村長が弁護士法に基づく照会に応じて前科等につき報告することは,公権力の違法な行使として許されない。
ウ.何人も,その承諾なしに,みだりに容ぼう・姿態を撮影されない自由を有するところ,現に犯罪が行われ若しくは行われた後間がないと認められる場合であって,証拠保全の必要性及び緊急性があり,かつ,その撮影が一般的に許容される限度を超えない相当な方法をもって行われるときは,警察官による犯人の容ぼうの写真撮影は,憲法に違反しない。

解答 ア1,イ1,ウ2

KE0701R03-02 新しい人権 A

憲法の明文で規定されていない権利・自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには〇,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.髪型の自由は,自己決定権として憲法第13条によって保障されるものである。それゆえ,非行を防止する目的で高校生らしい髪型を維持するよう求める校則の定めが,社会通念上不合理なものとはいえないとしても,これに反した生徒を退学させることは許されない。
イ.学籍番号,氏名,住所及び電話番号といった個人情報は,大学が個人識別等を行うための単純な情報である。それゆえ,このような個人情報については,プライバシーに係る情報として法的保護の対象とはならない。
ウ.指紋は,それ自体では個人の私生活や人格,思想,信条,良心等個人の内心に関する情報となるものではないが,何人も個人の私生活上の自由の一つとして,みだりに指紋の押なつを強制されない自由を有する。それゆえ,在留外国人の指紋押なつ制度は,国家機関が正当な理由なく指紋の押なつを強制するものであり,憲法第13条の趣旨に反し,許されない。
憲法の概念に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.「固有の意味の憲法」とは,国家の統治の在り方を定めた基本法としての近代前の憲法を指す。これに対して,「立憲的意味の憲法」とは,国家権力を制限して国民の権利を保障するという思想に基づく近代以降の憲法のことをいう。
イ.「形式的意味の憲法」とは,憲法という名称を与えられた成文の法典(憲法典)を指す。これに対して,「実質的意味の憲法」とは,その存在形式のいかんを問わず,内容的に憲法と観念されるもののことをいう。
ウ.「硬性憲法」とは,日本国憲法のように,憲法改正が困難な憲法を指す。これに対して,「軟性憲法」とは,ドイツ連邦共和国基本法のように,憲法改正が容易でこれまで繰り返し改正が成立してきた憲法のことをいう。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 8

KE0730H26-03 法の下の平等 B

法の下の平等に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.日本国籍は重要な法的地位であり,父母の婚姻による嫡出子たる身分の取得は子が自らの意思や努力によっては変えられない事柄であることから,こうした事柄により国籍取得に関して区別することに合理的な理由があるか否かについては,慎重な検討が必要である。
イ.非嫡出子という身分は子が自らの意思や努力によって変えることはできないから,嫡出性の有無による法定相続分の区別の合理性については,立法目的自体の合理性及び当該目的と手段との実質的関連性についてより強い合理性の存否を検討すべきである。
ウ.尊属殺という特別の罪を設け,刑罰を加重すること自体は直ちに違憲とはならないが,加重の程度が極端であって,立法目的達成の手段として甚だしく均衡を失し,これを正当化し得べき根拠を見出し得ないときは,その差別は著しく不合理なものとして違憲となる。

解答 ア1,イ2,ウ1

KE0740H27-02K 法の下の平等 A

法の下の平等に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.憲法第14条第1項の「社会的身分」とは,人が社会において占める継続的な地位をいうから,高齢であることはこれに当たらないので,町長が町職員の余剰を整理する際,高齢のみを基準として対象者を選択しても,平等原則には反しない。
イ.併給調整条項の適用により,障害福祉年金を受けることのできる者とそうでない者との間に児童扶養手当の受給に関して差別が生じても,両給付が基本的に同一の性格を有し,併給調整に立法裁量があることなどに照らすと,合理的理由のない不当なものとはいえない。
ウ.租税法の定立は立法府の政策的,技術的判断に委ねるほかないから,この分野における取扱いの区別は,立法目的が正当であり,かつ,区別の態様が立法目的との関連で著しく不合理であることが明らかでない限り,憲法第14条第1項に違反するとはいえない。

