第7編 訴訟の完結 第1章 総説

MS1490H29-43Y 裁判によらない訴訟の完結 B

裁判によらない訴訟の完結に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを2個選びなさい。 
1.本案について終局判決がされた後,その判決が控訴審で取り消され,事件が第一審に差し戻された場合において,改めて終局判決がされるまでに訴えの取下げがされたときは,再訴禁止の効果を生じない。
2.当事者双方が,あらかじめ裁判所から提示された和解条項案を受諾する旨の書面を提出し,口頭弁論の期日に出頭しないときは,裁判所は,当事者間に和解が調ったものとみなすことができる。
3.口頭弁論の期日に成立した和解の無効を主張する当事者は,新たな期日の指定の申立てをしなければならず,和解が無効であることの確認の訴えを提起することができない。
4.請求の放棄又は認諾をする旨の書面を提出した当事者が口頭弁論の期日に出頭せず,相手方のみが出頭したときは,裁判所は,不出頭の当事者が請求の放棄又は認諾をする旨の陳述をしたものとみなすことができる。
5.離婚請求訴訟において,被告は,請求の認諾をすることができない。

解答 1,4

MS1491R03-42Y 裁判によらない訴訟の完結 A

裁判によらない訴訟の完結に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。 
ア.請求の認諾は,和解の期日においてもすることができる。
イ.請求の放棄は,被告が本案について口頭弁論をした後にあっても,その同意を得ることなくすることができる。
ウ.当事者双方が裁判外で訴えを取り下げる旨の合意をし,被告がその合意の存在を口頭弁論又は弁論準備手続の期日において主張立証した場合には,訴えの取下げがあったものとみなされる。
エ.裁判所は,当事者双方のための衡平を考慮し,職権で,事件の解決のために適当な和解条項を定めることができ,当事者双方がその和解条項の告知を受けたときは,訴訟上の和解が調ったものとみなされる。
オ.訴訟が訴訟上の和解により終了した場合において,その後,その和解の内容である私法上の契約が債務不履行により解除されたとしても,和解による訴訟終了の効果には影響を及ぼさない。 
1.ア ウ  2.ア オ  3.イ エ  4.イ オ  5.ウ エ

解答 5

第7編 訴訟の完結 第2章 訴えの取下げ

MS1560H30-42Y 訴えの取下げ A

訴えの取下げに関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものはどれか。 
1.訴えは,判決が確定した後も,その全部又は一部を取り下げることができる。
2.控訴人と被控訴人の双方が控訴審の口頭弁論の期日に出頭しない場合において,1月以内に期日指定の申立てをしないときは,訴えの取下げがあったものとみなされる。
3.訴えの取下げは,期日外においてもすることができる。
4.本訴が取り下げられた場合において,反訴を取り下げるには,相手方の同意を得なければならない。
5.原告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭しなかった場合には,訴えの取下げがあったものとみなされる。

解答 3

MS1561R02-44Y 訴えの取下げ A

適法に訴えが取り下げられた場合の効果に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを2個選びなさい。 
1.訴訟は,訴えの一部の取下げがあった場合には,その部分についてのみ初めから係属していなかったものとみなされる。
2.第一審裁判所は,当事者の申立てにより,訴えの取下げまでに生じた訴訟費用の負担を命じなければならない。
3.請求を全部認容した第一審判決が控訴裁判所により取り消されて,事件が第一審に差し戻された場合において,原告が差戻し後の第一審において訴えを取り下げたときは,原告は,同一の訴えを提起することができない。
4.訴えを却下する判決がされた後に訴えを取り下げた原告は,同一の訴えを提起することができない。
5.金銭債務の不存在確認を求める訴訟において請求を棄却する判決がされた後に,原告が訴えを取り下げた場合であっても,被告は,当該金銭債務の履行を求める訴えを提起することができる。

解答 3,4

第7編 訴訟の完結 第3章 請求の放棄認諾

MS1600H28-42Y 請求の放棄・認諾 A

請求の放棄又は認諾に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。 
ア.請求の認諾は,相手方が出頭していない口頭弁論の期日においてもすることができる。
イ.後見人その他の法定代理人が請求の放棄をするには,特別の授権がなければならない。
ウ.相手方が反対給付を履行することを条件にして,請求の認諾をすることができる。
エ.請求の放棄をする旨の書面が期日外に裁判所に提出されても,当事者が口頭弁論の期日に出席し,その旨を陳述しなければ,請求の放棄の効力は生じない。
オ.請求の認諾は,訴訟要件を欠く訴えにおいてもすることができる。 
1.ア イ  2.ア エ  3.イ ウ  4.ウ オ  5.エ オ 

解答 1

第7編 訴訟の完結 第4章 訴訟上の和解

MS1640R01-34Y 訴訟上の和解 A

訴訟上の和解に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを2個選びなさい。 
1.裁判所は,口頭弁論の終結後に和解を試みる場合には,口頭弁論の再開を命じなければならない。
2.訴訟上の和解は,訴訟物である権利以外の権利をその対象に含めることができる。
3.当事者以外の第三者も,訴訟上の和解に参加することができ,和解が成立した場合には,和解調書の執行力は,その第三者にも及ぶ。
4.建物明渡請求訴訟において,被告が請求原因事実を全て認め,抗弁を提出しなかった場合であっても,当事者は,建物明渡期限の猶予を内容とする和解をすることができる。
5.当事者が訴訟上の和解をした後,重要な錯誤があるとしてその和解の効力を争うためには,和解無効確認の訴えによらなければならない。(問改)

解答 1,5

MS1641R02-34Y 裁判上の和解 A

裁判上の和解に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものを2個選びなさい。 
1.受訴裁判所は,和解の試みを受命裁判官にさせることができるが,受託裁判官にさせることはできない。
2.当事者が裁判所において和解をした場合に,訴訟費用の負担について定めなかったときは,各当事者が自己の支出した訴訟費用を負担することになる。
3.簡易裁判所が和解に代わる決定をした場合に,当事者は,その決定に対して異議を申し立てることができない。
4.貸金返還請求訴訟において和解が成立した結果,原告の被告に対する貸金返還請求権が確定した場合には,消滅時効が更新される。
5.上告裁判所は,和解を試みることを相当と認める場合には,原審に事件を差し戻さなければならない。

解答 2,4

第8編 終局判決 第1章 裁判の種類

MS1670H29-40Y 判決 A

判決に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものはどれか。 
1.判決は,言渡しによってその効力を生じ,当事者が上訴をする場合には,判決の言渡しの日の翌日から14日以内にしなければならない。
2.判決書の原本は,判決の言渡し後に作成することもできる。
3.判決の言渡しは,当事者双方が欠席した場合であっても,することができる。
4.判決の言渡しは,主文と理由を朗読する方法によりしなければならない。
5.裁判所書記官は,当事者の申請がなければ,判決書の正本や判決書に代わる調書の謄本を当事者に送達する必要はない。

