第2編 基本的人権 第4章 精神的自由権1

KE0880H28-04 日の丸・君が代最高裁判決 A

都立高等学校の校長が教諭に対し,卒業式における国歌斉唱の際に国旗に向かって起立し国歌を斉唱することを命じた職務命令が,憲法第19条に違反するか否かについて判示した最高裁判所の判決(最高裁判所平成23年5月30日第二小法廷判決,民集65巻4号1780頁)に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.卒業式等の式典における国歌斉唱の際の起立斉唱行為は,一般的,客観的に見て,これらの式典における慣例上の儀礼的な所作としての性質を有するものであり,校長の職務命令は,「日の丸」や「君が代」に関する当該教諭の歴史観ないし世界観それ自体を否定するものということはできない。
イ.国旗に向かって起立し国歌を斉唱する行為は,一般的,客観的に見て,特定の思想の表明として外部から認識されるものと評価すべきであり,卒業式等の式典における国歌斉唱の際の起立斉唱行為が職務命令に従って行われたものと外部から認識することも困難であって,校長の職務命令は,特定の思想の有無について告白することを強要する面がある。
ウ.卒業式等の式典における国歌斉唱の際の起立斉唱行為は,一般的,客観的に見て,国旗及び国歌に対する敬意の表明の要素を含む行為であり,歴史観ないし世界観との関係で「日の丸」や「君が代」に敬意を表明することには応じ難いと考える者が上記行為を求められることは,思想及び良心の自由についての間接的な制約となる面があることは否定し難い。

解答 ア1,イ2,ウ1

KE0900H25-05 思想良心の自由 A

憲法第19条の保障する思想・良心の自由に関する次のアからウまでの各記述について,bの見解がaの見解の批判となっている場合には1を,そうでない場合には2を選びなさい。
ア.a.思想・良心の意味は,人の内心における物の見方ないし考え方であり,事物に対する是非弁別を含む内心一般と捉えるべきである。
b.思想・良心の自由が保障される範囲を広範に捉えることは,その高い価値を低下させ,むしろ,その自由の保障を弱めるものである。
イ.a.思想・良心の意味は,人生観,世界観,思想体系,政治的意見などのように人格形成に関連のある内心の活動と捉えるべきである。
b.憲法第19条は,「思想」と「良心」を併記し,同等にその自由を保障しているのであるから,「思想」と「良心」の概念を区別する必要はない。
ウ.a.思想・良心の自由のうち,良心の自由については,信教の自由,とりわけ信仰選択の自由ないし信仰の自由と同じ意味に捉えるべきである。
b.欧米諸国では良心の自由と信教の自由が不可分とされてきた歴史もあるが,日本国憲法は第20条で信教の自由を保障しており,あえて良心の自由を限定的に解する必要はない。

解答 ア1,イ2,ウ1

KE0910H26-04 思想良心の自由 A

憲法第19条の保障する思想・良心の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.企業が従業員に対して特定政党の党員か否かを調査することは,当該調査の必要性があり,不利益な取扱いのおそれがあることを示唆せず,強要にわたらない限り,許容される。
イ.裁判所が謝罪広告を強制しても,単に事態の真相を告白し,陳謝の意を表明するにとどまる場合は,良心の自由を不当に制限することにはならない。
ウ.中学校の内申書にその学校の全共闘を名乗って機関紙を発行したなどと記載した場合,それ自体は客観的な事実であっても,その記載に係る外部的行為から一定の思想信条を了知し得る。 
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 2

KE0920H29-04K 思想良心の自由 A

思想・良心の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.企業が従業員を採用するに際して,その者の在学中における団体加入や学生運動参加の事実の有無について申告を求めることは,その事実がその者の思想・良心と全く関係ないものではないから,違法である。
イ.市立小学校の入学式における国歌斉唱の際に「君が代」のピアノ伴奏をする行為は,音楽専科の教諭にとって通常想定され期待されるものであり,当該教諭が特定の思想を有するということを外部に表明する行為であると評価することは困難なものである。
ウ.公立高等学校の卒業式における国歌斉唱の際に起立斉唱する行為は,学校の儀礼的行事における慣例上の儀礼的な所作としての性質を有するものであり,同校の校長が教諭に当該行為を命じても,当該教諭の思想・良心の自由を何ら制約するものではない。

解答 ア2,イ1,ウ2

KE0930H30-03 思想良心の自由 B

思想・良心の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.良心の自由とは是非弁別の判断に関する事項を外部に表現する自由及び表現しない自由をも広く含むと解されるが,裁判所が謝罪広告を強制したとしても,単に事態の真相を告白し,陳謝の意を表明するにとどまる限りは,良心の自由を不当に制限するものではない。
イ.司法書士会が大震災で被災した他県の司法書士会に復興支援拠出金を寄付することは,司法書士会の目的の範囲を逸脱せず,また,司法書士会がその寄付のために会員から負担金を徴収することは,強制加入団体であることを考慮しても,会員の政治的又は宗教的立場や思想,信条の自由を害するものではない。
ウ.破壊活動防止法第39条及び第40条のせん動罪は,政治目的をもって,所定の犯罪のせん動をすることを処罰するものであるが,せん動として外形に現れた客観的な行為を処罰の対象とするもので,行為の基礎となった思想,信条を処罰するものではないから,せん動罪が政治思想を処罰するもので憲法第19条に違反するとの主張は前提を欠く。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 5

KE0931R02-04K 思想・良心の自由 A

思想・良心の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには〇,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.企業内においても労働者の思想,信条等の精神的自由は十分尊重されるべきであることに鑑みると,企業がその労働者に対して特定政党への所属の有無を確認するだけでなく,当該政党に所属しない旨の書面を要求する行為は,それが企業秘密の漏えいという企業秩序違反行為に関する調査の一環として行われたとしても,労働者の思想・信条の自由に対する直接的制約であるから,その経緯や調査方法の相当性にかかわらず,違法性が認められる。
イ.公立学校の卒業式等の式典においてその教員に国旗掲揚の下での国歌斉唱の際に起立斉唱を求めることは,慣例上の儀礼的な所作を求めるものではあるが,自らの歴史観ないし世界観との関係で国歌や国旗に対する敬意の表明には応じ難いと考える者がこれらに対する敬意の表明の要素を含む行為を求められることは,その者の歴史観ないし世界観に由来する行動とは異なる外部的行動を求められることになり,その限りにおいて思想及び良心の自由についての間接的な制約となる面がある。
ウ.政治団体への寄付が強制加入団体である税理士会の目的の範囲内かどうかを判断するに当たっては,会員の思想・信条の自由との関係で,その会員には様々の思想・信条及び主義・主張を有する者が存在することが当然に予定されていること,政治団体に寄付するかどうかは選挙における投票の自由と表裏をなすものとして会員各人が個人的な政治的思想,見解,判断等に基づいて自主的に決定すべき事柄であることなどを考慮することが必要である。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 5

KE0932R03-04 思想・良心の自由 A

思想・良心の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.憲法第19条の保障する良心の自由は,単に事物に関する是非弁別の内心的自由のみならず,かかる是非弁別の判断に関する事項を外部的に表現するか否かの自由をも包含するものであるから,謝罪広告の掲載を命ずる判決は,良心の自由への直接的な制約となるが,その内容が名誉回復のために必要な限度にとどまるものであれば,同条に違反しない。
イ.公立中学校の校長が,同校の生徒について,大学生の政治集会に参加しているなどと記載した内申書を作成提出することは,同記載が生徒の思想,信条そのものを記載したものでなく,同記載に係る外部的行為によっては生徒の思想,信条を了知し得るものではないし,また,生徒の思想,信条自体を高等学校の入学者選抜の資料に供したものと解することはできないから,憲法第19条に違反しない。
ウ.公立小学校の校長が,音楽専科の教諭に対し,入学式における国歌斉唱の際に「君が代」のピアノ伴奏を行うよう命ずることは,個人の歴史観ないし世界観に由来する行動と異なる外部的行為を求めるものとして,思想・良心の自由への間接的な制約となるが,地方公務員としての職務の公共性に加え,ピアノ伴奏が音楽専科の教諭にとって通常想定され期待される行為であることからすれば,許容される制約であり,憲法第19条に違反しない。

解答 ア2,イ1,ウ2

KE0970H26-05K 信教の自由 A

信教の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.生徒が自らの信仰に基づき,その通学する公立校で義務付けられている授業の履修を拒んだため不利益処分を受けることになっても,公教育が特例なしに実施されるべきであることに鑑み,その不利益の内容や程度に関わりなく,これを受忍しなければならない。
イ.僧侶がその業務として遂行した行為の結果,刑法上の犯罪構成要件に該当することになった場合,その行為の目的や内容に宗教上の意義が認められるときは,たとえそれが著しく社会的妥当性を欠くものであっても,正当な業務行為として処罰の対象とはならない。
ウ.宗教法人が法令に違反して著しく反社会的な行為を組織的に行ったため,裁判所から宗教法人法所定の解散命令を受け,法人格を失った宗教団体やその信者が宗教上の行為を継続する上で支障が生じても,その支障は間接的で事実上のものにとどまるので,やむを得ない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 7

KE0980H27-03 信教の自由 A

信教の自由に関する次のアからエまでの各記述について,誤っているもの二つの組合せを,後記1から6までの中から選びなさい。 
ア.信教の自由には内心における信仰の自由が含まれるが,信仰の自由は,内心にとどまるものである限り,制約が一切許されない。
イ.宗教とは無関係な行政上の要請により,宗教を信じているか,いずれの宗教団体に属しているかなど,個人の信仰に関する申告をさせることも,内心における信仰の自由の侵害となる。
ウ.宗教的行為の自由は,憲法第20条第1項前段ではなく,「宗教上の行為」等に「参加することを強制されない」と規定する同条第2項により保障される。
エ.特定の宗教の宣伝や共同で宗教的行為を行うことを目的とする団体を結成する自由は,信教の自由ではなく,憲法第21条第1項の結社の自由として保障される。 
1.アとイ 2.アとウ  3.アとエ  4.イとウ  5.イとエ  6.ウとエ

解答 6

KE0990H28-05 信教の自由

A 信教の自由に関する次のアからウまでの各記述について,判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.神社において死者の合祀を行うことが遺族である配偶者の心の静謐を害する場合,その遺族は,静謐な宗教的環境の下で信仰生活を送るべき利益である宗教的人格権を侵害されたと主張して,損害賠償を請求できる。
イ.僧侶が病者の平癒を祈願して加持祈祷を行うに当たり,病者の手足を縛って線香の火に当てるなどして同人を死亡させることは,医療上一般に承認された治療行為とは到底認められず,信教の自由の保障の限界を逸脱したものであって許されない。
ウ.宗教法人法の解散命令によって宗教法人を解散しても,信者は,法人格を有しない宗教団体を存続させたり宗教上の行為を行ったりすることができるので,宗教上の行為を継続するに当たり何ら支障はない。

