第3編 統治機構 第2章 国会

KE2050H28-08Y 政党 A

政党に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.政党は,政治上の信条,意見等を共通にする者が任意に結成するものであって,党員に対して政治的忠誠を要求し,一定の統制を施すなどの自治権能を有する。
イ.政党は,内部的自律権を有し,政党が組織内の自律的運用として党員に対してした除名等の処分の当否については,原則として政党による自律的な解決に委ねられる。
ウ.小選挙区選出の衆議院議員について,政党の方針に反したことを理由として除名された場合に議員の身分を当然喪失するとの制度を設けても,違憲とは解されない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 2

KE2060H24-08Y 政党 A

政党に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.選挙運動の規律は,選挙制度の仕組みの一部をなすものとして,国会が裁量により定めることができる。衆議院の小選挙区選挙において,候補者以外に候補者届出政党にも独自の選挙運動が認められているのは,選挙制度を政策本位,政党本位にするという正当な政策的目的によるものといえる。
イ.政党は議会制民主主義を支える重要な存在であり,政党間の批判や論評は公共性の極めて強い事項である。したがって,ある政党が新聞紙上の広告で他の政党を批判した場合,それが名誉毀損に当たらない場合であっても,批判された政党は同じ新聞紙上に反論文を掲載する権利を有する。
ウ.憲法は,議会制民主主義を支える不可欠の要素として,政党の存在を当然に予定している。したがって,個人だけでなく,営利法人たる株式会社や特定職業に従事する者についての強制加入団体も,社会的実在として期待される当然の行為として,政党などの政治団体に対して政治資金の寄附を行う権利能力を有する。

解答 ア1,イ2,ウ2

KE2080H25-15K 政党 A

政党に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.政党国家とは,政党が国の政治的意思形成過程に重要な役割を果たすようになった現象をいうが,そのような現象は,政党が広く国民と議会を媒介する組織として発達した段階に生じた。
イ.政治過程の腐敗・わい曲を防止し,民主政治の健全な発展を図るため,政党の活動資金の適切性・透明性が確保されるよう法律で規律しても,憲法に抵触することにはならない。
ウ.政党に対する公的助成を行う場合には,法律により,政党の役員・党員等の名簿,活動計画書を提出させた上で政党の設立を許可する制度を設けても,違憲とはならない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 2

KE2090H29-14 政党 A

政党に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.憲法には政党について直接規定されていないが,政党は,憲法の定める議会制民主主義を支える上で極めて重要な存在であることから,憲法は,政党の存在を当然に予定しているとするのが判例の立場である。
イ.憲法第51条は,「両議院の議員は,議院で行つた演説,討論又は表決について,院外で責任を問はれない。」と定め,国民の代表たる国会議員の職務執行の自由を保障しているから,議院内での国会議員による発言や表決を理由にその所属政党が除名処分をすることはできない。
ウ.政党がその所属党員に対してした除名その他の処分の当否について,裁判所は,原則として適正な手続にのっとってされたか否かを審査して判断すべきであり,一般市民としての権利利益を侵害する場合に限り処分内容の当否を審査できるとするのが判例の立場である。

解答 ア1,イ2,ウ2

KE2091R03-12K 政党 A

政党に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.憲法は,政党について規定するところがないが,政党の存在を当然に予定しており,政党は,議会制民主主義を支える不可欠の要素であるから,国会が,参議院議員の選挙制度の仕組みを決めるに当たり,このような政党の国政上の重要な役割を踏まえて,政党を媒体として国民の政治意思を国政に反映させる名簿式比例代表制を採用することは,国会の裁量の範囲内である。
イ.政党に対しては,高度の自主性と自律性を与えて自主的に組織運営をなし得る自由を保障しなければならず,また,党員が政党の存立及び組織の秩序維持のために,自己の権利や自由に一定の制約を受けることがあるのも当然であるから,政党が党員に対してした除名処分の当否は,一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り,裁判所の審判権は及ばない。
ウ.衆議院の小選挙区選挙について,候補者届出政党にのみ政見放送を認め,候補者を含むそれ以外の者には政見放送を認めないものとする公職選挙法の規定は,選挙運動をする上で,候補者届出政党に所属する候補者とこれに所属しない候補者との間に単なる程度の違いを超える差異を設ける結果となり,国会に与えられた合理的裁量の限界を超えるものであるから,憲法第14条第1項に違反する。

解答 ア1,イ1,ウ2

KE2110H27-13 唯一の立法機関 A

憲法第41条の「唯一の立法機関」に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.「唯一の立法機関」の意味の一つは,国会中心立法の原則である。それは,形式的意味の立法が専ら国会で法律という形式で定められなければならないという原則である。
イ.国会中心立法の原則には例外がある。その例外は,憲法に特別の定めがある最高裁判所規則の制定だけである。
ウ.「唯一の立法機関」の意味の一つは,国会単独立法の原則である。それは,国会による立法は,国会以外の機関の参与を必要としないで成立するという原則である。

解答 ア2,イ2,ウ1

KE2111R02-14 憲法41条 A

憲法第41条に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.憲法第41条の「国権の最高機関」につき,国政全般を統括する機関であるとの見解に立たないとしても,どの国家機関に帰属するのか不明確な権能については国会に属するものと推定することは可能である。
イ.憲法第41条の「立法」につき,実質的意味の立法を意味しているとの見解に立つと,国民の権利を直接に制限し,義務を課す法規範についてのみ法律で定めれば足り,行政各部の組織の根本部分について法律で定めてはならないこととなる。
ウ.憲法第41条の「唯一の立法機関」につき,内閣の法律案提出権を肯定する見解に立つと,法律案の提出は立法に不可欠の要素であるが,立法そのものではなく,その準備行為であって,国会が独占しなければならないものではないと解することとなる。

解答 ア1,イ2,ウ1

KE2120H27-14 委任立法 B

委任立法に関する次のアからエまでの各記述について,誤っているもの二つの組合せを,後記1から6までの中から選びなさい。 
ア.憲法第73条第6号は委任命令を一般的に認めているが,多数説は,専門技術性と迅速な対応の必要性から,権利や義務に関して法律の内容の詳細規定の命令への委任を認めている。
イ.憲法第41条からして,命令に委任する場合には,白紙委任が禁止される。さらに,学説は,当該法律の本質をなす部分や重要事項に関して議会が定めることを求める。
ウ.判例は,被勾留者には一般市民としての自由が制約されることを理由に,14歳未満の者との接見を原則として認めていなかった当時の監獄法施行規則を委任の趣旨の範囲内とした。
エ.判例は,インターネット販売が認められる医薬品を一定の医薬品に限定した薬事法施行規則について,法律の委任の範囲を逸脱した違法なものであるとした。 
1.アとイ  2.アとウ  3.アとエ  4.イとウ  5.イとエ  6.ウとエ

解答 2

KE2140H26-10Y 国会議員の特権 A

憲法の定める国会議員の特権に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.不逮捕特権を定める目的が議院の審議権の確保にあるとする見解に立つと,国会議員に対する逮捕請求の理由が正当であっても,議院は,議員の逮捕を許諾しないことができる。
イ.免責特権を定める目的が議員の職務執行の自由の保障にあるとする見解に立つと,地方公聴会における行為まで免責の対象とならない。
ウ.免責特権の趣旨は,議院内で行った発言を理由に院外で法的責任を問われないというものであり,その発言を理由に所属政党から除名されることはある。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 3

KE2150H26-14 全国民の代表 B

憲法第43条第1項の「全国民の代表」に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.憲法第43条第1項は,国会が民意を反映すべき機関であると同時に,国民代表機関であることも意味する。
イ.各選挙区において選出された議員は,「全国民の代表」となるので,選挙区民から法的に責任を問われることはない。
ウ.議員が実質的には政党の媒介によってのみ国民代表者となり得るとする見解に立つと,党議拘束の慣行は,議員が「全国民の代表」であることと矛盾抵触する。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 2

KE2151R03-14 国会議員の免責特権 A

国会議員の免責特権に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判決(最高裁判所平成9年9月9日第三小法廷判決,民集51巻8号3850頁)の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.国会議員は,議院で行った演説,討論又は表決に加えて,国会における意見の表明とみられる行為や,職務行為に付随する行為に関しては,国民全体に対する関係で政治的責任を負うにとどまり,個別の国民の権利に対応した関係での法的義務を負うものではないから,国会議員の上記の行為そのものが国家賠償法上の違法の評価を受けることはない。
イ.国会議員が,立法,条約締結の承認,財政の監督等の審議や国政に関する調査の過程で行う質疑等は,多数決原理により国家意思を形成する行為そのものではなく,国家意思の形成に向けられた行為であり,質疑等の内容が個別の国民の権利等に直接関わることも起こり得るので,質疑等において個人の権利を侵害した国会議員は,当該個人に対して損害賠償責任を負う。
ウ.国会議員が,質疑等において,職務と無関係に違法又は不当な目的をもって事実を摘示し,あるいは,あえて虚偽の事実を摘示して,個別の国民の名誉を毀損したと認められる特別の事情がある場合には,国家賠償法第1条第1項に基づいて,国に賠償を求めることができることもある。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 7

