第2編 物権 第1章 物権法総論
MN0890H25-08K 物権 A
物権の帰属に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものを2個選びなさい。
1.未成年者との間で売買契約を締結して同人所有の動産を購入した者は,その後に当該売買契約が行為能力の制限を理由に取り消された場合に,売主が未成年であることについて善意無過失であったとしても,即時取得を理由としてその動産の所有権の取得を主張することはできない。
2.相続人がなく特別縁故者に対する分与もされなかった相続財産のうち,不動産の所有権は,国庫に帰属するが,動産の所有権は,相続開始後に所有の意思をもって占有を始めた者に直ちに帰属する。
3.他人の動産に工作を加えた者があるときの加工物の所有権は,民法の規定に従って帰属する者が定められ,加工前に所有者と加工者との間で民法の加工に関する規定と異なる合意をしても,その合意の効力は生じない。
4.土地の共有者の一人が時効によって地役権を取得したときは,他の共有者もこれを取得する。5.所有者を異にし,主従の区別のある2個の動産が付合した場合,従たる動産の所有者は,その付合の時における価額の割合に応じてその合成物の共有持分を取得する。
解答 1,4
MN0900R01-03Y 物権 B
物権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.物権は,一筆の土地の一部について成立することはない。
イ.不特定物を売買契約の目的とした場合,その目的物が特定しない限り,所有権は買主に移転しない。
ウ.複数の物の上に一つの物権の効力が及ぶことはない。
エ.金銭の所有権者は,その占有者と一致しないことがある。
オ.物権は,権利を目的として成立することがある。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ
解答 1
MN0930H24-11K 物権的請求権 A
物権的請求権に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものはどれか。
1.所有権に基づく物権的請求権は,所有権から派生する権利であるから,所有権と独立に物権的請求権のみを譲渡することはできないが,所有権とは別に消滅時効にかかる場合がある。
2.建物の賃貸借契約が終了したとき,建物の所有者である賃貸人は,賃借人に対し,賃貸借契約の終了に基づいて建物の返還を求めることはできるが,所有権に基づいて建物の返還を請求することはできない。
3.Aは,B所有の土地に何らの権原なく建物を建て,この建物をCに賃貸した。この場合,建物を占有しているのはCであるから,Bは,Aに対して,建物を収去して土地を明け渡すことを請求することはできない。
4.畑として使用されてきた土地をA,B及びCが持分3分の1ずつで共有していたところ,第三者が,Aの承諾を得て,その土地を造成して宅地にしようとした。この場合,Cは,単独で,その第三者に対し,共有持分権に基づく物権的請求権の行使として,土地全体について造成行為の禁止を求めることができる。
5.AがBに対して所有権に基づく妨害排除請求権を行使するには,Bに事理を弁識する能力があることは必要でないが,妨害状態が発生したことについてBに故意又は過失があることが必要である。
解答 4
MN0940H28-06K 物権的請求権 A
物権的請求権に関する次の1から4までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものはどれか。
1.A所有の甲土地上に権原なく乙建物を所有しているBがCに乙建物を売却した場合において,CがBからの乙建物の所有権移転登記を経由していないときは,Aは,Cに対し,乙建物の収去及び甲土地の明渡しを求めることができない。
2.A所有の甲土地上に権原なく乙建物を所有しているBがCに乙建物を売却し,CがBからの乙建物の所有権移転登記を経由した後,CがDに乙建物を売却した場合には,DがCからの乙建物の所有権移転登記を経由していないときであっても,Aは,Cに対し,乙建物の収去及び甲土地の明渡しを求めることができない。
3.Aがその所有する甲土地をBに賃貸し,Bが甲土地を自動車の駐車場として利用していたところ,甲土地の賃借権の登記がされない間に,AがCに対し甲土地を売却した場合において,CがAからの甲土地の所有権移転登記を経由していないときは,Bは,Cからの甲土地の明渡請求を拒むことができる。
4.A所有の甲土地に隣接する乙土地の所有者であるBが乙土地を掘り下げたために,両土地の間に高低差が生じ,甲土地が崩落する危険が生じている場合において,その危険が生じた時から20年を経過した後にAがBに対し甲土地の崩落防止措置を請求したときは,Bはその請求権の消滅時効を援用することができる。
解答 3
MN0941R02-06 物権的請求権 A
物権的請求権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Aが地上権を有する甲土地に無断でBがその所有する自動車を放置した場合,Aは,Bに対し,地上権に基づく妨害排除請求権の行使として自動車を撤去するよう求めることはできない。
イ.Aが所有する鉄塔が自然災害により傾き,鉄塔に隣接するBの所有する甲建物を損傷させるおそれが生じた場合において,Bが所有権に基づく妨害予防請求権の行使として甲建物を損傷させないための措置を講ずるよう求めたときは,Aは,過去に実際に一度でも甲建物を損傷させたことがないことを理由としてBの請求を拒むことができる。
ウ.Aの所有する自動車がBの所有する山林に無断で放置され,20年が経過した場合において,BがAに対して所有権に基づく妨害排除請求権の行使として自動車の撤去を求めたときは,Aは,妨害排除請求権の消滅時効を援用してBの請求を拒むことができる。
エ.Aが,A所有の甲土地に洪水のため流されてきた自動車の所有者であるBに対し,所有権に基づく妨害排除請求権の行使として自動車を撤去するよう求めた場合,Bは,所有権侵害について故意過失がないことを主張立証しても,Aの請求を拒むことはできない。
オ.Aの所有する甲土地に無断でBがその所有する自転車を放置した場合において,AがBに対して所有権に基づく妨害排除請求権の行使として自転車を撤去するよう求めたときは,Bは,自己が未成年者であることを理由としてAの請求を拒むことはできない。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ
解答 4
MN0942R03-06K 物権的請求権 A
物権的請求権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.甲土地の所有者Aは,Bが所有する乙土地上に甲土地のための通行地役権の設定を受けた。その後,Bが乙土地上に大型トラック丙を駐車してAによる乙土地の通行を妨げた場合,Aは,Bに対して通行地役権に基づき丙の撤去を請求することができる。
イ.A,B及びCが甲土地を持分3分の1ずつで共有している場合,Cは単独で,甲土地を何の権原もなく占有するDに対して甲土地の明渡しを請求することができない。
ウ.Aは,Bが所有する甲土地上に何の権原もなく乙建物を建築し,その所有権保存登記がされた。その後,Aが乙建物をCに売却して所有権を移転した場合,Cヘの所有権移転登記がされていなくても,Bは,Cに対して所有権に基づき乙建物の収去を請求することができる。
エ.Aが所有する甲土地にBのために抵当権が設定され,その登記がされた後,Cは,甲土地上にAが所有する樹木を何の権原もなく伐採し始めた。この場合,Bは,被担保債権の弁済期前であっても,Cに対して伐採の禁止を請求することができる。
オ.甲土地に設定された第一順位の抵当権の被担保債務が消滅したにもかかわらずその登記が抹消されていない場合,甲土地の第二順位の抵当権者は,第一順位の抵当権者に対してその登記の抹消を請求することができない。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ エ
解答 4
MN0980H26-07 動産引渡請求権の要件事実 C
Aが所有して占有していた動産甲が,AからBへ売られてBに引き渡され,その後にBからCへ売られてCに引き渡された場合において,AがCに対して所有権に基づき動産甲の返還を請求する訴訟を提起し,請求原因としてAが動産甲を所有していたこと及びCが動産甲を占有していることを主張し,これらについてCの自白が成立したときに関する次の1から4までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものはどれか。
1.Cは,Aが所有権を失ったことを主張する抗弁として,動産甲がBからCへ売られたことを主張・立証しなければならず,Cがこれを主張・立証した場合において,Aが,再抗弁として,動産甲がAからBへ売られたこと及びAB間の売買契約に無効原因があることを主張・立証したときは,Aの請求が認容される。
2.Cは,Aが所有権を失ったことを主張する抗弁として,動産甲がAからBへ売られたこと及び動産甲がBからCへ売られたことを主張・立証しなければならず,Cがこれらを主張・立証した場合において,Aが,再抗弁として,BC間の売買契約に無効原因があることを主張・立証したときは,Aの請求が認容される。
3.Cは,Aが所有権を失ったことを主張する抗弁として,動産甲がAからBへ売られたことを主張・立証しなければならず,Cがこれを主張・立証した場合において,Aが再抗弁として適切な主張・立証をしないときは,Aの請求が棄却される。