解答 ア2,イ1,ウ2

KE1000H30-04 信教の自由 A

信教の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.輸血以外に救命手段がない場合には輸血を拒否するという意思決定を尊重すべきとはいえないので,患者が,輸血を受けることは自己の宗教上の信念に反するとして,輸血を伴う医療行為を拒否するとの明確な意思を有していたとしても,このような意思決定をする権利は,人格権としての保護に値しない。
イ.信仰上の理由から剣道実技の履修を拒否した高等専門学校の生徒に対して学校長が行った原級留置処分及び退学処分は,履修拒否が生徒の信仰の核心部分と密接に関連する真しな理由からのものであり,代替措置の申入れに対して学校側はそれが不可能でないのに何ら検討することなく拒否したなどという事情の下では,裁量権の範囲を超えて違法である。
ウ.宗教法人に対する解散命令のような法的規制は,たとえ信者の宗教上の行為を法的に制約する効果を伴わないとしても,これに何らかの支障を生じさせることがあり得ることから,信教の自由の重要性に鑑み,憲法上,そのような規制が許容されるものであるかどうかは慎重に吟味しなければならない。

解答 ア2,イ1,ウ1

KE1040H24-02 砂川政教分離訴訟判決 A

いわゆる砂川政教分離(空知太神社)訴訟判決(最高裁判所平成22年1月20日大法廷判決,民集64巻1号1頁)に関する次のアからウまでの各記述について,当該判決の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.国公有地が無償で宗教的施設の敷地としての用に供されるといっても,当該施設の性格や来歴,無償提供に至る経緯,利用の態様には様々なものがあり得るのであって,これらの事情のいかんが政教分離原則との関係を考えるに当たって重要な考慮要素とされるべきである。
イ.無償提供された国公有地上に存在する宗教的施設の宗教性を判断するに当たっては,当該宗教的施設に対する一般人の評価を抽象的に観念するのではなく,当該施設が存在する地元住民の一般的評価を検討することが重要である。
ウ.宗教的施設に対する国公有地の無償提供が憲法第89条に違反し違憲と判断される場合には,このような違憲状態を解消するための手段として,使用貸借契約の解除までは必要ないが,当該土地上に存在する宗教的施設の撤去が必要である。

解答 ア1,イ2,ウ1

KE1050H27-03Y 政教分離原則 A

政教分離原則に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.市有地が神社の敷地となっており,政教分離原則に違反するおそれがあったことから,その状態を解消するために,良好な地域社会の維持及び形成に資することを目的とした地域的活動を行う町内会組織に当該土地を無償譲渡することは,憲法第89条に違反しない。
イ.地方公共団体が,神社が挙行した恒例の宗教上の祭祀に際して公金を支出しても,相当数の者が社会的儀礼として行われることを望んでいれば,特定の宗教団体とのかかわり合いが相当とされる程度を超えることにはならない。
ウ.国家の非宗教性を定めた政教分離原則は厳格に貫かれるべきであって,仮にそのことによって社会生活の各方面に不都合な事態が生じるとしても,信教の自由の保障を一層確実なものにするためにはやむを得ない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 4

KE1060H29-05 政教分離原則 A

いわゆる政教分離に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.国公有地が特定の宗教的施設の敷地として無償提供された場合に政教分離原則に違反するか否かを判断するに当たり,当該宗教的施設の性格,当該無償提供に至る経緯及びその提供の態様については考慮に入れるべきであるが,これらに対する一般人の評価についてまで考慮に入れることは,多数者による少数者の宗教的抑圧につながるおそれがあるので相当ではない。
イ.宗教上の祝典,儀式,行事については,その目的が宗教的意義を持ち,その効果が宗教に対する援助,助長,促進又は圧迫,干渉等になるような行為であれば,憲法第20条第3項により禁止される「宗教的活動」に含まれるが,その判断に当たっては,社会通念に従って客観的になされなければならないから,行為者がどのような宗教的意識を有していたかについてまで考慮に入れるべきではない。
ウ.地方公共団体が町内会に対し特定の宗教的施設の敷地として公有地を無償で利用に供してきたところ,当該行為が政教分離原則に違反するおそれがあるためにこれを是正解消する必要がある一方で,当該宗教的施設を撤去させることを図るとすると,信教の自由に重大な不利益を及ぼしかねないことなどの事情がある場合には,当該町内会に当該公有地を譲与したとしても直ちに政教分離原則に違反するとはいえない。

解答 ア2,イ2,ウ1

KE1061R02-05 政教分離原則 A

政教分離原則に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.政教分離原則に基づく憲法の諸規定は,我が国における宗教事情の下で信教の自由を確実に実現するためには,単に信教の自由を無条件に保障するのみでは足りず,国家といかなる宗教との結び付きをも排除する必要性が大きかったことから設けられたものであり,国家と宗教との完全な分離を理想とし,国家の非宗教性ないし宗教的中立性を確保しようとしたものである。
イ.憲法第20条第3項の禁止する「宗教的活動」とは,国及びその機関と宗教とのかかわり合いが相当とされる限度を超え,当該行為の目的が宗教的意義を持ち,その効果が宗教に対する援助,助長,促進又は圧迫,干渉等になるような行為をいうのであり,靖国神社の祭礼に際し,知事が玉串料として公金を支出して奉納した行為は,たとえそれが戦没者の慰霊及びその遺族の慰謝を直接の目的としてされたものであったとしても,これに該当する。
ウ.天皇の即位に伴って行われる皇室の儀式である大嘗祭に際し,知事が公費で出張した上,これに参列し拝礼した行為は,地方公共団体の長という公職にある者の社会的儀礼として,日本国及び日本国民統合の象徴である天皇の即位に祝意を表する目的で行われたものにすぎず,宗教とかかわり合いのある行為とはいえないから,憲法第20条第3項の禁止する「宗教的活動」には該当しない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 

KE1070R01-04 信教の自由 A

信教の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.内閣総理大臣が靖国神社を参拝する行為は,他の宗教を信じる者に心理的圧迫を加えることになるので,これにより自己の心情ないし宗教上の感情が害され不快の念を抱いた者は,国の宗教活動を禁じた憲法第20条第3項の定める政教分離原則に違反することを理由として国に損害賠償を請求することができる。
イ.憲法第20条第1項前段及び同条第2項によって保障される信教の自由は,自己の信仰と相容れない信仰を持つ者の信仰に基づく行為に対しても寛容であることを要請するものであり,県護国神社による殉職した自衛官の合祀は,遺族が同神社の宗教行事に参加を強制されるなどの干渉等とならない限り,同神社が自由になし得る。
ウ.憲法第20条第3項の禁止する宗教的活動に含まれないとされる宗教上の祝典,儀式,行事等であっても,国又はその機関が,宗教的信条に反するとしてその参加を拒否する者に対してそれらへの参加を強制することは,その者の信教の自由を直接侵害するものとして同条第2項に違反する。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 5

KE1100H25-07K 学問の自由 A

憲法第23条の保障する学問の自由に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.学問研究は,真理の探究を目的とするので,それが大学で行われる限り,研究テーマについても,研究を遂行する手段・方法についても,制約されない。
イ.国や地方公共団体が研究助成を行う場合に,応募者の研究内容やこれまでの研究成果への評価に基づいて助成金の額に差異を設けることは,憲法第23条に違反しない。
ウ.大学の自治の保障は,大学の施設や学生の管理に関する自主的な秩序維持の権能には及ぶが,大学の教授その他の研究者の人事に関する自主的な決定権には及ばない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 6

KE1120H26-08K 学問の自由及び大学の自治 A

学問の自由や大学の自治に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.教授の自由の保障は,その沿革上,高等教育の場である大学に限られ,普通教育の場における教師の教授の自由は,学問の自由やその他の憲法上の自由として保障されているわけではない。
イ.大学は,自治権を有し,その施設及び学生の管理に関して自主的に決定する権利を有することから,警察は,大学の了解なしには大学構内において令状に基づく犯罪捜査を行うことはできない。
ウ.大学教授が授業中に行ったその所属学部の執行部への批判を理由として,当該学部が当該教授の授業開講を認めない措置を採るような場合には,学問の自由と大学の自治とが対立的な関係に立つ。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 7

第2編 基本的人権 第5章 精神的自由権2

KE1130H28-07K 学問の自由 A

学問の自由に関する次のアからウまでの各記述について,判例の趣旨に照らして,正しいものには○を,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.学問の自由は,学問的研究の自由とその研究成果の発表の自由を指しており,憲法第23条は大学が学術の中心として深く真理を探究することを本質とすることに鑑みて規定されたものであるから,同条の保障は大学の教授や研究者を対象とするものであり,国民一般はその保障の対象ではない。
イ.大学における学問の自由を保障するために伝統的に大学の自治が認められているところ,学内集会について大学の自治の保障が及ぶか否かの判断に当たって,その集会の目的や性格を考慮することは,学内で行われる活動をその思想内容に着目して規制することになり,大学の自治を認めた趣旨に抵触するから,許されない。
ウ.普通教育の場において使用される教科書は学術研究の結果の発表を目的とするものではなく,教科書検定は,記載内容がいまだ学界において支持を得ていないとき,あるいは当該教科課程で取り上げるにふさわしい内容と認められないときなど一定の検定基準に違反する場合に,教科書の形態における研究結果の発表を制限するにすぎないから,憲法第23条に反しない。 
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 7

KE1131R02-07K 憲法23条 A

憲法第23条に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.憲法第23条は,学問研究に関する外部からの干渉を許さない趣旨であるから,先端技術分野においても,研究活動の内容や方法等に対する制限は学会の自主規制等に委ねるべきであり,法律によって制約することは許されない。
イ.判例によれば,普通教育においては,児童生徒には大学の学生のような批判能力がなく,学校や教師を選択する余地も乏しいことなどから,憲法第23条によっても,普通教育における教師に完全な教授の自由は認められない。
ウ.大学の自治は,大学における研究教育の自由を制度的に保障するために憲法第23条によって保障されていると解されるから,教授の任免や施設の管理等,研究教育の内容に直接関係しない事項については,大学の自治権は及ばない。

解答 ア2,イ1,ウ2

KE1132R03-07 憲法23条 A

憲法第23条に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.大学の学問の自由と自治は,大学が学術の中心として深く真理を探究し,専門の学芸を教授研究することを本質とすることに基づくから,教授や研究者の研究,その結果の発表,研究結果の教授の自由とこれらを保障するための自治とを意味すると解されており,大学の学生が学問の自由を享有するのは,教授や研究者の有する特別な学問の自由と自治の効果としてである。
イ.子どもの教育は教師と子どもとの間の人格的接触を通じ,その個性に応じて行われなければならないが,全国的に一定の水準の教育を確保する必要があるので,教師に教授の具体的内容及び方法について裁量を認めることはできない。
ウ.大学における学生の集会が大学の学問の自由と自治を享有するか否かは,その集会が真に学問的な研究と発表のためのものか,実社会の政治的社会的活動に当たるかによって判断されるものであり,その集会が公開か否かといった点は考慮されない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 4

KE1150H28-06 知る権利 A

知る権利に関する次のアからウまでの各記述について,判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.様々な意見,知識,情報の伝達の媒体である新聞紙等の閲読の自由が憲法上保障されるべきことは,表現の自由を保障した憲法第21条の規定の趣旨,目的から,いわばその派生原理として当然に導かれるものである。
イ.新聞等の記事が特定の者の名誉ないしプライバシーに重大な影響を及ぼし,その者に対する不法行為が成立する場合には,具体的な成文法がなくても,反論権の制度として,反論文掲載請求権が認められる。
ウ.自己の思想,意見を形成するために自由な情報の受領は不可欠であるから,特に,国の政府機関が保有する情報の開示請求権は,これを具体化する法律がない場合であっても,当然に具体的権利として認められ,司法上の救済を受けることができる。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 4