解答 3

MS1680H28-34Y 裁判 A

民事訴訟における裁判に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。 
ア.判決は裁判所による裁判であるが,決定は裁判長による裁判である。
イ.判決は公開の法廷における言渡しによってその効力を生ずるが,決定は相当と認める方法で関係人に告知することによってその効力を生ずる。
ウ.判決は口頭弁論を経てしなければならないが,決定は口頭弁論を経ないでしなければならない。
エ.判決を言い渡した裁判所は,当該判決に計算違い,誤記その他これらに類する明白な誤りがあるとき以外は,言渡し後にそれを変更することができない。
オ.適法に即時抗告がされた場合,原裁判をした裁判所又は裁判長は,抗告を理由があると認めるときは,その裁判を更正しなければならない。 
1.ア ウ  2.ア エ  3.イ ウ  4.イ オ  5.エ オ

解答 4

MS1720H27-34Y 訴訟費用 B

訴訟費用に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものを2個選びなさい。
1.裁判所は,終局判決において,当事者の申立てがなくても,訴訟費用の負担について裁判をしなければならない。
2.訴訟費用の負担の裁判の対象となる訴訟費用には,当事者が任意で選任した訴訟代理人である弁護士に対して支払う報酬も含まれる。
3.訴訟上の救助の決定は,申立て又は職権ですることができる。
4.訴訟費用は,敗訴の当事者が負担するのが原則であるが,裁判所は,事情により,勝訴の当事者に,その権利の伸張又は防御に必要でない行為によって生じた訴訟費用の全部又は一部を負担させることができる。
5.当事者が裁判所において和解をした場合における和解の費用は,その負担について特別の定めをしなかったときは,当事者双方が半分ずつ平等に負担する。

解答 1,4

第8編 終局判決 第5章 既判力

MS1780R01-43Y 確定判決の効力が及ぶ者 A

確定判決の効力が及ぶ者に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。 
ア.XがYに対して土地の賃貸借契約終了に基づき建物収去土地明渡しを求める訴えを提起し,Xの請求を認容する判決が確定した後,ZがYから当該建物を借り受けて当該土地を占有する場合に,この判決の効力は,Zにも及ぶ。
イ.XがY法人に対して損害賠償を求める訴えを提起し,Xの請求を認容する判決が確定した後,Y法人がZ法人を新たに設立して資産を移転したが,法人格の濫用であるとしてZ法人の法人格が否認される場合に,この判決の効力は,Z法人にも及ぶ。
ウ.XがYを被告として離婚の訴えを提起し,Xの請求を棄却する判決が確定した場合に,この判決の効力は,第三者にも及ぶ。
エ.XがYに対して動産の引渡しを求める訴えを提起し,Xの請求を認容する判決が確定した場合に,この判決の効力は,その訴えに係る第一審の口頭弁論の終結前にYから当該動産を賃借したZにも及ぶ。
オ.XがYに対して所有権移転登記の原因となる行為の不存在を理由として所有権に基づき不動産の所有権移転登記抹消登記手続を求める訴えを提起し,Xの請求を認容する判決が確定した後,YがZに対して当該不動産の所有権移転登記手続をした場合に,この判決の効力は,Zにも及ぶ。 
1.ア エ  2.ア オ  3.イ ウ  4.イ エ  5.ウ オ

解答 4

MS1831R02-40Y 相殺の抗弁 B

Xは,Yに対し,金銭債権である甲債権を,Yは,Xに対し,金銭債権である乙債権をそれぞれ有しており,甲債権と乙債権とは,相殺適状にあるところ,XがYに対して甲債権に基づく金銭の支払を求める訴え(以下「本件訴え」といい,本件訴えに係る訴訟を「本件訴訟」という。)を提起した。この場合における相殺に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。 
ア.Yが本件訴訟の口頭弁論の終結時までに相殺の意思表示をせず,Xの請求を全部認容する判決が確定した場合において,Yが,その後に乙債権を自働債権とし,甲債権を受働債権とする相殺の意思表示をし,Xに対して提起した請求異議の訴えに係る訴訟において,甲債権の消滅を主張することは,この判決の既判力に抵触し,許されない。
イ.Yが本件訴えの反訴として乙債権に基づく金銭の支払を求める訴えを提起した場合において,Xが,甲債権の全部又は一部が時効により消滅したと判断されることを条件として,甲債権のうち時効により消滅した部分を自働債権とし,乙債権を受働債権とする相殺の抗弁を主張することは,許されない。
ウ.Yが本件訴訟において乙債権を自働債権とし,甲債権を受働債権とする訴訟上の相殺の抗弁を主張した場合において,Xが,甲債権と異なる他のYに対する債権を自働債権とし,乙債権を受働債権とする訴訟上の相殺の再抗弁を主張することは,許されない。
エ.Yが本件訴えの反訴として乙債権に基づく金銭の支払を求める訴えを提起した場合において,Yが,Xの請求に対し,乙債権を自働債権とし,甲債権を受働債権とする相殺の抗弁を主張することは,許されない。
オ.本件訴訟とYのXに対する乙債権に基づく金銭の支払を求める訴えに係る訴訟とがそれぞれ係属している場合に,Yが,本件訴訟において乙債権を自働債権とし,甲債権を受働債権とする相殺の抗弁を主張することは,許されない。 
1.ア ウ  2.ア エ  3.イ エ  4.イ オ  5.ウ オ

解答 5

MS1840H28-36Y 確定判決の拘束力 A

確定判決の拘束力に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを2個選びなさい。 
1.売買による所有権の取得を請求原因として買主が提起した所有権確認請求訴訟において,被告である売主が詐欺を理由として売買契約の取消しをすることができたのにこれをしないまま口頭弁論が終結し,請求を認容する判決が確定した場合には,売主は自己の所有権の確認を買主に対して求める後訴において当該取消しを主張して買主の所有権の取得を争うことができない。
2.貸金返還請求訴訟において,被告である借主が相殺適状にある反対債権を有していたものの,相殺の意思表示をしないまま口頭弁論が終結し,請求を認容する判決が確定した場合には,借主は,その確定判決について提起した請求異議の訴えにおいて,その後にした相殺の意思表示による債務の消滅の効果を請求異議の事由として主張することができる。
3.甲土地の所有権を主張するXが,Xからの贈与を原因とする所有権移転登記を有するYに対して贈与の不存在を理由に当該登記の抹消登記を求める抹消登記手続請求訴訟を提起した場合において,判決の理由中の判断においてXに甲土地の所有権があるとして,請求を認容する判決が確定したときは,YはXに対して甲土地の明渡しを求める後訴においてYが甲土地を所有する旨を主張することはできない。
4.土地の賃貸人から提起された建物収去土地明渡請求訴訟において,被告である借地人が建物買取請求権を行使しないまま口頭弁論が終結し,請求を認容する判決が確定した場合には,借地人は,その確定判決について提起した請求異議の訴えにおいて,その後にした建物買取請求権の行使の効果を請求異議の事由として主張することができない。
5.被相続人の貸金債務につき相続人が貸主から提起された貸金返還請求訴訟において,被告である相続人の限定承認の事実が認められ,相続財産の限度での債務の支払を命じる留保付判決が確定した場合には,貸主は,口頭弁論の終結の前に法定単純承認の事実があったとして,限定承認の効力を争い,無留保の判決を得るため,改めて貸金返還請求訴訟を提起することは,許されない。