KE2160H24-15 衆議院の優越 A

衆議院の優越に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.衆議院と参議院を比較すると,衆議院の方が議員の任期が短く,また解散により必要な場合には民意を問える地位にある点で,相対的に見て,その時々の民意をより反映しているといえることが衆議院優越の根拠であると解される。
イ.衆議院が可決した法律案を参議院が可決しなかった場合には,衆議院が出席議員の3分の2以上の多数で再び可決して法律として成立させることができるが,衆議院の再議決の前には両院協議会を開くことが憲法上求められている。
ウ.憲法は条約について,内閣が締結権を有するとしながらも,国会による承認を経ることを求めている。その際には,案件を先に衆議院に提出しなければならず,また議決についても,法律案の場合よりも衆議院の強い優越性が認められている。

解答 ア1,イ2,ウ2

KE2170H30-15K 衆議院の優越 A

衆議院の優越に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。  
ア.条約の承認に関する衆議院の優越の程度は,法律案の議決,予算の議決のいずれの場合と比べても小さい。
イ.参議院と比べて衆議院の方が議員の任期が短いこと,衆議院に解散の制度があることは,衆議院の優越の根拠とはならない。
ウ.憲法改正の発議及び予備費支出の承諾については,議決において衆議院の優越はなく,両議院の議決は対等である。

解答 ア2,イ2,ウ1

KE2177R03-10Y 参議院の緊急集会 B

参議院の緊急集会に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.参議院の緊急集会は,衆議院が解散されて総選挙が行われ,特別会が召集されるまでの間に,国会の開会を必要とする緊急の事態が生じた場合に,内閣又は参議院の総議員の4分の1以上の求めによって開かれる。
イ.緊急集会の期間中における参議院議員は,国会の会期中とは異なり,法律の定める場合を除いて逮捕されないという特権や,議院での発言及び表決に対し院外で責任を問われないという特権を有しない。
ウ.参議院の緊急集会は,原則として国会の権能に属する全ての事項を扱うことができるが,各議院の総議員の3分の2以上の賛成による国会の発議が必要とされている憲法改正の発議を行うことはできない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 7

KE2190H27-08Y 党籍変更と議員資格 A

政党名簿によって選出された議員が,後になって除名や離党あるいは党籍変更等により当該政党に所属しなくなった場合に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.政党を基礎にその得票数に比例して議席配分を行う比例選挙が政党中心の選挙であることを重視する立場では,当選人として議員の身分を取得した時の党籍を失った場合に議員資格を失わせる制度を設けることは,憲法違反である。
イ.政党中心の選挙である比例選挙で選ばれた議員であっても,憲法第43条第1項にいう全国民の代表であると解する立場では,党の方針に従わない議員がその党を除名された場合に議員資格を失わせる制度を設けることは,憲法違反である。
ウ.比例選挙が政党中心の選挙であることと憲法第43条第1項の全国民の代表という文言を共に重視する立場では,党の方針に従わない議員を除名しても議員資格を失わせない制度を設けることは,憲法違反である。

解答 ア2,イ1,ウ2

KE2200H24-13 選挙制度 A

選挙制度に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.小選挙区制の下では,二大政党化への傾向が生じ,そのいずれかの政党が議会の過半数を占め,政権が安定する可能性が高くなる。他方で,議席に反映されない死票が多くなり,国民の間に存在する少数者の意思が議会に反映されにくくなる。
イ.比例代表制の下では,死票が比較的少なく,有権者の様々な意思が議会に反映されやすくなる。他方で,一つの政党が議会の過半数を占めることが相対的に困難となり,小党分立を招き,政権が不安定になるおそれがある。
ウ.いわゆる中選挙区制の下では,一つの政党が議会の過半数を占め,政権が安定する可能性が高くなる。他方で,同一政党から複数の候補者が同一選挙区に立候補する結果,小選挙区制と比べて死票が生ずる確率が高くなる。

解答 ア1,イ1,ウ2

KE2210H26-13K 選挙 B

選挙に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.公職選挙法は,投票を得るなどの目的で戸別訪問をすること自体を禁止しているが,選挙運動の重要性に照らすと,その禁止の範囲は憲法に適合するよう限定して解釈しなければならない。
イ.いわゆる立候補の自由は,選挙権の自由な行使と表裏の関係にあり,自由かつ公正な選挙を維持する上で極めて重要であるとして,憲法第15条第1項によって保障されていると解すべきである。
ウ.選挙や当選の効力に関する争訟において,誰が誰に対して投票したかを解明し,これを公表することは,選挙投票の全般にわたってその秘密を確保しようとする無記名投票制度の精神に反する。

解答 ア2,イ1,ウ1

KE2220H27-16 選挙 B

選挙に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.衆議院議員選挙における1人別枠方式については,人口の少ない県に居住する国民の意思をも十分に国政に反映させるという目的は合理的であるが,その結果生じる投票価値の較差が過大であるから違憲である。
イ.国民の選挙権を制限するためには,そのような制限をすることがやむを得ないと認められる事由がなければならないが,選挙権の保障には投票をする機会の保障は含まれないため,投票機会の確保のための措置を採るか採らないかについては広汎な立法裁量が認められる。
ウ.衆議院議員選挙では,小選挙区の候補者のほか,所属する候補者届出政党にも選挙運動が認められており,無所属の候補者は政見放送ができないなど非常に不利であるが,他に十分な手段があるため,政策・政党本位の選挙制度の実現のための立法裁量の範囲を逸脱していない。

解答 ア2,イ2,ウ1

KE2230H30-13K 選挙 B

選挙に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.判例は,参議院議員選挙における定数不均衡の問題について,参議院の半数改選制の要請を踏まえれば投票価値の平等が一定の限度で譲歩を求められても憲法に違反するとはいえないとして,衆議院の場合よりも広い立法裁量を認めてきており,これまで違憲状態を認定したことはない。
イ.判例は,衆議院議員選挙におけるいわゆる1人別枠方式について,小選挙区比例代表並立制の導入に当たり,直ちに人口比例のみに基づいて定数配分を行った場合の影響に配慮するための方策であり,新選挙制度が定着し運用が安定すればその合理性は失われるとしている。
ウ.判例は,公職選挙法による選挙運動用の文書図画の頒布・掲示の規制について,表現の自由に対する最小限の制約とはいえないが,憲法第47条の趣旨に照らせば,国会の定めた選挙運動のルールは合理的と考えられないような特段の事情のない限り尊重されなければならず,当該規制は立法裁量の範囲を逸脱しているとまではいえないので合憲であるとしている。

解答 ア2,イ1,ウ2

KE2250H25-16K 国会の運営と活動 B

国会の運営・活動の原則と例外に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.両議院の会議は公開が原則であり,本会議については傍聴が認められているほか,その記録は公表され,かつ一般に頒布されなければならない。ただし,出席議員の3分の2以上の多数で議決したときは秘密会を開くことができる。
イ.両議院は,それぞれ独立して活動し,独立して意思決定を行うのが原則である。ただし,両議院の議決が異なった場合に必要的又は任意的に開かれる両院協議会は,各議院において選挙された委員によって構成される。
ウ.衆議院が解散されると参議院は同時に閉会となり,国会は機能を停止するのが原則であるが,その例外が参議院の緊急集会である。ただし,そこで採られた措置は,次の国会開会の後10日以内に衆議院の同意が得られない場合,遡って効力を失う。

解答 ア1,イ1,ウ2

KE2260H29-15 国会の立法手続き A

国会の立法手続に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.国会の活動につき,憲法は,常会(第52条),臨時会(第53条),特別会(第54条第1項)というように一定の期間を単位として行う会期制を採用し,国会法は,会期内に議決に至らなかった議案は後会に継続しないという会期不継続の原則を採用している。
イ.国会の議事手続については両議院の自主性を尊重すべきであるから,裁判所としては,法律制定の議事手続に関する事実を審理して当該法律の有効無効を判断すべきではないというのが判例の立場である。
ウ.内閣の法律案提出権が認められるのは,議院内閣制においては国会と内閣との協働が当然に要請されており,憲法第72条の「議案」に法律案も含まれるからであるとの立場に立ったとしても,法律により内閣の法律案提出権を否定することができる。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 2

KE2270H28-15 議院の自立権 A

議院の自律権に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.議員の資格争訟の裁判について規定している憲法第55条は,議員資格に関する判断を議院の自律的な審査に委ねる趣旨のものであるが,議員の選挙に関する争訟の裁判は裁判所の権限に属するので,各議院の下した議員資格に関する判断についても裁判所で争うことができる。
イ.議院の規則制定について規定している憲法第58条第2項は,各議院が独立して議事を審議し議決する以上,当然のことを定めた規定であり,「各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する」事項について,原則として両議院の自主的なルールに委ねる趣旨である。
ウ.議員の懲罰について規定している憲法第58条第2項は,議院がその組織体としての秩序を維持し,その機能の運営を円滑ならしめるためのものであるため,議場内に限らず,議場外の行為でも懲罰の対象となるが,会議の運営と関係のない個人的行為は懲罰の対象とならない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 5

KE2280R01-14 議院の権能 A

議院の権能に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.国政調査権について,議院が保持する諸権能を実効的に行使するために認められた権能であると解する見解によれば,各議院が,国政調査権の行使として,特定の事件について裁判所の下した判決の内容の当否を調査することが認められる。
イ.議院規則について,両議院の会議その他の手続及び内部の規律に関する国会法の規定に法的効力を認めると,国会法の改廃について両議院の意思が異なる場合に,参議院の自主性が損なわれるおそれがある。
ウ.議院による懲罰について,公開議場における戒告,公開議場における陳謝,一定期間の登院停止,除名の4種のいずれの懲罰を科すにも,議院がその組織体としての秩序を維持するため,出席議員の過半数の議決を要する。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 6