KE1151R02-06K 知る権利 A

知る権利に関する次のアからウまでの各記述について,bの見解がaの見解の根拠となっている場合には1を,そうでない場合には2を選びなさい。 
ア.a.マス・メディアの報道に対して反論記事の掲載等を求める権利は,憲法第21条第1項が保障する表現の自由に含まれる知る権利の一局面であり,同項を直接の根拠として認められる。
b.インターネットの普及によって双方向的な情報流通が可能となり,誰もが自ら情報の発信者となることが容易になった。
イ.a.日本放送協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者に受信契約の締結を強制する放送法の規定は,憲法第21条第1項の保障する情報摂取の自由を制限するものであり,その合憲性は厳格に審査される必要がある。
b.国民の知る権利を実現するためにいかなる放送制度を採用するかは立法裁量の問題である。
ウ.a.児童買春その他の犯罪から児童を保護すること等の目的のため,電子掲示板の運営者に届出義務を課した上,一定の書き込みに関する削除義務を課すことは,憲法第21条第1項に違反する。
b.インターネット上において表現の場を提供する行為は知る権利に資するものとして,憲法第21条第1項の保障を受ける。

解答 ア2,イ2,ウ1

KE1170H26-07 知る権利と表現の自由 B

知る権利や表現の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.表現の自由は,公立図書館に自己の著作物の収蔵を求めることまで保障するものではないから,公立図書館で閲覧に供された図書を職員が著作者の思想や信条を理由として廃棄することは,その思想,意見等を公衆に伝達する利益を不当に損なうものとはいえない。
イ.放送事業者は,限られた電波の使用の免許を受けた者であって,公的な性格を有するものであり,放送による権利侵害や放送された事項が真実でないことが判明した場合に訂正放送が義
務付けられているが,これは視聴者に対し反論権を認めるものではない。
ウ.集団行動を法的に規制する場合,表現の自由の保障に可能な限り配慮する必要があるため,集団行動が行われ得るような場所を包括的に掲げたり,その行われる場所のいかんを問わないものとしたりすることは許されない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 6

KE1180H29-03Y 知る権利・表現の自由 A

知る権利や表現の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.放送事業者は,権利の侵害を受けた者の請求に基づく調査によって放送内容が真実でないことが判明した場合,放送法の規定により訂正放送をしなければならないが,これは,放送内容の真実性の保障及び干渉排除による表現の自由の確保の観点から,放送事業者において自律的に訂正放送を行うことを公法上の義務として定めたものである。
イ.裁判の傍聴人が法廷においてメモを取ることについては,憲法第21条第1項の規定により憲法上の権利として保障されており,法廷警察権によってこれを制限又は禁止することは,公正かつ円滑な訴訟の運営の妨げとなるおそれがあるにとどまらず,訴訟の運営に具体的な支障が現実に生じている場合でなければ許されない。
ウ.報道機関の報道は,民主主義社会において,国民が国政に関与するにつき重要な判断の資料を提供し,国民の「知る権利」に奉仕するものであることから,事実の報道の自由は,思想の表明の自由と同様に憲法第21条の保障のもとにあり,報道が正しい内容を持つためには,報道のための取材の自由についても,憲法第21条の精神に照らし十分尊重に値する。

解答 ア1,イ2,ウ1

KE1190H27-04 報道の自由 A

報道の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.法廷内における被告人の容ぼう等につき,手錠,腰縄により身体の拘束を受けている状態が描かれたイラスト画を被告人の承諾なく公表する行為は,被告人を侮辱し,名誉感情を侵害するものというべきで,その人格的利益を侵害する。
イ.報道機関の取材源は,一般に,それがみだりに開示されると将来にわたる自由で円滑な取材活動が妨げられることになるため,民事訴訟法上,取材源の秘密については職業の秘密に当たるので,当該事案における利害の個別的な比較衡量を行うまでもなく証言拒絶が認められる。
ウ.少年法第61条が禁止する推知報道に該当するか否かは,少年と面識のある特定多数の者あるいは少年の生活基盤としてきた地域社会の不特定多数の者が,少年を当該事件の本人であると推知することができるかを基準にして判断すべきである。

解答 ア1,イ2,ウ2

KE1200H28-03Y 取材の自由 A

取材の自由に関する次のアからウまでの各記述について,判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.報道機関の報道は,国民の知る権利に奉仕するものであるため,報道の自由は,表現の自由を規定した憲法第21条によって保障されるが,報道のための取材の自由も,報道が正しい内容を持つために,報道の自由の一環として同条によって直接保障される。
イ.取材の自由は,公正な刑事裁判の実現の要請からある程度制約を受けることがあるが,公正な刑事裁判を実現するに当たっては,適正迅速な捜査が不可欠の前提であるから,適正迅速な捜査の要請からも取材の自由が制約を受けることがある。
ウ.法廷における筆記行為の自由は憲法第21条の規定の精神に照らして尊重されるべきであるが,その制限は表現の自由に制約を加える場合に一般に必要とされる厳格な基準までは要求されず,メモを取る行為が公正かつ円滑な訴訟の運営を妨げる場合には制限される。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 5

KE1220H24-04 取材の自由 A

取材の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.報道のための取材の自由も憲法第21条の精神に照らし十分尊重に値するが,取材の自由といっても,何らの制約を受けないものではなく,公正な裁判の実現という憲法上の要請があるときは,ある程度の制約を受けることがあることは否定できない。
イ.報道機関が専ら報道目的で撮影したビデオテープを,裁判所の提出命令によって提出させる場合よりも裁判官が発付した令状に基づき検察事務官が差し押さえる場合の方が,取材の自由に対する制約の許否に関して,より慎重な審査を必要とする。
ウ.編集の上,既に放映されたビデオテープのマザーテープの差押えにより報道機関が受ける不利益は,このビデオテープの放映が不可能となり報道の機会が奪われるという不利益ではなく,将来の取材の自由が妨げられるおそれがあるという不利益にとどまる。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 3

KE1230H29-07 取材の自由 A

取材の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.報道機関の取材結果に対する裁判所による提出命令の可否の判断に当たっては,個別事情を考慮することなく,公正な刑事裁判の一般的価値とこれと対立する取材の自由・報道の自由の一般的価値とを比較衡量して判断するという手法によるのが相当である。
イ.適正迅速な捜査は公正な刑事裁判の不可欠の前提であることから,取材の自由に対する制約の許否に関しては捜査と公判とで本質的な差異はなく,したがって,差押えの主体にかかわらず,報道機関の取材結果に対する差押えの可否を判断する際の基本的な考え方は変わらない。
ウ.民事訴訟における,報道関係者による取材源に係る証言拒絶は,当該報道が公共の利益に関わり,取材方法が適切であり,取材源が秘密の開示を承諾していない場合には,当該民事事件が社会的意義や影響のある重大な民事事件であっても,原則として許容される。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 6

KE1240H30-04Y 取材の自由 A

取材フィルム又はビデオテープの押収が問題となった「博多駅事件決定」(最高裁判所昭和44年11月26日大法廷決定,刑集23巻11号1490頁),「日本テレビ事件決定」(最高裁判所平成元年1月30日第二小法廷決定,刑集43巻1号19頁)及び「TBS事件決定」(最高裁判所平成2年7月9日第二小法廷決定,刑集44巻5号421頁)に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.「博多駅事件決定」は,裁判所の提出命令について適法としたが,「日本テレビ事件決定」と「TBS事件決定」は,公正な刑事裁判を実現するためには,適正迅速な捜査が不可欠であるとして,検察事務官や司法警察職員がした差押えについても,適法と認められる場合があるとした。
イ.「日本テレビ事件決定」と「TBS事件決定」では,対象のビデオテープは,事件の全容を解明し犯罪の成否を判断する上でほとんど不可欠と認められるものであったのに対し,「博多駅事件決定」では,犯罪の成立は他の証拠上認められるが,事件の重要な部分の真相を明らかにする必要があるとして,取材フィルムの提出命令を適法とした。
ウ.3事件いずれの決定においても,それぞれその対象となった取材フィルム又はビデオテープは,既にそれらが編集された上放映されており,提出命令又は差押えによって放映が不可能となって報道の機会が奪われたというものではなかった。

解答 ア1,イ2,ウ1

KE1250H26-06 検閲 A

憲法第21条第2項前段の「検閲」に関する次のアからウまでの各記述について,bの見解がaの見解の批判となっている場合には1を,そうでない場合には2を選びなさい。 
ア.a.名誉毀損のおそれのある記事を掲載した書籍の販売等を,裁判所の仮処分により事前差止めするのは,「検閲」に該当しない。
b.「検閲」の解釈に当たっては,過去に検閲が行政権により濫用されたという歴史的経緯を踏まえる必要がある。
イ.a.外国で出版済みの書籍について,輸入禁制品である「公安又は風俗を害すべき書籍」に該当するか否かを税関が検査するのは,「検閲」に該当しない。
b.「検閲」は,表現の自由に対する制約という側面と,この自由と一体をなす知る権利に対する制約という側面がある。
ウ.a.受刑者の逃走防止等を目的として,その発信しようとする信書の内容を刑務所長が事前に検査するのは,「検閲」に該当しない。
b.「検閲」の禁止は,国民に対する関係では,絶対的に禁止されるが,特殊の法律関係にある者については,異なる取扱いが認められる。

解答 ア2,イ1,ウ2

KE1260R01-06K 憲法21条 A

憲法第21条に関する次のアからウまでの各記述について,bの見解がaの見解の根拠となっている場合には1を,そうでない場合には2を選びなさい。 
ア.a.「検閲」とは,行政権が主体となって,思想内容等の表現物を対象とし,その全部又は一部の発表の禁止を目的として,対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に,発表前にその内容を審査した上,不適当と認めるものの発表を禁止することを,その特質として備えるものであり,絶対的に禁止される。
b.大日本帝国憲法下においては,文書,図画ないし新聞,雑誌等を出版直前ないし発行時に提出させた上,その発売,頒布を禁止する権限が内務大臣に与えられ,その運用を通じて実質的な検閲が行われたほか,映画フィルムにつき典型的な検閲が行われる等,思想の自由な発表,交流が妨げられるに至った経験を有する。
イ.a.公務員又は公職選挙の候補者に対する評価,批判等の表現行為に関する出版物の公布等の事前差止めは,原則として許されず,その表現内容が真実でなく,又はそれが専ら公益を図る目的のものではないことが明白であって,かつ,被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被るおそれがあるときにのみ例外的に許される。
b.表現行為に対する事前抑制は,表現物がその自由市場に出る前に抑止してその内容を読者等の側に到達させる途を閉ざし又はその到達を遅らせてその意義を失わせ,公の批判の機会を減少させるものであり,性質上,予測に基づくものとならざるを得ないこと等から広汎にわたりやすく,濫用のおそれがある上,実際上の抑止的効果が大きい。
ウ.a.主催者が集会を平穏に行おうとしているのに,その集会の目的や主催者の思想,信条等に反対する者らが,これを実力で阻止し,妨害しようとして紛争を起こすおそれがあることを理由に公の施設の利用を拒むことができるのは,警察の警備等によってもなお混乱を防止することができないなど特別な事情がある場合に限られる。
b.集団行動による思想等の表現は,現在する多数人の集合体自体の力によって支持されているから,平穏静粛な集団であっても,一瞬にして暴徒と化し,勢いの赴くところ実力によって法と秩序をじゅうりんし,集団行動の指揮者はもちろん警察力を以てしても如何ともし得ないような事態に発展する危険が存在する。