4.Cは,Aが所有権を失ったことを主張する抗弁として,動産甲がAからBへ売られたこと及びAB間の売買に基づく引渡しがされたことを主張・立証しなければならず,Cがこれらを主張・立証した場合において,Aが,再抗弁として,AB間の売買契約に取消原因があること及びBC間の売買契約が締結された後にBに対してAB間の売買契約を取り消す旨の意思表示をしたことを主張・立証したときは,Aの請求が認容される。
解答 3
MN1030H27-07 不動産物権変動 A
不動産登記に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.AがA所有の甲土地をBに売却し,その旨の所有権移転登記がされた後,Bは,甲土地をCに売却し,その旨の所有権移転登記がされた。その後,AがBの強迫を理由としてBに対する売買の意思表示を取り消した場合,Aは,Cに対し,甲土地の所有権がAからBに移転していないことを主張することができる。
イ.AがA所有の甲土地をBに売却し,その旨の所有権移転登記がされた後,Aは,Bの詐欺を理由としてBに対する売買の意思表示を取り消した。その後,BがCに甲土地を売却し,Cへの所有権移転登記をした場合,Aは,Cに対し,甲土地の所有権がBからAに復帰したことを主張することができない。
ウ.Aは亡Bから亡Bの所有していた乙土地の遺贈を受けたが,その旨の所有権移転登記をしていなかった。その後,亡Bの共同相続人の一人であるCの債権者Dが乙土地についてCの相続分に相当する持分を差し押さえ,その旨の登記がされた。この場合,Aは,Dに対し,乙土地の所有権を亡Bから取得したことを主張することができる。
エ.AがB所有の乙土地を占有し,取得時効が完成した場合において,その取得時効が完成する前に,Cが乙土地をBから譲り受けると同時に乙土地の所有権移転登記をしたときは,Aは,Cに対し,乙土地の所有権を時効取得したことを主張することができる。
オ.AがB所有の乙土地を占有し,取得時効が完成した場合において,その取得時効が完成する前に,Cが乙土地をBから譲り受け,その取得時効の完成後にCが乙土地の所有権移転登記をしたときは,Aは,Cに対し,乙土地の所有権を時効取得したことを主張することができない。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ
解答 4
MN1040H30-10 不動産物権変動 A
不動産物権変動に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.未成年者AがA所有の甲土地をBに売却し,その旨の所有権移転登記がされた後,Bが,Aの未成年の事実を過失なく知らないCに甲土地を売却し,その旨の所有権移転登記がされた場合において,AがBに対する売買の意思表示を取り消したときは,Cは,Aに対し,甲土地の所有権の取得を主張することができない。
イ.AがA所有の甲土地をBに売却し,その代金が未払である間に,AからBへ所有権移転登記がされた後,Bが,Bの代金未払の事実を知っているCに甲土地を売却し,その旨の所有権移転登記がされた場合において,AがBの履行遅滞によりAB間の売買契約を解除したときは,Cは,Aに対し,甲土地の所有権の取得を主張することができない。
ウ.AがA所有の甲土地をBに売却したが,代金の支払をめぐってAB間で争いを生じ,その後,Bが甲土地の所有権を有することを確認する旨の示談が成立した場合において,当該示談に立会人として関与し,示談書に立会人として署名捺印していたCが,AからBに所有権移転登記がされる前に,Aに対する債権に基づいて,A名義の甲土地を差し押さえ,その旨の差押えの登記がされたときは,Bは,Cに対し,甲土地の所有権の取得を主張することができない。
エ.AがA所有の甲土地をBに売却した後,CがBを害する目的で甲土地をAから買い受け,その旨の所有権移転登記がされた場合において,Cが事情を知らないDに対して甲土地を売却し,その旨の所有権移転登記がされたときは,Bは,Dに対し,甲土地の所有権の取得を主張することができる。
オ.BがA所有のA名義の甲土地を占有し,取得時効が完成した後,CがAから甲土地について抵当権の設定を受けて抵当権設定登記がされた場合において,Bがその抵当権の設定の事実を知らずにその後引き続き時効取得に必要な期間甲土地を占有し,その期間経過後に取得時効を援用したときは,Bは,Cに対し,抵当権の消滅を主張することができる。
1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ オ 5.ウ エ
解答 2
MN1050R01-06 不動産物権変動 A
不動産物権変動に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.AがA所有の甲建物をBに売却し,さらにBがこれをCに売却した場合,Cは,Aに対し,登記をしなくても売買による甲建物の所有権の取得を対抗することができる。
イ.A所有の甲土地についてBがAから遺贈を受けた場合において,Aの共同相続人の一人であるCの債権者Dが甲土地についてCが共同相続したものとしてCのその持分を差し押さえ,その旨の登記がされたときは,Bは,Dに対し,登記をしなくても遺贈による甲土地の単独所有権の取得を対抗することができる。
ウ.甲土地を所有するAが遺言をしないで死亡し,二人の子BCのうちBが相続放棄をしてCが唯一の相続人となった場合において,Bの債権者Dが甲土地についてBも共同相続したものとしてBのその持分を差し押さえ,その旨の登記がされたときは,Cは,Dに対し,登記をしなくても単独相続による甲土地の所有権の取得を対抗することができる。
エ.A所有の甲土地をAからBが買い受けた後,Bの代金未払を理由にAB間の売買契約が解除された場合において,その後にBがCに甲土地を売却しその旨の登記がされたときは,Aは,Cに対し,解除による甲土地の所有権の復帰を対抗することができない。
オ.Aが新築して所有する未登記の甲建物をBが不法に占有している場合,Aは,Bに対し,登記をしなければ甲建物の所有権の取得を対抗することができない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ オ
解答 4
MN1051R02-07 不動産物権変動 A
不動産の物権変動に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.A所有の甲土地をAがBに売却し,その後Aが甲土地をCに対し売却してその旨の登記がされ,更にCが甲土地をDに対し売却してその旨の登記がされた場合において,CがBに対する関係で背信的悪意者に当たるときは,Bは,Dに対し,甲土地の所有権を登記がなくても主張することができる。
イ.A所有の甲土地をAがBに売却し,その旨の登記がされたが,AがBの詐欺を理由としてAB間の売買契約を取り消した後,この取消しについて善意無過失のCに対しBが甲土地を売却し,その旨の登記がされた場合,Aは,Cに対し,甲土地の所有権を登記がなくても主張することができる。
ウ.A所有の甲土地をAがBに売却し,更にBがCに売却し,それぞれその旨の登記がされた場合において,その後,AがAB間の売買契約をBの甲土地の代金不払を理由に解除したときは,Aは,Bの代金不払の事実を知らないCに対し,甲土地の所有権を主張することができない。
エ.A所有の甲土地をAがBに売却し,その旨の登記がされた場合において,その後,これより前から所有の意思をもって甲土地を占有していたCについて取得時効が完成したときは,Cは,Bに対し,甲土地の所有権を主張することができない。
オ.甲土地を所有していたAが遺言を残さずに死亡し,BとCがAを共同相続し,Cが甲土地をBCの共有とする共同相続登記をしてCの持分にDのために抵当権を設定し,その旨の登記がされた場合において,その後,BCの遺産分割協議により甲土地がBの単独所有とされたときは,Bは,Dに対し,抵当権設定登記の抹消を請求することができない。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ
解答 4
MN1052R03-07 物権変動 A
物権変動に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Aは,その所有する甲土地上に,Bのために第一順位の抵当権を,Cのために第二順位の抵当権をそれぞれ設定し,その登記がされた。その後,Cが甲土地をAから相続によって取得した場合であっても,第二順位の抵当権は混同により消滅しない。
イ.Aがその所有する甲土地をBに売却した後,Bが甲土地をCに転売し,それぞれその旨の登記がされた。その後,Aは詐欺を理由としてBとの売買契約を取り消した。Cは,Aの売買の意思表示が詐欺によることを過失なく知らなかった場合,甲土地の所有権の取得を妨げられない。
ウ.AとBが,甲建物及びその敷地である乙土地をそれぞれ共有していたところ,乙土地のAの共有持分に抵当権が設定された。その後,その抵当権が実行され,Cがそれを買い受けた場合,甲建物のために乙土地上に地上権が成立する。
エ.Aがその所有する甲土地をBに売却した後,Bが甲土地をCに転売し,それぞれその旨の登記がされた。その後,AとBとの間の売買契約は,Aが成年被後見人であることを理由として取り消された。Cが,Aが成年被後見人であったことを過失なく知らなかった場合,Aは,Cに対し,甲土地の所有権が自己にあることを主張することができない。