解答 ア2,イ1,ウ1

KE0750H28-03K 法の下の平等 A

法の下の平等に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.子にとって自ら選択できないような事柄を理由に不利益を及ぼすことは許されず,子を個人として尊重し,その権利を保障すべきであるという考えが確立されてきたという事情は,嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的な根拠が失われたと判断すべき根拠となる。
イ.憲法第14条第1項は国民に対し法の下の平等を保障した規定であり,平等の要請は,事柄の性質に即応した合理的な根拠に基づくものでない限り,差別的な取扱いをすることを禁止する趣旨と解され,特に同項後段の事項は,合憲性の推定が排除される事項を限定列挙したものである。
ウ.地方公共団体が法律の範囲内で条例を制定することができるとしている条例制定権の規定(憲法第94条)に照らすと,地方公共団体が売春の取締りについて各別に条例を制定する結果,その取扱いに差別を生ずることがあっても,地域差の故をもって憲法第14条第1項に反するとはいえない。
憲法の概念に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.「固有の意味の憲法」とは,国家の統治の在り方を定めた基本法としての近代前の憲法を指す。これに対して,「立憲的意味の憲法」とは,国家権力を制限して国民の権利を保障するという思想に基づく近代以降の憲法のことをいう。
イ.「形式的意味の憲法」とは,憲法という名称を与えられた成文の法典(憲法典)を指す。これに対して,「実質的意味の憲法」とは,その存在形式のいかんを問わず,内容的に憲法と観念されるもののことをいう。
ウ.「硬性憲法」とは,日本国憲法のように,憲法改正が困難な憲法を指す。これに対して,「軟性憲法」とは,ドイツ連邦共和国基本法のように,憲法改正が容易でこれまで繰り返し改正が成立してきた憲法のことをいう。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 6

KE0760H30-02K 法の下の平等 A

法の下の平等に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.子にとって自ら選択できないような事柄を理由に不利益を及ぼすことは許されず,子を個人として尊重し,その権利を保障すべきであるという考えが確立されてきたという事情は,嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的な根拠が失われたと判断すべき根拠となる。
イ.憲法第14条第1項は国民に対し法の下の平等を保障した規定であり,平等の要請は,事柄の性質に即応した合理的な根拠に基づくものでない限り,差別的な取扱いをすることを禁止する趣旨と解され,特に同項後段の事項は,合憲性の推定が排除される事項を限定列挙したものである。
ウ.地方公共団体が法律の範囲内で条例を制定することができるとしている条例制定権の規定(憲法第94条)に照らすと,地方公共団体が売春の取締りについて各別に条例を制定する結果,その取扱いに差別を生ずることがあっても,地域差の故をもって憲法第14条第1項に反するとはいえない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 3

KE0770R01-02Y 法の下の平等 A

法の下の平等に関する次のアからウまでの各記述のうち,aは最高裁判所の判例を要約したものであり,bはその批判として書かれたものである。bがaの批判となっている場合には1を,そうでない場合には2を選びなさい。 
ア.a.尊属の殺害について,尊属に対する尊重報恩は,社会生活上の基本的道義であり,このような自然的情愛ないし普遍的倫理の維持は,刑法上の保護に値するから,これを刑の加重要件とする規定を設けても,直ちに合理的な根拠を欠くものとは認められない。
b.尊属がただ尊属なるがゆえに特別の保護を受けるべきであるとの考えは,個人の尊厳と人格価値の平等を基本とする民主主義の理念と抵触する。
イ.a.女性に対し6か月の再婚禁止期間を定める規定について,厳密に父性の推定が重複することを回避するための期間を超えて婚姻を禁止することは正当化できないから,再婚禁止期間のうち100日を超える部分は合理性を欠いた過剰な制約である。
b.子が出生した時点で法律上の父が定まらず,検査の実施や訴訟等により法律上の父を定める場合,決定がかなり遅れる事態も想定され,それは子の利益に反する。
ウ.a.出生後に認知を受けた子について,準正のあった場合に限り日本国籍を取得させると定める規定は,準正のない子に対し,日本国民である父から胎児認知された又は母が日本国民である非嫡出子と比較して,著しく不利益な差別的取扱いを生じさせている。
b.日本国民が母である非嫡出子は出生時において母の親権に服し,また,胎児認知は任意認知に限られるため,出生の時点で既に血統を超えた我が国社会との結び付きがある。

解答 ア1,イ2,ウ1

KE0771R03-03K 法の下の平等 A

法の下の平等に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.尊属に対する尊重報恩は社会生活上の基本的道義であるが,このような自然的情愛ないし普遍的倫理の維持は,刑法上の保護に値するものではなく,尊属殺を通常の殺人よりも重く処罰する規定は,合理的な根拠に基づくものといえないから,憲法第14条第1項に違反する。
イ.国籍法の規定が,同じく日本国民である父から認知された子でありながら,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した者と異なり,父母が法律上の婚姻をしていない非嫡出子は同法所定の他の要件を満たしても日本国籍を取得することができないという区別を生じさせていることは,同規定の立法目的との合理的関連性を欠くものであり,憲法第14条第1項に違反する。
ウ.女性に対し6か月の再婚禁止期間を定める規定の立法目的は,父性の推定の重複を回避し,父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにあると解され,6か月の再婚禁止期間を設けることはこの立法目的との関連において合理性を有するから,憲法第14条第1項に違反しない。
憲法の概念に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.「固有の意味の憲法」とは,国家の統治の在り方を定めた基本法としての近代前の憲法を指す。これに対して,「立憲的意味の憲法」とは,国家権力を制限して国民の権利を保障するという思想に基づく近代以降の憲法のことをいう。
イ.「形式的意味の憲法」とは,憲法という名称を与えられた成文の法典(憲法典)を指す。これに対して,「実質的意味の憲法」とは,その存在形式のいかんを問わず,内容的に憲法と観念されるもののことをいう。
ウ.「硬性憲法」とは,日本国憲法のように,憲法改正が困難な憲法を指す。これに対して,「軟性憲法」とは,ドイツ連邦共和国基本法のように,憲法改正が容易でこれまで繰り返し改正が成立してきた憲法のことをいう。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 6