解答 ア1,イ1,ウ2

KE1261R03-03Y 表現の自由 A

表現の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには〇,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.裁判所による出版物の頒布等の事前差止めは,憲法第21条第2項にいう検閲に当たり原則として禁じられるが,出版等の表現の自由が個人の名誉の保護と衝突する場合には,厳格かつ明確な要件の下,例外的に事前差止めが許容されることがある。
イ.犯罪ないし違法行為のせん動は,表現活動としての性質を有するが,具体的事情の下,そのせん動が重大な害悪を生じさせる蓋然性が高く,その害悪の発生が差し迫っていると認められる場合であれば,公共の福祉に反し,表現の自由の保護を受けるに値しないものとして,制限を受けるのはやむを得ない。
ウ.我が国において既に頒布され,販売されているわいせつ表現物を,税関検査による輸入規制の対象とすることは,憲法第21条第1項の規定に違反するものではない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 7

KE1270H24-02Y 出版の事前差止め C

国会議員の娘の離婚記事の出版差止めを認めた仮処分の保全異議に対する決定(東京地方裁判所平成16年3月19日決定,判例時報1865号18頁)と,その抗告審決定(東京高等裁判所平成16年3月31日決定,判例時報1865号12頁)との異同に関する次のアからウまでの記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい 。  
ア.両決定は,いずれも,差止めの実質的要件について,北方ジャーナル事件判決(最大判昭和61年6月11日)を参照し,公共性,公益性,重大にして著しく回復困難な損害を被るおそれ,という3要件を用いた。
イ.両決定は,記事内容の公共性について判断を異にした。抗告審は,婚姻や離婚という出来事自体は私事であるが,娘は政治家一家の長女であって後継者となる可能性があることを理由に,記事内容の公共性を認めた。
ウ.両決定は,損害の程度の評価をめぐって判断を異にした。抗告審は,本件記事で取り上げられた私事自体は人格に対する評価に常につながるものではないし,日常的にどうということなく見聞する情報の一つにすぎない,と判断した。

解答 ア1,イ2,ウ1

KE1290H24-03 北方ジャーナル事件 A

出版物の頒布等の仮処分による事前差止めの許否等をめぐる北方ジャーナル事件判決(最高裁判所昭和61年6月11日大法廷判決,民集40巻4号872頁)に関する次のアからウまでの各記述について,当該判決の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.裁判所の事前差止めは,思想内容等の表現物につき,その発表の禁止を目的として,対象となる表現物の内容を網羅的一般的に審査する性質を有するものではあるが,裁判所という司法機関により行われるものであるから,憲法第21条第2項前段の「検閲」には当たらない。
イ.裁判所の事前差止めは,表現行為が公共の利害に関する事項の場合は原則として許されないが,表現内容が真実でなく,又はそれが専ら公益を図る目的のものでないことが明白で,かつ,被害者が重大で著しく回復困難な損害を被るおそれがあるときは,例外的に許される。
ウ.公共の利害に関する事項についての表現行為に対し事前差止めを命ずる仮処分命令を発する際には,口頭弁論又は債務者の審尋を行い,表現内容の真実性等の主張立証の機会を与えることが原則として必要である。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 5

KE1330H29-06 ビラ投函と表現の自由 A

公務員宿舎である集合住宅の各室玄関ドアの新聞受けに,政治的意見を記載したビラを投かんする目的で同集合住宅の敷地等に立ち入った事案について判示した最高裁判所の判決(平成20年4月11日第二小法廷判決,刑集62巻5号1217頁)に関する次のアからエまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.前記判決は,被告人らによる政治的意見を記載したビラの配布は,表現の自由の行使ということができ,その行為を刑法第130条前段の罪により処罰することは,表現そのものを処罰することの憲法適合性が問題となるとした。
イ.前記判決は,表現の自由は,送り手の情報が妨げられることなく受け手に受領されることを当然に内包しており,本件で被告人らの行為に刑事罰を科すことは,本件公務員宿舎の居住者が情報に接する機会を奪い,その受領権を侵害することになるとした。
ウ.前記判決は,本件立入りの場所が自衛隊・防衛庁当局が管理するものであることから,いわゆるパブリック・フォーラムたる性質を持つものであることを前提としつつ,判示したものである。
エ.前記判決の後の判決(最高裁判所平成21年11月30日第二小法廷判決,刑集63巻9号1765頁)では,政党のビラを配布するために民間の分譲マンションの各住戸の廊下等共用部分に立ち入った行為につき,表現の自由の重要性に鑑み,当該マンションの管理者が商業的な宣伝・広告のビラのみならず政党のビラを配布することまで禁止するのは合理性を欠くとして,かかる行為を刑法第130条の罪に問うことは憲法第21条第1項に反する旨判示された。

解答 ア2,イ2,ウ2,エ2

KE1331R02-03Y 表現の自由 A

表現の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには〇,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.自己の政治的意見を記載したビラを配布することは表現の自由の行使ということができるが,居住者が私的生活を営む場所である集合住宅の共用部分や敷地内に管理権者の承諾なく立ち入り,集合郵便受けや各室玄関ドアの郵便受けに当該ビラを投かんする行為は,管理権者の管理権を侵害するのみならず,そこで生活する者の私生活の平穏を侵害するものであるから,このような立入り行為をもって邸宅侵入の罪に問うことは許される。
イ.表現の自由も絶対無制限に保障されるものではなく,公共の福祉のため必要かつ合理的な制限は是認されるものであって,たとえ思想を外部に発表するための手段であっても,その手段が他人の財産権,管理権を不当に害するごときものは許されないといわなければならないから,私鉄の駅構内において,同駅管理者の許諾を受けずにビラ配布や拡声器による演説を行い,駅構内からの退去要求を受けながらそれを無視して約20分間同駅構内に滞留した行為を不退去罪等により処罰することは許される。
ウ.公共の福祉のため,表現の自由に対し必要かつ合理的な制限をすることは許されるが,政治的表現の自由は,民主政に資する価値を有する特に重要な権利であるから,政党の演説会開催の告知宣伝を内容とする立て看板を街路樹にくくりつける行為について,美観風致の維持及び公衆に対する危害防止の目的のために屋外広告物の表示の場所・方法等を規制する屋外広告物条例を適用して処罰することは,許されない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 2

KE1340R01-05 表現の自由 B

表現の自由の制約の合憲性に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.軽犯罪法第1条第33号は,「みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし」た者を処罰の対象としているところ,はり札をする行為自体は思想を外部に発表する手段の1つであると認められるものの,その手段が他人の財産権,管理権を不当に害することは許されないから,この程度の規制は,公共の福祉のため,許された必要かつ合理的な制限であるというべきである。
イ.公職選挙法第138条第1項は,選挙に関し,投票を得るなどの目的をもって「戸別訪問をすること」を禁止しているところ,戸別訪問は,容易に他の方法により代替され得るものではなく,通常,それ自体何らの悪性を有するものでもないから,その規制の合憲性を判断するに当たっては,他に目的を達成することができるより狭い範囲の規制方法があるか否かを検討すべきである。
ウ.関税法第69条の11第1項第7号(旧関税定率法第21条第1項第3号)は,輸入を禁止する物品として「風俗を害すべき書籍,図画」等と規定しているが,我が国内における健全な性的風俗を維持確保すべきことは公共の福祉に合致するものである上,「風俗」という用語が「性的風俗」を意味することはその文言自体から明らかであるので,明確性の原則にも反せず,このような制限はやむを得ない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×  3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ×  5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 4

KE1350H25-06 表現の自由 A

表現の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.公務員としての行動に関する批判的論評が公務員の社会的評価を低下させる場合でも,その論評が専ら公益目的でなされ,かつ前提たる事実が主要な点において真実であることの証明があれば,論評としての域を逸脱していない限り,名誉毀損の不法行為は成立しない。
イ.新聞記事において批判を加えられた者が,名誉毀損の不法行為の成否にかかわらず,無料で反論文の掲載を当該新聞に求める権利については,公的事項に関する批判的記事の掲載をちゅうちょさせるおそれがあるので,具体的な法律がない場合には,これを認めることはできない。
ウ.憲法の禁ずる検閲とは,公権力が主体となって,表現物を対象とし,その全部又は一部の発表の禁止を目的として,表現物につき網羅的一般的に,発表前にその内容を審査した上で不適当と認めるものの発表を禁止することを,その特質として備えるものをいう。

解答 ア1,イ1,ウ2

KE1351R03-05 表現の自由 A

表現の自由に関する次のアからウまでの各記述について,bの見解がaの見解の批判となっている場合には1を,そうでない場合には2を選びなさい。 
ア.a.表現の自由に対する規制について,表現の内容に着目した内容規制には,厳格な審査基準が妥当し,表現の時・場所・方法等の規制に関わる内容中立的規制の場合には,より緩やかな審査基準が妥当する。
b.審査基準の枠組みの設定の仕方が図式的になり過ぎており,人によって極めて重要な意義を持つはずの表現の時・場所・方法等の規制の危険性・問題性を軽視している。
イ.a.商品知識の啓蒙や,意見の伝達等何らかの表現行為に関わる広告は,表現の自由の保障の対象となるが,純然たる営利広告は,経済的自由の保障の対象となる。
b.消費者の側から見ると,純然たる営利広告も,一つの重要な生活情報としての意味を持ち得るから,それを表現の自由の保障の対象外としてしまうと,消費者の知る権利を害することになる。
ウ.a.表現行為に先立ち行政権がその内容を事前に審査し不適当と認める場合にその表現行為を禁止する検閲は,憲法第21条第2項により絶対的に禁止され,同条第1項から導き出される広義の事前抑制の原則的禁止とは区別される。
b.独立性を保障された司法権と行政権との区別は重要であり,また,検閲の禁止に例外を認める解釈は,憲法第21条第2項が,「検閲は,これをしてはならない」と明記していることに反する。

解答 ア1,イ1,ウ2

KE1360H30-05K インターネットと名誉棄損 B

次の見解は,インターネット上の名誉毀損罪の成否と表現の自由について論じたものである。この見解に関する次のアからエまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
「インターネットの利用者は,自己の見解を外部に向かって発信することができるから,インターネットを利用している被害者は,自己に向けられた加害者のインターネット上の表現行為に対し,言論による反論が可能である。したがって,インターネットの利用者が名誉毀損の表現行為をした場合には,新聞などのマス・メディアを通じた表現の場合よりも,名誉毀損罪の成立する範囲を限定すべきである。」
ア.この見解に対しては,インターネット上の全ての情報を知ることは不可能であり,自己の名誉を毀損する表現が存在することを知らない被害者に対して反論を要求すること自体,そもそも不可能である,という批判があり得る。
イ.言論の応酬により当不当を判断することができるのは意見や論評であって,事実の摘示による名誉毀損の場合には,被害者と加害者が言論の応酬をしても,インターネット利用者は真偽を判断することができないという指摘は,この見解の根拠となり得る。
ウ.この見解に対しては,インターネット上に載せた情報は,不特定多数の利用者が瞬時に閲覧可能となり,全世界に伝播される可能性もあることから,被害者のインターネット上の反論によって名誉の回復が図られる保証もない,という批判があり得る。
エ.言論による侵害に対しては,言論で対抗するのが表現の自由の基本原則であり,被害者が加害者に対し十分な反論ができ,功を奏するのであれば,被害者の社会的評価が害されるおそれはないという指摘は,この見解の根拠となり得る。