KE2290H27-12 二院制 A

二院制に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.日本国憲法が二院制を採用したのは,異なる選挙制度や議員の任期が異なること等によって,多角的かつ長期的な視点からの民意を反映させ,衆議院と参議院との権限の抑制,均衡を図り,国政の運営の安定性,継続性を確保しようとしたものと解される。
イ.衆議院と参議院の関係について,日本国憲法は,衆議院に法律案及び予算の先議権を認めているが,法律案及び予算について両議院の意見が対立した場合には,両院協議会を開かなければならないとしている。
ウ.参議院議員選挙に関して,判例は,半数改選という憲法上の要請,そして都道府県を単位とする参議院の選挙区選挙における地域代表的性格という特殊性を重視して,都道府県を各選挙区の単位とする仕組みを維持することを是認し続けている。

解答 ア1,イ2,ウ2

KE2310H27-15 国政調査権 A

国政調査権の行使に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.国政調査権は,各議院を構成する個々の国会議員についても認められている権能であるので,個々の国会議員も行使することができる。
イ.内閣は,各議院から国政調査権に基づき報告又は記録の提出を求められた場合には,国家の重大な利益に悪影響を及ぼすときであっても拒むことができない。
ウ.各議院は,国政調査権の行使として,公務員のみならず私人に対しても,証人として出頭して証言することを求めることができる。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 7

KE2340H28-20 条約 A

条約に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.締結について国会の承認を要する条約は,条約,規約,協約,協定,議定書,宣言,憲章など名称の如何を問わず,国会による承認の手続のほかに,天皇の国事行為としての批准書の認証を要する。
イ.条約の締結に必要な国会の承認については,予算の場合と同様,衆議院の優越が認められており,両議院が異なる議決をした場合,衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは,条約が承認される。
ウ.憲法は,文書による国家間の合意の全てについて,国会の承認を要すると定めたものではなく,既に有効に成立している条約の委任に基づいた細部の取決めについては,国会の承認まで要しない。

解答 ア2,イ2,ウ1

KE2341R02-18K 条約 B

条約に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.条約締結の国会承認については,衆議院の優越が認められており,条約承認の議案は,先に衆議院に提出しなければならない。
イ.条約を締結する権限は内閣にあるが,批准を要する条約についての批准書の認証は天皇の国事行為である。
ウ.条約は,国会による承認及び内閣による締結の後,天皇が国事行為としてこれを公布することによって有効に成立する。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 6

KE2350H24-20K 憲法と条約の効力関係 A

憲法と条約の効力関係をめぐる憲法優位説に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.憲法優位説の論拠の一つは,条約優位説がもたらす結果に対する批判である。それは,条約締結要件が憲法改正手続よりも緩やかであるので,条約によって実質的に憲法を改正することも可能になることへの批判である。
イ.憲法優位説によれば,条約締結権を定めている憲法の規定は,どの機関が条約締結を担うのか,またどのような手続を必要とするのかについて定めたものであって,条約の効力の根拠を定めたものではない。
ウ.憲法優位説の中にも,条約の違憲審査を控えるべきであるとする考え方がある。それは,憲法第81条の文言に条約が含まれていないことや憲法第98条第2項が条約の誠実遵守を宣言していることを根拠とする。

解答 ア1,イ2,ウ1

KE2360H26-20 条約 A

条約に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.国家間の合意には,条約のほか,協定,取極,規約,憲章,議定書など様々な名称のものがあり,その締結には常に国会の承認を必要とする。
イ.条約の効力は憲法の効力に優位するとの見解によれば,条約締結権に関する憲法の規定は,条約の効力の根拠を定めたものではないことになる。
ウ.国会の条約修正権を肯定する見解も,修正議決に従った内容の条約を締結するためには相手国との再交渉を必要とする。

解答 ア2,イ1,ウ1

KE2370H30-12Y 条約 B

条約に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.砂川事件判決(最高裁判所昭和34年12月16日大法廷判決,刑集13巻13号3225頁)は,主権国家としての我が国の存立の基礎に極めて重大な関係を持つ高度の政治性を有する条約について,憲法に対する優位性を認め,裁判所の違憲審査権の範囲外にあると判断した。
イ.憲法と条約の効力関係に関する憲法優位説によれば,条約を違憲審査の対象とし得るが,適式な手続を経て締結されたある条約が違憲と判断された場合でも,当該条約の国際法上の効力は失われないため,我が国は依然として当該条約を履行する義務を負うこととなる。
ウ.憲法第98条第2項が遵守を求める「確立された国際法規」の意義を「国際社会において一般に承認されている成文・不文の国際法規」と解する説に立っても,我が国が締結していない条約に規定されている事項については,同条項が定める遵守義務の対象にはならない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 6

KE2380R01-19 憲法と条約の効力関係 A

憲法と条約の効力関係に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.憲法優位説によれば,条約締結の機関と手続を定めた憲法の規定は,条約の形式的効力と関わりがないと考えることになる。
イ.条約優位説によれば,違憲審査権の対象に「条約」という文言がない憲法の規定は,憲法が条約との関係で必ずしも最高法規でないことを示していると考えることになる。
ウ.憲法優位説によれば,条約の承認手続と比べて憲法改正手続が厳格であることは,憲法が優位する効力を有する根拠となると考えることになる。

解答 ア2,イ1,ウ1

KE2381R03-20 条約 A

条約に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.内閣が条約を締結するには国会の承認を経ることが憲法上必要であるとされる趣旨は,国会による政府の統制を確保することにあるから,国家間の合意の締結には,名称・内容のいかんを問わず,国会の承認が必要となる。
イ.憲法が条約に優位すると考える見解によっても,国際協調主義や,裁判所による違憲審査について定めた憲法第81条に条約が列挙されていないことなどを理由として,条約が裁判所の違憲審査の対象に含まれないと解することは可能である。
ウ.条約が裁判所の違憲審査の対象となると考える見解によれば,条約が裁判所によって違憲と判断された場合,その国内法上の効力は否定されるが,国際法上の効力まで当然に否定されるわけではない

解答 ア2,イ1,ウ1

第3編 統治機構 第3章 内閣

KE2390H26-15 独立行政委員会 A

独立行政委員会に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.独立行政委員会が規則制定という準立法的作用を行うことは,国会を唯一の立法機関と定める憲法第41条に反するものではない。
イ.行政権は内閣に属すると定める憲法第65条により,独立行政委員会の職務全般に対しては,内閣の直接的な指揮監督権が及ぶ。
ウ.独立行政委員会が裁決や審決という準司法的作用を行うことは,たとえ前審であっても,全て司法権は裁判所に属する旨を定める憲法第76条第1項に反し,許されない。 
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 4

KE2420H25-17 内閣 A

内閣に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○を,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.日本国憲法は,国会による内閣総理大臣の指名,内閣の国会に対する連帯責任のほか,衆議院の内閣不信任決議権や衆議院の解散などを定めていることから,議院内閣制を採用していると解される。
イ.国務大臣については,内閣総理大臣が必ず国会議員の中から指名されなければならないのとは異なり,国会議員以外の者を任命することもできるが,その過半数は衆議院議員の中から選ばなければならない。
ウ.衆議院が内閣不信任を決議した場合でも,内閣がこれに対抗して衆議院の解散に踏み切り,その後の総選挙で内閣を支持する与党が過半数の議席を獲得した場合には,内閣は総辞職するか否か自ら決することができる。 
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 4

KE2430R01-15 内閣 A

内閣に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.内閣は,行政権の行使について,国会に対し連帯して責任を負うことから,閣議によってその職権を行うことが求められ,したがって,国務大臣の罷免については,閣議にかけて決定しなければ,行うことができない。
イ.国務大臣は,国会議員でない者からも選ぶことができるが,国会議員の中から選ばれた国務大臣は,その在任中に国会議員の身分を失った場合,その法的効果として自動的に国務大臣の身分を失う。
ウ.衆議院において内閣不信任決議案が可決されたときは,10日以内に衆議院が解散されない限り,内閣は総辞職をしなければならないが,参議院における問責決議には,かかる法的効力はない。

解答 ア2,イ2,ウ1

KE2435R02-15 内閣総理大臣 A

内閣総理大臣による国務大臣の任命及び罷免に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.内閣総理大臣は国会議員以外の者を国務大臣に任命することができるが,国務大臣の過半数は国会議員の中から選ばなければならない。
イ.内閣総理大臣による国務大臣の任命には天皇の認証が必要であるが,内閣はこの認証に対する助言と承認を拒むことができない。
ウ.内閣総理大臣は任意に国務大臣を罷免することができるが,その効力発生には天皇の認証が必要である。

解答 ア1,イ1,ウ2

KE2440H24-16 73条における内閣の事務 B

憲法第73条が列挙する内閣の事務に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.日本国憲法は,大日本帝国憲法が天皇大権としていた恩赦を内閣の権能とした。恩赦は立法権及び司法権の作用を行政権者の判断で変動させるものであるので,憲法が定める恩赦の各種類の内容と手続について法律で定めることが必要である。
イ.内閣は外交関係を処理するが,これは,法律の執行という行政権の通常の作用とは異なる権限を内閣に帰属させたものである。外交関係の処理に関する事務には,条約の締結以外の外交交渉,外交使節の任免,外交文書の作成などが含まれる。
ウ.内閣が締結する条約とは,名称を問わず,広く文書による国家間の合意をいう。したがって,私法上の契約の性質を持つ国家間の合意文書も,条約の委任に基づく国家間の合意文書も,事前に,時宜によっては事後に国会の承認を経ることが必要となる。