オ.地役権の要役地の所有権を単独で相続した者は,地役権設定行為に別段の定めがないときは,その土地の地役権も相続する。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
解答 4
MN1090H25-09 不動産物権変動 A
所有権の取得又は移転に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを2個選びなさい。
1.A所有の不動産を占有するBが自己の占有に前の占有者Cの占有を併せて主張することによってその不動産の所有権を時効により取得したときは,Aは,Cの占有の開始日にさかのぼってその所有権を喪失する。
2.売主が他人の不動産を売り渡した後にその所有権を取得したときは,買主は,売主がその不動産の所有権を取得した後これを買主に移転する意思を表示した時に,その不動産の所有権を取得する。
3.詐害行為取消権に基づき不動産の贈与契約を取り消す旨の判決が確定したときは,贈与契約による所有権移転の効果は,贈与契約締結時にさかのぼって消滅する。(問題不適切)
4.不動産の譲渡をもって代物弁済契約がされた場合,所有権移転登記をするまでは,その不動産の所有権が債権者に移転することはない。
5.相続財産のうち,特定の不動産を特定の相続人に相続させる旨の遺言があった場合,その遺言で相続による承継を当該相続人の意思表示にかからせたなどの特段の事情のない限り,何らの行為を要せずして,その不動産の所有権は,被相続人の死亡の時に直ちに相続により当該相続人に承継される。
解答 1,5
MN1100H25-10 不動産物権変動 A
物権変動に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.AがBに甲土地を売却し,所有権移転登記がされた後,Aは,Bの代金不払を理由に売買契約を解除した。その後BがCに甲土地を売却し,所有権移転登記がされた場合,Aは,Cに対し,甲土地の所有権を主張することができない。
イ.AがB所有の甲土地を占有し,取得時効が完成した後BからAへの所有権移転登記が未了の間に,CがBから甲土地を譲り受けて登記をした場合であっても,Aがその後さらに占有を継続し,Cが登記をした時から再度取得時効の期間が経過したときは,Aは,Cに対し,所有権移転登記をしなくても時効による所有権取得を主張することができる。
ウ.甲土地を含む財産をABCが共同で相続し,その後Aのみが相続を放棄した場合,BCがBCのみの共有持分登記をする前に,Aの債権者DがAも共同相続したものとして代位によりAの共有持分登記をした上,Aの持分を差し押さえたときは,BCは,Dに対し,甲土地がBCのみの共有であることを主張することができない。
エ.甲土地がAからB,BからCに順次売却された後,AB間の売買契約が合意により解除された場合,Cは,Aに対し,所有権移転登記をしなくても甲土地の所有権取得を主張することができる。
オ.Aは,Bに対する債権の担保としてCが所有する甲土地に抵当権の設定を受け,その登記をしていたが,Bから被担保債権全額の弁済を受けたにもかかわらず,Bに対する債権をDに譲渡し,Bは,その債権譲渡について異議をとどめないで承諾した。この場合,Cは,Dに対し,抵当権抹消登記をしなくても抵当権の消滅を主張することができる。(問題不適切)
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ エ
解答 5
MN1110H26-04Y 不動産物権変動 A
登記に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Aは,A所有の甲土地をBに売却し,AからBへの所有権移転登記をした後,Bから強迫されたことを理由として,AB間の甲土地の売買契約を取り消した。その後,Cが,Bによる強迫の事実も,Aによる取消しの事実も知らずに,Bから甲土地を買い受け,BからCへの所有権移転登記をした場合,Cは,Aに対し,甲土地の所有権の取得を主張することができる。
イ.Aが,A所有の甲建物をBとCに二重に売却し,AからBへの所有権移転登記も,AからCへの所有権移転登記もされていない時に,Dが甲建物を勝手に占拠した場合,Bは,AからBへの所有権移転登記をするまでは,Dに対し,所有権に基づき甲建物の明渡しを請求することはできない。
ウ.Aは,B所有の甲土地上に,勝手に乙建物を建築して所有権保存登記をした上,乙建物をCに売却した。その後,Bが,Aに対し,甲土地の所有権に基づき乙建物の収去を請求した場合,Aは,乙建物についてAからCへの所有権移転登記をする前であっても,乙建物の所有権を失ったことを理由としてBの請求を拒むことができる。
エ.Aは,Bの代理人として,C所有の甲土地をCから買い受けたが,CからBへの所有権移転登記がされる前に,自ら甲土地をCから買い受け,CからAへの所有権移転登記をし,さらに,Dに対して甲土地を売却し,AからDへの所有権移転登記をした場合,Bは,Dに対し,登記をしなくても甲土地の所有権の取得を主張することができる。
オ.Aは,A所有の甲土地をBに売却したが,AからBへの所有権移転登記をする前に死亡した。Aの法定相続人は,子C及び子Dの二人であり,その相続分は各2分の1であったが,遺産分割協議が調う前に,Cが勝手に甲土地について単独で相続した旨のAからCへの所有権移転登記をした上,甲土地をEに売却し,CからEへの所有権移転登記をした場合,Bは,Eに対し,2分の1の限度で甲土地の共有持分の取得を主張することができる。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ エ
解答 2 (但しオは出題ミスで×と思われます。)
MN1120H26-09 不動産物権変動 A
登記に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.AがBから売買によってB所有の甲土地を取得し,BからAへの所有権移転登記がされた後に,AB間の売買契約が解除され,その後,AからCへ甲土地が譲渡され,AからCへの所有権移転登記がされた場合,Bは,Cに対し,AからCへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することができる。
イ.AがA所有の甲土地をBに譲渡した後,これをCにも譲渡した場合,Cが背信的悪意者とされる場合であっても,Bは,Cからの譲受人Dが背信的悪意者でない限り,Dに対して自己の所有権を主張するためには登記が必要である。
ウ.AがBに賃貸している甲土地をCに譲渡した場合において,Cが所有権移転登記をしていない場合は,BはCに対して賃料の支払を拒むことができる。
エ.AとBは,被相続人Cが所有していた甲土地を共同相続したが,Bは,甲土地についてAに無断で相続を原因としてCからBへの所有権移転登記をし,さらに,Dへ甲土地を譲渡した場合,Aの持分について,AがDに対して自己の権利を主張するためには登記が必要である。(問題不適切)
オ.AとBは,被相続人Cが所有していた甲土地を共同相続し,Aが甲土地を単独で相続する旨の遺産分割を成立させた。その後,Bが,甲土地について相続を原因としてABの共有とする登記をし,さらにBの持分をDへ譲渡した場合,Bの持分について,AがDに対して自己の権利を主張するためには登記が必要である。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
解答 2
MN1130H29-07 登記 B
登記に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.AからB,BからCに甲土地が順次売却され,それぞれその売買代金が支払われたが,所有権の登記名義がAのままである場合,Cは,Bに代位して,Aに対し,AからBへの所有権移転登記手続を請求することはできない。
イ.A所有の甲土地及び乙土地に抵当権を有するBは,甲土地の抵当権設定の登記の抹消をするつもりで,誤って乙土地の抵当権設定の登記の抹消を申請し,その旨の登記がされた。この場合でも,Bは,乙土地の抵当権設定の登記の抹消後に上記事情を知らずに乙土地に抵当権の設定を受けたCに対し,Bの抵当権が優先することを主張することができる。
ウ.Aは,Bから代理権を与えられていないのに,Bの代理人として,Cとの間で,B所有の甲土地にCの債権を担保するための抵当権設定契約を締結し,その旨の登記がされた。この場合において,Bがその抵当権設定契約を追認したときは,Bは,Cに対し,その抵当権設定の登記の無効を主張することはできない。
エ.Aは,B所有の土地上に権原なく建物を建築して居住しているが,Cと通謀してその建物についてAからCへの所有権移転登記をした。Cが実際にはその建物を所有したことがない場合でも,Cは,Bに対し,建物収去土地明渡の義務を負う。
オ.Aは,その所有する甲建物の滅失後に新築した乙建物について,新たな保存登記をせずに甲建物の登記を流用して,Bとの間で,停止条件付代物弁済契約に基づく所有権移転請求権保全の仮登記をし,その後,代物弁済を原因として仮登記に基づく本登記をした。この場合,その本登記は無効である。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ オ
解答 5
MN1131R02-03Y 登記 A