解答 ア1,イ2,ウ1,エ1

KE1361R02-02 プライバシーの侵害 A

インターネット検索事業者に対し,自らの逮捕歴に関し検索結果として表示される情報の削除を求めることの可否について判断した最高裁判所の決定(最高裁判所平成29年1月31日第三小法廷決定,民集71巻1号63頁)に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.この決定は,個人のプライバシーに属する事実をみだりに公表されない利益が法的保護の対象となるとした上,過去に犯した罪の逮捕歴に係る事実は個人のプライバシーに属する事実に当たるものと判断した。
イ.この決定は,検索事業者の行う情報の収集,整理及び提供がプログラムにより自動的に行われることから,検索事業者が検索結果を表示することは,インターネット上の情報を媒介しているにすぎず,検索事業者自身による表現行為とはいえないとした。
ウ.この決定は,プライバシーに属する事実を公表されない法的利益と,URL等の情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量し,前者の法的利益が優越することが明らかな場合には,その情報の削除を求めることができるという判断の枠組を示した。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 3

KE1370H25-03Y 集会の自由 A

集会の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.集会の自由に対する不当な制約を防ぐため,集会の用に供される公共施設の利用許可申請を公の秩序が害されるおそれを理由にして拒否することが許されるのは,明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見される場合に限られる。
イ.集会の用に供される公共施設においてある集会を開催すると,それに反対する勢力が妨害行為を起こすことが確実に予想される場合,施設管理者が自らの管理権を行使するだけではその妨害行為による混乱を防止できないと判断すれば,当該集会を不許可とすることができる。
ウ.殊更に交通秩序の阻害をもたらすような行為は,思想表現行為としての集団行進に不可欠な要素ではないから,道路における集団行進を許可するに際し,これを禁ずるという条件を付するとしても,憲法上の権利を不当に侵害するものではない。

解答 ア1,イ2,ウ1

KE1380H30-06 集会の自由 A

集会の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.市民会館は,集会をするために必須の施設であるから,その使用について,届出制ではなく,許可制を採ることは,集会の自由を不当に制限することになる。
イ.道路については,交通の安全と円滑を図るという機能面が重視される結果,道路における集団行動の規制は,集会の自由に対する制限には当たらない。
ウ.市の管理する公園について,人の生命,身体又は財産が侵害され,公共の安全が損なわれる,明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見される場合でないのに,その使用を規制するのは,集会の自由を不当に制限することになる。

解答 ア2,イ2,ウ2

KE1381R03-06K 集会の自由 A

集会の自由に関する次のアからウまでの各記述について,bの見解がaの見解の批判となっている場合には1を,そうでない場合には2を選びなさい。 
ア.a.地方公共団体は,公の施設を利用して特定の集会が開かれることにより,その集会の主催者と敵対するグループ等とが衝突して,人の生命・身体・財産が侵害され,公共の安全が損なわれる危険がある場合には,公の施設の利用を不許可とすることができる。
b.主催者が集会を平穏に行おうとしているのに,その集会の目的や主催者の思想,信条に反対する他のグループ等がこれを実力で阻止し,妨害しようとして紛争を起こすおそれがあることを理由に公の施設の利用を拒むことは,憲法第21条の趣旨に反する。
イ.a.所有権や管理権に基づく集会の規制が許されるかどうかの判断に当たっては,集会の場所が一般公衆が自由に出入りできるものであるときには,集会の自由の保障に可能な限り配慮する必要がある。
b.主張や意見を社会に伝達する自由を保障する場合には,その表現の場を確保することが重要な意味を持ち,特に,表現の自由の行使が行動を伴うときには,表現のための物理的な場所が提供されなければ,意見を受け手に伝えることができない。
ウ.a.集会や集団行動については,公共の秩序を維持するため,又は公共の福祉が著しく害されることを防止するために一定の法的規制が必要であるから,集会等の時間,場所,方法を問わず,事前の許可を要すると条例で定めることもやむを得ない。
b.集会や集団行動が他人の権利と衝突することがあるとしても,その衝突の程度は集会等の具体的態様によって大きく異なるから,一律に事前の許可にかからしめることは集会の自由に対する過大な制約である。

解答 ア1,イ2,ウ1

第2編 基本的人権 第6章 経済的自由権

KE1390H27-05 通信の秘密 A

通信の秘密に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.通信の秘密の保障の目的は,私生活の自由を保護することにあるだけでなく,公権力による通信内容の探索の可能性を断つことにより自由な表現伝達手段を確保することにもある。
イ.通信の秘密は,特定の他者との通信の秘密を保障するものであり,はがき,手紙のほか,電話,電信もその保障の対象に含まれるが,インターネット上の通信はこれに含まれない。
ウ.通信の秘密の保障は,通信の内容のみならず,通信の当事者の氏名,住所,通信の日時,通信の個数など通信に関する全ての事項に及ぶ。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 3

KE1410H24-05K 職業の自由対する規制 B

職業の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.職業活動の自由についても精神的自由についても,国の積極的な社会経済政策のために規制することが許されるのは同様であるが,前者の自由を規制する場合には立法府の裁量的判断が広く認められる点が異なる。
イ.憲法第22条第1項が「公共の福祉に反しない限り」という留保を伴っているのは,職業活動は社会的相互関連性が大きく,精神的自由と比較して公権力による規制の要請が強いことを強調するためである。
ウ.職業の許可制は自由に対する強力な制限であるから,その合憲性を肯定し得るためには,原則として重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることを要する。ただし,この要請は,個々の許可条件の合憲性判断においてまで求められるものではない。

解答 ア2,イ1,ウ2

KE1420H26-09 職業の自由 B

職業の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.酒類販売の免許制に関する立法事実が変化しているので,当該免許制の合憲性は厳格度を高めた基準で審査されるが,酒税法が定める免許基準は依然として合理性を有する。
イ.特定産業における経営の安定を目的とする生糸の輸入制限は,零細な他の産業に犠牲を強いることになるので,その合憲性は慎重に審査されるが,著しく不合理とはいえない。
ウ.登記制度が国民の権利義務等に重大な影響を及ぼすことなどから,原則として司法書士に登記業務の独占を認める職域規制は,公共の福祉に合致した合理的な規制である。

解答 ア2,イ2,ウ1

KE1430H29-08K 憲法22条1項の解釈 B

憲法第22条第1項の解釈に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.農業災害補償法が一定の稲作農業者を農業共済組合に当然に加入させる仕組みを採用したことの合憲性は,当該仕組みが国民の主食である米の生産の確保と稲作を行う自作農の経営の保護を目的とすることから,必要最小限度の規制であるか否かによって判断される。
イ.憲法第22条第1項は職業選択の自由を保障しているが,いわゆる営業の自由は,財産権の行使という側面を併せ有することから,同項及び第29条第1項の規定によって根拠付けられる。
ウ.職業の許可制は,狭義の職業の選択の自由そのものに制約を課す強力な制限であるため,社会政策ないしは経済政策上の積極的な目的のための措置であっても,より緩やかな規制によってはその目的を十分に達することができない場合でなければ,合憲性を肯定し得ない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 8

KE1440R01-07K 職業選択の自由 B

職業の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.薬局の開設につき,これを許可制とすることの目的が,国民の生命及び健康に対する危険の防止にある場合,当該規制の合憲性を肯定するためには,それが重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることに加え,より緩やかな規制によってはその目的を十分に達成することができないと認められることも要する。
イ.個人の経済活動の自由に対して,社会経済全体の均衡のとれた調和的発展を図るという積極目的の規制を設けることが正当化される根拠として,国民の生存権やその一環としての勤労権が保障されているなど,経済的劣位に立つ者に対する適切な保護政策を行うことが憲法上の要請とされていることを挙げることができる。
ウ.酒類販売業について免許制とすることを定めた酒税法の規定は,酒類販売業者には経済的基盤の弱い中小事業者が多いことに照らし,酒類販売業者を相互間の過当競争による共倒れから保護するという積極目的の規制であり,当該規制の目的に合理性が認められ,その手段・態様も著しく不合理であることが明白であるとは認められないから,違憲ではない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 2

KE1450H27-06 営業の自由 B

営業の自由に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.営業の自由を市場における私的な独占からの自由と捉える見解によれば,事業者に対し一定の取引分野での競争を不当に制限する行為を禁止する立法は,自由を促進する立法と位置付けられる。
イ.営業の自由が歴史的には公序として形成されてきたものであるとしても,憲法は「国家からの自由」を中心に人権を保障することを第一義とするものであるから,営業の自由を憲法第22条第1項で保障される人権と解することは可能である。
ウ.営業の自由の内容を開業・廃業と営業活動に分け,前者は憲法第22条第1項,後者は憲法第29条により保障されるとする見解は,営業の自由の保障根拠を憲法第22条第1項のみに求める見解と比べて,営業の自由を広く保障する。

解答 ア1,イ1,ウ2

KE1480H24-06 居住・移転の自由 B

居住・移転の自由に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。なお,関連判例がある場合には,正誤は当該判例の趣旨に照らして判断しなさい。 
ア.一定の伝染病の感染を防止するという目的から,都道府県知事が患者を強制的に隔離することは,居住・移転の自由における人身の自由の側面に向けられた直接的な規制といえるが,このような規制は,居住・移転の自由に対する必要な制約として是認される。
イ.転出入の際に市町村長への届出義務を課することは,居住・移転の自由におけるプライバシー権の側面に対する間接的な制約であるといえるが,住民の利便の増進に役立つものであり,制約を償うに足りる公共の利益が認められるので,このような制約は許される。
ウ.市町村長は,原則として転入届を受理しなければならない。ただし,市町村には住民の安全を確保する義務があるので,地域の秩序が破壊され住民の生命や身体の安全が害される危険性が高度に認められる場合には,転入届を受理しないことも許される。

解答 ア1,イ1,ウ2

KE1490H25-08 居住・移転の自由 A

居住・移転の自由の複合的性格に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.居住・移転の自由は,歴史的には,職業選択の自由の当然の前提として自由に住所を定め,他の場所に移動することを認めたところに由来するものである。
イ.居住・移転の自由は,非人道的な自由の拘束状態からの解放を企図する人身の自由の要素を併せ持つものではない。
ウ.居住・移転の自由の保障は,広く知的な接触の機会を得るためにも不可欠であるので,精神的自由の要素も併せ持っている。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 3

KE1500H30-08K 居住・移転の自由 A

居住・移転の自由に関する次のアからエまでの各記述について,明らかに誤っているものの組合せを,後記1から6までの中から選びなさい。 
ア.自衛官につき,防衛大臣が指定する場所に居住しなければならないとする法律の規定は,当該国民が自ら自衛官に志願した結果として課される制約であるところ,我が国の防衛のためいつでも職務に従事できる態勢にあることが求められるという自衛官の職務の性質に照らし,このような居住地の制限は合理的な制限であって合憲と解される。
イ.外務大臣において,著しくかつ直接に日本国の利益又は公安を害するおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者につき一般旅券を発給しないことができるとする法律の規定は,単に旅券の発給を制限するに過ぎず,海外渡航の自由を制約するものではないため合憲と解される。
ウ.住民が住所を変更したときには市町村長に届け出なければならない旨を義務付ける法律の規定は,住所・居所の決定や移転それ自体を制限するものではなく,規制態様が軽微である反面,住民票の整備により得られる公益が大きいことから合憲と解される。
エ.破産手続中の破産者につき,裁判所の許可なく居住地を離れることを禁止する法律の規定は,破産手続という限られた期間内にのみ適用されるものに過ぎず,仮に裁判所の許可が得られなくても破産手続が終結すれば自由に居住地を離れることができるため,居住・移転の自由に対する制約が認められず合憲と解される。 
1.ア イ  2.ア ウ  3.ア エ  4.イ ウ  5.イ エ  6.ウ エ