解答 ア1,イ1,ウ2

KE2470H27-17K 内閣及び総理大臣 A

内閣及び内閣総理大臣に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.憲法第65条第1項は,「行政権は,内閣に属する」と規定している。行政権とは全ての国家作用のうちから立法作用と司法作用を除いた残りの作用であるとすると,立法作用と司法作用以外の全ての国家作用について内閣が自ら行うことが必要となる。
イ.内閣は,行政権の行使につき,国会に対し連帯して責任を負う。これは,特定の国務大臣がその所管事項に関して単独の責任を負うことを否定するものではなく,個別の国務大臣に対する衆議院及び参議院の問責決議も認められるが,それらには法的効力はない。
ウ.内閣総理大臣は,内閣という合議体において,単なる同輩中の首席ではなく,首長の立場にあり,その他の国務大臣の任免権を専権として有する。したがって,文民統制の観点から内閣総理大臣は文民でなければならないとしても,その他の国務大臣が文民である必要はない。 
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 6

KE2480H28-16K 内閣及び総理大臣 A

内閣及び内閣総理大臣に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.大日本帝国憲法において内閣総理大臣は同輩中の首席にすぎなかったのに対し,日本国憲法が内閣総理大臣に首長としての地位を認め,その権限を強化しているのは,内閣の一体性と統一性を確保し,内閣の国会に対する連帯責任の強化を図るものである。
イ.判例によれば,内閣総理大臣は,閣議にかけて決定した方針が存在しない場合においても,少なくとも内閣の明示の意思に反しない限り,行政各部に対し,随時その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導,助言等の指示を与える権限を有する。
ウ.内閣は,憲法第73条第1号により法律を執行する義務を負うから,たとえ内閣が違憲と判断する法律であっても,その法律を執行しなければならず,また,最高裁判所が違憲と判断した場合でも,国会がその法律を改廃しない限りは,その執行をしなければならない。 
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 2

KE2490H29-16K 内閣及び総理大臣 A

内閣及び内閣総理大臣に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.憲法は閣議について規定していないが,内閣が行政権の行使について国会に対し連帯して責任を負うとする憲法第66条第3項の趣旨により,会合しないで文書を各大臣間に持ち回って署名を得る持ち回り閣議は許されないとされている。
イ.内閣の総辞職について規定している憲法第70条の「内閣総理大臣が欠けたとき」とは,内閣総理大臣が死亡した場合のほか,憲法第58条第2項に基づき内閣総理大臣が除名により国会議員の地位を失った場合に限られる。
ウ.憲法第73条第6号は,内閣の政令制定権を規定しているところ,法律を執行するための必要な細則を定める執行命令及び法律が政令に委任した事項を定める委任命令は許されるが,既存の法律に代替する内容を定める代行命令は許されない

解答 ア1,イ1,ウ2

KE2491R03-15 内閣及び内閣総理大臣 A

内閣及び内閣総理大臣に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.内閣の総辞職について定める憲法第70条の「内閣総理大臣が欠けたとき」には内閣総理大臣の辞職の場合を含まないとする見解によっても,その首長たる地位に鑑みれば,内閣総理大臣が辞職したときには,内閣は総辞職しなければならない。
イ.行政権が内閣に属する旨を定める憲法第65条によれば,あらゆる行政を内閣が自ら行う必要まではないとしても,全ての行政について内閣が直接に指揮監督権を持つことが要求される。
ウ.憲法第66条第2項は,内閣総理大臣及び国務大臣が「文民」であることを要求しているが,現職の自衛官は「文民」に該当しないので,内閣総理大臣及び国務大臣に任命することはできない。 
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 3

KE2501R02-09Y 衆議院解散権 B

衆議院解散権に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア. 天皇の国事行為は元来政治的なものであるが,天皇は拒否権を持たないため,国事行為について「助言と承認」を行う内閣に実質的決定権があるという見解によれば,憲法第7条により内閣の衆議院解散権が基礎付けられる。
イ.内閣が衆議院を解散できるのは憲法第69条所定の場合に限られるという見解によっても,新たな政治的課題が生じ,国民の意思を問う高度の必要性があるときには,内閣による解散が認められる。
ウ.内閣の衆議院解散権の根拠を議院内閣制自体に求める見解は,政府が議会の解散権を有し,政府と議会が均衡していることが,日本国憲法が採用する議院内閣制の本質的要素であるとの考えに基づいている。

解答 ア1,イ2,ウ1

第3編 統治機構 第3章 内閣

KE2550H29-17 最高裁判所の規則制定権 A

最高裁判所の規則制定権に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.最高裁判所は,裁判所の内部規律に関する事項について規則を定める権限を有するが,憲法第76条第3項は,すべて裁判官は憲法及び法律にのみ拘束されると定めているから,裁判官を対象とする事項を規則で制定することはできない。
イ.最高裁判所の制定する規則は,その対象となる事項が規則を制定した機関の内部事項に限られないという点で,議院規則と異なる性質を有する。
ウ.「この法律に定めるもののほか,非訟事件の手続に関し必要な事項は,最高裁判所規則で定める。」との非訟事件手続法第2条の規定は,憲法第77条第1項において規則の対象とされている「訴訟に関する手続」に非訟事件の手続が含まれないとの立場を前提としている。 
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 6

KE2570H24-17K 司法権の範囲と限界 B

司法権に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.「板まんだら」事件判決(最三小判昭和56年4月7日)は,宗教上の教義や信仰に関わる紛争について裁判所は厳に中立を保つべきであるとして,これらの事項が訴訟の前提問題に含まれている場合には,当該訴訟は法律上の争訟に当たらないとしたものである。
イ.苫米地事件判決(最大判昭和35年6月8日)は,法律上の争訟の要件が満たされる事案であっても,高度の政治性を有する国家行為に関しては,実際的必要性の観点から,裁判所が司法判断を下すのを自制すべきであるとしたものである。
ウ.警察法改正無効事件判決(最大判昭和37年3月7日)は,警察法改正が衆参両院において議決を経たとされ,適法な手続で公布されている以上,裁判所は両院の自主性を尊重すべきであり,議事手続に関する事実を審理してその有効無効を判断すべきでないとしたものである。

解答 ア2,イ2,ウ1

KE2590H26-16 司法権 A

司法権に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.下級裁判所は,最高裁判所が制定した裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する規則に拘束されるから,最高裁判所が,下級裁判所の裁判官に対して,具体的事件について,どのような判断を行うべきか指示することも許される。
イ.裁判官の職権の独立は,裁判に対して不当な影響を与えるおそれのある一切の外部的行為の排除を要求するが,一般国民やマスメディアによる裁判内容の批判は,表現の自由の行使の一場面であるから許される。
ウ.国政調査権は議院にとって重要な権能であるが,司法権の独立の観点からして,具体的事件について,その判決の事実認定や量刑が適切かどうかを調査することは,国政調査権の範囲を逸脱するものであり,許されない。 
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 5

KE2595R02-10Y 裁判官の職権の独立 A

裁判官の職権の独立に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.裁判官の職権の独立は,最高裁判所による裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する規則制定権,下級裁判所裁判官の指名権等の司法の自主性を保障する制度によって担保されている。
イ.裁判官の職権の独立は,裁判に不当な影響を与えるおそれのある外部的行為の排除を要求するから,議院は,国政調査として,係属中の具体的事件の事実認定や量刑の判断が適切かどうかを調査・批判することはできない。
ウ.裁判官の職権の独立は,外部からの干渉のみならず裁判所内部における干渉の排除も要求するから,裁判官は,どのような訴訟指揮をしたとしても,そのことを理由に裁判所内部で懲戒処分を受けることはない。 
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 2

KE2610H30-17 司法審査の対象 A

司法審査が団体の内部事項に関する行為に及ぶかに関する次の学生アからエまでの各発言について,正しいものの組合せを,後記1から6までの中から選びなさい。 
ア.「自律的な団体の内部紛争に対して司法審査が及ぶかという問題に関して,地方議会には,国会の両議院のような自律権はないものの,地方議会議員に対する懲罰としての除名処分は,内部規律の問題であるから,司法審査の対象とはならないとした判例があるよ。」
イ.「判例の考え方からすると,発声障害により自ら発声することができない地方議会議員が,第三者による代読等,自らの発声以外の方法による発言を希望したのに対し,これを認めないという地方議会の決定は,純然たる内部規律の問題であるから,司法審査の対象にはならないことになるね。」
ウ.「大学の単位認定行為は,特段の事情のない限り,純然たる大学内部の問題であって,大学の自主的な判断に委ねられるべきだから,司法審査の対象とならないとした判例もあったな。」
エ.「判例の考え方からすると,特定の授業科目の単位の取得が国家資格取得の前提要件とされている場合には,大学の単位認定行為が司法審査の対象になる可能性もあるね。」 
1.ア イ  2.ア ウ  3.ア エ  4.イ ウ  5.イ エ  6.ウ エ