解答 3,4

MS1850H30-41Y 判決の確定 A

判決が確定した場合に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを2個選びなさい。 
1.XのYに対する貸金返還請求訴訟の第一審の口頭弁論が平成30年3月16日に終結し,請求を全部認容する判決が同年4月20日に言い渡されて同年5月9日に確定した場合に,YがXに対してこの確定判決について提起した請求異議の訴えにおいて,同月1日にこの貸金に対して弁済したことを請求異議の事由として主張することができる。
2.XがYに対して1000万円の貸金債権の一部として100万円の支払を求める訴訟において,1000万円の貸付けはあったが940万円は弁済されたとして,60万円の限度で請求を認容する判決が確定した場合に,Xは,Yに対し,貸金1000万円のうち前訴で請求しなかった900万円の支払を求める訴えを提起することができる。
3.XがYに対して交通事故による損害賠償として1000万円の支払を求める訴訟において,400万円の限度で請求を認容する判決が確定した場合に,XがYに対してその後に同一の交通事故による損害賠償を求めて提起した訴えにおいて,前訴の事実審の口頭弁論終結時までに予見することができなかった後遺障害がその後に発生したと主張することは,前訴の確定判決の既判力に抵触し,許されない。
4.XY間の甲土地の売買契約が錯誤により無効であるとしてXがYに対して提起した所有権に基づく所有権移転登記抹消登記手続を求める訴えに対し,重要な錯誤がないとして,請求を棄却する判決が確定した場合に,YがXに対して当該売買契約に基づき甲土地の引渡しを求める後訴において,Xが重要な錯誤の存在を主張することは,前訴の確定判決の既判力に抵触し,許されない。(問改)
5.XがYに有する貸金債権の連帯保証人Zに対して提起した保証債務履行請求の訴えに対し,請求を認容する判決が確定した後,XのYに対する貸金返還請求訴訟において,保証債務履行請求訴訟の事実審の口頭弁論終結時前にYが弁済したとして,請求を棄却する判決が確定した場合に,ZがXに対して保証債務履行請求訴訟の確定判決について提起した請求異議の訴えにおいて,貸金返還請求訴訟の確定判決を請求異議の事由として援用することは,許されない。

解答 1,5

MS1851R02-37Y 確定判決の既判力 B

確定判決の既判力に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを2個選びなさい。 
1.XがYに対して所有権に基づき建物の明渡しを求める訴えを提起し,Xの建物の所有権の取得が認められないとして請求を棄却する判決が確定した後,XがYに対して当該建物について同一の取得原因を主張して所有権の確認を求める訴えを提起した場合において,後訴裁判所がXの請求を認容する判決をすることは,前訴の確定判決の既判力に反し許されない。
2.XがYに対して売買契約の詐欺取消しを理由として売買代金相当額の不当利得の返還を求める訴えを提起し,詐欺の事実が認められないとして請求を棄却する判決が確定した後,XがYに対して当該売買契約について通謀虚偽表示による無効を理由として売買代金相当額の不当利得の返還を求める訴えを提起した場合において,後訴裁判所がXの請求を認容する判決をすることは,前訴の確定判決の既判力に反し許されない。
3.XがYに対して消費貸借契約に基づき貸金の返還を求める訴えを提起し,YのXに対する金員の支払が弁済に当たるとして請求を棄却する判決が確定した後,YがXに対して当該消費貸借契約に基づく貸金債務についてその金員の支払の前に債務免除があったとして,支払った金員の額の不当利得の返還を求める訴えを提起した場合において,後訴裁判所がYの請求を認容する判決をすることは,前訴の確定判決の既判力に反し許されない。
4.XがYに対して土地の所有権の確認を求める訴えを提起し,請求を認容する判決が確定した後,YがXに対して当該土地の所有権の確認を求める訴えを提起した場合において,後訴裁判所が,当該土地について前訴の口頭弁論の終結後にXから所有権を取得したとのYの主張を認めてYの請求を認容する判決をすることは,前訴の確定判決の既判力に反し許されない。
5.XがYに対して消費貸借契約に基づき貸金の返還を求める訴えを提起し,請求を認容する判決が確定した後,Yが,当該消費貸借契約に基づく貸金債務についてその訴訟の口頭弁論の終結前に時効期間が経過していたとして消滅時効を援用し,Xに対して債務の不存在確認を求める訴えを提起した場合において,後訴裁判所が当該貸金債務の時効消滅を理由にYの請求を認容する判決をすることは,前訴の確定判決の既判力に反し許されない。

解答 2,5

MS1852R03-35Y 確定判決の効力 B

確定判決の効力に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。 
ア.Aを債務者とする債権がXに帰属することの確認を求める旨のXのYに対する訴訟において,請求を認容するとの判決が確定した場合に,この判決の効力は,Aに対して及ぶ。
イ.Xが,Xに対して連帯債務を負うYとZのうちYに対してのみその債務の履行を求める訴訟において,相殺を理由として請求を一部棄却するとの判決が確定した場合に,この判決の効力は,Zに及ぶ。
ウ.XのYに対する賃貸借契約の終了に基づく土地明渡請求訴訟において,賃料不払による解除を理由として請求を認容するとの判決が確定した場合に,この判決の効力は,この訴訟の口頭弁論終結の前からその土地を転借しているZに対しては及ばない。
エ.XのYに対する動産引渡請求訴訟において,請求を認容するとの判決が確定した場合に,この判決の効力は,この訴訟の口頭弁論終結の前から,Yの委託に基づき無償でその動産を保管しているZに及ぶ。
オ.Xが宗教法人Yの代表役員の地位にあることの確認を求める旨のXのYに対する訴訟において,請求を認容するとの判決が確定した場合に,この判決は,対世的効力を有しない。 
1.ア イ  2.ア ウ  3.イ オ  4.ウ エ  5.エ オ

解答 4

第9編 多数当事者訴訟 第1章 共同訴訟

MS1870H30-33 固有必要的共同訴訟の成否 A

固有必要的共同訴訟の成否に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか。 
1.不動産の共有者は,共有者以外の者がその不動産につき不実の所有権移転登記を経由した場合には,その者を被告として,各自単独で,持分権に基づき,所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴えを提起することができる。
2.被相続人から被相続人名義の不動産の贈与を受けた者は,被相続人の共同相続人のうちの一人を被告として,贈与契約に基づき,所有権移転登記手続を求める訴えを提起することができる。
3.不動産の共有者は,他の共有者のうちの一人を被告として,各自単独で,共有物分割を求める訴えを提起することができる。
4.土地の所有者は,土地上の建物の共有者のうちの一人を被告として,所有権に基づき,建物収去土地明渡しを求める訴えを提起することができる。
5.不動産の賃貸人は,共同賃借人のうちの一人を被告として,賃貸借契約の終了に基づき,不動産の明渡しを求める訴えを提起することができる。

解答 3

MS1910H27-44Y 共同訴訟 A

共同訴訟に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか。 
1.入会集落の構成員の一部は,入会地についての使用収益権に基づいて,入会地への立入りを妨害する者に対し,その排除を求める訴えを提起することができる。
2.A及びBが共有する甲土地について,第三者Cに対し,甲土地がA及びBの共有に属することの確認を求める訴えは,Aが単独で提起することができる。
3.A及びBが共有する甲土地について,第三者Cに対し,Aが甲土地の共有持分権を有することの確認を求める訴えは,Aが単独で提起することができる。
4.AがBから甲土地を買い受けた場合において,その所有権移転登記がされる前にBが死亡し,C及びDがAに対して所有権移転登記手続をする義務をBから共同相続したときは,Aは,C又はDのいずれか一方を被告としてB名義で登記されている甲土地につき所有権移転登記手続を求める訴えを提起することができる。
5.Aが所有する甲土地とB及びCの共有に属する乙土地とが筆界(境界)を挟んで隣接する場合において,Aが境界確定の訴えを提起するときは,B及びCの双方を被告としてこれを提起しなければならない。