解答 5

KE1510H28-04Y 海外渡航の自由 A

海外渡航の自由に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.海外渡航の自由は,出国の自由と再入国の自由を包括する概念であるが,その性質は,経済的自由の側面にとどまらず,精神的自由,人身の自由などと関連し,複合的かつ多元的な性質を持つ。
イ.憲法第22条第1項の「公共の福祉」との文言によって直ちに広範な政策的制約が許されるものではないと考えれば,海外渡航の自由について,憲法上の根拠を同項に求めるか他の条項に求めるかによって,許される制約の程度に決定的な差異は生じない。
ウ.判例は,「著しく,かつ,直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」につき外務大臣が旅券の発給を拒否できる旨定めた旅券法の規定を,公共の福祉のための合理的な制限を定めたものとして合憲と解している。

解答 ア1,イ1,ウ1

KE1520H25-09 財産権の保障 B

財産権の保障に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.憲法は,私有財産制と具体的な財産上の権利をともに保障しており,後者には所有権などの物権のほか債権や知的財産権などが含まれる。
イ.財産権の内容は必ず法律によって定めなければならないが,財産権の制約は法律によらずに,政令によることも許される。
ウ.財産権が公務員の故意又は過失による違法な行為によって侵害されたとき,被害者は国又は地方公共団体に対し損失補償を請求できる。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 4

KE1530H27-09K 財産権の保障 A

財産権の保障に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.憲法第29条第1項は財産権の不可侵性を規定しているが,同項が保障するのは,私有財産制ではなく,個人が現に有する財産を侵害されないということである。
イ.憲法第29条第2項は財産権の内容は法律で定めるとするが,入会権のような慣習に基づく伝統的な権利も憲法上の財産権に含まれる。
ウ.憲法第29条第3項は私有財産を正当な補償の下に公共のために用いることができるとするが,こうした規定は歴史的には福祉国家理念を背景にして制定されるに至った。

解答 ア2,イ1,ウ2

KE1531R02-08 財産権 A

財産権に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.憲法第29条は,私有財産制度を制度として保障するものであり,国民の個々の財産権につき基本的人権として保障するものではない。
イ.法律で一旦定められた財産権の内容を事後の法律で変更しても,それが公共の福祉に適合するようにされたものである限り,違憲とはいえない。
ウ.憲法第29条第3項の「公共のために用ひる」には,道路,ダム等の公共事業のために財産を収用する場合だけでなく,特定の個人が受益者となる場合も含まれることがある。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 5

KE1550H24-07K 森林法違憲判決 B

森林法共有林分割制限事件判決(最高裁判所昭和62年4月22日大法廷判決,民集41巻3号408頁)に関する次のアからウまでの各記述について,当該判決の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.憲法第29条は,私有財産制度を保障しているのみでなく,国民の個々の財産権につきこれを基本的人権として保障しているが,それ自体に内在する制約があるほか,社会全体の利益を図るための規制により制約を受ける。
イ.財産権規制の目的には,社会政策及び経済政策上の積極的なものから,安全の保障や秩序の維持等の消極的なものまで種々様々なものがあり得るが,森林法の共有林分割請求権を制限する規定は積極目的による規制である。
ウ.財産権規制の目的が公共の福祉に合致しないことが明らかであるか,規制手段が規制目的を達成する手段として必要性や合理性に欠けていることが明らかであって,立法府の判断が合理的裁量の範囲を超えるものとなる場合に限り,当該規制立法は違憲となる。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 3

KE1561R03-08K 財産権の制限と損失補償 A

財産権の制限と損失補償に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.法律の規定により財産上の権利の行使が制限される場合であっても,災害を未然に防止するという社会生活上のやむを得ない必要からその制限が当然受忍すべきものであるときは,憲法第29条第3項による損失補償を要しない。
イ.財産上の権利の行使を制限する法律が補償規定を欠いている場合であっても,相当の資本を投入してきた者が,一般的に当然に受忍すべきものとされる範囲を超えて制限を受けるときは,憲法第29条第3項を根拠として補償請求をする余地がある。
ウ.財産上の権利の行使を制限する法律に補償規定が置かれている場合であっても,その法律は,補償の内容が憲法第29条第3項の要求する水準にあるか否かについて,憲法適合性の審査の対象となる。

解答 ア1,イ1,ウ1

第2編 基本的人権 第7章 人身の自由

KE1590H29-09 第三者所有物没収事件判決 A

第三者所有物没収事件判決(最高裁判所昭和37年11月28日大法廷判決,刑集16巻11号1593頁)に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.前記判決は,被告人以外の第三者の所有物(以下「第三者所有物」という。)を没収する場合において,当該第三者に対し告知,弁解,防御の機会を与えることなくその所有物を没収することは,適正な法律手続によらないで財産権を侵害する制裁を科するに外ならない旨判示した。
イ.前記判決は,被告人に対する附加刑として科される第三者所有物に対する没収の言渡により,当該第三者の占有権が剥奪されるにとどまり,所有権剥奪の効果は生じないことを,その判断の前提としている。
ウ.前記判決では,第三者所有物について没収の言渡を受けた被告人は,その没収の裁判の違憲を理由として上告することができるとされた。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 3

KE1610H25-11K 適正手続 B

憲法第31条が行政手続にも適用されるべきかどうかについて,同条が行政手続にも適用されると解する説,同条が行政手続にも準用あるいは類推適用されると解する説,同条が行政手続には適用されないと解する説がある。これらの見解に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.適用説は,憲法第31条が要求する適正さが行政手続にも及ぶべきであると説きつつも,その程度は行政作用の性質に応じて異なり得るとする。
イ.準用あるいは類推適用説は,適正手続が求められるのは身体の自由を奪うような刑事手続に準ずる行政処分に限られるとする。
ウ.不適用説は,行政手続の適正さについて,憲法第31条からはその文言上これを導き出すことはできないが,憲法第13条など他の規定から導くことは可能であるとする。

解答 ア1,イ2,ウ1

KE1620H24-09 被告人の権利 B

被告人の権利に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.いわゆるビデオリンク方式を採用することによって被告人は自ら尋問することができないが,それは証人が受ける精神的圧迫を回避するためであり,弁護人は尋問できるのであるから,被告人の証人審問権を侵害しているとはいえない。
イ.即決裁判手続は,争いがなく明白かつ軽微な事件について,簡易かつ迅速に公判の審理及び裁判を行うことにより,手続の合理化や効率化を図るものであり,一般の事件と異なる上訴制限を定めることに合理的理由があるから,裁判を受ける権利を侵害しているとはいえない。
ウ.ある事件の刑事確定訴訟記録の閲覧請求に対し,刑事確定訴訟記録法の条項に基づいて不許可としても,憲法第21条,第82条の規定は刑事確定訴訟記録の閲覧を権利として要求できることまで認めたものではないから,憲法には違反しない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 5

KE1630R01-08 刑事手続き上の人権保障 B

刑事手続上の人権保障に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.起訴されていない余罪を被告人が自認している場合に余罪を実質上処罰する趣旨で被告人を重く処罰することは,憲法第31条に由来する不告不理の原則に反するが,憲法第38条第3項の規定する補強法則との関係では問題は生じない。
イ.迅速な裁判を受ける権利を保障する憲法第37条第1項は,それ自体が裁判規範性を有しており,審理の著しい遅延の結果,被告人の上記権利が害される異常な事態が生じた場合には,法律上の具体的な根拠がなくても審理を打ち切るべきである。
ウ.ビデオリンク方式による証人尋問は,犯罪被害者等の保護の要請から,裁判の公開原則の例外として定められたものであり,公開裁判を受ける権利を保障した憲法第37条第1項,裁判の公開を定めた憲法第82条第1項に反しない。

解答 ア2,イ1,ウ2

KE1650H28-10 人身の自由 A

人身の自由に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.警察官が,酒気を帯びて車両を運転するおそれがあると認めて呼気検査を求めたのに対し,これを拒否した者を処罰する道路交通法の規定は,「何人も,自己に不利益な供述を強要されない」と定める憲法第38条第1項の規定に違反しない。
イ.刑事被告人は,公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する(憲法第37条第2項)から,裁判所は刑事被告人が自身の弁護のために必要であると主張している証人全員の尋問を採用しなければならない。
ウ.有罪判決を受けた刑事被告人に対し,裁判所に出廷させた証人に旅費,日当及び宿泊料を負担させることは,「刑事被告人は,公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する」と定める憲法第37条第2項の規定に違反しない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 3

KE1660H30-07Y 人身の自由 A

人身の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.憲法第31条は「何人も,法律の定める手続によらなければ,その生命若しくは自由を奪はれ,又はその他の刑罰を科せられない。」と定めるところ,同条の定める法定手続の保障が及ぶと解すべき行政手続であっても,常に必ず,行政処分の相手方に事前の告知,弁解,防御の機会を与えることを必要とするものではないと解される。
イ.憲法第35条第1項は,本来,主として刑事責任追及の手続における強制について,それが司法権による事前の抑制の下におかれるべきことを保障した趣旨であるが,刑事責任追及を目的とする手続においてばかりでなく,それ以外の手続においても,同項による保障が等しく及ぶと解される。
ウ.憲法第38条第1項は,「何人も,自己に不利益な供述を強要されない。」と規定するところ,自己が刑事上の責任を問われるおそれのある事項について供述を強要されないことを保障するとともに,その実効性を担保するため,供述拒否権の告知を義務付けていると解される。

解答 ア1,イ2,ウ2

第2編 基本的人権 第8章 受益権と参政権

KE1665R02-10 裁判を受ける権利 A

裁判を受ける権利に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.大日本帝国憲法で「法律ニ定メタル裁判官ノ裁判」を受ける権利が保障されていたのに対し,日本国憲法第32条が保障するのは「裁判所において裁判を受ける権利」であることを踏まえれば,憲法上国民の司法参加がおよそ禁じられていると解すべき理由はない。
イ.性質上純然たる訴訟事件の裁判が,憲法第82条が定める例外に当たらないにもかかわらず,公開の法廷における対審及び判決によらず非公開でなされた場合には,裁判の公開を定めた憲法第82条に違反するが,裁判を受ける権利を保障する憲法第32条に違反することはない。
ウ.憲法第32条は,訴訟の当事者が訴訟の目的である権利関係について裁判所の判断を求める法律上の利益を有することを前提として,そのような訴訟について本案の裁判を受ける権利を保障したものであって,その利益の有無にかかわらず常に本案につき裁判を受ける権利を保障したものではない。

解答 ア1,イ2,ウ1

KE1690H27-06Y 国家賠償と損失補償 B

国家賠償及び損失補償に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.憲法第17条が定める「公務員の不法行為」には,権力作用によるものばかりでなく,非権力作用によるものも含まれる。
イ.国や公共団体が行う純粋な私的経済取引に基づく私法関係については,民法等の私法の規律に従って賠償責任の有無が判断される。
ウ.憲法第29条第3項に基づく損失補償は,国の正当な行為について行われるもので,物的財産だけでなく,身体に対してもなされるというのが最高裁判所の立場である。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 2