登記に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Aが所有する甲土地上に,Bが無権原で乙建物を所有している。Bは,自ら乙建物の所有権保存登記をした後,乙建物をCに売却してその所有権を移転した。この場合において,BからCへの乙建物の所有権移転登記がされていないときは,Aは,Bに対し,所有権に基づき乙建物の収去及び甲土地の明渡しを請求することができる。
イ.Aが所有する甲土地をAから賃借したBは,甲土地上に建築した自己所有建物につき,Bの妻C名義で所有権保存登記をした。この場合において,Aが甲土地をDに売却してAからDへの所有権移転登記がされたときは,Bは,甲土地の賃借権をDに対抗することができる。
ウ.Aは,所有する甲土地のために,Bが所有する乙土地上に地役権の設定を受け,その旨の登記がされた。この場合において,Aが甲土地をCに売却してAからCへの所有権移転登記がされたときは,Cは,甲土地のための地役権をBに対抗することができる。
エ.Aは,Bが所有する甲建物を賃借してその引渡しを受けた。この場合,Aは,Bに対し,当然に賃借権の設定登記を請求することができる。
オ.Aは,所有する甲土地につき,Bを第一順位とする抵当権及び,Cを第二順位とする抵当権をそれぞれ設定し,その旨の登記がされた。この場合において,甲土地のBの抵当権の被担保債権が消滅したときは,Cは,Bに対し,自己の抵当権に基づきBの抵当権設定登記の抹消を請求することができる。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ エ 4.ウ エ 5.ウ オ
解答 3
MN1150H28-08 相続と不動産物権変動 B
甲土地を所有するAには,その妻Bとの間に子C及びDがいる。この場合において,Aが死亡したときの不動産物権変動に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Cが相続放棄をした後に,甲土地について法定相続分に応じた持分の割合により相続登記をした上で,甲土地の4分の1の持分をEに売却し,CからEへの持分移転登記を経由した場合,Eは,B及びDに対し,甲土地について4分の1の持分の取得を主張することができる。
イ.AがEに甲土地を遺贈し,遺言により指定された遺言執行者Fがある場合において,Bが,甲土地について法定相続分に応じた持分の割合により相続登記をした上で,甲土地の2分の1の持分をGに売却し,BからGへの持分移転登記を経由したときは,Eは,Gに対し,甲土地の所有権の取得を主張することができる。
ウ.B,C及びDの遺産分割協議により,甲土地はBが取得することとされた場合であっても,その後,Dが,甲土地について法定相続分に応じた持分の割合により相続登記をした上で,甲土地の4分の1の持分をEに売却し,DからEへの持分移転登記を経由したときには,Eは,Bに対し,甲土地について4分の1の持分の取得を主張することができる。
エ.Aが「甲土地はCに相続させる」旨の遺言をしていた場合において,Bが,甲土地について法定相続分に応じた持分の割合により相続登記をした上で,甲土地の2分の1の持分をEに売却し,BからEへの持分移転登記を経由したときには,Cは,Eに対し,甲土地の所有権の取得を主張することができない。
オ.Dが甲土地を単独で相続した旨の不実の登記をした上で,甲土地をEに売却し,DからEへの所有権移転登記を経由した場合,Bは,Eに対し,甲土地について2分の1の持分の取得を主張することができない。
1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ オ 5.ウ エ
解答 5
MN1160H26-08 登記請求権 B
登記請求権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Aは,BからB所有の土地を買う旨の契約をし,その代金を支払ったが,所有権移転登記をしていなかった。この売買契約を締結した後10年が経過した場合には,Aは,Bに対し,売買契約により取得した所有権に基づき所有権移転登記手続を請求することができない。
イ.AからB,BからCへ土地が順次売却された後,Bの同意なくAからCへの所有権移転登記がされた場合,現在の権利関係と登記の内容が一致する限り,Bはその所有権移転登記の抹消登記手続を請求することはできない。
ウ.AがBの所有する土地に第一順位の抵当権を有し,その抵当権の設定登記がされた後に,その抵当権の被担保債権が弁済により消滅した場合,第二順位の抵当権者であるCは,Aに対し,抵当権設定登記の抹消登記手続を請求することはできない。
エ.Aは,BからC所有の土地を買う旨の契約をした場合,その土地についてCを登記名義人とする登記がされていても,Bに対し,売買契約に基づき,その土地についてBからAへの所有権移転登記手続を請求することができる。
オ.Aはその所有する土地をBに遺贈する旨の遺言をしていたが,Aが死亡した後,Bがその土地の所有権移転登記をしない間に,Aの唯一の相続人であるCが,AからCへの相続を原因とする所有権移転登記をした上で,その土地をDに売却してCからDへの所有権移転登記をした場合,Bは,Dに対し,CからDへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することができない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
解答 5
MN1170H27-08 登記請求権 B
登記請求権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Aの所有する甲土地がAからB,BからCに順次譲渡された場合において,Bは,甲土地の所有権を喪失していても,Aに対し,AからBへの所有権移転登記手続を請求することができる。
イ.Aの所有する甲土地がAからB,BからCに順次譲渡されたにもかかわらず,登記名義がなおAに残っている場合,Cは,Aに対し,AからCに対する真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を請求することはできない。
ウ.Aの所有する甲土地についてAからB,BからCへの所有権移転登記がされている場合,それぞれの所有権移転登記に対応する権利変動がないときは,Aは,Cに対し,直接自己への所有権移転登記手続を請求することはできない。
エ.Aの所有する甲土地についてAからB,BからCへの各売買を原因とする所有権移転登記がされている場合,AからB,BからCへの各売買がいずれも無効であるときは,Aは,Cに対し,BからCへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することができるが,Bは,Cに対し,BからCへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することはできない。
オ.Aが,Bに売却した甲土地について所有権移転登記手続をしない間に死亡し,Aの共同相続人であるCとDがAの代金債権と所有権移転登記義務を相続した場合,Dがその所有権移転登記義務の履行を拒絶しているため,Bが同時履行の抗弁権を理由として代金を支払わないときは,Cは,Bに対する自己の代金債権を保全するため,Bに代位して,BのDに対する所有権移転登記手続請求権を行使することはできない。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ エ 4.ウ エ 5.ウ オ
解答 1
MN1220H28-09 即時取得 A
動産の即時取得に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Aがその占有する時計をBに売却した場合において,Bが,即時取得により当該時計の所有権を取得したことを主張するためには,当該時計の引渡しの当時,自己に過失がなかったことを立証しなければならない。
イ.Aがその占有する時計をBに売却した場合において,Bが,当該時計の引渡しの当時,当該時計の所有者がAであることに疑いを持っていたときは,Bは即時取得により当該時計の所有権を取得することができない。
ウ.Aがその占有する時計をBに売却した場合において,その売買契約の際に,以後AがBのために占有する意思を表示したが,当該時計の引渡しが現実にされていないときは,Bは即時取得により当該時計の所有権を取得することができない。
エ.A所有の土地上にある立木を,Bが,B所有の土地上にあるものと過失なく信じて伐採した場合には,Bは,即時取得により当該伐木の所有権を取得する。
オ.Aがその占有する中古自動車をBに売却し,現実に引き渡した場合において,当該中古自動車につき道路運送車両法による登録がされていたときは,Bは,即時取得により当該中古自動車の所有権を取得することができない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
解答 2
MN1230H28-05Y 即時取得 A
Aの所有するカメラ(以下「甲」という。)の取引に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Aは,甲をBに賃貸していたところ,CがBの家から甲を盗み,Dに売却した。Dは,甲がCの所有物であると過失なく信じて,現実の引渡しを受けた。この場合,Bは,甲を盗まれた時から2年以内であれば,Dに対し,甲の返還を求めることができる。
イ.Aは,甲をBに売却したが,その売買契約当時,Aは意思能力を有していなかった。その後,Bが甲をCに売却し,Cは,甲がBの所有物であると過失なく信じて,現実の引渡しを受けた。この場合,Aの法定代理人は,Cに対し,甲の返還を求めることができる。