解答 2

MS1920H29-32Y 通常共同訴訟 A

主債務者と保証人を共同被告とする訴訟に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを2個選びなさい。 
1.訴訟の係属中に主債務者が死亡した場合には,主債務者に訴訟代理人があるときを除き,主債務者についての訴訟手続は中断するが,保証人についての訴訟手続は,保証人に訴訟代理人があるか否かを問わず,中断しない。
2.原告が主債務者に対する訴えを取り下げた場合には,保証人に対する訴えも,同時に取り下げられたことになる。
3.主債務者が主たる債務の弁済の事実を主張した場合には,保証人がその事実を主張していなくても,保証人との関係でその事実が主張されたことになる。
4.被告らがいずれも主たる債務の弁済の事実を主張した場合において,主債務者が提出した証拠によりその事実が認められるものの,保証人が証拠を提出しないときは,保証人との関係でその事実を認定することはできない。
5.主債務者が請求原因事実を争っている場合には,保証人が請求原因事実の全てを自白したとしても,主債務者との関係で請求原因事実の証明を要しないことになるわけではない。

解答 1,5

MS1921R02-32Y 共同訴訟 A

共同訴訟に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを2個選びなさい。 
1.土地共有者の一部の者が隣地の所有者に対して筆界(境界)確定の訴えを提起することに同調しない場合には,その他の共有者は,訴えの提起に同調しない者を隣地の所有者と共に被告として訴えることができる。
2.ある財産が共同相続人による遺産分割前の共有関係にあることの確認を求める訴えにおいては,遺産分割審判の申立てをすることができる共同相続人全員を原告又は被告としなければならない。
3.必要的共同訴訟において,共同訴訟人のうち一人について上訴期間が経過したときは,判決が確定する。
4.共同被告の一方に対する訴訟の目的である権利と共同被告の他方に対する訴訟の目的である権利とが法律上併存し得ない関係にある場合において,原告が同時審判の申出をしたときは,裁判所は,原告と一方の被告との間で裁判上の自白が成立した事実については,他方の被告との間でも判決の基礎としなければならない。
5.同時審判の申出は,第一審の口頭弁論の終結の時までにしなければならない。

解答 1,2

MS1922R03-32Y 多数当事者訴訟 A

多数当事者訴訟の各類型の意義とそれぞれの類型に当てはまる具体的な例に関する次のアからウまでの各記述について説明した後記1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものはどれか。 
ア.通常共同訴訟は,共同訴訟のうち,訴訟共同の必要がなく,合一確定の必要もない類型のものをいう。通常共同訴訟に当たるものとして,不動産の全共有者であるX1及びX2が共同して当該不動産の登記名義人Yに対して提起する当該不動産全体の共有権に基づく所有権移転登記手続請求の訴えがある。
イ.固有必要的共同訴訟は,共同訴訟のうち,訴訟共同の必要がないが,合一確定の必要はある類型のものをいう。固有必要的共同訴訟に当たるものとして,不動産の全共有者であるX1及びX2が共同して当該不動産に隣接する不動産の所有者であるYに対して提起した筆界(境界)確定の訴えがある。
ウ.類似必要的共同訴訟は,共同訴訟のうち,訴訟共同の必要があるが,合一確定の必要がない類型のものをいう。類似必要的共同訴訟に当たるものとして,株主X1及びX2が共同して株式会社の取締役Yに対して提起した責任追及等の訴えがある。 
1.アの前段及びイの前段は,いずれも正しい。
2.アの後段及びイの後段は,いずれも誤っている。
3.アの後段及びウの前段は,いずれも誤っている。
4.イの後段は正しいが,ウの後段は誤っている。
5.イの前段は誤っているが,ウの前段は正しい。

解答 3

第9編 多数当事者訴訟 第3章 訴訟参加

MS1960H27-43Y 補助参加 A

補助参加に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを2個選びなさい。 
1.当事者が補助参加の申出について異議を述べないときは,補助参加人は,参加の理由を疎明する必要がない。
2.補助参加人の訴訟行為は,補助参加を許さない裁判が確定した場合には,当事者が援用してもその効力を有しない。
3.原告側に補助参加をした補助参加人は,訴えの取下げをすることができない。
4.補助参加人への第一審判決正本の送達の日から2週間以内であれば,その前に被参加人が控訴を提起することのないまま控訴期間が経過していたとしても,補助参加人は,控訴を提起することができる。
5.貸主の借主に対する貸金返還請求訴訟において,保証人が借主側に補助参加した場合,借主が,参加申出よりも前に,請求原因事実の一部を自白し,これを撤回することができない場合であっても,保証人はその自白に係る事実を争うことができる。

解答 1,3

MS1970H28-31Y 補助参加 B

補助参加に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものはどれか。 
1.補助参加の申出は,書面でしなければならない。
2.控訴審の終局判決後上告期間が経過する前において,補助参加の申出をすると同時に,上告の提起をすることもできる。
3.第一審で補助参加をした参加人が引き続き控訴審で訴訟行為をするためには,控訴審における補助参加の申出をしなければならない。
4.補助参加の申出に対して異議を述べることができるのは,被参加人だけであって,相手方は異議を述べることができない。
5.当事者以外の第三者が,独立当事者参加により他人間の訴訟に自ら当事者として参加することができる場合には,当事者の一方に補助参加することはできない。

解答 2

MS1971R03-33Y 補助参加 A

補助参加に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。 
ア.補助参加人は,補助参加をした訴訟において証人となることができる。
イ.補助参加の許否についての裁判に対しては,不服を申し立てることができない。
ウ.訴訟告知を受けた者は,当然に当該訴訟における補助参加人の地位を取得する。
エ.原告を補助するためその訴訟に参加した補助参加人は,当該訴訟に係る訴えの取下げをすることができない。
オ.補助参加に係る訴訟における判決の補助参加人に対する効力(いわゆる参加的効力)は,判決の主文中の訴訟物に係る判断の前提として理由中でされた事実の認定や先決的権利関係の存否についての判断には生じない。 
1.ア イ  2.ア エ  3.イ ウ  4.ウ オ  5.エ オ

解答 2

MS1980H29-33Y 訴訟告知 B

訴訟告知に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。 
ア.訴訟告知書には,訴訟告知の時までに提出された攻撃防御方法の要旨を記載しなければならない。
イ.訴訟告知を受けた者が告知者を補助するため訴訟に参加した場合には,告知者は,その参加につき異議を述べることはできない。
ウ.訴訟告知を受けた者は,その訴訟に補助参加の申出をしなければ,その訴訟に参加することができる第三者に更に訴訟告知をすることはできない。
エ.裁判が訴訟告知を受けたが参加しなかった者に対しても効力を有するのは,その訴訟の判決が被告知者の私法上又は公法上の法的地位又は法的利益に影響を及ぼすおそれがある場合に限られる。
オ.訴訟告知は,独立当事者参加をすることができる第三者に対しても,することができる。 
1.ア ウ  2.ア オ  3.イ エ  4.イ オ  5.ウ エ