解答 6

KE2620H28-18 政党の党員処分 A

政党が党員にした処分に対する裁判所の審査権に関する次のアからウまでの各記述について,判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.政党の党員が,その政党の存立や秩序維持のために,自己の権利や自由に制約を受けることがあることは当然であり,政党が組織内の自律的運営として党員に対して行った処分の当否については,原則として自律的な解決に委ねるのが相当である。
イ.政党が党員に対して行った処分が,一般市民法秩序と直接の関係を有しない政党の内部的な問題にとどまるものである場合,裁判所は,その処分を司法審査の対象とするか否かについて,処分の内容や制約される党員の権利の性質等を考慮して,個別に判断するべきである。
ウ.政党が党員に対して行った処分が,党員の一般市民としての権利利益を侵害すると認められる場合,その処分は司法審査の対象となり,裁判所は,政党の有する内部規律に関する決定権に照らしてその処分の内容が合理的か否かについて審査するべきである。

解答 ア1,イ2,ウ2

KE2630H25-18K 司法権 A

司法権に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.裁判官の罷免に関し弾劾裁判所の裁判の結果に不服がある場合に,最高裁判所に訴えることができるとする法律を制定することは憲法に違反しない。
イ.行政機関の認定した事実はこれを立証する実質的証拠があるときには裁判所を拘束すると定めた法律は,その実質的証拠の有無は裁判所が判断するとの規定があっても憲法に違反する。
ウ.特定の種類の事件だけを扱う裁判所を設置しても,その裁判所の裁判の結果に不服がある場合に,最高裁判所に上訴できるのであれば憲法に違反しない。

解答 ア1,イ2,ウ1

KE2640H30-16 弾劾裁判所 B

弾劾裁判所に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.弾劾裁判所に対し裁判官の罷免を求める訴追は,国会の両議院において当該裁判官の罷免を求める議案が可決されることにより,国会が行う。
イ.国会の両議院の議員で組織される弾劾裁判所は,国会が閉会中であっても活動することができる。
ウ.弾劾裁判所により罷免の裁判の宣告を受けた裁判官は,最高裁判所に対し,その裁判を不服として取消しを求めることができる。 
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 6

KE2650R01-11Y 裁判所 A

裁判所に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.憲法第76条第2項前段は,「特別裁判所は,これを設置することができない。」としているところ,これは,司法権の強化を図るために,大日本帝国憲法下で認められていた特別裁判所を禁止する趣旨である。そのため,法律により,司法権を行使する通常裁判所の系列に属する下級裁判所として行政事件や労働事件を専門に扱う裁判所を設置しても,違憲とはならない。
イ.憲法第76条第2項後段は,「行政機関は,終審として裁判を行ふことができない。」としているところ,前審であれば行政機関による裁判も認められる。例えば,人事院の公平審査に係る裁決は,これを不服とする場合,司法裁判所への出訴が認められることから,違憲とはならない。
ウ.判例は,憲法が定める刑事裁判の諸原則が厳格に遵守されるためには高度の法的専門性が要求されることや,憲法が裁判官の職権行使の独立と身分保障のために周到な規定を設けていることなどから,憲法は,刑事裁判の基本的な担い手として裁判官を想定しているとの見解に立ちつつも,一般の国民を刑事裁判に参加させる裁判員制度を合憲であるとした。

解答 ア1,イ1,ウ1

KE2660H26-11 裁判員制度 B

裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(以下「裁判員法」という。)に基づき裁判官以外の者が構成員となった裁判体によって裁判が行われる制度(以下「裁判員制度」という。)の合憲性について判断した最高裁判所の判決(最高裁判所平成23年11月16日大法廷判決,刑集65巻8号1285頁)に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.憲法が採用する統治の基本原理や刑事裁判の諸原則,憲法制定当時の歴史的状況を含めた憲法制定の経緯及び憲法の関連規定の文理を総合的に検討すれば,憲法は一般的に国民の司法参加を許容しているといえる。
イ.裁判員法が規定する評決制度の下で,裁判官が時に自らの意見と異なる結論に従わざるを得ない場合があるとしても,憲法が国民の司法参加を許容し,裁判員法が憲法に適合するようにこれを法制化したものである以上,憲法第76条第3項には反しない。
ウ.裁判員制度は,参政権と同様の権限を国民に付与するものではないが,辞退制度や旅費・日当の支給等の経済的措置を講じていることを考慮すれば,裁判員の職務は憲法第18条の「苦役」に当たらない。
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 2

KE2690H27-10Y 裁判の公開 B

憲法第82条第1項の裁判の公開に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.憲法第82条第1項の「公開」とは,訴訟関係人に審理に立ち会う権利と機会を与えることを意味する。
イ.裁判手続の核心的部分をなす「対審」とは,訴訟当事者が裁判官の面前で,口頭でそれぞれの主張を闘わせることを意味する。
ウ.憲法第82条第1項の公開原則が制度としての保障であるか,権利としての保障であるかについて争いがあるが,判例もそれを権利としての保障と位置付けるようになった。 
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 6

KE2691R03-16K 裁判の公開 B

裁判の公開に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.判例によれば,憲法第82条にいう「公開」は,国民一般に裁判の傍聴が許されるということを意味するから,何人も,裁判所に対して裁判を傍聴することを権利として要求することができる。
イ.判例によれば,刑事事件の証人尋問の際に,傍聴席と証人との間に衝立を置くなどして傍聴人から証人を見ることができないようにすることは,審理を公開することの意義を没却するものであるから,憲法第82条に違反する。
ウ.裁判所が裁判官の全員一致で公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると決することにより,傍聴人を退廷させて審理をすることができる場合であっても,判決の言渡しは,傍聴人を入廷させてしなければならない。

解答 ア2,イ2,ウ1

第3編 統治機構 第3章 内閣

KE2710H26-18K 租税法律主義 A

憲法の定める租税法律主義に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.租税の賦課は法律又は法律の定める条件によらなければならないが,条例は公選の議員で組織する議会の議決を経て制定される自治立法であるから,一定の範囲内で条例による租税の賦課徴収ができる。
イ.課税の根拠法律があるにもかかわらず長年にわたり課税されなかった物については,非課税の慣習法が成立しているとみるべきであるから,新たにその物に課税することは,それがその根拠法律の正しい解釈に基づくものであるとしても,租税法律主義に反する。
ウ.租税法律主義は,社会全体に対する財やサービスを提供するための資金を租税として強制的に徴収する場合について規定したものであるから,個人への給付に対する反対給付としての性質を有する保険料等については適用がなく,また,その趣旨も及ばない。

解答 ア1,イ2,ウ2

KE2740H30-18 租税法律主義 A

旭川市国民健康保険条例違憲訴訟判決(最高裁判所平成18年3月1日大法廷判決,民集60巻2号587頁)に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア. 憲法第84条は,「あらたに租税を課し,又は現行の租税を変更するには,法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」と定めているところ,同条にいう「法律」には条例も含まれるとする見解は,この判決と矛盾抵触する。
イ. この判決によれば,租税以外の公課であっても,租税に類似する性質を有するものについては,憲法第84条の趣旨が及ぶところ,その賦課徴収の強制の度合いは,当該公課と租税との類似性を検討するときの要素となる。
ウ. この判決は,法律の委任に基づき保険料の賦課要件を定めるべき条例が保険料率の決定等を市長に委任していることにつき,委任された事項の内容や保険料率に係る算定基準の定め方等を検討して,憲法第84条の趣旨に反しないものと判断した。

解答 ア2,イ1,ウ1

KE2770H28-19 予算法形式説 A

予算に関し,法律とは別個の国法上の独自の形式であると解する見解(予算法形式説)があるが,次のアからウまでの各記述について,かかる見解からの記述として正しいものには○を,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.後法は前法に優位するという原則に基づき,法律を予算により変更することが可能となり,予算と法律の不一致を合理的に解決できる。
イ.予算案の議決方法は,原則として,法律案に関する憲法第59条第1項で示されており,憲法第60条は,その例外的な方法のみを示したものと解される。
ウ.国法の公布について定める憲法第7条第1号に「予算」が掲げられていない以上,予算の公布が憲法上義務付けられていると解することはできない。 
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 7

KE2780R01-17 財政 A

財政に関する次のアからエまでの各記述について,正しいものの組合せを,後記1から6までの中から選びなさい。 
ア.予算は法律であるとする予算法律説の立場に立てば,予算措置を必要とする法律が成立したのに,それを執行するための予算が伴わないという事態は生じ得ないこととなる。
イ.国会は,予算の議決に際し,増額修正を行うことができるが,予算の作成・提出権が内閣に専属していることから,原案に新たな項を加えることはいかなる場合も許されない。
ウ.国会の決算審査は,予算執行者である内閣の責任を明らかにするためのものであり,決算には法規範性がなく,不承認の議決がなされても,既になされた収入支出には影響がない。
エ.内閣は,毎年,国会に対し決算を提出するほか,定期に,少なくとも毎年1回,国会及び国民に対して財政状況を報告しなければならない。 
1.アとイ  2.アとウ  3.アとエ  4.イとウ  5.イとエ  6.ウとエ

解答 6

KE2790H25-11Y 財政 B

財政に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.国会は,予算の議決に際し,減額修正を行うことができるが,内閣に予算の作成提出権が専属していることに照らし,予算の款や項目を削除することは許されない。
イ.予算が新年度の開始前に成立しない場合には,内閣は,一会計年度のうちの一定期間に係る暫定予算を編成し,国会の議決を経ることなく執行することができる。
ウ.決算は,予算執行者である内閣の責任を明らかにするとともに,将来の財政計画等に資するために必要とされるものであり,予算と異なり法規範性を有しない。 
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 7