KE1700H24-10 郵便法違憲判決 B

郵便法違憲判決(最高裁判所平成14年9月11日大法廷判決,民集56巻7号1439頁)に関する次のアからウまでの各記述について,当該判決の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.憲法第17条は,公務員の不法行為による国又は公共団体の損害賠償責任を免除又は制限する法律が立法権の裁量を逸脱したものである場合には,これを違憲無効とする効力を持つ規定である。
イ.書留郵便物について,郵便業務従事者の故意又は重大な過失によって損害が生じた場合に,国の損害賠償責任を全面的に免除する立法は違憲無効であるが,法律で国が負担すべき賠償額に一定の制限を付することは許される。
ウ.特別送達郵便物について,郵便業務従事者の故意又は重大な過失によって損害が生じた場合に,国の損害賠償責任を免除又は制限する立法は違憲無効であるが,軽過失にとどまる場合には,国の損害賠償責任を免除又は制限することも許される。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 4

KE1720H29-11 刑事補償請求権 B

刑事補償請求権に関する次の学生アからエまでの各発言について,正しいものの組合せを,後記1から6までの中から選びなさい。
ア.「抑留又は拘禁という人権制限措置を受けたけれども結果として無罪とされた者に,相応の補償をすることによって,公平の要請を満たそうとするのが憲法第40条なんだね。」
イ.「無罪判決を受けた刑事被告人が,抑留又は拘禁されたことを理由に,憲法第17条に定める国家賠償を求め得るケースはあり得ないからね。」
ウ.「憲法第40条は『無罪の裁判を受けたとき』について定めているけど,この文言の意味について,無罪判決が確定したとき又は一旦確定していた有罪判決が再審の結果取り消されて無罪が言い渡されたときを意味すると解する説によれば,同条は免訴や公訴棄却の裁判を受けた場合についても補償することを要請していることになるよ。」
エ.「不起訴となった事実Aに基づく抑留又は拘禁であっても,そのうちに実質上は無罪となった事実Bについての抑留又は拘禁であると認められるものがあるときは,その部分の抑留又は拘禁も憲法第40条の『抑留又は拘禁』に包含されるとした最高裁判所の判例があったな。」 
1.ア イ  2.ア ウ  3.ア エ  4.イ ウ  5.イ エ  6.ウ エ

解答 3

KE1721R03-10 刑事補償請求権 A

刑事補償請求権に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.憲法第40条は,抑留又は拘禁された後に刑事事件において無罪の裁判を受けた者について,その手続がたとえ憲法第31条以下の諸権利の保障に反しなかったとしても,多大な犠牲を被っている以上,正義・衡平の観点から金銭による事後的救済を与えようとする趣旨の規定である。
イ.判例は,不起訴になった事実に関する抑留又は拘禁であっても,そのうちに実質上は,無罪となった事実についての抑留又は拘禁と認められるものがあるときは,その部分の抑留又は拘禁も,憲法第40条にいう「抑留又は拘禁」に包含されると解している。
ウ.判例は,家庭裁判所における少年審判手続において非行事実がないことを理由とする不処分決定について,刑事事件において無罪の裁判を受けたことと実質的に同視できるとして,同決定を受けた者を刑事補償の対象としないことは憲法第40条に違反すると解している。

解答 ア1,イ1,ウ2

KE1750H28-14 在外邦人選挙制限違憲訴訟 B

いわゆる在外邦人選挙権制限違憲訴訟上告審判決(最高裁判所平成17年9月14日大法廷判決,民集59巻7号2087頁)に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.前記判決は,国政選挙の選挙権について,「国民の国政への参加の機会を保障する基本的権利として議会制民主主義の根幹を成すものであり,民主国家においては,一定の年齢に達した国民の全てに平等に与えられるべきものである」と指摘しているが,同判決の考え方に従ったとしても,自ら選挙の公正を害する行為をした者の選挙権について一定の制限をすることまで違憲となるわけではない。
イ.比例代表選出議員の選挙と異なり,衆議院小選挙区選出議員の選挙及び参議院選挙区選出議員の選挙については,選挙権を行使する者が日本国内の特定地域に現に居住していることを前提としているから,上記判決の考え方に従ったとしても,衆議院小選挙区選出議員の選挙及び参議院選挙区選出議員の選挙における在外日本国民の選挙権の行使を制限することまで違憲となるわけではない。
ウ.前記判決は,在外日本国民の選挙権行使を制限する公職選挙法の規定について違憲と判断したものであるが,「仮に当該立法の内容又は立法不作為が憲法の規定に違反するものであるとしても,それゆえに国会議員の立法行為又は立法不作為が直ちに違法の評価を受けるものではない」として,立法不作為を理由とする国家賠償請求は認めなかった。

解答 ア1,イ2,ウ2

KE1760H29-13K 選挙権及び選挙制度 A

選挙権及び選挙制度に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.憲法は,国民主権の原理に基づき,国民に対して,両議院の議員の選挙において投票をすることによって国の政治に参加することができる権利の保障は認めているが,投票をする機会の平等までは保障していない。
イ.選挙運動の一つの手段である政見放送において,政見放送の品位を損なう言動を禁止した公職選挙法第150条の2の規定に違反する言動がそのまま放送される利益は,法的に保護された利益とはいえず,したがって,上記言動がそのまま放送されなかったとしても,法的利益の侵害があったとはいえない。
ウ.憲法は,両議院の議員の選挙において投票をすることを,一定の年齢に達した国民の固有の権利として保障しており,自ら選挙の公正を害する行為をした者等の選挙権について一定の制限をすることは別として,選挙権又はその行使を制限するためには,そのような制限をすることがやむを得ないと認められる事由がなければならない。

解答 ア2,イ1,ウ1

KE1761R02-13 選挙権と選挙制度 A

選挙権及び選挙制度に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.選挙権の法的性格について,国政への参加を国民に保障する権利という面のみを有すると考える見解に立っても,かかる権利であると同時に選挙人としての地位に基づいて公務員の選挙に関与する公務という側面も併せ有すると考える見解に立っても,選挙犯罪による被処罰者の選挙権及び被選挙権の停止を定める公職選挙法の規定が,憲法第14条及び第44条ただし書に違反する差別的待遇ではないと解することは可能である。
イ.判例は,平成10年の改正前の公職選挙法が在外日本国民の選挙権を全く認めていなかったことは憲法第15条第1項,第3項,第43条第1項等に違反すると解し,さらに,同改正後の公職選挙法附則の規定が,当分の間,在外選挙制度の対象を比例代表選出議員の選挙に限定したことについても,同改正当時,比例代表選出議員の選挙についてだけ在外国民の投票を認めることとしたのには全く理由がなく,上記憲法各条項に違反すると解している。
ウ.判例は,政見放送が民主政治の根幹をなす政治上の表現の自由に基づくものであり,選挙運動の一つの重要な手段である一方,公職選挙法の規定によって禁じられた政見放送としての品位を損なう言動をした場合の責任は,事後的に候補者自身に負わせれば足りることを根拠として,放送事業者が政見放送において用いられた差別的用語を削除した行為を憲法第21条第1項に違反すると解している。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 4

第2編 基本的人権 第9章 社会権

KE1800H24-08 25条1項と2項の関係 B

次の見解は,憲法第25条の第1項と第2項との関係について論じたものである。この見解に対する論評としてなされた次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
「憲法第25条第1項は,健康で文化的な最低限度の生活を営む国民の権利を定めており,同条第2項は,国民が健康で文化的な最低限度の生活を上回る生活を営むことのできるような施策をなすべき国の責務を定めている。したがって,同条第1項による健康で文化的な最低限度の生活の水準については,具体的な事情の下では一定の基準が確保されている必要があるが,同条第2項による施策の内容は,立法府の裁量に委ねられているものである。」
ア.この見解によると,一般的に,憲法第25条第1項に基づいて一定の給付を請求する具体的権利が認められる。
イ.この見解によると,憲法第25条第1項により保障される権利への侵害の有無が問題になった場合には,より厳格度を高めた司法審査が行われ得る。
ウ.この見解によると,憲法第25条第1項により保障される権利を具体的に実現するために,同条第2項に基づいて国の各種の施策が実施されることになる。

解答 ア2,イ1,ウ2

KE1810H28-08 生存権 A

生存権に関する次の見解に対する論評としてなされた次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
「憲法第25条の生存権を具体化する趣旨の法律が制定された以上,その法律は憲法第25条と一体をなし,かかる法律の定める保護基準を正当な理由なくして引き下げることは憲法上許されない。」 
ア.この見解に対しては,憲法第25条第1項が禁止しているのは「健康で文化的な最低限度の生活」の水準を下回ることだけであり,保護基準の引下げによってもかかる水準を上回る場合にまで,正当な理由を必要とする根拠は同条項から導くことはできないとの批判が可能である。
イ.この見解は,憲法第25条を具体化する立法措置の選択決定は立法府の広い裁量に委ねられているとした,最高裁判所の判決(最高裁判所昭和57年7月7日大法廷判決,民集36巻7号1235頁)の趣旨から論理的に導くことができる。
ウ.この見解によれば,過去の国会の判断が現在及び将来の国会を拘束することになるが,憲法第25条を具体化する趣旨の法律についてのみ,かかる拘束が憲法上要請されていると解することは困難であるとの批判が可能である。

解答 ア1,イ2,ウ1

KE1820H26-10K 社会保証制度の合憲性 B

社会保障制度の合憲性をめぐる理由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.限られた財源の下で福祉的給付を行うに当たり,国が自国民を在留外国人より優先的に扱うことは許されるが,特別永住者について障害福祉年金の支給対象から一切除外することは,不合理な差別となる。
イ.障害基礎年金の受給に関し,保険料の拠出要件を緩和するか否かは国の財政事情等に密接に関連するから,保険料負担能力のない20歳以上60歳未満の者のうち学生とそれ以外の者との間に障害基礎年金の受給に関し差異が生じていたとしても,不合理とはいえない。
ウ.生活保護法に基づいて生活保護を受けるのは,単なる国の恩恵ないし社会政策の実施に伴う反射的利益ではなく,法的権利であるから,保護基準の改定(老齢加算の廃止)に基づく保護の不利益変更は,その改定自体に正当な理由がない限り違法となる。

解答 ア2,イ1,ウ2

KE1830H27-07K 憲法25条 A

憲法第25条に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.憲法第25条第1項で定める救貧施策においては国民の最低限度の生活を保障しなければならないが,同条第2項で定める防貧施策においては広い立法裁量が認められると解する立場によっても,救貧施策は生活保護法による公的扶助に限定されないと解することはできる。
イ.憲法第25条第1項は,将来に向けた政策の指針を定めたもので,国民の権利を保障するものではないと解するプログラム規定説によっても,裁判所が同項に基づいて個々の法律について国民の生存権を侵害するか否かを判断できる。
ウ.いわゆる朝日訴訟においては,生活保護法に基づく生活扶助を廃止するとともに医療扶助を変更する旨の保護変更決定について,これを認容した厚生大臣の裁決自体の裁量権の逸脱・濫用が争われたのではなく,生活保護法自体が憲法第25条第1項に違反するとして争われた。