解答 1

MS2010R01-33Y 独立当事者参加 A

独立当事者参加に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものはどれか。 
1.訴訟の結果によって権利が害されることを主張する第三者は,原告の請求を棄却する判決を求める旨を述べれば,自ら請求を定立しなくとも,その訴訟に参加することができる。
2.訴訟の目的の全部が自己の権利であることを主張する第三者が原告及び被告を相手方として参加の申出をした場合において,原告と被告のいずれもが異議を述べなかったときは,裁判所は,その第三者がその訴訟に参加することを許さなければならない。
3.土地の所有権確認請求訴訟において,原告が売買契約により土地を取得したと主張し,被告がこの売買契約の成立の事実を認めた場合であっても,その訴訟係属前からその土地の所有権を有することを主張する第三者が原告及び被告を相手方としてその訴訟に参加し,その売買契約の成立の事実を否認したときは,裁判所は,終局判決において,証拠調べの結果に基づき,その売買契約の成立を認めないとの判断をすることができる。
4.第三者が自己の権利を主張するために原告及び被告を相手方として訴訟に参加した場合に,原告は,被告の同意を得てその訴訟から脱退することができるが,被告及び参加人の同意を得ても訴えを取り下げることはできない。
5.訴訟の目的の全部が自己の権利であることを主張する第三者が原告及び被告を相手方として訴訟に参加した場合において,原告の訴えが訴えの利益を欠き不適法であるときは,裁判所は,その参加に係る訴えについて,不適法なものとして却下しなければならない。

解答 3

第9編 多数当事者訴訟 第4章 訴訟承継

MS2050H29-42Y 承継人の範囲 A

BがAから賃借した土地上に建物を建築し所有していたところ,Aは,Bに対し,土地賃貸借契約の終了に基づく建物収去土地明渡請求訴訟を提起した。この場合に関する次の1から5までの各記述のうち,誤っているものを2個選びなさい。 
1.民事訴訟法第50条の「義務承継人」の範囲を訴訟物たる義務の引受けをした者と解すると,口頭弁論終結前にBがCに当該建物を貸し渡した事案では,Cに訴訟を引き受けさせることはできないこととなる。
2.民事訴訟法第115条第1項第3号の「承継人」の範囲を訴訟物たる権利の譲受け又は義務の引受けをした者と解すると,口頭弁論終結後にBがCに当該建物を貸し渡した事案では,Cに確定判決の効力が及ぶこととなる。
3.民事訴訟法第50条の「義務承継人」の範囲を紛争の主体たる地位の移転を受けた者と解すると,口頭弁論終結前にCがBに無断で空き家だった当該建物に入居した事案では,Cに訴訟を引き受けさせることができることとなる。
4.民事訴訟法第50条の「義務承継人」の範囲を紛争の主体たる地位の移転を受けた者と解すると,口頭弁論終結前にBがCに当該建物を売却してこれを引き渡し,その所有権移転登記をした事案では,Cに訴訟を引き受けさせることができることとなる。
5.民事訴訟法第115条第1項第3号の「承継人」の範囲を紛争の主体たる地位の移転を受けた者と解すると,口頭弁論終結後にBがCに当該建物を売却してこれを引き渡し,その所有権移転登記をした事案では,Cに確定判決の効力が及ぶこととなる。 
(参照条文)民事訴訟法
(義務承継人の訴訟引受け)
第50条 訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したときは,裁判所は,当事者の申立てにより,決定で,その第三者に訴訟を引き受けさせることができる。
2・3 (略)
(確定判決等の効力が及ぶ者の範囲)
第115条 確定判決は,次に掲げる者に対してその効力を有する。
一 当事者
二 当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人
三 前二号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人
四 前三号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者
2 (略)

解答 2,3

MS2051R02-33Y 訴訟引受け B

訴訟引受けに関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを2個選びなさい。 
1.XのYに対する訴訟の係属中にZがYから訴訟の目的である義務の全部を承継した場合において,裁判所がZに訴訟を引き受けさせる決定をしたときは,Zがした訴訟行為は,Yの利益においてのみその効力を生ずる。
2.XのYに対する訴訟の係属中にZがXから訴訟の目的である権利の全部を譲り受けた場合において,裁判所は,Yの訴訟の引受けの申立てにより,Zに訴訟を引き受けさせることができる。
3.XのYに対する訴訟が上告裁判所に係属中にZがYから訴訟の目的である義務の全部を承継した場合において,Xは,上告裁判所に対し,訴訟の引受けの申立てをすることはできない。
4.XのYに対する土地の賃貸借契約の終了に基づく建物収去土地明渡請求訴訟の係属中にZがYからその建物の全部を借り受けてその土地を占有する場合において,裁判所は,Zに対して所有権に基づき建物退去土地明渡しを求めるとしてされたXの訴訟の引受けの申立てにより,Zに訴訟を引き受けさせることができる。
5.XのYに対する訴訟の係属中にZがYから訴訟の目的である義務の全部を承継した場合において,裁判所がZに訴訟を引き受けさせる決定をし,YがXの承諾を得て訴訟から脱退したときは,その確定判決の効力は,Yに対しては及ばない。

解答 1,5

第9編 多数当事者訴訟 第5章 総合

MS2090H30-34Y 多数当事者訴訟 B

多数当事者訴訟に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものはどれか。 
1.通常共同訴訟に係る訴えが提起された場合には,裁判所は,職権で,通常共同訴訟の要件を満たすか否かについて調査をし,その要件を欠くと判断したときには,その訴えを却下しなければならない。
2.参加承継においては,被承継人は,相手方の承諾を得なければ訴訟から脱退することはできないが,引受承継においては,被承継人は,相手方の承諾がなくとも訴訟から脱退することができる。
3.訴訟の目的である権利を譲り受けた者が原告として参加承継する場合だけでなく,訴訟の目的である義務を承継した者が被告として参加承継する場合にも,承継人は,当事者の双方又は一方を相手方とする請求を定立しなければならない。
4.第三者が参加承継の申出をした場合には,裁判所は,当事者及び第三者を審尋した上,決定で,その許否について判断を示さなければならない。
5.当事者が第三者に対して訴訟告知をした場合には,被告知者は,自らが訴訟に参加することができる第三者に当たらないことを理由として,即時抗告をすることができる。

解答 3

第10編 上訴・再審 第1章 序説

MS2100H28-45Y 上訴 A

民事訴訟における上訴に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものを2個選びなさい。 
1.第一審の判決の言渡し後その判決書又は判決書に代わる調書の送達を受ける前においては,控訴を提起することは,許されない。
2.裁判所に対し控訴権を放棄する旨の申述をした者が附帯控訴をすることは,許されない。
3.控訴の取下げには,相手方の同意を要しない。
4.上告は,判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに限り,することができる。
5.即時抗告期間は,裁判の告知を受けた日から1週間の不変期間である。