KE2800H29-19 財政 A

財政に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.「租税を除く外,国が国権に基いて収納する課徴金及び法律上又は事実上国の独占に属する事業における専売価格若しくは事業料金については,すべて法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。」と規定する財政法第3条について,その根拠を憲法第83条の財政民主主義に求める見解に対しては,財政法第3条は,具体的な金額又は金額算定基準まで法律によって定めることまで要求していないのであるから,憲法第83条と矛盾することになるとの批判が妥当する。
イ.最高裁判所の判例によれば,個人への特別の給付に対する反対給付として当該個人に対して課する国民健康保険料のような金銭給付は憲法第84条の「租税」には当たらないと狭く解したとしても,「租税」以外の公課の賦課要件について定めた条例が憲法第84条の趣旨に反することはあり得る。
ウ.国費を支出するには国会の議決に基づくことを必要とするが,国費の支出に関する国会の議決は使途の確定した支出についてなされるべきものであるから,使途が未確定である予備費を設けることについては国会の議決を要しない。

解答 ア2,イ1,ウ2

KE2820H27-19 公の支配 B

憲法第89条後段の「公の支配」の意義に関し,「国又は地方公共団体が当該事業の予算を定め,その執行を監督し,さらにその人事に関与するなど,その事業の根本的方向に重大な影響を及ぼすことのできる権力を有する」ことを要すると解する見解があるが,次のアからウまでの各記述について,かかる見解と同じ立場からの記述には○を,異なる立場からの記述には×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.慈善,教育,博愛の事業を行うのは,通常,法律に基づき国の監督を受ける公益法人であり,学校法人も公益法人として法的規制を受けるので,「公の支配」に属する。
イ.現行法の私立学校に対する助成については,監督官庁の権限が報告を徴したり,勧告を行ったりすることに限られているので,違憲の疑いがある。
ウ.憲法第89条後段の立法趣旨は,私的事業の自主性を確保するために公権力による干渉の危険を除こうとすることにある。 
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 5

KE2821R03-18K 公の支配 A

憲法第89条後段の「公の支配」の意義に関し,「国又は地方公共団体が,法令等により一定の監督をしていることで足りる」とする見解があるが,次のアからウまでの各記述について,かかる見解の根拠となる記述には○を,根拠とはならない記述には×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.「公の支配」を厳格に捉え過ぎると,公的援助の対象となっている私的な団体等の自主性を過度に損なうことになり,望ましくない。
イ.憲法第89条後段の趣旨は,財政民主主義の見地から,慈善,教育,博愛の事業に対する公金の支出が公の財産の濫費,濫用にならないように,国や地方公共団体が監督することにある。
ウ.憲法第89条後段が,慈善,教育,博愛を特に掲げ,それを同条前段の宗教団体に対する公金支出等の禁止と一体のものとして定めていることを重視すべきである。 
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 2

第3編 統治機構 第6章 地方自治

KE2870H26-19 地方自治 B

地方自治に関する次のアからウまでの各記述について,aの見解とbの見解が両立する場合には1を,両立しない場合には2を選びなさい。 
ア.a.憲法第29条第2項は,財産権の内容を法律で定める旨規定しているから,法律で個別的な委任がある場合を除いて,条例で規制することはできない。
b.財産権は全国的な取引の対象となる点で取引の安全を図る必要があるため,その規制は国の事務に属するが,地方的な特殊な事情があれば条例によっても規制できる。
イ.a.憲法第95条が地方自治特別法に住民の過半数の同意を求めるのは,特定の地方公共団体の本質に関わるような不利益な特例を設けることを防止する趣旨である。
b.憲法第95条は,国会の単独立法権の例外を認めるもので,地方公共団体が独自の条例を制定する権限を有することの根拠規定の一つである。
ウ.a.憲法第94条の「行政の執行」には租税の賦課・徴収が含まれているから,憲法は抽象的には地方公共団体の課税権を承認している。
b.地方自治法第223条が,地方公共団体は「法律の定めるところ」により地方税を賦課徴収できると定めているのは,地方公共団体独自の課税権を承認する趣旨である。

解答 ア2,イ1,ウ1

KE2880H27-20K 地方自治 A

地方自治に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.憲法上の「地方公共団体」とは,沿革的に見ても,また現実の行政の上においても,相当程度の自主立法権,自主行政権,自主財政権等,地方自治の基本的権能を付与された地域団体であれば足り,共同体意識を持っているという社会的基盤が存在する必要はない。
イ.憲法上の条例制定権は当然には罰則制定権を含まず,刑罰権設定は本来国家事務であり,条例中に罰則を設けるには法律の授権が必要であるが,条例は,行政府の命令と異なり,民主的立法であり実質的に法律に準ずるもので,条例への罰則の委任は一般的・包括的委任で足りる。
ウ.地方公共団体は,地方自治の本旨に従い,その財産を管理し事務を処理し及び行政を執行する権能を有し,その遂行のためには,その財源を自ら調達する権能を有することが必要であるから,地方自治の不可欠の要素として,課税権の主体となることが憲法上予定されている。

解答 ア2,イ2,ウ1

KE2890H30-19K 地方公共団体の意義 B

次の文章は,憲法上の地方公共団体の意義について述べた最高裁判所の判決(最高裁判所昭和38年3月27日大法廷判決,刑集17巻2号121頁)の判示を要約したものである。この判決に関する次のアからエまでの各記述について,明らかに誤っているものの組合せを,後記1から6までの中から選びなさい。 
「憲法が特に一章を設けて地方自治を保障するにいたったのは,新憲法の基調とする政治民主化の一環として,住民の日常生活に密接な関連をもつ公共的事務は,その地方の住民の手でその住民の団体が主体となって処理する政治形態を保障しようとする趣旨からである。この趣旨に徴するときは,憲法第93条第2項にいう地方公共団体といい得るためには,単に法律で地方公共団体として取り扱われているということだけでは足らず,事実上住民が経済的文化的に密接な共同生活を営み,共同体意識をもっているという社会的基盤が存在し,沿革的にみても,また現実の行政の上においても,相当程度の自主立法権,自主行政権,自主財政権等地方自治の基本的権能を附与された地域団体であることを必要とするものというべきである。」
ア.この判決は,憲法によって保障された地方自治がどのような性質を有するかという問題について,個人が国家に対して固有かつ不可侵の権利を持つのと同様に,地方公共団体もまた固有の前国家的な基本権を有するという立場に立つものである。
イ.この判決は,「事実上住民が経済的文化的に密接な共同生活を営み,共同体意識をもっているという社会的基盤」の存在を地方公共団体の要件として挙げるが,「共同体意識」というのは測定不能で漠然とした概念ではないかとの批判がある。
ウ.この判決のように,沿革上及び行政上の実態を基準に,憲法上の地方公共団体に当たるか否かを判断することは,憲法の下位規範である地方自治法によって憲法の解釈を行うこととなるとの指摘がある。
エ.この判決には,憲法第92条にいう「地方自治の本旨」が,第93条で具体化されている住民自治と第94条で具体化されている団体自治によって構成されていると解する余地がなくなるという問題点がある。 
1.ア イ  2.ア ウ  3.ア エ  4.イ ウ  5.イ エ  6.ウ エ

解答 3

KE2900R01-18 地方自治 A

地方自治に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.地方議会は地方公共団体における議事機関であり,国会と同様の議会自治・議会自律の原則が認められるから,地方議会議員が議会で行った演説,討論等について議会外で責任を問われない権利が憲法上保障される。
イ.小規模な普通地方公共団体の議事機関として,議会ではなく,選挙権を有する者全員によって組織される総会を設けることは,地方自治の本旨に反するものではないから,憲法第93条第1項に反しない。
ウ.憲法第93条第2項は,地方公共団体の長,地方議会の議員等を地方公共団体の住民が直接選挙すべき旨を定めており,地方公共団体の長及び地方議会の議員の解職請求があった場合にその可否を住民投票によって決すべきことも同項の要請である。

解答 ア2,イ1,ウ2

KE2901R02-17 地方自治 A

地方自治に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.一の地方公共団体のみに適用される特別法の制定に当たっては,国による地方自治権の侵害を防止するとともに,地方公共団体の個性の尊重及び地方行政における民意の尊重のため,憲法第95条により,当該地方公共団体の住民の投票においてその過半数を得ることが要求されているが,これまでに同条に基づく手続が実際にとられた例はない。
イ.判例によれば,憲法第84条に規定する租税法律主義の下では,地方公共団体が国とは別途に課税権の主体となることは憲法上予定されておらず,地方公共団体が条例により租税を賦課する場合には,租税の税目,課税客体,課税標準,税率等の事項について,法律で定められた具体的な準則に基づかなければならない。
ウ.判例は,ある事項について国の法令中に明文の規定がない場合でも,当該法令全体からみて,規定の欠如が当該事項についていかなる規制をも施すことなく放置すべきものとする趣旨であると解されるときは,当該事項について条例で規律することが法令違反になり得るとしている。 
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 7