解答 ア1,イ2,ウ2

KE1840H29-10K 生存権 A

生存権とこれを具体化した法制度に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.国民年金制度は,憲法第25条の趣旨を実現するために設けられた社会保障上の制度であるから,同条の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は,立法府の広い裁量にゆだねられており,著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱,濫用とみざるを得ないような場合を除いて,裁判所が審査判断するに適しない事柄であり,何ら合理的理由のない不当な差別的取扱いがあっても,憲法第14条違反の問題は生じ得ない。
イ.憲法第25条にいう「健康で文化的な最低限度の生活」は,きわめて抽象的・相対的な概念であって,その具体的内容は,その時々における文化の発達の程度,経済的・社会的条件,一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであるから,国の立法として具体化される場合にも,国の財政事情は考慮されるべきではない。
ウ.国は,難民条約の批准及びこれに伴う国会審議等を契機に,外国人に対する生活保護について一定の範囲で国際法及び国内公法上の義務を負うことを認めるに至ったものであり,少なくとも永住外国人にも憲法第25条第1項の保障が及ぶものとなったと解すべきであるから,生活保護法の適用対象となる「国民」には永住外国人も含まれる。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 8

KE1850R01-05Y 生存権の法的性格 A

生存権の法的性格に関し,国民が立法者に対して立法その他の措置を要求する権利を定めたものであると解するが,具体的権利性については否定する見解(いわゆる抽象的権利説)がある。この見解に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.この見解の理由として,資本主義経済においては,個人の生活について自助の原則が妥当し,生存権を具体的権利とする前提を欠いていること,及び国が国民に生存権を保障する場合,その実現には予算を伴うが,予算の配分は財政政策上の問題として国の裁量に委ねられていることも挙げることができる。
イ.この見解に立つと,生活保護法に基づいて決定された保護が,正当な理由がないにもかかわらず不利益に変更された場合,その変更について争う裁判において,その変更が生活保護法の規定する不利益変更禁止の原則に違反することに加え,憲法第25条にも違反するとの主張ができる。
ウ.この見解は,憲法第25条の趣旨に応えて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は,立法府の広い裁量に委ねられており,それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるを得ないような場合を除き,裁判所が審査判断するのに適しないと判示した堀木訴訟判決(最高裁判所昭和57年7月7日大法廷判決,民集36巻7号1235頁)と矛盾する。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 2

KE1851R02-09 生存権 A

生存権とこれを具体化した法制度に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.憲法第25条の規定の趣旨に応えて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は,立法府の広い裁量に委ねられているが,何ら合理的理由のない不当な差別的取扱いや,個人の尊厳を毀損するような内容の定めがあれば,憲法第14条及び第13条違反の問題を生じることがある。
イ.「健康で文化的な最低限度の生活」は,抽象的かつ相対的な概念であって,その具体的内容は,その時々における経済的・社会的条件,一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであるが,老齢加算を廃止する保護基準の改定については,不利益変更であることに鑑み,厚生労働大臣に専門技術的かつ政策的見地からの広範な裁量権は認められない。
ウ.障害基礎年金の受給に関し保険料の拠出に関する要件を緩和するかどうかは国の財政事情等にも密接に関連する事項であるが,保険料負担能力のない20歳以上60歳未満の者のうち20歳以上の学生とそれ以外の者との間に障害基礎年金の受給に関し差異が生じた場合,その合憲性については,憲法第25条及び第14条の趣旨に照らし,慎重に検討する必要がある。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 4

KE1852R03-09K 生存権 A

生存権に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。  
ア.憲法第25条にいう「健康で文化的な最低限度の生活」は,抽象的・相対的な概念であって,その具体的な内容は,その時々における文化の発達の程度,経済的・社会的条件,一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであるとともに,同規定を現実の立法として具体化するに当たっては,国の財政事情を無視することができず,高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とする。
イ.憲法第25条の生存権を具体化する趣旨の法律として,生活保護法等の法律が制定された場合,その法律は憲法第25条と一体をなし,かかる法律の定める給付水準を正当な理由なくして引き下げることは憲法上許されない。
ウ.憲法第25条第2項で定める防貧施策については広い立法裁量が認められる一方,同条第1項で定める救貧施策については,国は国民の最低限度の生活を保障する責務を負い,前者よりも厳格な違憲審査基準が用いられる。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 4

KE1870H25-10K 教育を受ける権利 A

教育を受ける権利に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.憲法第26条の規定の背後には,特に,自ら学習することのできない子どもは,その学習要求を充足するために,教育を自己に施すことを大人一般に対して要求する権利を有するという観念が存在する。
イ.教育の具体的方法や内容に関して教師に認められるべき裁量には,おのずから制約がある。自分の考えと異なるとして教科書を使用しないで授業を行ったり,全員に一律の成績評価を行ったりすることは,教師の裁量の範囲内とはいえない。
ウ.憲法は,義務教育の無償を規定している。そこで無償とすることが求められているのは,授業料と教科書代のみであり,文房具代や給食費等就学に必要な一切の費用まで意味するものではない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 2

KE1880H27-08 憲法26条 A

学校教育に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.憲法第26条が子どもの学習権を保障していることから,教育の内容及び方法を誰がいかにして決定し得るかという問題に対する一定の結論が当然に導き出されるわけではない。
イ.親の教育の自由は,主として家庭教育等,学校外での教育において現れるものであり,学校選択の自由はこれに含まれない。
ウ.国が一定の教育水準確保のために定立する学習指導要領は,生徒側の教育内容に対する批判能力の程度及び学校選択の余地等に鑑みれば,高等学校では法的拘束力を持たない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 4

KE1900H30-07K 学問及び教育の自由 A

学問の自由及び教育の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.大学における学生の集会が,大学の公認した団体が大学の許可を得て開催したものであれば,真に学問的な研究又はその結果の発表のためのものでなく,実社会の政治的社会的活動に当たる場合であっても,同集会への警察官の立入りは,大学の有する学問の自由と自治を侵害することとなる。
イ.学問の自由は,学問研究の自由とその研究結果の発表の自由だけでなく,その研究結果を教授する自由をも含むところ,教育の本質上,教師は,高等学校以下の普通教育においても,教授の自由を有し,自らの判断で教育内容を決定することができるのであって,国が教育内容の決定に介入することは許されない。
ウ.親は,子の将来に関して最も深い関心を持ち,かつ,配慮をすべき立場にある者として,子に対する教育の自由を有しており,このような親の教育の自由は,主として家庭教育等学校外における教育や学校選択の自由にあらわれるところ,親の学校選択の自由は,特定の学校の選択を強要又は妨害された場合,その侵害が問題となり得
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 7

KE1930H28-09K 労働基本権 A

労働基本権に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.公務員の争議行為の制限は国民生活全体の利益を維持増進する必要との調和の見地から合理性の認められる必要最小限度のものでなければならず,職務の性質や違いを考慮することなく公務員の争議行為を一律に禁止することは憲法上許されないとするのが判例の立場である。
イ.憲法により団結権が保障されている労働組合においては,組合の目的の範囲内にある活動であれば,その全ての活動について組合員に対して統制権を行使し得るから,労働組合が統制権に基づいて組合員を除名した処分には司法審査が及ばない。
ウ.憲法第28条が保障する労働基本権は,使用者との関係において労働者の権利を保護することを目的の一つとするので,私人相互の関係でも意味を持ち,契約自由の原則は制限されることになる。

解答 ア1,イ2,ウ1

KE1950H30-09 労働基本権 A

労働基本権に関する次のアからエまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.憲法上,国は,労働基本権をむやみに制約する立法等の措置を行うことは許されず,また同時に,国は,労働者の労働基本権を保障する措置を講じる義務があり,その意味で,労働基本権には自由権としての側面と社会権としての側面があるといえる。
イ.労働基本権には,団結権,団体交渉権及び団体行動権があるが,これらのうち団結権は最も重要かつ基本的な権利であるから,団体交渉権や団体行動権について現行法上特別な制約に服している自衛官や警察官にも団結権は認められている。
ウ.判例は,労働基本権について,公務員にもその保障が及ぶとし,その制約の合憲性を判断する上で,職務の公共性は考慮されるべきではないとする一方,人事院が設けられていることなどの代替措置が整備されていることを重視して,一般私企業とは異なる制約に服するものとする。
エ.憲法第28条は,その性質上,私人間の関係に適用される余地はなく,そのため,判例は,労働組合への加入を強制するために使用者と労働組合との間に締結されるユニオン・ショップ協定の効力を団結権との関係で判断する場合にも,憲法を直接適用していない。

解答 ア1,イ2,ウ2,エ2

KE1951R02-06Y 労働基本権 A

労働基本権に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.労働基本権の社会権的性格から,国は労働基本権の保障を確実にするため積極的な措置を採るべきであり,労働組合法は不当労働行為の救済のため労働委員会を設置している。
イ.争議権は憲法で保障されるが,正当な争議行為に対する民事免責は,使用者と労働者の間の契約により排除することができる。
ウ.判例は,団結権を確保するために労働組合の統制権を認めるが,公職選挙に当たり労働組合が統一候補を決定し,それ以外の立候補した組合員に対し,これを統制違反者として処分することは違法としている。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 3

第2編 基本的人権 第10章 国民の義務

KE1980H24-11K 国民の義務 B

国民の義務に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.憲法第26条第2項前段は,国民がその保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負うことを定めている。これは,同条第1項が保障する子どもの教育を受ける権利の保障に対応したものであって,子ども自身に教育を受ける義務を負わせるものではない。
イ.憲法第27条第1項は,国民の勤労の義務を定めている。したがって,憲法第18条で禁止されている「その意に反する苦役」に至らないものであれば,法律の定めにより,刑罰をもって勤労を強制することも許される。
ウ.憲法第30条は,国民の納税義務を定めている。この規定は,国家の存立に不可欠な財政を支えるという国民としての当然の義務を確認するとともに,その義務の具体化には法律の定めが必要であるとしたものである。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 3

KE1990H27-10 国民の義務 A

国民の義務に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.憲法第26条第2項は保護する子女に普通教育を受けさせる国民の義務を定めているが,これは子どもが普通教育を受ける義務を負うことも意味するから,宗教上の信念に基づき授業内容の一部を受講しないと,子どもが同項違反の責任を問われる。
イ.憲法第27条第1項は国民の勤労義務を定めるが,これを道徳的な訓示規定と解すると,勤労の能力ある者がその機会があるのに勤労しない場合に生活保護を受給できないとする制度を設けることは,同項の訓示規定としての性格に反し憲法上許されないこととなる。
ウ.憲法第30条の定める国民の納税義務は憲法上の義務であるが,その義務は法律によって具体化されるので,国民が租税法規に従って税金を納付しない場合でも,法的には租税法規違反にとどまる。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 7

KE2000R01-10 国民の義務 B

国民の義務に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.憲法第26条第2項は,保護する子女に普通教育を受けさせる国民の義務を定めている。この点,親権者には教育の自由があるから,子女に普通教育を受けさせない親権者に対し,法律に制裁規定を設けることはできない。
イ.憲法第27条第1項は,勤労の義務を定めている。このため,国は,憲法第18条によって禁止されている「その意に反する苦役」に当たらない程度のものであれば,法律の定めによって刑罰をもって国民に勤労を強制することができる。
ウ.憲法第30条は,納税の義務を定めている。この規定は,国政の運営に必要な財政を支えるための国民としての当然の義務を確認したものにすぎず,法律の定めなくして具体的な納税義務を国民に課すことはできない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 7