ウ.Aは,その家で甲を保管していたところ,カメラを販売する商人のBがAの家から甲を盗み,Cに売却した。Cは,甲がBの所有物であると過失なく信じて,現実の引渡しを受けた。この場合,Aは,甲を盗まれた時から2年以内であっても,CがBに支払った代価を弁償しなければ,Cに対し,甲の返還を求めることができない。
エ.Aは,その家で甲を保管していたところ,BがAの家から甲を盗み,Cに売却した。その後,Cは,甲をDに転売し,Dは,甲がCの所有物であると過失なく信じて,現実の引渡しを受けた。この場合,Aは,甲を盗まれた時から2年以内であっても,Dに対し,甲の返還を求めることができない。
オ.Aは,甲をBに賃貸していたところ,Bが甲をCに寄託した。その後,BがAに無断で甲をDに売却するとともに,Cに対し以後Dのために甲を占有するように命じた。Dは,甲がBの所有物であると過失なく信じて,Cによる甲の占有を承諾した。この場合,Aは,Dに対し,甲の返還を求めることができる。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ
解答 1
MN1240R01-07 即時取得 A
Aは,その所有する動産甲をBに保管させていた。この事例に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Bは,甲をCに売却し,Cは,甲がBの所有物であると過失なく信じて,現実の引渡しを受けた。甲が道路運送車両法による登録を抹消された自動車であった場合,Cは,即時取得により甲の所有権を取得することができない。
イ.Bが死亡し,その唯一の相続人Dは,甲がBの相続財産に属すると過失なく信じて,現実に占有を開始した。甲が宝石であった場合,Dは,即時取得により甲の所有権を取得する。
ウ.Bは,甲をEに贈与し,Eは,甲がBの所有物であると過失なく信じて,現実の引渡しを受けた。甲が宝石であった場合,Eは,即時取得により甲の所有権を取得する。
エ.Bの債権者により甲が強制競売に付され,Fは,甲がBの所有物であると過失なく信じて,甲を競落し,現実の引渡しを受けた。甲が宝石であった場合,Fは,即時取得により甲の所有権を取得する。
オ.Bは,甲をGに質入れし,Gは,甲がBの所有物であると過失なく信じて,現実の引渡しを受けた。甲が宝石であった場合,Gは,即時取得により甲を目的とする質権を取得する
1.ア イ 2.ア エ 3.イ オ 4.ウ エ 5.ウ オ
解答 1
MN1241R02-08K 即時取得 A
即時取得に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Aは,自己所有の宝石をBに売却して現実の引渡しをした。その後,Bは,宝石をCに売却して現実の引渡しをした。さらに,その後,Aは,AB間の売買契約をBの強迫を理由として取り消した。この場合,Cは,即時取得により宝石の所有権を取得することはない。
イ.未成年者Aは,自己所有の宝石をBに売却して現実の引渡しをした。その後,Aは,AB間の売買契約を未成年であることを理由として取り消した。この場合,Bが即時取得により宝石の所有権を取得することはない。
ウ.Aは,B所有の宝石をBから賃借して引渡しを受けた上,宝石をCに預けていたが,宝石をDに売却し,Cに対し,宝石を今後Dのために占有するよう命じ,Dがこれを承諾した。この場合,Dは,宝石がA所有であると信じ,かつ,そのことに過失がなかったとしても,即時取得により宝石の所有権を取得することはない。
エ.Aは,Bが置き忘れた宝石を,自己所有物であると過失なく信じて持ち帰った。この場合,Aが即時取得により宝石の所有権を取得することはない。
オ.Aは,BがCから賃借していた宝石を盗み,Dに贈与した。Dが宝石をAの所有物であると過失なく信じて現実の引渡しを受けた場合,Bは,宝石の盗難時から2年間は,Dに宝石の回復を請求することができる。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
解答 1
MN1250H24-12 混同 B
地上権に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものはどれか。
1.甲土地を所有するAがBのために甲土地を目的とする地上権を設定してその旨の登記がされ,Bの地上権を目的とする抵当権が設定されていた場合でも,その後,BがAから甲土地の所有権を取得したときは,地上権は消滅する。
2.甲土地を所有するAがB及びCのために甲土地を目的とする地上権を設定してその旨の登記がされ,その地上権をB及びCが準共有している場合でも,その後,BがAから甲土地の所有権を取得したときは,地上権は消滅する。
3.既に抵当権が設定されている甲土地を所有するAがBのために甲土地を目的とする地上権を設定してその旨の登記がされた場合,その後,BがAから甲土地の所有権を取得したときは,地上権は消滅する。
4.甲土地を所有するAがBのために甲土地を目的とする地上権を設定してその旨の登記がされたが,BのAに対する地代支払債務について未払があった場合,その後,BがAから甲土地の所有権を取得したときは,その未払債務は消滅する。
5.甲土地を所有するAがBのために甲土地を目的とする地上権を設定してその旨の登記がされ,Bが甲土地上に乙建物を建ててCに賃貸したときは,その後,BがAから甲土地の所有権を取得したときでも,地上権は消滅しない。
解答 3
第2編 物権 第2章 占有権
MN1290H24-10K 引渡しの方法 A
引渡しの方法に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものはどれか。
1.Aは,Bから動産甲を買い受け,占有改定の方法で引渡しを受けたが,その後,Bは,動産甲をCに奪われてしまった。この場合,Aは,所有権に基づいてCに対して動産甲の返還を請求することができるのみでなく,Cに対して占有回収の訴えを起こすことができる。
2.Aは,Bから動産甲を買い受け,占有改定の方法で引渡しを受けたが,その後,Bは,動産甲をCにも売却し,現実に引き渡した。この場合,Cは,BのAに対する動産甲の売却について善意無過失でなくても,動産甲の所有権取得をAに対抗することができる。
3.Aは,Bから借用して占有していた動産甲をBから買い受けた。この場合,Aは,Bに動産甲をいったん返還した上でBから改めて動産甲の現実の引渡しを受けない限り,その所有権の取得を第三者に対抗することはできない。
4.Aは,Bに対する債権を担保するため,Bとの間で,B所有の動産甲に質権の設定を受けた。この場合,指図による占有移転により動産甲の引渡しを受けたのみでは,質権の効力は生じない。
5.Aは,Bが第三者に寄託している動産甲をBから買い受け,自ら受寄者に対し,以後Aのために動産甲を占有することを命じ,受寄者がこれを承諾したときは,Aは,動産甲の占有権を取得する。
解答 1
MN1300H26-10 占有回収の訴え B
A大学の図書館所蔵の書籍甲を,同大学教授Bが借り出し,図書館と同一の構内にある自己の研究室で利用していたことを前提として,次の1から4までの各記述のうち,誤っているものを2個選びなさい。
1.Bが海外出張のため1週間大学を留守にしていた間に,Cが甲を盗み出して現に所持している場合,Bは,Cに対し,占有回収の訴えにより甲の返還を求めることができる。
2.Bが目を離した隙に,Dが甲を盗み出した上,自己の物と偽ってEに売却し,引き渡した。甲にはA大学図書館の蔵書印が押捺されており,Eは,Dが甲を横領したものであると考えていた場合であっても,Bは,Eに対し,占有回収の訴えにより甲の返還を求めることはできない。
3.Bが研究室から自宅に甲を持ち帰る途中,電車内に甲を置き忘れたところ,Fがこれを拾得して現に所持している場合,Bは,Fに対し,占有回収の訴えにより甲の返還を求めることができる。
4.Bは,助手Gに対し,甲の一部について複写するよう指示して甲を預けたところ,Gが目を離した隙にHが甲を盗み出して現に所持している場合,Bは,Hに対し,占有回収の訴えにより甲の返還を求めることはできない。
解答 3,4
MN1310H26-05Y 占有回収の訴え B
Aが所有して占有する動産を奪ったBが,この動産をCに売って引き渡した場合について,次の⑴及び⑵に答えなさい。
⑴ AがCに対して占有回収の訴えを提起することができる場合の説明として判例の趣旨に照らし正しいものは,次のうちどれか。
1.Cが,Bが動産の所有者でないことを過失により知らなかったとき。
2.Cが,Bによる占有侵奪の事実を知っていたとき。
3.Cが,Aが動産の所有者であることを知っていたとき。
⑵ AがCに対して占有回収の訴えを提起した場合の効果について,判例の趣旨に照らし正しいものは,次のうちどれか。
1.Aは,占有回収の訴えを提起したことにより占有を継続していたとみなされる。
2.Aは,占有回収の訴えに勝訴し,その判決が確定した場合において,その確定した時から,新しい占有が開始したものとみなされる。
3.Aは,占有回収の訴えに勝訴し,その判決が確定した場合において,その確定判決により現実に動産の占有を回復したときは,現実に占有していなかった間も占有を継続していたとみなされる。
解答 (1)2(2)3
MN1320H30-08K 占有権 B
占有権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.占有保持の訴えは,妨害の存する間のみ提起することができる。
イ.Aが所有する甲建物にAと同居しているAの未成年の子Bは,甲建物の占有権を有しない。