KE2902R03-19 地方自治 A

地方自治に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには〇,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.地方自治の本質について,地方公共団体固有の前国家的な基本権を保障したものではなく,地方自治という歴史的・伝統的な制度を保障したものと解する立場に立つと,憲法第92条に規定された「地方自治の本旨」には特別の法的意味がないこととなる。
イ.憲法は,都道府県と市町村という二層構造の地方公共団体を憲法上保障しておらず,地方公共団体の在り方は立法政策に委ねられるとする立場に立つと,現行の都道府県より更に大きな単位の地方公共団体を設け,三層構造とすることも許容されることとなる。
ウ.憲法第95条は,「一の地方公共団体のみに適用される特別法」について規定するが,「一の地方公共団体」は,「一つの」ではなく,「特定の」地方公共団体を意味するものであるから,複数の地方公共団体に適用される法律についても,同条の規定する住民投票が必要になる場合がある。 
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 5

KE2930H24-19 条例 A

条例に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.ある事項を条例によって規制する結果として,地域ごとに取扱いに差異が生じることがあり得る。憲法が各地方公共団体の条例制定権を認める以上,このような地域ごとの差異は憲法自らが容認しているといえる。
イ.市町村が行う国民健康保険の保険料方式での強制徴収は租税に類似する性質を有するので,条例で定める賦課要件の明確性の程度は,憲法第84条において要求される明確性の程度と同等のものが求められる。
ウ.憲法が地方公共団体の条例制定権を認めており,かつ,地方議会によって議決される条例は法律と実質的に同視できるものであるので,法律の授権がなくても,ある行為について条例で刑罰を定めてこれを規制することは許される。

解答 ア1,イ2,ウ2

第3編 統治機構 第7章 憲法の保障

KE2950H28-11 憲法保障 A

憲法の規範内容が踏みにじられたり不当に変質させられたりしないようにする様々な国法上の工夫は,広く「憲法の保障」と言われるが,その代表的な方法や考え方に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.国家緊急権は,外敵の侵入,内乱や大規模な災害などにより国家の存立が脅かされる事態に至った場合に執り得る非常措置権とされるが,平常時における立憲主義の一時停止を認める権限であるから,憲法の明文で国家緊急権を容認している例は諸外国にもない。
イ.抵抗権は,政府による権力の濫用によって立憲主義秩序が破壊された場合に国民がそれに反抗する権利とされるが,実力の行使を伴う危険なものであるから,権利として実定法化することは不可能である。
ウ.憲法の連続性を維持するための特別な手続を定める憲法改正規定や憲法の最高法規性を確保するために特別な合憲性統制の途を設ける違憲審査制は,ともに憲法の保障の一つの方法として位置付けられる。

解答 ア2,イ2,ウ1

KE2960H30-11 憲法の最高法規性 A

憲法の最高法規性に関する次のアからエまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.憲法第97条は,憲法の保障する基本的人権を侵すことのできない永久の権利と位置付けており,憲法の最高法規性を実質的に根拠付けるものと見ることができる。
イ.日本国憲法において抵抗権が認められているという見解は,憲法が最高法規であることと矛盾する。
ウ.憲法がその国の法体系において最高法規と位置付けられる場合において,国家緊急権がその中に明文で規定されることはあり得ない。
エ.抽象的違憲審査制と付随的違憲審査制のうちいずれの違憲審査制を採るかは,憲法の最高法規性から当然に導かれるわけではない。

解答 ア1,イ2,ウ2,エ1

KE2990H29-20K 憲法改正 A

憲法改正に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.憲法改正には,国民投票において「その過半数の賛成」を必要とするとされているが,日本国憲法の改正手続に関する法律によって,「その過半数」とは,有権者総数の過半数を意味するとされている。
イ.憲法第96条第2項は,国民の承認を経た憲法改正について,「直ちにこれを公布する」と定めているが,ここで「直ちに」とされているのは,公布を恣意的に遅らせてはならないことを定めたものである。
ウ.憲法を始源的に創設する「憲法制定権力」と憲法によって与えられた「憲法改正権」とは同質であるとの見解は,憲法改正の限界について理論上限界はないとする立場の根拠となり得る。 
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 5

KE3010H30-20 憲法改正 B

憲法改正に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.国会法によれば,議員が憲法改正原案を発議するには,衆議院においては議員100人以上,参議院においては議員50人以上の賛成を要するが,その発議に当たっては,内容において関連する事項ごとに区分して行うものとされている。
イ.国会が発議した憲法改正に関する国民の承認は,衆議院議員総選挙又は参議院議員通常選挙の際に行われる国民投票によることも可能であるが,これらの選挙の際に行われる場合は日本国憲法の改正手続に関する法律は適用されない。
ウ.日本国憲法の改正手続に関する法律では,憲法改正案に対する国民投票運動に関し,公職選挙法により規制される選挙運動と比較すると,戸別訪問の禁止がないなど規制が緩和されている。 
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 3

KE3011R01-20K 憲法改正 A

日本国憲法の改正に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア. 憲法改正の手続において必要とされる発議とは,通常の議案についていわれる発議が原案を提出することを意味するのとは異なり,国民に提案すべき憲法の改正案を国会が決定することを意味している。
イ. 国民による承認の要件として必要とされる過半数の賛成の意味については,憲法上複数の解釈があり得たが,それらの中から,法律で,有効投票総数の過半数の賛成をいうものと定められた。
ウ. 国民投票において過半数の賛成があったとしても,一定の投票率に達しなかったときは,その国民投票は成立せず,国民の承認を得られなかったものとする制度が,法律で設けられている。

解答 ア1,イ1,ウ2

KE3012R02-19K 憲法改正 A

次の対話は,憲法改正に関する教授と学生の対話である。教授の各質問に対する次のアからウまでの学生の各回答について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
教授.憲法第96条第1項は,「この憲法の改正は,各議院の総議員の3分の2以上の賛成で,国会が,これを発議し,国民に提案してその承認を経なければならない。」と規定しているが,この「総議員」の意味には争いがあって,①法定議員数と解する説と,②現に各議院に在職する議員数の総数とする説があるね。②説の根拠として考えられるものは何かな。
ア.定足数が一定になり「総議員」の数を巡る争いを避けられること,憲法改正の発議要件を厳格にして議決を慎重にさせるのが憲法の趣旨に合致することなどがあります。
教授.それから,改正案を国会に提案する権限を内閣が有するか否かについても,肯定説と否定説とが対立しているね。肯定説に対しては,否定説の立場から,内閣の発案権を認めると国会の自主的審議権が害されるとの批判がされているが,この批判に対する肯定説の立場からの反論として,どのようなものが考えられるだろうか。
イ.内閣に発案権を認めたとしても,各議院は内閣の改正案に対する修正権を持つので,国会の自主的審議権を害するおそれはないとの反論が可能だと思います。
教授.憲法改正は,改正案が国民に提案され,国民投票が行われ,その過半数の賛成で承認されるのでなければ成立しないね。「過半数」の意味については,①有権者総数の過半数か,②無効投票を含めた投票総数の過半数か,③有効投票総数の過半数か,を巡り議論があるところだが,①説に対する批判として考えられるものを挙げてみよう。
ウ.①説に対しては,棄権者が全て改正案に反対の意思と評価されてしまう点で妥当ではないとの批判が考えられます。

解答 ア2,イ1,ウ1

KE3030H24-12Y 憲法改正 A

憲法改正について,その限界を理論的に想定する見解(限界説)と限界は理論的には存在しないとする見解(無限界説)とが対立しているが,次の各記述について,限界説の立場に立つ記述を全て挙げたものを,後記1から7までの中から選びなさい。
ア.憲法改正権は,憲法制定権力発動の所産である憲法に根拠を有する以上,憲法の同質性を失わせるような改正をする法的能力を持ち得ない。
イ.ある憲法の基本原理が所定の憲法改正手続に従って改正されたとすれば,それは憲法の廃止と新憲法の制定という,法を超えた政治的事件ということになる。
ウ.日本国憲法は,大日本帝国憲法に定められた憲法改正手続を遵守して制定されており,その全面改正として法的には有効に成立した。
1.アイウ  2.アイ  3.アウ  4.イウ  5.ア  6.イ 7.ウ

解答 2

KE3040H28-12Y 憲法改正 A

憲法改正について理論上一定の限界があるか否かについて限界説と無限界説とが対立しているが,次のアからウまでの各記述のうち,限界説の立場に立つ記述には1を,無限界説の立場に立つ記述には2を選びなさい。
ア.憲法規範に価値序列や段階性は認められず,「不変」「不可侵」「永久」等の語を用いて定めた改正禁止規定は,たやすく改正すべきではないとの考えを明らかにしたものである。
イ.法は,元来,人間の社会生活に奉仕する手段であり,かつ社会は絶えず変化するものであるから,現在の規範・価値によって将来の世代を拘束するのは不当である。
ウ.憲法規範には実定化された自然法規範が含まれており,それは実定化されたとしても自然法規範としての性質を失うものではない。

解答 ア2,イ2,ウ1

KE3050R03-17 憲法訴訟 B

憲法訴訟に関する次のアからウまでの各記述について,bの見解がaの見解の根拠となっている場合には1を,そうでない場合には2を選びなさい。 
ア.a.公職選挙法上の選挙無効訴訟において,選挙人である原告は,同法の規定により一定の者の選挙権が制限されていることに関し,他者の選挙権の制限に係る同規定の違憲を主張して争うことはできない。
b.公職選挙法の規定により選挙権の制限を受ける者は,自己の選挙権侵害を理由に救済を求める訴訟において同規定の違憲を主張することができる。
イ.a.規制範囲が過度に広範である疑いのある法律の規定であっても,これを合理的に解釈することにより,その規制対象を合憲的に規制し得る行為に限定でき,違憲の疑いを除去することができる場合には,裁判所は,同規定を違憲と判断すべきではない。
b.法律の違憲判断を回避することにより立法府への干渉を最小限に抑えるとともに,基本的人権の保障を果たすことができる。
ウ.a.最高裁判所が法令を違憲無効とする判決をした場合,その判決の効力が及ぶのは当該事件限りであり,違憲と判断された法律は当該事件の訴訟当事者との関係においてのみその適用を排除される。
b.法的安定性を確保するためには,最高裁判所は,自らの法令違憲の判断の効力が及ぶ範囲を制限する旨説示できる。