解答 3,5

MS2180H30-44Y 控訴 A

控訴に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか。 
1.控訴の提起は,判決書の送達を受けた日から2週間の不変期間内に,控訴状を第一審裁判所に提出することによって行う。
2.控訴状には,第一審判決の取消し又は変更を求める事由を記載する必要はない。
3.請求の客観的予備的併合がされている場合において,主位的請求を認容し,予備的請求に対する判断をしなかった第一審判決に対し,被告が控訴したときは,控訴裁判所は,主位的請求を棄却するとの判断をした上,予備的請求について判断をすることができる。
4.請求の客観的予備的併合がされている場合において,主位的請求を棄却し,予備的請求を認容した第一審判決に対し,被告が控訴し,原告が控訴及び附帯控訴のいずれもしないときは,控訴裁判所は,主位的請求に対する第一審裁判所の判断の当否の判断をすることはできない。
5.金銭の給付訴訟において,被告の相殺の抗弁が認められて原告の請求が棄却され,原告が控訴し,被告が控訴及び附帯控訴のいずれもしない場合に,控訴裁判所が請求原因事実が認められないとの判断をしたときは,第一審判決を取り消して,請求を棄却するとの判決をすることができる。

解答 5

MS2190R01-44Y 控訴審における審理 A

控訴審における審理に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。 
ア.当事者の一方が控訴審の第1回口頭弁論期日に欠席した場合に,その期日に出頭した当事者は,当事者双方に係る第一審口頭弁論の結果を陳述することができる。
イ.第一審において,被告が請求原因事実の全部を自白したとみなされたために請求を全部認容する判決がされた場合であって,被告が控訴審において当該請求原因事実の全部又は一部を争うときは,その旨を明らかにするとともに,その争おうとする請求原因事実が真実でないことを立証しなければならない。
ウ.第一審において弁論準備手続を終結している場合であって,当事者が控訴審において新たな攻撃防御方法を提出しないときは,控訴裁判所は,事件を弁論準備手続に付することはできない。
エ.第一審裁判所が専属管轄を定める合意があることを理由とする管轄違いの主張を排斥して本案判決をした場合であって,当該管轄違いの主張に係る判断に誤りがあるときは,当事者は,控訴審において,当該合意があることを理由として,第一審裁判所が管轄権を有しないことを主張することができる。
オ.当事者が控訴審において新たに提出した攻撃防御方法について,控訴裁判所は,控訴審の審理経過だけでなく,第一審における審理経過についても考慮し,時機に後れたものであるか否かを判断する。 
1.ア イ  2.ア オ  3.イ ウ  4.ウ エ  5.エ オ

解答 2

MS2191R03-44Y 控訴 B

控訴に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを2個選びなさい。
1.控訴審において訴えの交換的変更がされた場合において,変更後の訴えに対する控訴裁判所の判断の内容が第一審判決の主文と同じものとなるときは,控訴裁判所は,控訴を棄却するとの判決をしなければならない。
2.XのYに対する貸金返還請求訴訟において,Yが弁済の主張と共に予備的に相殺の主張をしたところ,第一審裁判所が,貸金債権が相殺により消滅しているとしてXの請求を棄却するとの判決をした場合に,Yは,第一審判決を不服として控訴することができない。
3.XがYに対して選択的に債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償を求める訴えを提起したところ,第一審裁判所は,不法行為に基づく損害賠償請求の一部を認容し,その余の請求を棄却するとの判決をした。これに対し,Yが控訴をしたが,Xは控訴と附帯控訴をしなかった場合において,控訴裁判所が不法行為に基づく損害賠償請求の全部を棄却すべきと判断したときは,控訴裁判所は,債務不履行に基づく損害賠償請求権の有無について判断するまでもなく,第一審判決を取り消してXの請求をいずれも棄却するとの判決をすることができる。
4.XがY1とY2を共同被告として,Y1に対して貸金の返還を求める訴えを,Y2に対して保証債務の履行を求める訴えをそれぞれ提起したところ,第一審裁判所は,Y1に対する請求を認容し,Y2に対する請求を棄却する判決をした。この場合において,Xのみが控訴をしたときは,第一審判決のうちY1に対する請求に関する部分については,移審の効果は生じない。
5.亡Aの配偶者Xが子であるY及びZを共同被告としてYがAの相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えを提起したところ,第一審裁判所が,Xの請求のうち,Yに対する請求を認容し,Zに対する請求を棄却するとの判決をした場合において,Yのみが控訴をし,Xが控訴又は附帯控訴をしていないときであっても,控訴裁判所は,合一確定に必要な限度で,第一審判決のうちZに関する部分をZに不利益に変更することができる。

解答 4,5

MS2230H27-45Y 裁判に対する不服申し立て A

裁判に対する不服申立てに関する次の1から5までの各記述のうち,誤っているものを2個選びなさい。 
1.忌避の申立てを認容する決定に対しては,不服を申し立てることができない。
2.移送の申立てを却下する決定に対しては,不服を申し立てることができる。
3.文書提出義務がないことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては,不服を申し立てることができない。
4.補助参加の申出を認める決定に対しては,不服を申し立てることができない。
5.訴訟費用の負担の裁判に対しては,独立して不服を申し立てることができない。

解答 3,4

MS2240H30-43Y 不服申立て B

決定又は命令に対する不服申立てに関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。 
ア.簡易裁判所の裁判官の訴状却下命令に対しては,地方裁判所に即時抗告をすることができる。イ.地方裁判所が文書提出命令の申立てについてその文書の証拠調べをする必要性がないという理由でこれを却下するとした決定に対しては,その必要性があることを理由として,即時抗告をすることができる。
ウ.高等裁判所が再抗告についてした決定に対しては,その決定が憲法に違反することを理由として,特別抗告をすることができる。
エ.高等裁判所がその決定に対する許可抗告の申立てについて抗告を許可しなかった場合であっても,最高裁判所は,法令の解釈に関する重要な事項を含むと認めるときは,抗告を受理することができる。
オ.決定に対して再審の申立てをすることはできない。 
1.ア ウ  2.ア エ  3.イ ウ  4.イ オ  5.エ オ

解答 1

MS2271R03-45Y 再審 A

再審の訴えに関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを2個選びなさい。
1.Xが甲地方裁判所においてYに対して提起した訴えについて請求を棄却するとの判決がされ,控訴がされず,この判決は確定した。この確定した判決に対してXが再審の訴えを提起する場合には,管轄裁判所は,その管轄区域内に甲地方裁判所が所在する高等裁判所である。
2.株式会社Yの株主ZがYを被告として提起した新株発行無効の訴えにおいて,YがZの請求を実質的に争わず不誠実な訴訟追行をした結果,Zの請求を認容した判決が確定した場合に,新株発行に係る株式の株主であるXは,Y及びZを被告として株主たる地位の確認請求を定立して独立当事者参加の申出をするとともに再審の訴えを提起すれば,当該再審の訴えの原告適格が認められる。
3.Xは,XのYに対する請求を棄却する判決の確定から3か月後,この判決の証拠となった証人Aの証言が虚偽であることを知り,その1年後に,Aの偽証につき有罪判決が確定したことを知った。この場合において,Aの偽証を理由とする上記棄却判決に対するXの再審の訴えは,XがAに対する有罪判決の確定を知った日から30日の不変期間内に提起しなければならない。
4.XのYに対する土地の所有権確認請求訴訟につき,Xの請求を棄却するとの判決が確定した。その後,Xが死亡し,Xの唯一の相続人であるZがYを被告として,この確定判決に対する再審の訴えを提起した場合に,この訴えに係るZの原告適格は認められない。
5.XのYに対する請求を棄却するとの判決の正本がXに送達されたが,Xは,当該判決には判断の遺脱があることを認識しながら控訴をしなかった。この場合に,Xは,その後確定した当該判決に対して再審の訴えを提起し,当該判断の遺脱を再審事由として主張することはできない。