ウ.Aは,Bが所有する甲土地を解除条件付でBから買い受ける旨の売買契約を締結し,当該売買契約に基づいてBから甲土地の引渡しを受けた。その後,解除条件が成就した場合,Aの甲土地に対する占有は自主占有でなくなる。
エ.甲土地を占有していた権利能力なき社団が一般社団法人になった場合,その一般社団法人は,甲土地の取得時効を主張するに際して,権利能力なき社団として占有した期間を併せて主張することができる。
オ.占有の訴えに対し,本権に基づく反訴を提起することはできない。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ エ 4.ウ エ 5.ウ オ
解答 3
MN1321R02-09 占有の訴え B
占有の訴えに関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Aは自己の所有するコピー機をBに賃貸していたが,Bはコピー機の賃貸借契約が終了した後もコピー機を使用し続け,Aに返還しなかった。この場合,Aは,Bに対し,占有回収の訴えによりコピー機の返還を請求することができる。
イ.Aは,底面に「所有者A」と印字されたシールを貼ってある自己所有のパソコンをBに窃取された。その後,Bは,パソコンの外観に変更を加えることなく,パソコンを盗難の事情を知らないCに譲渡した。この場合,Aは,Cに対し,占有回収の訴えにより同パソコンの返還を請求することはできない。
ウ.Aは自己の所有する工作機械をBに賃貸していたが,Bは,工作機械の賃貸借契約継続中に工作機械をCに窃取された。この場合,Bは,Aから独立して,Cに対して占有回収の訴えを提起することができる。
エ.Aは,自己の所有する自転車をBに詐取された。この場合,Aは,Bに対し,占有回収の訴えにより自転車の返還を請求することができる。
オ.Aは,別荘地に土地を所有していた。その隣地の所有者であったBは,Aに無断で境界を越えてA所有の土地に塀を作り始め,2年後にその塀が完成した。Aは,この時点において,Bに対し,占有保持の訴えによりその塀の撤去を請求することはできない。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ ウ 4.ウ オ 5.エ オ
解答 2
MN1322R03-08 占有権 A
占有権に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Aが自己所有の甲土地につき宅地造成工事を開始したために,隣接する乙土地に危険が生じている場合,乙土地に居住するBは,工事開始時から1年が経過したときであっても,工事が完成する前であれば,Aに対して占有保全の訴えを提起することができる。
イ.Aが占有していた動産甲をBが奪取した場合において,Bが甲の所有者であることが明らかになったときは,Aによる占有回収の訴えは認められない。
ウ.AがB所有の動産甲を無断でCに賃貸した後,Cの責めに帰すべき事由によって甲が損傷した場合,Bから甲の返還を求められたCは,甲の所有者がAであると過失なく信じていたとしても,その損害の全部の賠償をしなければならない。
エ.Aが,自己が占有する動産甲をBに売却し,甲を以後Bのために占有する旨の意思を表示したときは,Bは,甲の占有権を取得する。
オ.動産甲をその所有者Aから賃借して占有していたBが,Aとの間で,Aから甲を買い受けてAの占有権を譲り受ける旨の合意をしたときは,Bの占有は,自主占有となる。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ オ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 1
第2編 物権 第3章 所有権
MN1350H26-12 相隣関係 B
相隣関係に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.土地の所有者は,隣地との境界付近において建物を修繕するため必要な範囲内で,隣地の使用を請求することができるが,隣地所有者がこれにより損害を受けたときは,その償金を支払わなければならない。(問改)
イ.土地の分割によって公道に通じない土地が生じた場合には,その土地の所有者は,公道に至るため,他の分割者の所有地のみを通行することができ,その通行について償金を支払う必要はない。
ウ.土地の所有者は,やむを得ない事由がある場合には,直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根を設けることができるが,隣地所有者がこれにより損害を受けたときは,その償金を支払わなければならない。
エ.土地の境界線から50センチメートル以上の距離を保って建物を築造しなければならない場合においても,境界線に接して建築をしようとする者がいるときに,隣地の所有者は,その建築を中止させ,又は変更させることができない。
オ.土地の所有者は,隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは,その枝を切除することができ,かつ,その費用を隣地の所有者に請求することができる。
1.ア イ 2.ア ウ 3.ウ エ 4.イ オ 5.エ オ
解答 1
MN1360H28-10 相隣関係と地役権 A
相隣関係及び地役権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.共有物の分割によって袋地(他人の土地に囲まれて公道に通じない土地)が生じた場合,当該袋地の所有者は,囲繞地(袋地を囲んでいる土地)のうち,他の分割者の所有地についてのみ無償の通行権を有するが,その通行権は,他の分割者の所有地について売買がされた場合には消滅する。
イ.袋地の所有権を取得した者は,所有権取得登記を経由していなくても,囲繞地の所有者及び囲繞地につき利用権を有する者に対して,公道に至るため囲繞地を通行する権利を主張することができる。
ウ.甲土地を所有するAは,甲土地の賃借人であるBがC所有の乙土地の上に通路を開設した場合であっても,Aがその通路の利用を20年間続けていたときには,甲土地を要役地,乙土地を承役地とする通行地役権の時効取得を主張することができる。
エ.甲土地を所有するAと,乙土地を所有するBとの間で,甲土地を要役地,乙土地を承役地とする通行地役権設定の合意がされたが,通行地役権の設定登記がない場合,その後,Aから甲土地を譲り受けたCは,甲土地の所有権移転の登記を経由しても,Bに対し,通行地役権を主張することができない。
オ.甲土地をAとBが共有する場合において,Bが,甲土地を要役地,C所有の乙土地を承役地とする通行地役権を時効により取得したときは,Aも,甲土地を要役地,乙土地を承役地とする通行地役権を取得する。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
解答 4
MN1370R01-09 相隣関係 A
相隣関係に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.AとBが共有する土地の分割によって公道に通じないA所有の甲土地と公道に通じるB所有の乙土地が生じた場合において,甲土地から公道に至るためにはC所有の丙土地を通行するのが最も損害が少ないときは,Aは,丙土地を通行することができる。
イ.土地の所有者は,隣地の所有者が隣地に設置した排水溝の破壊又は閉塞により自己の土地に損害が及んでいる場合,隣地の所有者に,排水溝の修繕又は障害の除去をさせることができる。
ウ.土地の所有者は,隣地の竹木の枝が境界線を越えているときは,自らその枝を切除することができる。
エ.境界線上に設けられた境界標は,相隣者の共有に属するものと推定される。
オ.土地の所有者は,隣地の所有者と共同の費用で,境界標を設けることができる。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ エ
解答 1
MN1380H29-09 物権の費用負担・償金等 B
物権についての費用負担,償金等に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.AとBが共有する土地の分割によって公道に通じない甲土地と公道に通じる乙土地が生じた場合,甲土地の所有者Aは,公道に至るため,Bの所有する乙土地を通行することができるが,その通行について償金を支払う必要がある。
イ.2棟の建物がその所有者を異にし,かつ,その間に空地があるときは,各所有者は,他の所有者と共同の費用で,その境界に囲障を設けることができる。
ウ.A所有の主たる動産とB所有の従たる動産が,付合により,損傷しなければ分離することができなくなったときは,その合成物の所有権はAに帰属するが,BはAに対して償金を請求することができる。
エ.AとBが建物を共有する場合において,AがBの持分に応じた管理費用について立替払をし,Bに対して償還義務の履行の催告をしたにもかかわらず,Bがその義務を1年以内に履行しないときは,Aは,相当の償金を支払ってBの持分を取得することができる。
オ.Aが,その所有する甲土地の排水を通過させるため,甲土地より低地である乙土地の所有者Bが既に設けていた排水設備を使用し始めた場合,Aは,その利益を受ける割合に応じて,同設備の保存費用を分担する必要があるが,同設備の設置費用を分担する必要はない。
1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.ウ オ
解答 2