KE0780H24-01Y 平等権 B

憲法第14条第1項に関する次のアからエまでの各記述について,明らかに誤っているもの二つの組合せを,後記1から6までの中から選びなさい .
ア.人種とは,身体的特徴によって区別される人類学上の種類であり,国によって人々の身体的特徴は異なるので,憲法上,国籍差別も人種差別と同様に扱われる。
イ.信条とは,言葉の由来から宗教上の信念を意味するが,今日では広く世俗的な政治上の主義や思想的な主張も含むと解されている。
ウ.社会的身分の意味については狭義説,中間説,広義説と見解が分かれるが,最高裁判所は広義説を採用している。
エ.性別とは男女の別をいうが,歴史的に差別されてきたのは女性であるから,憲法上は男性差別を問題にする必要はない。 
1.アとイ  2.アとウ  3.アとエ  4.イとウ  5.イとエ  6.ウとエ

解答 3

KE0800H29-03K 国籍法違憲判決 P

日本国民である父親から出生後に認知された子の日本国籍の取得をめぐる国籍法違憲判決(最高裁判所平成20年6月4日大法廷判決,民集62巻6号1367頁)に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.前記判決は,日本国民を血統上の親として出生しながら,日本国籍を生来的に取得できなかった子について,日本国籍を生来的に取得した子よりも日本国籍の取得の要件を加重すべきであるとする立法目的には,法律婚を尊重する観点から合理的な根拠があるとした。
イ.前記判決は,日本国民である父親から出生後に認知された子について,父母の婚姻が日本国籍の取得の要件とされている点をして,立法目的との合理的関連性の認められる範囲を著しく超える手段を採用したものであるとした。
ウ.前記判決は,婚姻関係にない父母から出生した子について将来にわたって不合理な偏見を生じさせるおそれがあることなどを指摘し,父母の婚姻という事柄をもって日本国籍の取得の要件に区別を生じさせることに合理的な理由があるか否かについては慎重に検討することが必要であるとした。

解答 ア(2),イ(1),ウ2

KE0831R02-03K 選挙権の平等 A

選挙人の投票価値の平等に関する次のアからウまでの各記述について,bの見解がaの見解の根拠となっている場合には1を,そうでない場合には2を選びなさい。 
ア.a.衆議院議員選挙においては,各選挙区間の議員1人当たりの有権者数の比率の較差が1対1を超えることは,憲法上正当化されない。
b.投票価値の平等は,国民の意思を公正かつ効果的に代表するために国会が正当に考慮することのできる他の政策的な目的との関連において,調和的に実現されるべきである。
イ.a.参議院議員選挙においては,二院制の下,地域代表の性質を有するという参議院の特殊性により,投票価値の平等の要請が後退するのもやむを得ない。
b.参議院は,国権の最高機関として適切に民意を国政に反映する義務を負っており,衆参両院の選挙制度は同質的とされるべきである。
ウ.a.地方議会議員選挙においては,当該地方公共団体の住民が,選挙権行使の資格だけでなく,投票価値においても平等に取り扱われるべきである。
b.憲法第14条第1項に定める法の下の平等は,選挙権に関しては,国民は全て政治的価値において平等であるべきとする徹底した平等化を志向するものである。

解答 ア2,イ2,ウ1

KE0840H25-04 憲法14条 A

憲法第14条に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.憲法第14条第1項は,実質的平等も要請しているから,公務員における女性の比率が低い場合には,国は女性を優先的に公務員に採用するよう憲法上義務付けられる。
イ.憲法第14条第2項は,明治憲法下における華族制度と類似の制度が復活することを禁止しているから,特権を伴う世襲の身分を法律で新たに設けることは許されない。
ウ.憲法第14条第3項は,栄典の授与に伴う特権を禁止しているから,社会の様々な領域で功労のあった者に勲章を授ける際に経済的利益を付与することは違憲となる。

解答 ア2,イ1,ウ2