解答 1,4

第11編 簡易裁判所 

MS2290H29-45Y 簡易裁判所 B

貸金100万円の返還を求める訴えが簡易裁判所に提起された場合の手続に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。 
ア.口頭弁論は,相手方が準備をしなければ陳述をすることができないと認めるべき事項についても,書面で準備する必要はなく,口頭弁論前直接に相手方に通知する必要もない。
イ.裁判所は,相当と認める場合には,当事者に異議がないときに限り,証人の尋問に代え,書面の提出をさせることができる。
ウ.裁判所は,必要があると認めるときは,司法委員を審理に立ち会わせて事件につきその意見を聴くことができる。
エ.裁判所は,被告が口頭弁論において原告の主張した事実を争わず,その他何らの防御の方法をも提出しない場合において,相当と認めるときは,和解に代わる決定をすることができる。
オ.被告は,反訴を提起することができない。 
1.ア イ  2.ア オ  3.イ ウ  4.ウ エ  5.エ オ

解答 4

MS2291R03-43Y 簡易裁判所の訴訟手続 B

簡易裁判所の訴訟手続に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.訴状を提出して訴えを提起する場合には,紛争の要点を明らかにすることで請求の原因に代えることはできない。
イ.原告又は被告が口頭弁論の続行の期日に出頭しない場合であっても,裁判所は,その者が提出した準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし,出頭した相手方に弁論をさせることができる。
ウ.当事者双方の申出があり,裁判所が相当と認めるときは,口頭弁論の期日を公開せずに行うことができる。
エ.被告が反訴で地方裁判所の管轄に属する請求をした場合には,簡易裁判所は,職権により,決定で,本訴及び反訴を地方裁判所に移送しなければならない。
オ.簡易裁判所においては,その許可を得て,弁護士でも司法書士でもない者を訴訟代理人とすることができる。 
1.ア エ  2.ア オ  3.イ ウ  4.イ オ  5.ウ エ

解答 4

第12編 少額訴訟 

MS2310H30-45Y 少額訴訟 B

少額訴訟に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。 
ア.被告は,反訴を提起することができる。
イ.証拠調べは,即時に取り調べることができる証拠に限りすることができる。
ウ.被告は,口頭弁論の終結がされるまで,訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができる。
エ.裁判所は,請求を認容する判決をする場合に,被告の資力その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは,判決の言渡しの日から3年を超えない範囲内において,認容する請求に係る金銭の支払について,その分割払の定めをすることができる。
オ.少額訴訟の終局判決に対して適法な異議がされ,通常の手続により審理及び裁判をすることとされた場合の終局判決に対しては,控訴をすることができる。 
1.ア ウ  2.ア オ  3.イ エ  4.イ オ  5.ウ エ

解答 3

第15編 総合問題 

MS2380R01-39Y 訴訟上の義務 B

訴訟上の義務に関する次の1から5までの各記述のうち,誤っているものはどれか。 
1.当事者は,訴訟において引用した文書を自ら所持する場合に,その文書につき文書提出命令の申立てがされたときは,その文書を提出しなければならない。
2.鑑定に必要な学識経験を有し,鑑定人となることができる者は,受訴裁判所により鑑定人に指定された場合には,鑑定をしなければならない。
3.裁判所は,事件を弁論準備手続に付する裁判をした場合において,当事者の一方がその取消しを申し立てたときは,当該裁判を取り消さなければならない。
4.被告は,訴訟が係属した場合には,送達を受けるべき場所を受訴裁判所に届け出なければならない。
5.単独の裁判官が代わった場合において,その前に尋問をした証人について,当事者が更に尋問の申出をしたときは,裁判所は,その尋問をしなければならない。

解答 3

MS2390R01-40Y 電話会議・テレビ会議 B

音声の送受信により同時に通話をすることができる方法(以下「電話会議」という。)又は映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法(以下「テレビ会議」という。)による手続に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。 
ア.電話会議によって弁論準備手続の期日における手続を行うことができるのは,当事者の一方が期日に出頭した場合に限られる。
イ.弁論準備手続の期日における手続が電話会議によって行われている場合には,期日に出頭していない原告は,訴えを取り下げることはできない。
ウ.テレビ会議によって当事者本人を尋問することはできない。
エ.少額訴訟においては,電話会議によって証人を尋問することができる。
オ.テレビ会議によって鑑定人に口頭で意見を述べさせることができるのは,鑑定人が遠隔の地に居住している場合に限られる。 
1.ア イ  2.ア エ  3.イ ウ  4.ウ オ  5.エ オ

解答 2

MS2400R01-45Y 申立て等の効果 B

申立て等があった場合の効果に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものを2個選びなさい。 
1.事件の記録の閲覧等の制限の申立てがあったときは,その申立てについての裁判が確定するまで,第三者は,秘密記載部分の閲覧等の請求をすることができない。
2.第1回口頭弁論期日の前において,著しい遅滞を避けるための移送の申立てがあったときは,裁判所は,訴訟手続を停止しなければならない。
3.文書提出命令の申立てについての決定に対して即時抗告がされたときは,裁判所は,その即時抗告についての裁判が確定するまで,訴訟手続を停止しなければならない。
4.補助参加人は,補助参加について異議があった場合においても,補助参加を許さない裁判が確定するまでの間は,訴訟行為をすることができる。
5.ある事件の訴訟手続において,他の事件との口頭弁論の併合を命ずることが求められたときは,裁判所は,その訴訟手続を停止しなければならない。

解答 1,4

MS2470H27-35Y 所有権確認の訴え B

XはYに対して,甲土地の所有権確認を求める訴え(以下「本件訴え」という。)を提起した。この場合に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものはどれか。
1.訴状の請求の趣旨欄に「『Xが甲土地の所有権を有することを確認する。』との判決を求める。」との記載があれば,請求の原因欄に甲土地の所有権の取得原因事実の記載がなくても,そのことは訴状の補正を命じる理由にはならない。
2.XがYに対して甲土地の所有権に基づきその返還を請求することができるときは,甲土地についてのXの所有権を確認する訴えの利益を認めることはできない。
3.Xが,甲土地の所有権の取得原因として,Aの元所有,Xの父BによるAからの買受け,Bの死亡による相続を主張し,Yが,Aの元所有は認めつつ,その後のXの所有権の取得の経緯を単純否認した。この場合,裁判所が証拠調べの結果に基づいて,Aから甲土地を買い受けたのはBではなくYであることを理由としてXの請求を棄却することはできない。
4.本件訴えについて,Xの請求を棄却する判決が確定した後に,Yが,Xに対して,Yが甲土地の所有権を有することの確認を求める訴えを提起した場合,当該判決の既判力の作用により,Xは,Yが甲土地の所有権を有することを争うことができない。
5.本件訴えについて,Xの請求を棄却する判決が確定した後に,甲土地を占有するYがZに対しその占有を移転したため,XがZに対し,所有権に基づく甲土地の明渡しを請求することは,当該判決の既判力により妨げられない。