MN1390H30-11K 所有権の取得 B
所有権の取得に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.AがA所有の甲土地をBに譲渡し,Bが甲土地上に立木を植栽して明認方法を施した場合において,その後,AがCに甲土地を譲渡して,Cに対する所有権移転登記をしたときは,明認方法が存続していたとしても,BはCに対して,立木の所有権を対抗することができない。
イ.AがBに対して,完成した建物の所有権の帰属について特約をせずに,A所有の土地上に建物を建築することを注文したところ,Bが自ら材料を提供して建前を建築した段階で工事を中止した場合(その時点における時価400万円相当)において,Aから残工事を請け負ったCが自ら材料を提供して当該建前を独立の不動産である建物に仕上げ(その時点における時価900万円相当),かつ,AがCに代金を支払っていないときは,当該建物の所有権は,Cに帰属する。
ウ.Aの所有する船舶(時価600万円相当)に,Bの所有する発動機(時価400万円相当)が取り付けられた場合において,損傷しなければこれらを分離することができず,主従の区別がつかないときは,当該発動機付船舶は,3対2の割合でAとBが共有する。
エ.Aが所有する建物を賃借したBがAの同意を得て増築をした場合には,その増築部分について取引上の独立性がなくても,増築部分の所有権は,Bに帰属する。
オ.Aの所有する液体甲(100立方メートル)が,Bの所有する液体乙(10立方メートル)と混和して識別することができなくなり,液体丙(110立方メートル)となった場合において,Aが液体丙の所有権を取得したときは,BはAに対し,不当利得の規定に従い,その償金を請求することができる。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ ウ 4.ウ オ 5.エ オ
解答 2
MN1400R01-08 所有権 A
所有権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.土地の使用収益の権原なく播種された種子が苗に生育した場合,その苗の所有権は,播種した者ではなく,その土地の所有者が取得する。
イ.立木の所有権に関する明認方法は,現所有者と前所有者が共同して,現所有者名のほか,所有権の取得原因,前所有者名を表示することが必要である。
ウ.甲土地とその上の立木を所有するAが立木の所有権を留保して甲土地をBに譲渡した後,BがCに甲土地を立木とともに譲渡した場合,Aは,立木の所有権の留保について登記や明認方法を備えなくても,立木の所有権をCに主張することができる。
エ.甲土地とその上の立木を所有するAがBに甲土地を立木とともに譲渡し,甲土地についてAからBへの所有権移転登記がされた後,CがAから立木のみを譲り受け,立木について明認方法を備えた場合,Cは立木の所有権をBに主張することができる。
オ.加工者が他人の木材のみを材料としてこれに工作を加えた場合において,その工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときは,加工者がその加工物の所有権を取得する。
1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.ウ オ
解答 2
MN1420H27-10 共有物分割 B
共有物の分割に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.遺産分割前において共同相続人の一人から遺産を構成する不動産の共有持分権を譲り受けた第三者が,その不動産の共同所有関係の解消を求めるためには,共有物分割訴訟によらなければならない。
イ.共有物の分割請求をした共有者が多数の場合,分割請求をされた共有者の持分の限度で現物を分割し,その余は分割請求をした共有者の共有として残す方法により共有物の分割をすることはできない。
ウ.共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし,これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法により共有物の分割をすることはできない。エ.裁判所は,共有物の現物を分割する方法によっても,共有者に債務を負担させて,他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法によっても共有物を分割することができないとき,又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは,共有物の競売を命ずることができる。(問改)
オ.数個の共有建物を一括して分割の対象とし,共有者各自が各個の建物の単独所有権を取得す
る方法により共有物の分割をすることはできない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
解答 2
MN1460H25-12K 共有 A
共有に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.共有地について筆界の確定を求める訴えを提起しようとする場合に,一部の共有者が訴えの提起に同調しないときは,その余の共有者は,隣接する土地の所有者と訴えの提起に同調しない共有者とを被告として,上記訴えを提起することができる。
イ.裁判所に請求して共有物の分割をする場合,共有物の現物を分割するか,共有物を競売して売得金を分割する方法のいずれかによらなければならず,共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし,これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法によることはできない。
ウ.共有物について賃貸借契約(期間が3年を超えないもの)締結することは,過半数の持分を有する共有者によって可能であるが,賃貸借契約の解除は,共有者全員によってされる必要がある。(問改)
エ.ABが共有する土地につき,Cが無権限で自己への所有権移転登記をした場合,Aは,単独で,Cに対し,抹消登記手続を請求することができる。
オ.ABが各2分の1の持分で甲土地を共有している場合に,Bは,AB間の協議に基づかずにAの承認を受けて甲土地を占有するCに対し,単独で,甲土地の明渡しを求めることはできない。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ ウ 4.ウ オ 5.エ オ
解答 3
MN1470H27-09 共有 A
Aが3分の1,Bが3分の2の持分で甲土地を共有している場合に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Aは,Bに無断で,甲土地の自己の持分について抵当権を設定することができない。
イ.Aに無断でBが甲土地を農地から宅地にする造成工事を行い,甲土地の形状を変更している場合,Aは,Bに対し,その工事の差止めを求めることができる。
ウ.Aに無断でBが甲土地上に乙建物を建て,甲土地全体を単独で使用している場合,Aは,Bに対し,自己の持分割合に応じ,甲土地の地代相当額の支払を請求することができる。
エ.甲土地の利用方法についてAとBが協議したが意見が一致せず,Aに無断でBがCと甲土地の賃貸借契約を締結し,Cが甲土地を占有している場合,Aは,Cに対し,甲土地全体の明渡しを求めることができる。
オ.AがBに無断で甲土地全体を単独で占有している場合であっても,Bは,自分の共有持分が過半数を超えることを理由として,Aに対し,甲土地全体の明渡しを求めることはできない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
解答 2
MN1480H27-05Y 共有 B
AとBが各2分の1の割合で共有する甲土地の法律関係に関する次の1から4までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか。
1.Aは,甲土地の不法占拠者に対し単独で不法行為に基づく損害賠償を請求することができるが,Aの請求することができる損害賠償の額は,Aの持分割合に相当する額に限られる。
2.AB間の合意により甲土地をAが単独で使用する旨を定めた場合,Aは,甲土地を単独で使用することができるが,Bに対し自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。(問改)
3.Aが死亡し,その相続人の不存在が確定するとともに,甲土地がAの特別縁故者に対する財産分与の対象にもならなかったときは,Aの有していた甲土地の持分はBに帰属する。
4.Aが甲土地の管理費用のうちBが負担すべき分を立て替えて支払った後,Bが甲土地の自己の持分をCに譲渡した場合,Aは,Cに対し,その立替金額の支払を請求することができる。
解答 2
MN1490H29-10K 共有・入会権 B
複数の者が共同で権利を有する場合に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.A,B及びCの3名が各3分の1の割合による持分を有する建物について,Aが単独でその建物を占有している場合,Bは,Aに対し,その建物の明渡しを請求することができる。
イ.A,B及びCの3名が各3分の1の割合による持分を有する土地につき,Aがその所有者をAのみとする登記をした場合,Bは,Aに対し,A,B及びCの3名の持分を各3分の1とする更正登記手続を求めることができる。