解答 ア1,イ1,ウ2

KE3080H26-11Y 違憲審査制 B

違憲審査に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.日米安全保障条約は,主権国としての我が国の存立の基礎に極めて重大な関係を持つ高度の政治性を有するもので,その内容の合憲性判断は,一見極めて明白に違憲無効でない限り,裁判所の審査権の範囲外である。
イ.日米安全保障条約及び日米地位協定が違憲無効であることが一見極めて明白でない以上,裁判所としては,これらが合憲であることを前提として,これらの条約を履行するために制定された,いわゆる駐留軍用地特措法の合憲性を審査すべきである。
ウ.衆議院解散の効力をめぐる争いは,本来,内閣と衆議院という両政治部門間の争いであり,議員歳費請求のように前提問題として解散の効力を争う場合であっても,その実質は機関訴訟というべきもので,裁判所は,原則として統治部門の自律的解決を尊重すべきである。 
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 2

KE3090H24-18 違憲判決の方法 A

違憲判決の方法に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.選挙権の平等に反する定数配分規定を是正するための合理的期間が経過したにもかかわらず,現行規定のままで選挙が施行された場合,判決確定により直ちに当該選挙を無効とすることが相当でないとみられるときは,選挙を無効とするがその効果は一定期間経過後に初めて発生するという内容の判決をすることも許される。
イ.国籍法第3条第1項を全体として違憲無効とせず,同項の規定の一部である準正要件を違憲無効とすることで,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し,かつ,その後に父から認知された子は,準正要件を除いた所定の要件を満たすときには,日本国籍の取得が認められる。
ウ.公務員の政治的行為の禁止を定める国家公務員法第102条第1項及び人事院規則14-7それ自体は憲法第21条に違反しないとしても,当該公務員の行為のもたらす弊害が軽微なものについてまで一律に罰則を適用することは,必要最小限の域を超えるものであって,憲法第21条及び第31条に違反する。 
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 6

KE3100H28-17K 違憲審査 A

違憲審査に関する次のアからウまでの各記述について,判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.第三者の所有物を没収する言渡しを受けた被告人は,当該第三者の権利を援用して,所有者に対し何ら告知,弁解,防御の機会を与えることなくその所有権を奪うことは憲法に違反する旨主張することはできない。
イ.嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする民法の規定は,遅くとも同規定が違憲とされた事案の被相続人の相続が開始した時点において,憲法第14条第1項に違反していたとする最高裁判所の決定は,当該事案限りのものであって,先例としての事実上の拘束性はない。
ウ.日本国民である父と外国人である母との間に生まれた嫡出でない子につき,父母の婚姻及びその認知等所定の要件を備えた場合に届出により日本国籍が取得できる旨定めた国籍法(平成20年法律第88号による改正前のもの。以下同じ。)第3条第1項は,憲法第14条第1項に違反するが,血統主義を補完するために出生後の国籍取得の制度を設けた国籍法の趣旨に照らし,同法第3条第1項を全部無効とする解釈は採り得ない

解答 ア2,イ2,ウ1

KE3110H29-18K 違憲審査 B

裁判所の違憲審査に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.裁判所は,処罰対象となる行為が過度に広汎であることが争われている罰則の合憲性の判断に当たり,その規制目的や当該目的達成の手段としての合理性等を審査する場合がある。
イ.合憲限定解釈は,合憲性が争われている法令について法令違憲との判決を下すことを回避する手段の一つである。
ウ.合憲的な適用であることが明らかである場合には,適用された法令に合憲的に適用できる部分と違憲的に適用される可能性のある部分とが不可分の関係で含まれていたとしても,法令違憲と判断する余地はないことになる。 
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 2

KE3120R01-16 違憲判断のあり方 B

違憲判断の在り方に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.国籍法の規定に関し,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した子の国籍取得に過剰な要件を設けることにより区別を生じさせている部分のみを除いて合理的に解釈することは,裁判所が法律にない新たな国籍取得の要件を創設するもので,国会の本来的な機能である立法作用を行うものとして許されない。
イ.衆議院の議員定数配分規定が選挙権の平等に反して違憲と判断された場合,行政事件訴訟法の事情判決の規定には,一般的な法の基本原則に基づくものとして理解すべき要素も含まれていると考えられ,公職選挙法も選挙関係訴訟については上記規定の準用を明示的に排除していないため,事情判決の法理により,その選挙の違法を主文で宣言することができる。
ウ.嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とした民法の法定相続分規定は,遅くとも当該規定が違憲とされた事案の相続が開始した当時に憲法第14条第1項に違反していたため,その当時以降に開始された他の相続につき,関係者間の法律関係が確定的な段階に至っていない事案であれば,違憲無効とされた当該規定の適用を排除した上で法律関係を確定的なものとするのが相当である。 
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 7

KE3121R02-16 違憲判断の方法 B

違憲判断の方法に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 
ア.最高裁判所は,公務員による政党機関誌の配布が国家公務員法違反に問われた堀越事件(最高裁判所平成24年12月7日第二小法廷判決,刑集66巻12号1337頁)において,被告人の配布行為には公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められず,当該配布行為に罰則規定が適用される限りにおいて憲法第21条第1項及び第31条に違反すると判示した。
イ.最高裁判所は,市有地を無償で神社施設の敷地利用に供していた行為が政教分離原則に違反するかが問われた空知太神社訴訟(最高裁判所平成22年1月20日大法廷判決,民集64巻1号1頁)において,同じ市による別の神社敷地の譲与行為に対する合憲判断と異なり,当該事案における敷地利用提供行為については憲法第89条及び第20条第1項後段に違反すると判示した。
ウ.最高裁判所は,郵便法の損害賠償責任免除・制限規定が憲法第17条に違反するかが問われた訴訟(最高裁判所平成14年9月11日大法廷判決,民集56巻7号1439頁)において,当該事案では郵便業務従事者の重過失により損害が生じており,郵便法はそのような場合にまで賠償責任の免除・制限を予定するものではないので,郵便法の上記規定が当該事案に適用される限りにおいて憲法第17条に違反すると判示した。

解答 ア2,イ1,ウ2

KE3130H26-17 議員配分定数規制 B

裁判所が違憲とした議員定数配分規定に基づいて行われた選挙の効力に関する次のアからウまでの各記述について,正しいもの全てを挙げた組合せを,後記1から7までの中から選びなさい。 
ア.一般的な法の基本原則に基づくものとして事情判決の法理を適用して,選挙を無効とせず違法の宣言にとどめるのは,当該選挙を無効とすることによって憲法が所期していない結果を生じることを回避するためである。
イ.定数配分規定の違憲判断を選挙の効力と結び付けず,訴訟が提起された選挙区の選挙だけを無効とする手法は,投票価値が不平等であるとされた選挙区からの代表者がいない状態で定数配分規定の是正が行われるという問題がある。
ウ.定数配分規定の違憲判断を選挙の効力と結び付けない判決の将来効の法理は,再選挙を執行することが事実上不可能であることや,事情判決を繰り返すことによって生じる司法審査制自体への弊害という問題にも対処しようとするものである。 
1.ア  2.イ  3.ウ  4.アイ  5.アウ  6.イウ  7.アイウ

解答 7

KE3140H27-18K 合憲限定解釈 A

合憲限定解釈に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。 
ア.合憲限定解釈に対しては,立法者の意思を超えて法文の意味を書き換えてしまう可能性があり,立法権の簒奪につながりかねないという問題がある。
イ.合憲限定解釈に対しては,当該解釈が不明確であると,犯罪構成要件の保障的機能を失わせ,憲法第31条違反の疑いを生じさせるという問題がある。
ウ.判例は,集会の自由の規制が問題となった広島市暴走族追放条例について,条例の改正が立法技術上困難でないから,あえて合憲限定解釈をする必要はないとした。 
1.ア○ イ○ ウ○  2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○  4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○  6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○  8.ア× イ× ウ×

解答 2

第4編 総合問題 総合問題

KE3160H25-19 人権制約立法の合憲性審査 A

人権制約立法の合憲性審査に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.判例は,精神的自由に対する制約の合憲性を経済的自由に対する制約の合憲性より厳しく審査すべきであるという二重の基準論を採用し,表現活動に対する制約については,表現内容に基づく制約だけでなく,間接的・付随的制約の合憲性についても厳格な審査を及ぼしている。
イ.二重の基準論の一つの根拠として,精神的自由への制約の場合は,民主政の過程自体がゆがめられるから裁判所の積極的な審査が要請されるが,経済的自由への制約の場合は,裁判所は民主的手続の中でなされた立法者の判断の合理性を尊重すべきである,ということが挙げられる。
ウ.裁判所は,合憲性審査に当たり人権制約立法の根拠となる立法事実の存否を審査する必要があるが,その際立法事実についての立法者の判断をどの程度尊重すべきかという問題は,いかなる基準で合憲性を判断するかの問題とは無関係である。

解答 ア2,イ1,ウ2