解答 1

MS2480H29-44Y 境界確定訴訟 B

相隣地をめぐる所有権確認訴訟及び筆界(境界)確定訴訟に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか。 
1.所有権確認訴訟では,裁判上の和解により土地所有権の範囲を定めることができるが,筆界(境界)確定訴訟では,裁判上の和解により筆界(境界)を定めることができない。
2.所有権に基づく土地明渡請求訴訟の係属中に,土地所有権の確認を求める中間確認の訴えを提起することはできるが,筆界(境界)確定を求める中間確認の訴えを提起することはできない。
3.所有権確認訴訟では,原告の主張する所有権の範囲より原告に有利な内容の判決をすることはできないが,筆界(境界)確定訴訟では,原告の主張する筆界(境界)より原告に有利な内容の判決をすることはできる。
4.所有権確認訴訟では,相隣地の各所有者が当事者適格を有するが,筆界(境界)確定訴訟では,相隣地の各登記名義人が当事者適格を有する。
5.所有権確認訴訟では,請求の趣旨において原告の主張する土地所有権の範囲を特定する必要があるが,筆界(境界)確定訴訟では,請求の趣旨において原告の主張する筆界(境界)を特定する必要はない。

解答 4

MS2490H27-37Y 賃借物件に対する明渡請求 A

賃貸人が自己所有の建物を賃借人に賃貸していたところ,賃借人の無断転貸の事実が判明したため,賃貸人が原告となり,賃借人に対しては無断転貸による解除を理由とする賃貸借契約の終了に基づく建物明渡しを,転借人に対しては所有権に基づく建物明渡しを,それぞれ求める訴えを併合提起した。この訴訟(以下「本訴」という。)について,次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか。
1.訴状等を受領した転借人が最初の口頭弁論期日に答弁書その他の準備書面を提出しないで欠席したときは,裁判所は,弁論を分離し,転借人に対する建物明渡請求を認容する判決をすることができる。
2.賃借人が取調べを申し出た証人が,賃貸人が転貸借について承諾した事実を証言したときは,当該証言は,転借人に対する建物明渡請求についても,転借人の援用を要することなく証拠資料となる。
3.訴訟代理人によって代理されていない賃借人が訴訟の係属中に死亡したときは,転借人に対する建物明渡請求訴訟も中断する。
4.賃貸人は,本訴提起に先立ち,転借人が建物の占有を他に移転することに備えて,転借人に対し,占有移転禁止の仮処分を申し立てることができる。
5.賃借人に対する建物明渡請求において,賃借人の転貸借が賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があることを基礎付ける事実は,賃借人が主張立証責任を負う。

解答 3

MS2500H27-38Y 抗弁 B

Xは,Yに対し,Yの代理人Zとの間で,Yが所有する甲土地の売買契約を締結したと主張して,売買契約に基づき甲土地の所有権移転登記手続を求める訴えを提起した。この場合において,次のアからオまでのYの各陳述のうち,当該訴えの請求原因に対する抗弁となり得るものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Yは,Zに対して,代理権を授与したことはない。
イ.YがZに対して授与した代理権は,甲土地について賃貸借契約を締結することについてのものである。
ウ.XとZとの間で甲土地の売買契約が締結される前に,YとZとの合意によりZへの授権は撤回されている。
エ.甲土地の売買契約に係るZの意思表示は,XのZに対する詐欺に基づいてされたものであるので,これを取り消す。
オ.Zが甲土地についての売買契約を締結した相手方は,Xではなく,Xの息子であるAである。
1.ア ウ  2.ア オ  3.イ エ  4.イ オ  5.ウ エ

解答 5

MS2510H30-38Y 抗弁 B

抗弁に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。 
ア.10年の時効取得を原因とする土地の所有権移転登記手続を求める訴えの請求原因に対する「原告は,占有開始の時に当該土地の所有権を有しないことを知っていた。」との主張は,抗弁である。
イ.売買契約に基づく動産の引渡しを求める訴えの請求原因に対する「原告が被告に対して代金の支払をするまで当該動産の引渡しを拒絶する。」との主張は,抗弁である。
ウ.消費貸借契約に基づく貸金返還を求める訴えの請求原因に対する「金銭の交付が贈与契約に基づくものであったから,金銭の返還請求権は発生しない。」との主張は,抗弁である。
エ.所有権に基づく土地の明渡しを求める訴えの請求原因に対する「原告は,他の第三者に対して当該土地を売り,所有権を失った。」との主張は,抗弁である。
オ.保証契約に基づく保証債務の履行を求める訴えの請求原因に対する「主債務者が保証契約書を偽造した。」との主張は,抗弁である。 
1.ア イ  2.ア エ  3.イ ウ  4.ウ オ  5.エ オ

解答 4

MS2521R02-45Y 同意・異議・不服申立て B

当事者の同意・異議・不服申立てに関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか。 
1.一方当事者が補助参加について異議を述べ,補助参加を許さない裁判が確定した場合においても,相手方当事者が援用したときは,補助参加人の訴訟行為は,その効力を有する。
2.当事者が自ら控訴をしない場合であっても,第三者は,独立当事者参加の申出と共に控訴をすることができる。
3.裁判所が当事者尋問の期日に専門委員を手続に関与させる場合において,裁判長は,当事者の同意を得なくとも,専門委員に,尋問を受ける当事者本人に対し直接に問いを発することを許すことができる。
4.裁判所は,当事者が異議を述べたときは,証人の尋問に代え,書面の提出をさせることはできない。
5.当事者は,第三者に対してされた文書提出命令に対して,即時抗告をすることができない

解答 3

MS2530H28-44Y 略式手続き B

略式の手続に関する次の1から5までの各記述のうち,誤っているものを2個選びなさい。 
1.手形による金銭の支払の請求は,手形訴訟によらなければならない。
2.手形訴訟においては,原告は,口頭弁論の終結に至るまで,被告の承諾を要しないで,訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができる。
3.訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えは,簡易裁判所における少額訴訟によらなければならない。
4.支払督促は,債務者を審尋しないで発する。
5.裁判所書記官が支払督促を発した場合において,債務者による適法な督促異議の申立てがあったときは,督促異議に係る請求について訴えの提起があったものとみなされる。

解答 1,3

MS2540H30-37Y 新な訴訟行為の可否 B

先行する訴訟行為を誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。 
ア.被告が主張する積極否認の内容となる重要な間接事実に立脚した新たな請求の追加的変更であっても,従前の請求と請求の基礎の同一性がない場合には,このような訴えの変更は,許されない。
イ.原告の土地明渡請求に対し,第一審裁判所が判決でその土地について賃借権を有するとの被告の抗弁に係る事実を認めた場合には,被告は,控訴審において,反訴として,原告の同意を要せずに,その土地についての賃借権存在確認の訴えを提起することができる。
ウ.附帯控訴は,一旦取り下げても,口頭弁論終結に至るまでは,再び申し立てることができる。
エ.本案について終局判決があった後に訴えを取り下げた者は,その訴えと訴訟物を同一とする再訴の提起を正当なものとする新たな利益又は必要性が存するときは,取り下げた訴えと訴訟物を同一とする再訴を提起することができる。
オ.第一審において全部勝訴の判決を得た原告は,被告が控訴した場合であっても,附帯控訴の形式で請求を拡張することができない。 
1.ア イ  2.ア オ  3.イ ウ  4.ウ エ  5.エ オ

解答 2