ウ.A,B及びCの3名が共同相続し,その遺産分割の前に,法定相続分に応じた持分の割合により相続登記がされた土地につき,CからDに不実の持分権移転登記がされた場合,Aは,Dに対し,当該持分権移転登記の抹消登記手続を求めることができる。
エ.入会権は,登記がなくても第三者に対抗することができる。
オ.入会団体の構成員が採枝・採草の収益を行う権能を有する入会地がある場合において,その入会地にA名義の不実の地上権設定登記があるときは,その入会団体の構成員であるBは,Aに対し,入会地におけるBの使用収益権に基づき,当該地上権設定登記の抹消登記手続を求めることができる。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ エ
解答 5
MN1500R01-10K 共有 A
A,B及びCが各3分の1の割合で甲建物を共有している場合に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Aは,その持分に抵当権を設定する場合,B及びCの同意を得る必要がある。
イ.DがA,B及びCに無断でD名義の所有権移転登記をした場合,Aは,B及びCの同意を得ることなく単独で,Dに対してその所有権移転登記の抹消登記手続を請求することができる。
ウ.Aは,その持分を放棄する場合,B又はCの同意を得る必要がある。
エ.AがB及びCに無断で甲建物をEに引き渡し,無償で使用させている場合,Bは,Cの同意を得ることなく単独で,Eに対して甲建物の明渡しを請求することができる。
オ.AがBに対して甲建物の管理に関する債権を有する場合において,Bがその持分をFに譲渡したときは,Aは,Fに対してもその債権を行使することができる。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ オ 4.ウ エ 5.ウ オ
解答 3
MN1501R03-09 共有 A
共有に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.金塊の共有者は,分割をしない旨の契約をしていない場合には,いつでも,その動産の分割を請求することができる。
イ.共有物分割訴訟においては,共有者の全員が当事者とならなければならない。
ウ.共有物の分割を求める裁判において、共有物の現物を分割する方法、もしくは共有者に債務を負担させて他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法により共有物の分割ができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは,裁判所は,その競売を命じなければならない。(問改)
エ.各共有者は,他の共有者が共有物の分割によって取得した物について,その持分に応じて担保の責任を負う。
オ.共有者の一人が,その持分を譲渡するためには,他の共有者の同意を得なければならない。
1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.ウ オ
解答 5
第2編 物権 第4章 地上権
MN1508R02-10 地上権 B
地上権に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.地上権者は,地上権設定者に対し,その地上権の設定登記を請求する権利を有する。
イ.約定による地上権の存続期間は,20年以上50年以下の範囲内で定めなければならない。
ウ.地上権は,工作物又は竹木を所有する目的で土地を使用する権利である。
エ.地下又は空間は,工作物を所有するため,上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができる。
オ.地上権は,地上権設定者の承諾を得なければ,譲渡することができない。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ オ 4.ウ エ 5.ウ オ
解答 3
第2編 物権 第6章 地役権
MN1510H27-11 地役権 A
地役権に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.地役権者がその権利の一部を行使しないときは,その部分のみが時効によって消滅する。
イ.要役地に隣接しない土地を承役地として地役権を設定することはできない。
ウ.要役地が数人の共有に属する場合において,要役地の共有者の一人は,その持分につき,その土地のために存する地役権を放棄することができる。
エ.要役地が数人の共有に属する場合において,その一人のために時効の完成猶予又は更新があるときは,その完成猶予又は更新は,他の共有者のためにも,その効力を生ずる。(問改)
オ.要役地の所有者は,地役権を要役地から分離して譲渡することができない。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 3
MN1511R03-04Y 通行地役権 B
Aは,自己の所有する甲土地を利用するため,B所有の乙土地の一部に通路を開設し,その通路を通行していた。この事例に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Aは,Bから通行地役権の設定を受けていたが,未登記であった。Aによる通路の利用を認識していたものの通行地役権の存在は知らなかったCがBから乙土地を譲り受けた場合,Aは,Cに通行地役権を対抗することができる。
イ.AがBから通行地役権の設定を受けていた場合において,その後,Aがこの通路を全く通行しなくなったときは,Aの地役権は,Aが通路を通行した最後の時を起算点として消滅時効にかかる。
ウ.Aは,Bから通行地役権の設定を受けずに通路を開設して通行していたが,Bはそのことを知りつつ黙認していた。この場合,Aは,Bに対して通行の対価を支払っていなければ,通行地役権を時効取得することができない。
エ.AがBから通行地役権の設定を受けていた場合,Aは,乙土地の通行を必要とするCに対し,甲土地の所有権を譲渡することなく,その通行地役権のみを譲渡することができる。
オ.Aが甲土地の2分の1の持分をCに譲渡して,A及びCが甲土地を共有するに至った場合において,Aが通行地役権を時効により取得したときは,Cも通行地役権を取得する。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ
解答 2
MN1520H24-13 用益物権 B
用益物権に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか。
1.入会団体の構成員は,入会権の目的となっている山林原野の使用収益を妨げる者がいる場合には,別段の慣習がない限り,単独で,その者に対し,妨害排除を請求することができる。
2.借地借家法にいう借地権には,建物の所有を目的とする地上権も含まれる。
3.建物が存する土地を目的として,先順位の甲抵当権及びこれと抵当権者を異にする後順位の乙抵当権が設定された後,甲抵当権が被担保債権の弁済により消滅し,その後,乙抵当権の実行により土地と地上建物の所有者を異にするに至った場合において,当該土地と建物が,甲抵当権の設定時には同一の所有者に属していなかったとしても,乙抵当権の設定時に同一の所有者に属していたときは,法定地上権が成立する。
4.要役地の所有者が,他人所有の土地を承役地とする通行地役権を時効により取得するためには,自ら通路を開設して継続的に通行の用に供することが必要である。
5.通行地役権の承役地がAに譲渡された場合において,譲渡の時に要役地の所有者Bによって承役地が継続的に通路として使用されていることがその位置,形状,構造等の物理的状況からして客観的に明らかであったとしても,Aが通行地役権の存在を認識していなかったときは,Aは,通行地役権につき,地役権設定登記の不存在を主張する正当な利益を有する第三者に当たる。
解答 5
MN1530H25-11 用益物権 B
用益物権に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.地上権は,抵当権の目的とすることができない。
イ.土地の所有者と地上権者との間において,地上権の譲渡を禁ずる旨の特約がある場合であっても,地上権者がその後に第三者との間で地上権を譲渡する旨の契約を締結したときは,その第三者は,地上権を取得することができる。
ウ.地役権者は,承役地の所有者に対し,必ず便益の対価を支払わなければならない。
エ.法定地上権を取得した者は,土地の所有者に対し,地代を支払う義務を負わない。
オ.定期の地代を支払うべき地上権者が引き続き2年以上地代の支払を怠ったときは,土地の所有者は,地上権の消滅を請求することができる。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ オ
解答 4
MN1540H30-09 用益物権 B
用益物権に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.無償の地上権を設定することはできない。
イ.地上権は,存続期間を定めないで,設定することができる。
ウ.無償の永小作権を設定することはできない。
エ.無償の地役権を設定することはできない。
オ.地役権は,存続期間を定めないで,設定することができる。
1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.ウ オ